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第二章
収穫祭のパン
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朝、食堂に行くと、ジョゼフ爺さんとルルカが先に朝食を食べていた。珍しく、マトビアも俺より早く起きて席についている。
どうやら、昨夜に魔法を使い過ぎたせいで、俺の方がいつもより遅く起きてしまったようだ。
朝食の席に着くと、目の前の料理がいつもより多いことに気付いた。
いつもは俺の好きなロールパンとスープや牛乳という組み合わせなのだが、パン籠には山のようにパンが積み上げられている。
しかも食卓の真ん中にはアップルパイまで焼かれて、貴族の朝食にしては随分と豪勢だ。
「今日は収穫祭なんじゃよ」
領主のジョゼフ爺さんが驚いている俺に説明する。
「フォーロンの小麦を一斉に刈り取ったあと、次の日から五日間を収穫祭として町で祭りを開くんじゃ」
「だから、こんなにパンが多いのか」
ロールパンにデニッシュ、クロワッサン、食パン……。パンは好きなのでテンションが上がる。
「せっかくですから、私達も収穫祭に参加してよろしいでしょうか?」
暇を持て余しているマトビアがジョゼフ爺さんに尋ねる。
「もちろん! ぜひ参加してください」
「お兄様も参加しますわよね?」
「え……」
想像以上に浮揚の魔力消費量が多く、昼も飛行船の修理をしたいところだ。
それに人混みは苦手。
「もっとたくさんの種類のパンがあるそうですわよ」
「パンか……」
「アップルパイにレモンパイにミートパイに……」
全部パイだな……。まあ、パイも好きだけれど。
「分かった。ちょっとだけ祭りを見てみよう」
もし全部パイだったら、すぐに飛行船の修理に行くか。
食事を終え丘を下ると、子供のはしゃぐ声や、男女の笑い声が次第に大きくなる。町のメインストリートには花の植木鉢が並べられ、いつもと違っていた。
旗や花冠などが広場に面する家の壁などに飾られていた。広場の中央には小麦を持った女神像が町のシンボルとしてあるのだが、今日は踊る人や楽器を弾く人が輪をつくり、普段と違う賑やかな雰囲気だった。
「お兄様、こちらです」
人の集まりから少し離れたところで、マトビアが手招いている。
マトビアの衣装は、やや装飾を抑えた、緑のシャツだ。珍しく男物で真新しい。
「珍しい服だな、帝都から持ってきた服か?」
「いえ、ここで買ったんです。お洒落でしょ?」
「まあ……そうだな」
髪を全部アップにしているので遠くから見ると、女性だと分からない。長いブロンドの髪を丁寧に三つ編みにして、王冠のように頭に巻いている。
「綺麗な編み込みだな」
「すごいでしょう! スピカがやってくれたのですよ」
マトビアだと分からないようにスピカが暗躍してくれたのだろう。皇女である以上、一般人に混ざるにはそれなりの見た目が必要だからな。
「しかし、すごい人だな。町の全人口よりも多いんじゃないか」
「緑水街からもやってきているようですよ。お兄様、こちらの列に並んでください」
「ん……?」
何やら長い列が中央まで続いている。
「これは何の列なんだ?」
「なんでも、『とれたて小麦の焼きたてパン』がいただける列らしいですわよ」
「なんと。『とれたて小麦の焼きたてパン』とは、美味しそうだな」
とれたての小麦か。たしかに原料にこだわった作ったパンなんて食べたことがないな。パンの種類ばかり気にしていたから、『とれたて』と言われると食べてみたい。
「そうでしょう! 私と一緒に並びましょう」
しばらく一緒に並んでいると、ものすごい勢いでスピカがこちらに走ってきた。
「マトビア様! 大変です!」
「どうしたのですか?」
「む、むこうで木彫り熊の無料配布を行っているらしいです!!」
「なんとまあ!!」
「とりあえず、私は木彫り熊の列に並びますが、マトビア様はどうされますか?」
「どうしましょう……。パンと木彫り熊……」
その時、マトビアが何かを見つけて大きく手を振った。視線の先には見たことのない女性がいる。
「ルルカ様、すみませーん!」
「あら、マトビア様。どうしてこんなところに」
近づいてきたのはルルカだ。いつもと違っていて全く分からなかった。
服が普段と違っていて、シスターが着る白い襟付きの紺の服に、シルクの薄手のコートを着ている。スカートの丈が短くしてあり、やや扇情的だ。
あんな服、辺境のフォーロンで手に入るのか?
「ごめんなさい、木彫りの熊の列に並びたくて」
マトビアが申し訳なさそうにルルカに手を合わせる。
スピカに任せればいいものを。
まさか二人分手に入れようとしているのか。
「私はもう手に入れてきました」
ちゃっかりとルルカの右手には木彫りの熊がある。それを見たマトビアは列から飛び出て、代わりにルルカが横に並んだ。
「ほんとうにマトビア様は好きなんですね」
「そうだな」
……と。
急に嵐のような二人が過ぎ去り、ルルカとの二人の沈黙が生まれてしまった。
列に並ぶ人々は楽しそうに喋っているので、余計に気まずくなる。
「あの……私」
と、小さな声で控えめに俺を見上げる。
「ちゃんとフェアさんに謝っていなくて。それに、この町のためにたくさん機械を修理してくれたんですよね。本当にありがとうございます」
「いや……飛行船の修理がてらに直しただけで、単なる暇つぶしなので」
「やっぱり、お爺様が言われていた機械工って、すごい技なんですね。じつは井戸の機械も直そうとしたんですけど、全然わからなくて」
「母のマリアに教えてもらったからできるだけなんだ。本当はもっと色々、町のためにしてあげたいけれどね」
列が短くなって、ふとどこにもパン屋なんてないことに気付いた。
目の前の列は男女のカップルばかりで、前の組が笑い合いながら中央の広場で楽しそうに踊っている。
「あ、あれ……。これってパンがもらえる列じゃないの?」
「違いますよ。これは、男女が一組になって中央で踊る列です」
え?
パンじゃなくて踊るの?
「さあ、ここまで来たので、踊りましょう!」
俺の手を取ったルルカが広場に誘う。
急に音楽が鮮明に聞こえて、広場の注目を浴びた。
「あ、ルルカお姉さんと罪人さんだ!」
伐採所の女の子が指さして甲高い声をあげる。
だから罪人じゃないって。
「おお、ルルカ様だ。綺麗になられて……」
「やはり、お美しい……」
滅多にないルルカの女性らしい姿を見て、町人は半泣き状態で目に涙を浮かべている。
その中に紛れるように、渋い顔をしたマトビアが俺を見て小さく親指を立てていた。すべてが彼女の策略であり、『とれたて小麦の焼きたてパン』など嘘であったことを知った俺は、複雑な気持ちだ。
ルルカの服もマトビアがもってきた衣装なのだろう。それをスピカに着させて、茶番を演じさせたわけだ。完全に踊らされたな……。
まあ、身から出た錆なのだろう。変な嘘をついた俺も悪いしな……。
ダンスなんて久しぶりだったが、堅苦しいダンスではなく、なんとなく基本的な動きをするだけでみんな適当だ。なので、時折、体と体がぶつかり合う時がある。それでもお互い笑い合い、少し恥じらうルルカの笑顔が眩しかった。
踊り終えてから気を落ち着かせようと、人気のない役所の裏にルルカと座った。
「てっきりパンが食べられると思っていたのに」
「フェアさんは、ほんとうに好きなんですね。そればっかり……」
「フォーロンのパンは特においしいからな」
そのときルルカが俺の目をのぞきこんだ。
ダンスでの笑顔を口元に残して、悪戯っぽい大きな瞳が俺を映す。
「フェアさん、女性として私のこと、どう思います?」
「そ……それはもう、綺麗で魅力的だと」
「ふうん……」
どこか冷めたようにルルカは視線をそらした。
「フェアさん、飛行船でどこかに行ってしまうんですか?」
「そうだな……。母と同じ飛行船の旅をしてみたい」
「また、帰ってきてくれますよね?」
「母の故郷だし、また帰ってくるよ」
「そのときはきっと、私に会いにきてくださいね」
少し寂しげな笑みを見せた後、ルルカは俺を残してどこかに行ってしまった。
どうやら、昨夜に魔法を使い過ぎたせいで、俺の方がいつもより遅く起きてしまったようだ。
朝食の席に着くと、目の前の料理がいつもより多いことに気付いた。
いつもは俺の好きなロールパンとスープや牛乳という組み合わせなのだが、パン籠には山のようにパンが積み上げられている。
しかも食卓の真ん中にはアップルパイまで焼かれて、貴族の朝食にしては随分と豪勢だ。
「今日は収穫祭なんじゃよ」
領主のジョゼフ爺さんが驚いている俺に説明する。
「フォーロンの小麦を一斉に刈り取ったあと、次の日から五日間を収穫祭として町で祭りを開くんじゃ」
「だから、こんなにパンが多いのか」
ロールパンにデニッシュ、クロワッサン、食パン……。パンは好きなのでテンションが上がる。
「せっかくですから、私達も収穫祭に参加してよろしいでしょうか?」
暇を持て余しているマトビアがジョゼフ爺さんに尋ねる。
「もちろん! ぜひ参加してください」
「お兄様も参加しますわよね?」
「え……」
想像以上に浮揚の魔力消費量が多く、昼も飛行船の修理をしたいところだ。
それに人混みは苦手。
「もっとたくさんの種類のパンがあるそうですわよ」
「パンか……」
「アップルパイにレモンパイにミートパイに……」
全部パイだな……。まあ、パイも好きだけれど。
「分かった。ちょっとだけ祭りを見てみよう」
もし全部パイだったら、すぐに飛行船の修理に行くか。
食事を終え丘を下ると、子供のはしゃぐ声や、男女の笑い声が次第に大きくなる。町のメインストリートには花の植木鉢が並べられ、いつもと違っていた。
旗や花冠などが広場に面する家の壁などに飾られていた。広場の中央には小麦を持った女神像が町のシンボルとしてあるのだが、今日は踊る人や楽器を弾く人が輪をつくり、普段と違う賑やかな雰囲気だった。
「お兄様、こちらです」
人の集まりから少し離れたところで、マトビアが手招いている。
マトビアの衣装は、やや装飾を抑えた、緑のシャツだ。珍しく男物で真新しい。
「珍しい服だな、帝都から持ってきた服か?」
「いえ、ここで買ったんです。お洒落でしょ?」
「まあ……そうだな」
髪を全部アップにしているので遠くから見ると、女性だと分からない。長いブロンドの髪を丁寧に三つ編みにして、王冠のように頭に巻いている。
「綺麗な編み込みだな」
「すごいでしょう! スピカがやってくれたのですよ」
マトビアだと分からないようにスピカが暗躍してくれたのだろう。皇女である以上、一般人に混ざるにはそれなりの見た目が必要だからな。
「しかし、すごい人だな。町の全人口よりも多いんじゃないか」
「緑水街からもやってきているようですよ。お兄様、こちらの列に並んでください」
「ん……?」
何やら長い列が中央まで続いている。
「これは何の列なんだ?」
「なんでも、『とれたて小麦の焼きたてパン』がいただける列らしいですわよ」
「なんと。『とれたて小麦の焼きたてパン』とは、美味しそうだな」
とれたての小麦か。たしかに原料にこだわった作ったパンなんて食べたことがないな。パンの種類ばかり気にしていたから、『とれたて』と言われると食べてみたい。
「そうでしょう! 私と一緒に並びましょう」
しばらく一緒に並んでいると、ものすごい勢いでスピカがこちらに走ってきた。
「マトビア様! 大変です!」
「どうしたのですか?」
「む、むこうで木彫り熊の無料配布を行っているらしいです!!」
「なんとまあ!!」
「とりあえず、私は木彫り熊の列に並びますが、マトビア様はどうされますか?」
「どうしましょう……。パンと木彫り熊……」
その時、マトビアが何かを見つけて大きく手を振った。視線の先には見たことのない女性がいる。
「ルルカ様、すみませーん!」
「あら、マトビア様。どうしてこんなところに」
近づいてきたのはルルカだ。いつもと違っていて全く分からなかった。
服が普段と違っていて、シスターが着る白い襟付きの紺の服に、シルクの薄手のコートを着ている。スカートの丈が短くしてあり、やや扇情的だ。
あんな服、辺境のフォーロンで手に入るのか?
「ごめんなさい、木彫りの熊の列に並びたくて」
マトビアが申し訳なさそうにルルカに手を合わせる。
スピカに任せればいいものを。
まさか二人分手に入れようとしているのか。
「私はもう手に入れてきました」
ちゃっかりとルルカの右手には木彫りの熊がある。それを見たマトビアは列から飛び出て、代わりにルルカが横に並んだ。
「ほんとうにマトビア様は好きなんですね」
「そうだな」
……と。
急に嵐のような二人が過ぎ去り、ルルカとの二人の沈黙が生まれてしまった。
列に並ぶ人々は楽しそうに喋っているので、余計に気まずくなる。
「あの……私」
と、小さな声で控えめに俺を見上げる。
「ちゃんとフェアさんに謝っていなくて。それに、この町のためにたくさん機械を修理してくれたんですよね。本当にありがとうございます」
「いや……飛行船の修理がてらに直しただけで、単なる暇つぶしなので」
「やっぱり、お爺様が言われていた機械工って、すごい技なんですね。じつは井戸の機械も直そうとしたんですけど、全然わからなくて」
「母のマリアに教えてもらったからできるだけなんだ。本当はもっと色々、町のためにしてあげたいけれどね」
列が短くなって、ふとどこにもパン屋なんてないことに気付いた。
目の前の列は男女のカップルばかりで、前の組が笑い合いながら中央の広場で楽しそうに踊っている。
「あ、あれ……。これってパンがもらえる列じゃないの?」
「違いますよ。これは、男女が一組になって中央で踊る列です」
え?
パンじゃなくて踊るの?
「さあ、ここまで来たので、踊りましょう!」
俺の手を取ったルルカが広場に誘う。
急に音楽が鮮明に聞こえて、広場の注目を浴びた。
「あ、ルルカお姉さんと罪人さんだ!」
伐採所の女の子が指さして甲高い声をあげる。
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「おお、ルルカ様だ。綺麗になられて……」
「やはり、お美しい……」
滅多にないルルカの女性らしい姿を見て、町人は半泣き状態で目に涙を浮かべている。
その中に紛れるように、渋い顔をしたマトビアが俺を見て小さく親指を立てていた。すべてが彼女の策略であり、『とれたて小麦の焼きたてパン』など嘘であったことを知った俺は、複雑な気持ちだ。
ルルカの服もマトビアがもってきた衣装なのだろう。それをスピカに着させて、茶番を演じさせたわけだ。完全に踊らされたな……。
まあ、身から出た錆なのだろう。変な嘘をついた俺も悪いしな……。
ダンスなんて久しぶりだったが、堅苦しいダンスではなく、なんとなく基本的な動きをするだけでみんな適当だ。なので、時折、体と体がぶつかり合う時がある。それでもお互い笑い合い、少し恥じらうルルカの笑顔が眩しかった。
踊り終えてから気を落ち着かせようと、人気のない役所の裏にルルカと座った。
「てっきりパンが食べられると思っていたのに」
「フェアさんは、ほんとうに好きなんですね。そればっかり……」
「フォーロンのパンは特においしいからな」
そのときルルカが俺の目をのぞきこんだ。
ダンスでの笑顔を口元に残して、悪戯っぽい大きな瞳が俺を映す。
「フェアさん、女性として私のこと、どう思います?」
「そ……それはもう、綺麗で魅力的だと」
「ふうん……」
どこか冷めたようにルルカは視線をそらした。
「フェアさん、飛行船でどこかに行ってしまうんですか?」
「そうだな……。母と同じ飛行船の旅をしてみたい」
「また、帰ってきてくれますよね?」
「母の故郷だし、また帰ってくるよ」
「そのときはきっと、私に会いにきてくださいね」
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