冬馬君の夏

だかずお

文字の大きさ
上 下
60 / 68

『サーの夢』

しおりを挟む



サーは怒っていた。

おや、今回もサーネタか!

仕事の帰り道電車の中

心の中

「部長もあんな言い方いちいちしなくても良いだろう頭にくるなぁ」

この日はサーもいつになく怒っている

「あーうざい、うざいなぁー」

ああ明日はせっかくの休みなのにずっとイライラしてそうだよ サーは憤っていた。

だいたい、言い方ってもんがあるだろう

もっと優しく気遣うようにさ。

もう一度言うが、サーは怒っていた。

こんなんじゃ、せっかくの休みが休みじゃなく悩みだよ。

ハァー

その日の夜

サーは考え事をし寝付けない。

頭の中はあーだ、こーだ、サーだ、フーッとため息をつき、またサーーッと息を吐く。

あーあーなんだかなぁーモヤモヤした気持ちが続く

明日は一日中ぐうすか寝てよう。

今日は眠れそうにないからね

ふーっ とならぬ、サーっと、ため息をつき、目をつむりながらあーだこーだ、サーだと言い悩んでいた。

さー

サー

ふーっ


サーっ



翌朝8時を過ぎた頃



ピンポーン

多網母が玄関へ

「どちら様ですかー?」

「おれ」

その声の主は多網

玄関を開けると

そこには、冬馬君に大喜も。

「こんちはー」

「あら、どうしたの?」

「冬馬家ばかり泊まってるから、今日はうちに泊まることにした、プチ旅行(多網にしては長いセリフ)」とニヤリ多網はほくそ笑む。

プチ旅行ってあんた自分家でしょうが。

ワクワクしている冬馬君に大喜

「どうぞ、あがってー」

「こないだのスペイン旅行楽しかったねー」とご機嫌多網ママ

「うん、楽しかったねー」

多網父ことサーは思う、やパイどこか連れてけとかそんな話にならなきゃいいが、今日は一日誰とも話さず寝ていたいんだい。

多網父は心の中、吠える。

サー サー サー サー。

昨日眠れなかったから今日は沢山眠るデーなんだ。
多網父は布団の上、再び目をつむる。

すると、ふすまが開き声が

「あっ、サーまだ寝てるね」

「せっかくどっか連れて行ってもらおうとしたのに」と大喜

「ふっ、タヌキ寝入りとみた」と多網が三たびほくそ笑む

我が子ながら見事、心の中サーは思ふ。

タヌキ寝入りは続く

「寝てるんじゃ可愛いそうだよ」と冬馬君

「じゃあ、向こう行こうか」大喜も部屋をでる

多網だけが、サーの周りをぐるぐるまわり、何故かくんくんくんくん鼻を動かしていた。

そして、ぶりッ!!

強烈な屁を顔面にこいて去る。

かーっ、我が子ながら見事、と、サーはまだ眠れることに喜んだ。

あーあ、一か月くらい休みが欲しいなぁ、大体どうして働かなきゃいけないんだ、と心の中ぐちるサー。

ようし、夢の中くらい良い夢みてやるーとニヤリ笑い行きごむサー

よし夢の中、今日は仕事場で部長を叱ってやる

サーよ夢の中でも、仕事行くんかい!!


ポワワワん


サーは夢を見ている

サーは職場のイス足をくんで、コーヒーを飲んでいる

味はブラックだ。
普段は砂糖とミルクをこれでもかと入れるが、今はブラックだ。

「わぁーサーさん渋い朝からブラックですかぁ」

「ふふっ、まあね」

すると部長が入る

いつもならこの時点で姿勢はピンとなり、緊張でビシッとするが今日は違う

「部長遅いじゃないか」

「すっ、すみません、サー様 あなたより遅く出社してしまうとは」

「ふっ、良いんだよ」

「ところであの書類は出来たかい部長?」

ここで、コーヒーを一口

もう一度言うが味はブラックだ。

「あっ、そのえーっと、サーさんブラック渋いですね」

「部長君は調子が良いな、コーヒーの味で話をそらすんではない」

「はっ、すいませんでしたあああっ」


ポワワワん


おおサーよなんちゅー夢だ、もっと良い夢あるだろうが。

サーは目覚めニンマリ笑う

あー起きちゃった、最高の夢だった。

さあて、まだまだ眠れるぞ、うししし。

幸せな男サー。

今度はどんな夢見ようかなぁ~

しかし、なかなか寝付けない。

ああ、この時間良いなぁ、時間よ止まれサー サー サー。

いつもあっと言う間に夕方になるんだもん。

したいことだけしてたいよと嘆くサー。

私の人生よいづこへ~~

ここじゃろい。

ああ、そうだ私は自由を求め、旅に出る冒険家、サーだ。

そして彼は夢をみる


ぽわわわん


サーはジャングルにいた。

「ふっ、ここが未開の地のジャングルか、俺はこうして道を切り開く サー」

サーは手でよっこらしょと木をどかした。

目の前には何故か壮大な大都会

おいっ、ジャングルは?

サーは腰に草で出来たパンツ一丁の姿

気分はそう、まさに ターザン ならぬ サーザン

「なんじゃ、この世界はビルが並んでる」

私は自分で道を切り開く男

サーは大都会に足を踏み入れた。

ここでも私は自分の道を切り開くのだ、私は偉大な冒険家

3日後、サーことサーザンはスーツをまとい

会社に通っていた。

「部長すいませんでしたーーーっ」

サーは起きた。

がはっ!!

僕はターザンにはなれないのか?

結局僕は会社づとめするんだ。

サーはふてくされた。

あーあ、夢の中でも会社に行ってらぁ、サーはそんな自分を思い笑った。

そんな時、部屋のふすまの先に見えたのは家族の姿

皆笑い合い台所で楽しそう

サーはその姿を見てニッコリ

いつまでも愚痴ってても始まらないかぁ。

さあて、明日からもまた、仕事頑張るか。

とここで、サーはハッと凄まじい表情を浮かべ固まった。


あっ



あっ







サー


サーはガッツポーズを決め飛び跳ねた。

忘れてた、明日も休み二連休じゃないか

ヒャッホーイ ほい ほーい

やはり幸せ者のサーだった。



ミーン ミン ミーン



夏のサーの一日。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

This is a peeeen!!

有箱
大衆娯楽
いつものようにウオコは、日記に好きな男子の事を綴っていた。すると、どこからか聞いた事もない声が聞こえてくる。恐ろしくなりながらもよく聞くと、手に持っているペンから発せられていると気付いて……? 突如喋りだしたお喋りペンと、サバサバ系女子の不器用な恋の物語。……多分。

冬馬君の夏休み

だかずお
青春
冬馬君の夏休みの日々 キャンプや恋、お祭りや海水浴 夏休みの 楽しい生活 たくさんの思い出や体験が冬馬君を成長させる 一緒に思い出を体験しよう。 きっと懐かしの子供の頃の思いが蘇る さあ!! あの頃の夏を再び 現在、You Tubeにて冬馬君の夏休み、聴く物語として、公開中!! 是非You Tubeで、冬馬君の夏休み で検索してみてね(^^)v

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

ステロイダー剛

どんぶりめし
ライト文芸
古代ローマに端を発する伝説の格闘技、 その名は ステロイ道・・・ その奥義はドーピングにより人体の潜在能力を100%引き出すことにある! ステロイ道を極め、地下の世界に降り立った男がいる。 その名は・・・ ステロイダー剛!! 敵は人間、怪物、改造人間、妖怪・・・ 何でもアリの闘いを生き残ることができるか!? これは、ステロイダー剛の闘いの記録である!!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛
青春
 俺には二人の容姿端麗な姉がいる。 自慢そうに聞こえただろうか?  それは少しばかり誤解だ。 この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ…… 次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。 外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん…… 「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」 「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」 ▼物語概要 【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】 47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在) 【※不健全ラブコメの注意事項】  この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。  それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。  全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。  また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。 【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】 【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】 【2017年4月、本幕が完結しました】 序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。 【2018年1月、真幕を開始しました】 ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)

処理中です...