冬馬君の夏

だかずお

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『旅の終わり』

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部屋に帰って来てみんなは、ごろんと敷かれた布団の上に横になり

「もうちょい、したら温泉出発ー」くつろぎながら盛り上がっている。

旅の夜、旅館の部屋でみんな一緒に過ごす夜はやはりワクワクする。

「きみ子クラッシャー」

「多網ボンバー」

二人は布団の上戦っている

「かああああああああっ」

ブリーッ

「しゃあああああああっ」

ブシュー

やっぱり!!!

みんなは大爆笑。
あーこの空間何か落ちつく。
布団の上で大の字ごろーん、冬馬君。

清香の両親もかなり酔っぱらっていたみたい部屋に帰るとすぐ寝てしまっていた。
隆、正子もこの様子じゃ、部屋に帰りバタンキューだろう。

清香の弟も、眠かったみたい、清香ママの隣ですでに一緒に寝ている。

そんな中、元気な子供達
「みんなー温泉の後は」と冬馬君が。

そしてみんなは声を揃えて
「夜中の語り合い」

ひやっほー子供達の旅の夜はまだまだ終わらない。

みんなで布団の上で、テレビを観てしばしくつろいでいる。

「ああ、何だか昼間みんなで怖い番組観てた頃がちょっと懐かしいような」笑う清香

「ああ、明日はついにみんなお別れか、ちょっと寂しいな、でも本当良い思い出が出来た」とアミ

「ああ、キャンプも楽しかったなあ」きみ子も便乗。

「でも、まだ夜も盛り上がろう」と大喜

おおーっ!!

みんなは、これから まだまだ遊ぶ気まんまんだ。

テレビを観てくつろいでいると、ついついリラックスしてウトウト冬馬君
あー何だか、心地よく今にも眠ってしまいそうな、あーぬくい、この瞬間たまらない。

ブリーッ

「うわあっ!!」

多網のオナラが眠気を引き裂いていった。

「まだはやい」

「あっ、ありがとう多網、危うく寝るところだった」

こんな心地良い空間で布団の上でテレビ眠くなってしまう。
もう寝てしまい旅の夜を終えてしまうのが勿体無い。

多網は突然立ち上がり、タオルを頭に巻いた。

「あっ、多網お風呂行くの?」と大喜

コクリ頷き、みんなも立ち上がる。

冬馬君は少し眠くなっていたからちょうど良かった。
みんなまだまだ元気だ。
ようし!!自分も目をさまし気合いをいれ。


「よし行こう」

という事で、みんなは布団から起き、タオルを持ち 温泉に出発!!

ワクワク廊下に出たその時だった

「ひゃあっ」多網にしては意外な声をあげ驚いた

「どうしたの多網?」
大喜は少し多網が驚いた様が可笑しくあったが実は自分も多網の声に驚いていた。

「おっ、オカッパ」

「えっ、また?」

後から来たみんなもそれを聞き、廊下を歩くのが怖くなった。

「多網冗談じゃないの?」と冬馬君

首を横に振りプップオナラする多網。

怖いのでみんなでかたまりながら廊下を歩いて行った。
「昼間の番組思い出しちゃう」とアミ

「ひいいいいっ」怖がる女の子達

「大丈夫僕がいる」
なんと、こんな時は怖くない冬馬君
なんたって、清香がいるんだ勇気が湧いてくる

「僕もいる」と大喜
なんたって、アミがいるからこわがってる場合じゃない!!

「えいやーとぉーっ」

それを見てきみ子は静かに笑った。
二人共頑張ってる。

お風呂場に着いた頃には、すっかりみんなオカッパ幽霊を忘れ。

「じゃあまたね」

と男湯、女湯に入り口で別れて入って行った。

さっそく服を脱ぎ
ガラッ
風呂に通じる扉を開けると

「うわあっ」

目の前に白髪の爺さんが立っていてビックリして腰を抜かした冬馬君、大喜に多網

「ぎゃああああっ」

「あっ、すまんのう 」他のお客さんだった。

「びっ、ビックリしたなぁ」

「見て」と冬馬君が外を指さし。

うわあっ!!

夜のライトに照らされ、山の中の露天風呂

「うわあっ、最高」
温泉の湯気が立ち込め
みんなはひゃっほーと湯に飛び込んだ。

「かはっ」

「最高」

三人はニッコリ
隣からも声がきこえた。

「しゃーしゃーしゃーしゃー」
きみ子のテンションもマックスらしい。

わかり易い女 きみ子。

ああ、夜の露天風呂も最高だ。

子供達はまたも叫んだ。
生きてるってワンダフォー!!

いつまでも、ウットリ眺めてしまうほど美しい景色だった。
あー湯が肌に染み入るようだ。

冬馬君は小さくため息をついた。
悩みのため息ではなく、清香を思ってつくため息。
ああ、僕は本気で恋している。
大喜もアミに対してこれ程の思いを抱いているんだろうか?
そんなことを考えた。
やっぱり好きって度合いも人それぞれ違うよなぁ。

ふぅー嬉しいような切ないような、何とも言えないため息が出る。
向こうは僕のことこんなに好きじゃないだろうな・・・
温泉の湯はとてもあったかかった。


しばらく湯につかっていた三人はのぼせたので、隣に「先に帰ってるね」とあがることにした。

「分かったー」

ああ良い湯だったなぁ

多網が脱衣所にある扇風機の前でずっと立って「たまらん」と言って笑っていた。

すると大喜が「そうだ、冬馬の母ちゃん見に行こうよ」

あはは、そりゃ面白い。
隆達の居る部屋の様子を覗きに行くことに。

浴衣を着て、廊下を歩いていると
「んっ?」と冬馬君
顔が青ざめている、
「僕も今オカッパの女の子が角曲がったの見た」

「えっ?」

何故か多網は、ほれみろと言わんばかりの得意げな表情を浮かべている。

「えっ、じゃあただのお客さんじゃないの」と大喜

「でも、あんな女の子がこんな時間に廊下に一人で?」と冬馬君


ぞぞぞーっ ひぃぃぃぃーっ


三人は走って隆の部屋にかけこんだ。

ドアを開けてビックリ

「カマーーーん」
怪物 未だ健在。

「ぐぶっ」多網は吹き出した

あおる大喜

「いち、にー さん」

ニッコリ笑って
「カマーー~ンッ」と正子

正子爆発!!

大フィーバー スリーセブン!!!

「さん、にぃーっ、いちっ」
更にあおる子供達

「スーパーカマーン」

おばか

大爆笑の後に部屋に戻る三人。

「冬馬母ちゃん、まだ爆発してるね」と大笑い大喜

「さーてまだまだ起きて遊ぼう」ご機嫌 冬馬君。

「おーーっ」

部屋に入り、布団の上横たわる。

「かーっ、最高」

すると、廊下から賑やかな声

「みんな戻って来たね」冬馬君が言った。

「あー良い湯やったぁー」きみ子がつぶやく

「本当、夜は夜で景色も綺麗だった」とアミ。

「最高ー」
みんなは笑いあった。
嬉しいことだ、同じ思い出や気持ちを共有出来ること みんなと笑いながら過ごせる事。
まるでひとつひとつが光輝く宝物のよう。
それはダイヤの原石をもらうより僕にとっては嬉しい事だった。

「そういえば、オカッパまた出たよ」と大喜。

「えーっ、幽霊?」怖がる清香達

そんな時、冬馬君の口から
「でも、幽霊って怖がるだけじゃなく本当は仲良く出来るかも」
こんな言葉がでた。

みんなはポカンとした。

「確かに」頷くきみ子

「そうだよね、テレビとか観てて勝手に怖がってたけど、本当は優しいかも」と清香

「死んだ人が幽霊なら、僕らだってみんな幽霊になるんだった」
大喜は笑った。

たっ、確かに。

ブリー
「幽霊友達」多網が言う。

「怖がってるだけじゃ何も始まらないよし、オカッパさんを見つけて友達になろう」
まさかの冬馬君の提案。

名付けて幽霊友達つくちゃおう計画が始まった。

子供達は廊下に出た。
「さすがにもう出ないかな?」と冬馬君。

「あの廊下の角さっきみた」
多網が先導しみんな後につづく。

「結構ワクワクするね」と少し怖がりながらも興奮気味に大喜が言った。

突然

「みょーーーーーーーっ」
意味分からん雄叫びを多網があげた。

その声にビックリ仰天子供達はみんな怖がり。

大喜の叫び声は
「なくひゅーーーっ」
これまた意味わからん叫び声。

中でも一番ビックリしたのは冬馬君だった。
あまりの驚きに二回ジャンプしてしまった。
ピョン ピョーン。
カエル冬馬が出現した。

だが子供達は更に驚くことになる

なんと目の前にオカッパの幽霊が・・・

更に驚くことにオカッパ幽霊は驚き腰を抜かしていた。

「ひゃー」
走って逃げようとするみんな、
そんな時
きみ子が「あれっ、幽霊に足がある」

「んっ?」

よく見るとオカッパ幽霊さん姿も消えず、更には掃除道具まで手にしている。

「失礼ですけど幽霊さんですか?」きみ子が言った。

一体どんな質問だ、きみ子よ。

「幽霊じゃないよ、この旅館の女将の娘よー」

「えーっ」

「夏休みだから、お手伝いしてるのー」

多網はビックリ仰天

「人間だったか」とぼそり

失礼しやした~

みんなは部屋に帰って来て大笑い。
「まったく、多網もそそっかしいんだから」と冬馬君。

「せっかく幽霊と友達になれると思ったのに」余裕の大喜

きみ子達は驚いていた三人の姿を思い浮かべ笑った。

時刻は23時をまわっている。

楽しかったみんなで過ごす日々もいよいよ明日まで。

布団の中

「あー明日でみんなといよいよお別れだ」とアミがさみしそうに言った。

「楽しかったなぁ」と清香

「中でも一番衝撃だったのは?」ときみ子が。

子供達はいっせいに声を揃えて言った
「カマーン」
母正子の威力は絶大であった。

「ああ、あのキャンプ始まった日に戻りたい」冬馬君が言う。

みんなは天井を見つめた。

「でも、まだまだ夏休みはある、またこのメンバーで遊ぼうよ」ときみ子

「大賛成~」
子供達はこの発言に大喜び。

みんなが友達になれたのは嬉しかった。
またみんなで旅行に来たい。

子供達はよっぽど疲れていたのだろう
夜中の語り合いが始まったと思いきやみんな眠りについていた。

目を覚ますと、部屋の中にはカーテンの隙間から光が差し込んでいた。

「あーっ寝ちゃった」冬馬君が目を覚ます。

まだみんなは眠っている。

ああ、今日は帰る日だ。
やっぱり旅の終わりの時、少しさみしくなった。
でも、素敵な旅の思い出が胸に残った。

七時にはみんな目を覚まし朝食を食べに行った。

多網が納豆の粒をおでこにつけて
「第三の目」と言ってるのには笑った。

それを直視したきみ子が味噌汁を吹きだす程。

ちなみに味噌汁は豆腐だった。

どうでもいいわ!!

更に言わせてもらうと、お手伝いをしていたオカッパさんのTシャツは緑色だった。

正子は昨日の失態がとても恥ずかしかったらしく、顔は真っ黒じゃった。

なんぢゃー これ。

ちなみに冬馬君のパンツはクマパンだった。

朝食が終わり、部屋に戻り、みんな荷物を片付け、駐車場に。

ああ、いよいよこの時が来てしまった。

「さて帰るよ」隆のこの言葉がやけに、尻に突き刺さる。

おいっ、この辺りめちゃくちゃな表現になってるぞ!! 
何かがつぶやいている。

「じゃあ、みんな 清香ちゃん達にありがとう言って帰りはこっちの車に乗りなさい」と正子

ああ、お別れだ。
清香達とバイバイの時がついに来てしまった。

冬馬君は清香の顔をチラッと見た。
胸がとても熱くなり、ドキドキした。
勇気を出した、お別れの時くらい触れたかった。
頑張った冬馬君、握手をする為 手を出す。

「またね」

清香も手を出してくれた。

「またね」

心地よくあたたかい瞬間が胸を包んだ。

嬉しかった。
清香の手はとてもあたたかかった。

みんなは別れを告げ、車に乗り込む。
窓を開け、みんな手を振っている。
清香も、清香の弟もアミも少しさみしそうだった。

そして、何より僕達も。

プップ~

一瞬多網はこの音が屁だと思い辺りをキョロキョロしてしまった。

プップ~

清香のお父さんがクラクションを鳴らしている、手を振って別れのあいさつをし、車はいよいよ走りだす。

あっ、行っちゃう。
まだ冬馬君の瞳には清香達が映っている

だんだん車は離れ。

清香の姿はもう見えなくなっていく

下を向く冬馬君。

その時、隆がスピードを上げ、清香達の車の隣車線、真横につけた。

「みんな、最後に挨拶してあげな」
隆は珍しく役に立ち、顔は光かがやいて見えた。 笑

「おじちゃん、やる~」ときみ子

窓を開けみんなは叫んだ。

「またねーー、ありがとうーっ」

そして、最後に子供達が叫んだのはまさかの

「カマーーーーーーンっ」

それを聞き恥ずかしくなった正子の顔は真っ黄色に変色していた。

なんぢゃー?


ブウ~ン


またね。

本当に楽しかった旅行はこうして幕を閉じた。

車の中、いつまでも いつまでも、僕のこころにはみんなが楽しんでた姿がうかんでいた。

ありがとう旅行。
またみんなで絶対来よう

車はそれぞれのおうちに向かい走って行った。



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