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『夜の恒例行事』
しおりを挟む伝説のボーリングを終え、みんなはとけたみさんの家に戻ることに
「いやー面白かった」大喜が笑いながら言った。
「もう、ほんと恥ずかしい」多網母は怒っている
サーとスーは「てへへ」
といつも通りに戻っていた。
それにしても天気はまだ怪しい
また一雨降りそうな予感
「雨降らないで欲しいな」ときみ子
冬馬君も少し心配だったが
今はここに来れてるし行く前に大喜と
言ってたこのプチ旅行が中止にならないで本当良かったと思った。
すると見つけてしまった
「あっ」多網は声をあげる
レンタルビデオショップ
そうこの展開は冬馬名物
怖いDVD見て楽しむ 企画である
多網はすぐさま走って行ってしまった。
「こらっ、多網」母の声とどかず。
みんなも向かうことに
「こりゃ今夜も」と冬馬君
そしてみんなが「もちろん、いつもの恒例行事」 子供達の大好きな怖いDVD鑑賞である。
「私達の寝る部屋 DVD観れる?」ときみ子がとけたみさんに質問した。
「うん大丈夫だよ」
「みんなは飛び跳ねた」
「そんなに喜ぶなんて何観たいの?」
「内緒」と大喜
「えー気になるな」
「スーも観ようよ」
多網父の友達とけたみさん、もうあだ名はスーになっていた。
そしてDVDを借りてみんなは店の外へ
「ねぇ、いそいだ、ほうがいいかも雨降りそう」と多網の母が、みんなは早歩きで家に帰った。
家に着き
玄関をあけるとリビングは静か
寝巻きのお婆ちゃんが出迎えてくれた。
「もう爺さん寝ちゃったけど、ゆっくりしていってね」とニッコリ
お婆さんも二階にあがっていった。
優しいとけたみさんのお母さん。
「じゃ少し飲みますか」と スー
「じゃ飲もう」とサーも上機嫌
多網母は多美も眠そうだし一緒にもう寝るとのこと。
「僕たちもまだ起きててもいい?」
と子供達が
「じゃあ、リビングで借りたの観ようか」と とけたみさんが。
「さすが、スー話が分かる」
みんな大喜びだった。
みんなはリビングへ
サーとスーは乾杯しはじめ
多網はさっそく借りたDVDを取り出した
「 観よう」
そんな時だった
ザーッ ザーッ
「あっ、雨だ」
やはり降った
「ひゃーラッキーだったね」と冬馬君
DVDをつけたとけたみさんはひっくり返りそうになった
画面にタイトルがでて
まっまさか、こんな怖そうなの借りたのか・・・
心の中で思った
子供達は大喜びである
実は とけたみさんも多網父も怖いのは苦手であった 。
「まあ、たまにはいいか?」
とけたみさんは同意を求めるよう多網父に言った。
「まっ、まあたまには」
「ねぇ、スー布団ない?怖いからかぶりながらみたいんだけど」と大喜
とけたみさんはまたもひっくり返りそうになった 何故なら一人で布団をとりに廊下に出るのがちょっと怖かったからだ
「あっ、ああ いいよ 持ってくるよ」
「ありがとう」
「さすがに、ここの知らない場所での怖いDVD布団なしは怖かった」と冬馬君
多網父ことサー
彼は必死にキョロキョロ 自分のくるまる布団を探していた
廊下に出たとけたみさんこと スー
彼は廊下の一番奥の押入れの部屋を
開け布団を探していた
「あー怖い 怖いなぁ」
その時だった
「ちゃー」
突然出番の少なかった多美の叫び声
それはとけたみさんの ひざをつかせるには充分過ぎるほどのかいしんの一撃であった。
「うひっ ああ もう」
廊下で両膝ついた とけたみさん。
多美おソルベし。
走るように部屋に戻ってきた。
そして掛け布団を子供達に
子供達は身体をくっつけるようにして集まり、その大きな掛け布団をみんなの身体を包む様にかけた。
「あっ」と声をあげた サー
スーはちゃっかり自分の分も持ってきて毛布にくるまっていた
だが、よほど暑かったのだろうクーラーの気温を二度下げた ピッピ
夏のクーラー効いた部屋でみんなで観るDVD鑑賞タイム
冬馬君の至福の時であった。
「さあ観よう」とっさの多網の行動にサーとスーは声をあげた
「えっ?」
そう多網はいつものごとく電気を消したのである。
こりゃ布団のない自分はまずい
とっさにサーは思った
雨はますます強くなっていく
ザーッ ザーッ
「こりゃ最高のシチュエーション」
と冬馬君はテンションがあがっていた。
きみ子も準備万端なのか何故か自分の鼻をペロッと舐めようとしたみたいだったが全くとどかなかったようだ。
なんだそりゃ。
そんな中多網はこいた
ブリッ
「今はやめえーや多網」
どの口が言うんだきみ子よ
ザーッ ザーッ ザーッ
雨は雨戸にあたり 音を立てて降っている
そんな中DVDは始まる
「それがこの映像である」
デーン
「ひぃぃぃぃっ」子供達は声をあげた
直後 ドスン
「うわぁぁ」子供達は物音にビックリし声をあげた
「何?」 慌てて電気をつけたきみ子
横をみると
サーとスーが毛布を奪い合っていたのだ
きみ子は声をあげて笑った
「ぶはははははは、おじちゃん達怖いの」
「だったら、私達みたいに仲良く身体寄せ集めて毛布かければいいじゃん」
サーとスーは見つめ合い
そいつは良い案だと閃いた表情を浮かべ身体を寄せ毛布をかぶった これなら怖くない
かくして、ふたつの布団にくるまった異様な集団はDVDを観続けた。
「今日夜、一人で寝れないな」と大喜
「良かった、みんな一緒」ときみ子
その時ハッとした顔を浮かべたのは
スーだった あっ、俺一人だ 。
サーは多美達が寝てる部屋で寝るから安心した表情を浮かべていた。
ザーッ ザーッ
みんなは静かにテレビを観てる
「そして、その時 後ろから呼ぶ声が振り向くと」
「きしゃぁぁぁぁぁあ」
このみっともない声をあげたのはスーだった。
皆は一斉にスーを見つめた
スーはすぐさま訂正するように
「きしゃぁぁぁぁぁあ もう一杯飲む?」すかさず 上手くごまかしたつもりだったようだ。
スーよ 無理がある。
多網父は思った 似てる自分に
テレビはつづいてる
「その女性はすでにこの世にいなかったのである」
「ぬぉぉぉぉぉぉおっっ」
変な奇声をあげたのは多網父だった
みんなは一斉に多網父ことサーの顔を見つめた
父は焦った子供達が見てる
「ぬぉぉぉぉぉむ」
どうやら先ほどのスーの質問に答えたようにしたようだ。
サーよ どれだけ遅い 返事だ
スーは思った。
テレビが続く中
子供達は息を飲み身体をくっつけ観ている
二人の大人は目を薄目にして観ている
ザーッ
ザーッ
雨は降り続き
強い雨音
そんなシチュエーションの中
テレビはまだまだ続く。
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