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『サーとスーと幽霊』
しおりを挟む夜
ガタッ ガタッ ガタ 外の風はまだ強く雨戸はいまだに揺れ動いていた。
僕は眠れずにいる
胸は、はち切れんばかりにどきどきして、呼吸をするたびに息苦しい様な、切ない様な、嬉しい様な、何とも言えない気持ちになる
ああ こんな気持ちを一言で表せる言葉はない
きっと辞書には見つからない
こんな気持ちに僕がなっているのは、大好きな、清香が居るからだ
そう、僕の心は恋の味でいっぱいなのだ。
何とも冬馬君らしからぬタッチで始まる今回の話
先ほどまで、布団の中で話していた子供達も、冬馬君以外みんな寝ていた。
ブッ ぷっ プシュー きみ子の屁が鳴り響く(あっ、いつも通りに戻った)
しかし、清香のベリーショートは可愛い。
冬馬君は顔を赤らめる ポッ
ああ、本当に好きだ、僕は恋をしている。
ああ、この気持ちをどう表現すれば良いんだろう?
僕は、いつか君にこの気持ちを打ち明けるのだろうか?渋い顔して布団の中、黄昏れるコーヒーの似合う大人の男、その名も冬馬(なんじゃ?)
小さなため息ひとつ
好きな子がこんなにすぐ側にいるのに、ため息が出ることになんだか妙な気持ちになる。
届きそうで届かない、そんな事を本心は感じでいるのだろうか?
時刻は深夜一時を過ぎた頃
なんと、まさかのサーとスーはまだ起きていた。
「なんだか、チョビ チョビ飲んでたから、酔いもさめて、まだ眠くないや」サーが言った。
「しかし、今年は良く一緒に遊んだね」スーは今年を振り返りそんなことを思う。
「そうだね、良い年だった。早いよななぁーもう今年も終わりか」
「本当だね、なんだか時間はあっという間に過ぎてく気がするね」
「ついこないだまで小学生だと思ったら、大人デビューして、結婚して、仕事して、子供まで育ててるんだから本当ビックリだよ」(確かに文字にするとあっという間すぎる、にしても、ついこないだまで小学生だと思っとったのか)
「しみじみ思うなぁ、もう人生の折り返し地点は過ぎたのかなぁ、なんてね」スーが言った。
「でもさ、生涯青春の精神は忘れたくないね」
「そうだね、僕は、もう年だからなんて、口癖は使わないぞ」
「僕だって、青春だって心掛け次第だよね」
良く喋る二人だったが、ふと、こんな事を思う。
僕のが先に眠るんだ、もし後だったら台風の中、雷様と、さっきの幽霊と三人きりになっちゃう(虎鮫代ちゃんの勘違いにいまだに気づいていない二人、さっきのが本物の幽霊だとまだ信じている)。
なんとかして先に眠るのだ。
スーはサーが欠伸をしたのを見逃さなかった。
まずいっ、目を覚まさせなければ「サー、チキン食べれば?美味しいよ」
「そうだね、食べる」
まだ、大丈夫か。ホッとするスー。
しかし、さっきまで元気だった子供たちが寝てしまったことに、心細さを感じる、大の大人二人。
まだ、起きてても良いのに。
みんな同じ部屋に居るのに、ここまでビビるこの二人は、やはり只者ではないだろう。
その時、きみ子が凄まじい寝っ屁をこいた
ブフォンッ
その音に心臓が飛び出そうになる二人
「なに?今の?」
まさか?顔を見合わせる二人
「さっきの幽霊?」ゾゾゾゾ~~ッ
「この匂いは幽霊特有の香り?」
どんな香りじゃい、屁だよ!と、突っ込みたくなるが。
すぐに空気を変える為、テレビをつけようとした、サーとスーだったが、みんなを起こしちゃ悪い、と思い、つけられなかった。
それに今つけたら友にビビってると思われてしまう。友の前、微妙なプライドは持っているのだ。
すると、今度はスーが欠伸をしたのをサーが見た。
むむっ、まずい。
先に寝かせてたまるか。
「スーまだお酒あるよ、飲みなよ」サーがビールをグラスに注ぐ (なんちゅー友情じゃい)
そんな中、冬馬君は目をつむっているのだが、全く眠れない。
考えているのは清香の事ばかり、さっき話した事などを想っては胸がときめいていた。
清香起きないかなぁ?話したいなぁ。
その時だった
ピカッ
正孝こと、サーは叫んだ。
「ぬおっ」
「どしたのー?」あまりの衝撃にスーの反応した言葉のイントネーションがおかしくなっている。
一応言うが「ど」と「の」に異様な程の力が込められていた。
「嘘だろ」
「だから どしたのー?」(再臨)テンパるスー。
「今ゾンビみたいな顔みた」
「え?」
「眼鏡かけてて、なんか覇気の無い中年の男が、こちらを見てた」ここで著者は思ふ。
それは、ガラスに映ったお前の顔じゃい~その通り。
そうとは知らず「どしぇー」驚くスー
「じゃあ、女の子と中年男がこの部屋にいるの?」
「ホーンテッドマンションも真っ青な家って事になるよ、ここは」声を荒げるスー、
バッ 布団に突如潜り出すサー
「あっ、ずるい」スーも潜りだす
その時、寝ぞうの悪い蛇鰐美ちゃんが、隣の虎鮫代ちゃんの足を踏んだ
「ふぎゃあっ」叫ぶ虎鮫代ちゃん
まさか?今のは?女の子の幽霊
「やばいよ冬馬君家、幽霊飼いすぎだよ」別に飼ってはいないだろう。
スーが推理を始める「多分この幽霊、以前この場所に住んでた家族だよ。女の子の名前はロザンナで、中年の眼鏡かけたお父さんは、まさるだと思う」どんな設定じゃい。
「女の子だから、ロザンナは娘か」頷くサー
「どうして今、ロザンナとまさるは出てくるの?」
サーが真剣な顔でスーに問う。
「多分クリスマスの前日、この場所で雷にうたれて、台風で吹き飛ばされて(散々だな)そしてご臨終なされたんだよ。だから、今日私達も仲間に入れて、ケーキ食べさせて、お酒ちょうだいって、まさるさんとミスロザンナ出てきたんだよ」
「凄い、本当っぽい」(どこがじゃい)
「でも、どうして娘の名前がロザンナなの?」
「それは、多分 奥さんがドイツ人かなんかの方で」(めちゃくちゃな推測だ)
「とにかく、お供え物あげた方がいいかな?」
だがドS雷の攻撃は続く ピカッ
「ぬあああっ」
叫んだサーとスー
「出たあーっ」
「僕も見た、今確かに見た」気を失いかけるスー
「なんか不気味な、覇気の無い中年の眼鏡男が二人部屋を覗いてた」
「僕も今確かに見た」サーも震えている。
まー冷静な第三者の目から言わせて貰おう。
お前らの顔じゃ~~~~~~い
「って事は、一人誰?おかしいよ、なんで、まさるさんと同い年の男が家に?まさか」
二人は顔を見合わせた
「ドイツ人の奥さんの恋敵?」
「そうか、それで奥さんは夜逃げしたから(夜逃げしたんかい)今出てこないのか」(此奴ら、子供もビックリするくらいの想像力の持ち主やもしれん)
必死に喧嘩は良くないと、なだめながら、食べ物とビールを幽霊ですらない、誰でもない者に差し出している二人。
その頃、冬馬君は清香を想い、一人空想の中。
「冬馬君って格好良いなぁ」想像の清香が微笑む
気づいていない素ぶりで冬馬君が、ポーズを決める(気づいてるのバレバレやんけ)
「でも清香の方がサンタクロースのトナカイより3倍は可愛いよ(すんげー褒め言葉に、微妙な倍数)」
「冬馬君好き」
「なはーーーーーーーつ」
冬馬君は、あまりに最高な気分に思わず声をあげてしまう。
しまった!!
これにビックリして、ぽこちんから小便垂れ流しそうになったサーとスー、うんちも同時に出かけたが、これはさすがに堪えた。
まさるが怒った~~~~~~
なんじゃ今の声は?
「今聞こえた?」 「うんっ」必死なサーとスー。
なんだか、今の声が、とてつもなくまずい事になってると、ビックリ冬馬君。
自分そんな変な事言ってもーたのか?
「きっと、すぐるが怒ったんだよ」
「すぐるってまさか?」
「そう、恋敵」
どしぇードラマが出来上がって来てる。
来春フジテレビあたりでドラマ化決定やも知れぬ。
タイトルはそうだな「まさる、すぐるに謎のドイツ人妻」視聴率はゼロだろう。
いや、意外に好評でハリウッド映画化するかも。
外国版のタイトルはこうだろう
「THE AHOUアホウ」
こうして、ようやく、良くここまで引き伸ばしたな的なクリスマスパーティーは幕を閉じた(なんじゃー)」
遂に朝がやって来た。
中々起きたくなかった二人の姿
そう、それは、カマーン正子とウェルカムウィメンだ。酔った後、シラフに戻りいたたまれないくらい恥ずかしい気持ちになる事は皆さんも良くある事かも知れない。今がそれである。
あー起きないで、寝ていたい。
カマーンとウェルカム~~は過去の産物にしておくれ。夢の中のヒーローキャラクターにしておくれ。
(すげーヒーローである)
時間よ、元に戻りんしゃい。
多網が目を覚まし、立ち上がる。
「朝」
台風の後の天気は晴れ晴れとして気持ちが良い
澄んだ青空が広がっている。
そんな空を見て多網が言った。
「どっか行きたい」
それを聞いた正子と多網ママ、今が起きるチャンス
今だっ!!
バッ
「それも良いね、みんなでクリスマスだし、どっか行こうか」
その声に子供たちは、飛び起きる
ヒャッホー 「行きたい~~」
どうやら、何かがおこりそうな、そんなクリスマスイブが始まる。
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