文太と真堂丸

だかずお

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~ 道来と氷輪 ~

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ヒョォオオー 

辺り一帯を包む、真っ暗な闇
目の前の城からは不気味な笑い声、町には死体がゴロゴロ転がっている。

道来と氷輪は今、正にその城に進入しようとしていた。

「道来、行くぞ」

「ああ」

道来達と二手に分かれ、町の方に向かった、太一、一之助、しんべえ
「酷ぇ事しやがる」しんべえが辺りを見まわす

「二人とも気をつけるでごんす、敵はどこから襲ってくるかは分からないでごんすよ」

「ああ、分かってるよ」一之助のその言葉にしんべえの心臓の鼓動は高まる

ドクドク   ドクッ   ドクッ ドクッ

俺を殺そうとしてる奴らが周りにいる、自然に乱れる呼吸   ハァハァ
しんべえの辺りへの警戒は一層高まる。

「ちっ、女狐の真似事とは気分が悪りぃ、女狐は道来さんと氷輪に任せるとして、俺たちはこの町の人間達を守る、行くぜ二人とも」太一が刀を構える。

「あっ、ああ」   「了解でごんす」

一方、道来と氷輪は暗く長い廊下を歩いている

「相手は強いのか?」道来が氷輪に問う

「ああ、俺が戦った中で一番だ」

「そうか」

「俺はこの町で生まれ育ち、この町を愛して来た、この町をずっと守って来たんだ、いっときだけこの町を離れた事があった、そこで見た光景が忘れられなくてね、その時の旅が俺の人生を大きく変えた」
道来はそれ以上は氷輪に問わなかった。

「道来、お前は故郷を離れ、この世界の現状を目の当たりにしたんだろう?」

「ああ」

氷輪の表情が変わる、前を歩く道来の背中が氷輪の目にはうつっていた。

「お前はどうして、恐怖におののき、絶望しなかった?」

「大帝国か?」

「ああ、そうだ絶望的な程の力、浮世離れした十からなる真の怪物達、人間をなんとも思わない奴らの残虐な思想、俺はこの町以外を知らなかった、何も知らなかった。出なければ良かったのかもしれない、俺を繋ぎとめている唯一の理想がここにある」

道来は何も言わず歩き続けた。

「俺はこの町だけは守りたかった。それと、旅中に出会ったある恩人を」

「俺の大切なものはその二つだった」

「お前は強いから、奴ら大帝国を恐怖しないのか?」

道来が口を開く
「怖いのはお前だけじゃない、この国に生きる者、ほとんどの人間は大帝国を怖れている。この状況の最中、人により取る行動は変わる、ずっと怯えて暮らす者、大帝国に取り入り奴らと手を組む者、立ち向かう者」

「私はずっと、怯え逃げている者だった。お前と変わらんよ、だが今のお前は俺とこうして立ち向かっている、まぁ、相手は大帝国ではなく、女狐を狂信する女だがな」

「誰だって怖いさ、だが、いずれ自身の心に向き合い、自身の心に真摯に立ち上がる者達が必ず増えていく、私はそう信じている」

二人の目の前に、真っ暗な大きな襖が広がった。

「さっきまでは黒くなかったのに、なんでだ?」
氷輪が言う。

「女狐の真似事かも知れんな、気を引き締めろ、何者かが、中に居る」道来が刀を抜く。

「行くぞ」

ザンッ  
襖は叩き斬られ、中の光景が二人の視界に入る。
辺りに転がる、全裸の死体、バラバラになっていて数は不明。
吊るされ泣き叫ぶ人間、転がる死体、今まさに斬り刻まれている人間。

「おや、貴様は先ほどの、誰だい、もう一人の人間は?妾を殺す為にやとったのか」

「いや、お前は全てにおいて検討違いをしている狐の女」
氷輪はその言葉を発した直後、ほくそ笑む。

己の刀を、道来の心の臓をめがけて、突き刺した。

ズブブブッ         ズサッ

心の臓を刀で貫通された道来はその場に倒れていた。

「?」

「道来、やっと仇がうてたよ」
氷輪は倒れた道来を見下ろし、不気味に笑っていた。


その頃、文太達の村では。
「おい、文ちゃんの友達帰ってこないなぁ、結構暗くなって来たけど大丈夫か?道にでも迷ってるんじゃないか?みんなで探しに行くべか?」

「元さん、彼らなら大丈夫ですよ、ちょっとそこまで出てるだけですから、すぐ帰ります」

真堂丸は、大地に寝転び、自身を包むよう広がる壮大な星空を見上げていた。

すると
「心配ですか?」
文太の声。

「フッ  いや」
真堂丸は自身の心を見透かされ笑う。

「彼らなら大丈夫、さっき真堂丸が言ってた通り」文太も大地に寝転ぶ。

「この国が平和になったら、しばらくこの村で一緒に暮らすなんてどう?」

「それは、最高だなぁ」
僕は真堂丸のその言葉になんとも言えない嬉しい気持ちになる。

「前にも、ここで。同じ会話したね、あの時は全く先が見えなかったけど、今は大帝国の脅威が本当に終わるんだって信じてる。真堂丸のおかげで僕は変わった、本当の信頼を学んだ気がする、僕はいつも真堂丸に助けられ、支えてもらってばかりだったから、僕も少しは真堂丸の役に立てるようになりたいなぁ」文太は笑った。

「いや、変わったのは俺のほうだ。お前に出会い、ずっと、本当に救われ、支えられてたのは俺だったんだよ」

「俺は失った、本当に大事なものをお前のおかげで取り戻した」

文太は真堂丸から、空に目をやる。
「本当に綺麗な星空です。こんな景色を見てると、大帝国や戦、争いなんて本当嘘のよう、世界にはこんな平和な時が常に流れてるんですね」


僕らの夢

ありふれた日常生活がどんなに愛しく大切なことか、生き死にの中、身を置くことで気付いていた。
周りにいる人間、家族、友達 、それらの存在がどんなに有難いものか、僕らは知った。
当たり前に在る時、僕らは時々それを忘れる。
居なくなって人は、時々後悔する
今はただ感謝が込み上げる。
存在していると言う奇跡と神秘。
人々が今日、いや、もし、今 人に優しくなれたら、争いは必ずなくなる。
いつか、同じ人間同士、皆で手を取り合う日がやって来るだろう。
人々の小さな優しさを僕は見たい、触れたい、感じたい。
でも、その前に勇気を出して自分から動けるよう、そう在りたい。

僕の夢、この先 みんなと笑い合い、生きること。


空には満天の星が輝いていた。


ヒョオオオオオオオオオオオー

「おや、どう言うことだい?助けを求めた男を殺してしまうなんて」

「待ってろ、狐女。貴様もすぐに殺してやるからな」

ザッ

氷輪は女狐に刀を向ける
「何がしたいんだい小僧?」

「ちっ」

「テメェ、いつから気づいていやがった?」

倒れていた道来は木に変わっていた。

ザッ

「会った時に、違和感を感じた。お前から匂う殺気は
すぐに気づいていた」

「なるほど、こいつは厄介な奴だな」

「事情を聞かせてもらおう」

「貴様ら、妾を無視してなにをくっちゃべっている」

ズバアアアッンッ

女狐は氷輪の刀によって、真っ二つに斬られる。

「大した演技だろう、お前に会う前からわざわざ狐女にまで傷をおい、負けてやった、全てはお前を殺す為に」

「仇と言っていたな?誰のだ?」道来が氷輪を見つめる。

「貴様が殺した、大帝国の幹部、秀峰さんだよ」

「秀峰」
俺はな、既にお前に話したように旅に出た、この町の外の世界を知る為に。

愛した故郷、だけどやはり、もっと世界を知りたい。

だが、歩き、見た光景は地獄

俺の歩く地域は大帝国の支配下にあった一帯。

人間は平然と斬られ、惨殺され、大帝国に逆らうことは許されない、絶対の服従。
俺は、この世の条理を知った。
絶対に逆らってはいけない強大な力、それが大帝国。
俺は怖れおののいた、自分の町もすぐにこうなる。
家族のいなかった俺には、この町だけが宝であり、この町だけが唯一の平穏、俺は平和を愛していた。
ずっと、町の為、殿の為、この地を守って生きてきた。
自分の故郷だけは、この町だけは、誰にも奪われる訳にはいかない。
そんな中、嫌な噂を聞き不安になった俺は、すぐ町に戻ることに決めた。
だが、その時、俺は道に倒れる一人の男と出会う。
その男は持病の発作により、危険な状態だった。
医学を少しかじっていた俺は、一週間、男を生かす為だけに全力で治療に専念した。
そして、男は一命をとりとめる。
その男こそが秀峰
そこから、俺と秀峰さんの交流が始まった。

「私は命を救われた様ですね、あなたには借りが出来てしまいましたね」

「気にする事はないです、勝手に助けたまで。それよりあんた、刀を持っているね、腕に自信はあるのかぃ?」

「まぁ、少々」

腕に自信のあった俺は相手の力量に興味があった。
なんたって、自分の町の外の刀使いの実力、己の腕はどこまで通用するか、そんな興味があった。

「礼をしたいと言うなら、身体が完治したら俺と戦ってくれないか?」

「おや、変わった人ですねぇ、良いでしょう」

ある時、秀峰が言う。
「これだけ動ければ、あなたの望み叶えられそうです。やりましょうか」刀を抜く秀峰

俺は心底疼いた。
自分の実力を見せてやる。
だが、結果は惨敗、俺からすれば彼は天才、自分は全く凡庸なただの男。
まるで相手にはならなかった。
この世界には、こんなに強い男がいるのか。

「そう落胆しないで下さい、あなたは強いですよ」
彼の言葉は落胆した俺を照らした。
それから3週間程、俺らは共に過ごすこととなる。
いろんな会話をし、その頃には、俺は心底、秀峰と言う男を尊敬する様になっていた。
頭の回転の良さ、何でも知っている豊富な知識、信じられない程の刀の腕、人を惹きつける容姿と性格。
正直俺は、いつまでも秀峰さんの側にいたかった。

ある夜
俺は大帝国の話を口に出す。
「信じられない奴らです、俺は彼らのする事を許さない」

「そうか」

「大帝国が悪か。氷輪、お前は、本当の人間の本性を知らない」

この時の、秀峰さんの悲しげな顔を俺は、一生忘れる事はないだろう。

「なぁ、氷輪。私は明日ここを出ようと思う、身体も回復したしな」

「そうですか、また何処かで会えますか?」

秀峰は微笑み
「運命がそう導くなら」

翌朝、秀峰さんは去っていった。
真っ白な衣装を手に握り。
俺も、町が心配になり、すぐに戻るつもりでいた。
フフッ、運命とは本当に面白いものだ。
俺が町に戻った時、町は大帝国に襲われていたのさ。

「おっ、おれの故郷がっ、みんなが殺されている」

許さんっ、大帝国。
キィンッ  キィンッ  キィンッ
俺は刀を握り、すぐさま町の殿の元に。

「殿ーーっ 無事か?」

殿の周りには百ほどの兵
絶望が俺の頭によぎる

「おいっ、殿様、あいつは貴様の兵か?大帝国に刀を向けてるぞ、どういうつもりだ」大帝国の兵が言う。

「すっ、すいません。この町で育った若者、あなたがたの事を知らないのです、どうかご勘弁を」

「そうだったのか」

ニヤリ
「許す?駄目だねぇ」

「殿、俺は死ぬ覚悟は出来ています」

「当たり前だぁ、貴様など、どうでもいい、貴様が歯向かえば、私が殺されるだろう」

「えっ」
これが、俺がずっと命を賭けて守ってきた者。

「おいっ、殿様よぅ あいつを殺して良いなら貴様を助けてやるが」

「あっ、それでしたらなんなりと」

「アッハッハ アッハッハ」

俺はずっと一体何を守ってきたんだ?
俺は一体何に忠誠を誓ってきたのだ?

「じゃあ、死ね やれ」

奴らはギリギリのところで俺を殺さず、いたぶり楽しんでいた。意識はもうろうとし、消えかけていた時だった。
全身を白で包む存在が、その場に現れた。
圧倒的な威圧感、存在感。
そいつが来てから、場は突然、静寂に包まれる。
皆が、たった一人のそいつに圧倒され、恐怖で震え、動くことも、呼吸すらままならず、そいつにただただ従っていた。
ああ、こいつが親玉か、消えゆく意識の中、俺はそんなことを考えていた。

「酷い目にあったな、氷輪」

聞き慣れた声、そう、それはこないだまで日常、耳にしていた声

「秀峰さん」

「あんた、まさか」

「私は大帝国の幹部」

「うっ、嘘だぁーーーー」

「人間を見たろ、どうする 死か、それともあの豚の言った通り殺されるか。お前は、まだあの豚の為に命をかけるのか?」

カシャアンッ

秀峰は氷輪の前に刀を投げた。

「新たな行動を身体で示せ、お前はこれから私の下で面倒を見てやる、どうだ氷輪、私と共に来い」

「やっ、やめてくれ、氷輪 嘘だったんだよぅ」

「確かに、俺は信じるものを間違えていたようです」

「ふたつ、お願いが」

「なんだ?」

「この町は、俺の故郷、唯一の俺の平穏、大帝国の支配下にはしたくないです」

「それと、俺があなたの下について行くことを町の人間には黙っていて下さい」

「なるほど、お前の生活は、そんな環境を望むか」

「貴様、幹部様になんたる口を」大帝国の兵達が叫ぶ」

「良いだろう、好きにしろ」

「はいっ、秀峰さん」

ザンッ

殿の首は転がり落ちる

「今日から俺は大帝国、秀峰の部下」

「ここに、それを表明する」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオーッ


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