文太と真堂丸

だかずお

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~ 真堂丸と蝿王蛇 ~

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カァー カァー カァー カァー

日が沈みかけた、町の中。
あれだけ賑わっていた町だったのに、今はまるで人のいない廃村にでもいるかのよう。
そこは一瞬で火の消えた町と化す
表に出てくる者は誰一人としていなかった。
それは当たり前の事でもある、もともと大帝国の支配のなかった町。
大帝国の兵が一人来たとしても町人は怖くて震えあがるだろう、それが今この町に大きな大帝国と言う組織の中でわずか十人しかいない、大幹部の一人が町に来ているのだから。

「次から次へと、ごみみたいな奴が出て来やがって、真堂丸はまだかぁ」蝿王蛇は文太の腹を蹴り上げた。
「ぐはっ」文太の口から血が吐き出され
しんべえが叫ぶ「文太」
「いい加減、頭にきたぜ」
ガスッ ガス 蝿王蛇の蹴りは続いている、嫌な音が辺りに鳴り響いていた。
「頼む、やめてくれー」
「ぶっ、文太てめぇどうして、真堂丸と一緒に来なかったんだ、あの野郎はどこにいんだよお」
蝿王蛇は笑った「こんな野郎が真堂丸を連れて来れるわけがねぇだろ、下手な芝居しやがって、決めた皆殺しだ」
文太はしんべえに向かって声をとぎらせながら言った
「しんべえさんが殺されちゃうかもって 必死で それどころじゃなかった ですよ」
文太は身体をすでに動かせないでいた。

「おめぇ」

「さて」
その時、蝿王蛇は刀を抜き始める
それを見た、しんべえの身体全身に寒気が走る。
こっ、殺されちまう、まじで文太が殺されちまうよ。
「たったのむ、やめてくれ」
そいつは俺の、俺の生まれて初めての友達なんだ。
「やるなら、俺からにしてくれー」
「じゃあな、小僧」
その時だった、文太は突然笑い出した。
「何がおかしい?」
「お前じゃ真堂丸には敵わない」
「死ぬ間際の言葉がそれか?ほざいてろ」
「気が変わったぜ、先にお前の仲間を殺してやるよ、ゆっくり眺めてな」
蝿王蛇はしんべえに向かって歩きはじめる。

「やめたほうがいい」
その言葉に足を止める蝿王蛇
「ぶっ、文太」しんべえは倒れて身体が動かないのに喋りつづける文太を見つめた。

「なんだと?」

「仲間を傷つける奴を真堂丸は許さない、手を出せばもうどうにも出来なくなるぞ」

ブチッ ハッハッハ「俺の心配か?」

「クソガキがコロシテヤル」
蛇の様な長い舌が口から出てきた。
その時であった、それは久方ぶりの寒気だった。
なんだ、己が恐怖しただと?
何かが俺の後ろに居る。
こいつはとんでもない猛獣が後ろにいやがる
すぐさま蝿王蛇は背後を振り向く、ああこいつはやべえ、ニヤリと笑った。
まだ姿は小さくあんなに遠くにいやがる
なのにあの野郎なんて殺気だ。
ゴクリ たまらねぇ 蝿王蛇は不気味にほくそ笑んだ。
あいつが真堂丸か、細身で女の様な華奢な身体つきじゃねえか、想像と違ったぜ。
ちっ、このガキ共だけでも今殺しときたいとこだが、なんてこっただぜ、この距離でもあいつから視線を外すことは命とりになる。
あれが、こいつが真堂丸

「よお、あんたが真堂丸だな」
さすがに速え、もうこんな近くにいやがる。
真堂丸はすぐ目の前に来ていた。
真堂丸は静かに辺りを見回す。
「なるほど」とひっそりとつぶやき
目をつむり、息をゆっくりはいた
「さて、殺しあおうじゃ?」
蝿王蛇が気づいた時すでに、真堂丸の刀の柄が自身のみぞおちに食い込んでいた。
蝿王蛇は地面を削りながら吹っ飛んでいく。
「つっ強え」そのあまりの強さに、その場にいる者は息を飲んだ。
まじかよ俺吹っ飛ばされてるじゃねえか
ズザザザザザザザザァーーッ
「こっ、これが真堂丸」凛の足はあまりの迫力に震えていた。
「文太 大丈夫か?」
「はいっ、何とか」
「お前達、ここから出来るだけ離れていろ」
「やっぱり、そう簡単に倒せる相手じゃないみたいだね」文太が言った。
「ああ、あいつは、暗妙坊主の上をいく手練れ、すぐにこっちに戻ってくる」
「真堂丸、傷は?」
その時、声が響いた
「あっはっはっはっはっはっは、あっはっはっは、こりゃあとんでもねえな、この俺が相手の姿を見失うなんて」
「さて、思う存分やり合おうぜ」
そこにはなんとも無かった様に立っている蝿王蛇が居た。
「最後まで息をしていた者が勝者だ、敗者には死が待つのみ」

シャア~~~

キィン キィン キィン キィン キィン
目の前で繰り広げられる凄まじい闘いの域に「とんでもない、速さだ」千助は自分の見ている物が現実だとまるで信じられないでいた。
それは夢の中にでもいるかのような感覚だがしっかりとした確固たる現実であった。

キィン キィン キィン キィン
「お前は俺には勝てないだろう」蝿王蛇が言った。

キィン キィン キン
「理由その一、貴様の身体は万全じゃないと見た」

キィン キィン キン キン
お互い常に身体すれすれの所で刀を防ぎあい交わしている。

「理由そのニ、これは正当な試合じゃねえ分かるよな」
真堂丸にはしっかりと分かっていた。
己は実力的にこいつに負けないだろう
だが相手も超一流の刀の使い手、この時点で相手も間違いなくそれに気づいている。
それから、導きだされるこの言葉の意味することはすぐによめた。

蝿王蛇は物言わずしてこう語っていた

貴様の仲間の命は俺の手中にある

真堂丸は仲間を狙われる、やっかいな闘いを避ける為、わざと相手の誇りに触る様に言う
「ふっ、笑わせる 俺に勝てないとみて、仲間を人質にとってるとの忠告か?大した幹部様だな」

「・・・・・・・」

真堂丸は相手が逆上するのをねらったのだ、正直今の傷の中、仲間を守りながら戦うのを避けたかった。

シュルルル 長い舌が宙に顔を出す。
「俺はな戦いの時は、生存本能を一番にとる、どっかの刀馬鹿達とは違う、ここまでそうして来たから俺は修羅場を乗り越え生きているのさ、強い奴と戦うのは好きさ、だが、死んじゃあ意味がねぇ、死は敗北、様はどんなやり方でも生き延びた者が勝者だ」

「認めてやるよ、俺じゃお前に勝てない、生きのびて勝つ為に最善の道を走るだけだ」

「さて、お前にとって厄介な戦いになるぜ、勝てる相手に、仲間のせいでこんな面倒くさいことになるなんて、俺には耐えられねぇぜ仲間をみすてりゃお前の勝ちだがな」

「貴様に一瞬たりとも、隙は与えない」
真堂丸は蝿王蛇に刀を向けた。

「戦って分かった、貴様が万全なら、確かに仲間を狙う隙すら与えてもらえなかっただろう、くっくっく」

「だが、勝てないと言っても俺をあまり甘くみるなよ、ぎりぎりまで貴様との闘いを楽しませてもらう」

「さあ、存分に斬り合おうではないか」
そう言うと、蝿王蛇の口から紫色の液体が自身の持つ刀に向かって吹き出された。
「これで、この刀に触れるのはとんでもなく危険だぜ、そこらの人間ならものの十秒もあれば死んじまう猛毒だ」

「しゃああああああ」
キィン キィン キィン キィン キィン
蝿王蛇の猛攻撃が再び始まった。

少し離れたところで見ていた、文太達に彼らの姿はしっかり見えていたが、声まではっきりと聞こえていなかった。
「ふぅーっ、助かったぜ、あの野郎がくればもう大丈夫だ」としんべえ。

凛は言った「お前も幸せ者じゃねえか、仲間じゃないとか言いながら、二人もお前の為にかけつけてくれてよぉ」

「ちげえょ、文太は俺の為に来てくれたが、あいつはちげえ、あいつは文太を助けに来たんだ」としんべえ。
すると、千助が「いや、彼は君が捕まっていたとしか思っていなかった」
「何だと?なんで、そんなことお前に分かるんだよ」
「俺が彼のいる場所に行き、彼に伝えたからだ」
「兄貴、その為にさっき逃げたんだな」
「ああ、日の暮れるまでは殺されることはないことは分かっていた、お前を救いたくて最後の賭けに出たんだ」
「あっ、兄貴」凛の瞳には涙がたまっていた。
「じゃあ、あいつも俺を救う為に……」

真堂丸も俺を救う為にここに来たってのか?

ぐすっ
なんだよ、これ
胸が 胸が 熱い
なんだよこれ
嬉しいと 嬉しいとよ 心臓ってこんなに熱くなるのか
しんべえの心には今まで何を手にしても感じることのなかった感覚が心の中湧き上がってきていた。
嬉しい 嬉しい
ありがとう ありがとう
涙がぽろぽろとこぼれだす
自分が本当に望んでいたものを俺は知らなかった、本当は俺ずっと自分にすら偽って分からなくなってたけど
ずっと
ずっと
友達が欲しかったんだ
その時しんべえが見つけたものは、友であり仲間である人間との絆と呼ばれるものだった。
俺は既に手にしていたんだ
俺が心を閉じてたから、気づかなかっただけだったんだ、俺には既にこんな自分を思ってくれていた、仲間達が居たんだ。
こいつらの事、見えてなかったのは俺の方だった。
ちきしょう、ちきしょう、ありがてぇ、ありがてぇじゃねえか
しんべえにとって生まれて初めて自分を仲間と呼んでくれた人間達だった。
しんべえの頬を溢れる涙が伝る
気がついたらしんべえは叫んでいた
「負けんじゃねえーぞー真堂丸」
真堂丸は闘いながらも、その声をしっかりと聞いていた。

「千助さん、そう言えば、あの寺に住む化け物と、一之助さん、それに村の人達が向かったはずなんですがどうなりましたか?」

「それが、自分が向かった時、真堂丸さんと一之助さんが鬼の姿をした化け物と闘っていたんです」

「鬼?」

「とんでもなく、でかく、物凄い力を持ってました」
その時わたしが見た光景は。

それは一刻ほど前
「あっ、あれが真堂丸さんに違いない」

ドゴオオオーン
「何だあの音は?」

「真堂丸さんですよね?」
横にいた一之助が振り返り「あんたは、確か昨日の?今は取り込んでるから離れていた方がいいでごんす」

「それが大変なんです、あなたがたの仲間のしんべえさんと凛が大帝国の幹部に捕まってます、お願いです二人を助けて下さい、彼らは町の中央にいます」

「何てこった こんな時に幹部でごんすか?」

「分かった、すぐに行く」真堂丸が言った。
その先は、自分はすぐにこちらに走って来たのでどうなったかは」

「そうですか」
一之助さんは無事なんだろうか?

カァー カァー カー カァー
寺にいる沢山のカラスの声が、日のくれた町中に響き渡っていた。
それはまるで死者を呼んでいるかの様な、そんな不気味な鳴き声

そして今、山の上の古寺の所では

「あっしとした事が、油断した」
一之助は鬼に首根っこを掴まれていた

「貴様はあまり美味そうではないが、まぁ良いだろう、貴様を殺し喰ってやるよ」

「くそっ、こいつはまずい、何か手はないか?」
その時、鬼の後ろから声がした。

「やっぱり、違いましたよ」

「ふっ、戦ってるならそうかと思ったがな」

「何だてめぇら?」鬼は後ろを振り返り睨みつけた。
鬼の後ろに二人の男の姿

「ここは私がやろう」

「ブハハハハ誰が誰をやるって?」

「下がってろ、太一」

「はいっ、お願いします」

「さて、やるか」そこに立つのは静かに刀を構える道来の姿だった。


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