文太と真堂丸

だかずお

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~ 兆し ~

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ザッ ザッ ザッ

真堂丸としんべえを取り囲む女狐の兵達が武器を構えながら、ゆっくりゆっくりと距離をつめながら近づいて来ていた。

ザッ ザッ ザッ

「やっ、やべえよこの人数」
しんべえはせっかく助かった命が、すぐにもまた危機的状況に放り込まれたことに、苛立ち、絶望するような気持ちで嘆いた。

真堂丸は地面に刀を突き刺し、よろめきながら立ち上がる。

「おっ、お前まだ戦えるのかよ?」

「やらなきゃ、どうする」

ザッ ザッ ザッ 
どんどんこちらに近づいてくる 女狐の兵達。
すると突然、彼らは、武器を放り投げ叫んだのだ。

「やった、女狐から解放された」

「へっ?」しんべえは驚いた。

「ありがとうお二方、これで我々はうちに帰れる」

「信じられん、今日から自由なんだ」
女狐の手下達は喜びをあらわにし口々に叫んでいるのだ。

「けっ、こいつらも怖くて逆らえなかったのか」
しんべえは安心しきり、足から力が抜け地面に座り込んでしまった。

「良かった、助かった」
俺たちは本当にあの女狐の城に乗りこみ無事に生きて出られたんだ。
しんべえは黒い煙の奥から差し込む青空を覗き見て、生を実感していた。

真堂丸は寝転んだ

あいつら無事か?

空は目の前にただひろがっていた。

大丈夫だ
あいつらなら大丈夫だ。
真堂丸は信頼し、目をつむった。


その頃、文太達のところでは。
誰もが想像すら出来なかった展開の真っ只中であった。
前方、後方に大帝国の幹部二人

「ちっ、まいったでごんす、この目の前の奴はあっしがやる、後ろは二人に任せても?」

「一人で大丈夫か?せめて、文太さんが逃げれる時間を稼げればいいが」大同が言った。

「今はやるしかない」元郎が刀を構える。

その時、秀峰は刀を抜き、こんな言葉を口走った。

「どういうつもりです?やはり、私のよみは間違いではなかったようですね」

もう一人の白ずくめの男は言う
「ああ、もう大帝国に興味はない」

文太はその声を聞き、ハッキリ声の主の正体が分かった。
この声は?
そう自分が捕まった時に助けてくれた
真堂丸と同じ故郷の・・・

その声の主は雷獣であった。
「よお、小僧久しぶりだな」

「あいつは、女狐に勝てるのか?」

「はい、きっと」

「くっくっく、女狐に勝つなどと簡単に返事しやがって」雷獣は微笑む。

「貴様、大帝国を裏切るつもりか?」

「ああ、そうだな」

「雷獣、極刑に値する」

「私がこの場で貴様を殺ろう」

「へっ、やってみな」

「おい、お前ら逃げろ もしあいつが本当に女狐をやったのなら、ほんとうの僅かだが、この国を救う希望ってやつはまだ途絶えてないかもしれん、急げ」

僕は嬉しかった。
雷獣さんは変わった。
そして、僕らを助けてくれた。

「すまんな、お主」大同が口にする

「礼などいい、急げ」
元郎が乱を担ぎ。
乱の傷がひろがらないよう注意をしながら皆で逃げた。

後ろでは
キィン キン キィン
すでに戦いが繰り広げられている。

「ちっ、どっちもなんという腕前だ」大同は想像を遥かに超えた二人の力量に驚いていた。
これが大帝国の幹部
この傷で戦ってたら、一瞬と、もたなかったな。

「あれが、幹部の実力って事でごんすね」
乱の手当を一刻もはやくしてもらう為に一番近い村に一旦向かうことに。

「僕の息子もそこに逃げているはずだ、医者が見つかればいいが」

僕らは乱さんの容態を気遣いながら
敵に気をつけ、町を目指した。

カァ カァ カアー
カラスの鳴き声が不吉に辺りに鳴り響いている。
村の入り口が見えた頃。
そこには元郎の息子、それと医者らしき男性がこちらに向かってきていた。
元郎さんの子供が医者を探していてくれたんだ。

こちらを見つけてはすぐに、走ってきてくれた。
「急げ、こいつは重傷だぞ」

「お願いします、乱を助けてください」元郎と大同は同時に言葉を発していた。

「こちらは、私と元郎が見ています、お二人はすぐに真堂丸殿のところへ」

「はいっ、こっちはよろしくお願いします」文太は乱の顔を見て、心の中強く祈った。
乱さん、どうか無事で。
必ず助かりますように。
「文太さん、一之助さん本当にありがとう、真堂丸さん達のもとへ行ってあげてください」と元郎

その時だった、信じられない形相で三人の男たちが全力で走ってきた。
「おいっ、とんでもねぇことが起こったぞ、信じられないことだ」
男の声はあまりの驚きに震えていた。

「一体どうしたってんだ?」

「おいっ、信じられねぇべよ」

「だから、どうしたんだ?」

「あっ、あの女狐が討たれたらしい」

「えっ?」

「なっ、なっなんだとー」

町の声はざわつきはじめた。
「しかし、一体どこの誰が?」

「そいつは何者なんだ?」

少しの沈黙の後、人々は顔を見合わせ一斉に歓喜の雄叫びをあげた

「うおおおおおおおおおおおー」

「俺たち助かったんだ」

「夢みたいだ、本当かいあんた、私たち生きれるんだね」

「ああ、良かった本当に良かった、これで安心して眠れる暮らしが出来るんだ」

人々は涙を流し、こころより喜びを表現し始める。
絶対的な力という支配、殺されるやもしれね恐怖から解放され、日々を生きていける喜びに涙した。

カラン元郎の刀は地面に落ち
頬からは大量の涙がこぼれ落ちはじめた。

真堂丸さん
真堂丸さん
真堂丸さん
真堂丸さん
真堂丸さん
真堂丸さん


ありがとう

みなさん

ありがとう

僕も涙を流していた
「真堂丸ありがとう、真堂丸のおかげでこんなに沢山の人々が救われ、喜んで涙を流してるよ 」

「先生あんたはいつもあっしに希望を与えてくれる」一之助は空を見上げた。

大同は流れた涙を腕で拭う。
「約束通り、あなたはあの怪物を本当に倒してくださったんですな、自分には震えて何も出来ない絶望にとらわれる程の怪物だったんですよ」

グスッ 拭っても溢れ出す涙が地面にこぼれる「真堂丸殿 あなたの言葉に嘘はなかったんですね」

乱もそれを見て心から嬉しそうな表情を浮かべた。
ああ、大好きな大同さんも元郎さんも、本当にこれで助かったんだ。
よかった・・・・
次の瞬間、乱は口から血を吐いた。

「らっ、らん」大同と元郎の表情が歪む。

「乱さん、しっかりして」僕らも慌ててかけより声をあげた。

「乱兄ちゃん」

「いっ、いかん 誰か手伝ってくれ」医師の男性が叫ぶ
その時だった、後ろから沢山の声が
「その者を死なせるな、彼らは女狐の妹を倒した、我々の命の恩人だ」

「絶対に助けるぞ」

「血ならいくらでもわけてやる」

「わたしも」

「この者を救うんだ」

「絶対に死なせるな」

それは町の人達の声だった。
ずっと絶対的な力で抑えられ、恐怖してた人達が自分の意志で声をはっし、自分の意志で行動してる姿だった。
僕はそれを聞き、また涙があふれた。
それはまるで、屍のように生きていた人々が息を吹き返し、本当の姿を取り戻したように僕には見えた。
涙がとまらなかった。

「乱さん、生きて みんなで 命を祝おう」

みんなで生きるんだ

「絶対に助けるぞ」
僕と一之助さんは結局、その場から離れず、真堂丸達を信じ、彼らが戻るのをこの町で待つことにした。

夕方を過ぎた頃

医師が出てきた。

「先生、乱は?」

先生の顔は真顔で真剣だった。


「おいっ、先生、どうなんだよ」大同が叫ぶ


元郎は頭が真っ白になった まさか 嘘だろ?



その時、後ろから声が。

「生きてますよ」
巨体の男は地面に膝をつけ、おいおい泣いた。
馬鹿野郎心配させやがって。
元郎も息をゆっくり吐き
良かったと涙し、抱き合った。
ふぅー本当に良かった。

ガラッ 扉が開き
「お前らも無事だったようだな」
その声に皆が振り返る、何故ならそれはしんべえの声だったからだ。

「しんべえさん、無事で良かった」

「真堂丸は?」

「なにっ、心配いらねぇ、手当てをしてもらって休んでるよ」

「とんでもねえ、野郎だぜ まじであの女狐をやっつけちまいやがったんだからな」
僕らは顔を見合わせ、ほっとした。
良かった、みんな無事だった。

町の人がこちらに向かって来る。
「あんたらが、やったのか?」

「あんたら、一体何者なんだ?」

「女狐を倒したのは誰なんです?」
僕は真堂丸の名前を言うのをやめておいた。
敵に居場所をばれさせてしまうかもしれないし、
何より真堂丸が名前を伝えて欲しいと思わない気がしたからだ。

僕らは、真堂丸が治療を受けているところに走って向かい驚いた。
何故なら、女狐の手下をやっていた人間と町の人間が手を取り合い真堂丸を看病していたからだ。
「ゆるしあっている」そんな人々の姿を見て、僕は心底驚いた。
一之助もその姿を見て安心して微笑んでいる。

「なにっ、こいつらだって女狐が怖かっただけだ、これから町の人間達が手をとりあい、生きていけねぇでどうするんだ」

「今度は女狐なしで、俺たちで争いあってるんじゃ、それこそ愚の骨頂じゃねえか」

「許すよ、ここで争いは終わりだ」

「すっ、すまねぇ」女狐の手下をやっていた人間達は涙した。
驚くことに、彼らはしっかりと憎しみの連鎖を止めたのだ。
憎しみや、恨みが、また新たな憎しみを生むのを彼らは知っていた。
人々は苦難を乗り越え
成長する
傷を癒すのに時間はかかるかもしれない。
でも必ず 再び、より力強く、優しく、愛に溢れ、人間は立ち上がることが出来るんだ。
すべての経験は必ず生きる。
生命は必ず再び息を吹きかえす。
より輝きを増して、彼らの姿を見て こころより、そんな思いが湧き上がっていた。

一之助が文太の肩を叩く。
「希望を見せてもらいましたね、人間は問題を乗りこえていける、この結果を生んだのは、文太さんのおかげでもあるんですよ」

「そんな、僕なんか何にもしてないですよ」

大同が言った
「いや、あなたが立ち上がる意志をもたなかったら、真堂丸殿も我々も誰一人、大帝国と向き合う意志をもたなかったかもしれない」

そして、元郎が
「僕は絶望の中を生きていた、でも文太さんの姿勢が僕に再び信頼することの強さと大切さを教えてくれたんです。きっとこの国の民も必ず再び自身を取り戻す」

「みんなで力を合わせましょう、僕らは仲間であり友達です」
元郎は微笑んだ。

大同も続けて言った「あなたがたが、何処にいようとも、困った時は地の果てでも駆けつける」

「右に同じでごんす」一之助は笑った。

そして、話を聞いていた、
町の人々、女狐の家来だった人々も口を揃えて言った。

「もちろん、我々とて同じ」

ポロッ
涙が頬をつたう


ありがとう

本当にありがとうみなさん
嬉しくて涙がいつまでもいつまでも止まらなかった。

必ず意志あるところに道はつながる、僕らはそれを強く確信していた。

これより、後すぐに
女狐が討たれたと言う情報が国を巡ることになる、国中の猛者達がざわめき、この女狐を討った人物を探し追い求めるのは必須だった。

「あの女狐を…」

「何処の何者が?」

そう、国中に潜む、とんでもない怪物達が今まさに動こうとしていた。



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