文太と真堂丸

だかずお

文字の大きさ
上 下
49 / 159

~始まりと終わり~

しおりを挟む
ゴゴゴゴゴォォォ

不気味で不穏な空気が城を包んでいる

暗妙坊主は怒っていた。
目の前に立つこいつの目つき気にいらねぇ。
即斬り殺す。
そう思った直後すぐに飛び出し 斬りかかりにはいる
刀を振りかざした直後、暗妙坊主は驚きを隠せなかった。
なんだこいつは?
それは、一切手加減なしの本気の斬り込みだった。
しかし、どういうことだろう、目の前のこいつはそれを躱した。
その時、自身でも闘い中に味わった人生でたった二度だけの恐怖感が暗妙坊主を包んだのだ。
こいつは、蝿王蛇と闘った時に感じた、自身の敗北を瞬時に俺に思いださせやがった。
暗妙坊主は男の近くにいる事にすぐさま危険を感じ間合いをとる。

疑いもなく悟ってしまった、俺はこいつに殺されると。
「フハハハハハ」

暗妙坊主は笑いだし
「貴様何者だ?」

「真堂丸」

「お前があの真堂丸か」
暗妙坊主の目ん玉は突然グルグル回り始めた。

「うわぁぁぁ」殿はあまりの不気味さに叫び目を背けた。
真堂丸は一瞬も暗妙坊主から意識を離さず、刀を向け構えている
その時、左右違う方向に回っていた目が止まり、暗妙坊主は突然目を閉じてしまった。

俺はこいつに勝てないだろう、逃げるか?
全力でなら逃げ切ることは可能かもしれない。
それか・・・・・
後者の賭けは恐ろしいものだった。
暗妙坊主は決断した、後者を選ぶ事を。

自身の首を差し出す代わり、あいつの片腕を斬る。
さすがのあいつも、俺を相手に無傷じゃすまない、あいつを殺す事は出来ないにしても、命を捨て片腕くらいなら斬りおとせるだろう。
あいつは生涯俺を忘れない、片腕を切り落とされた敵として。
「フハハハハハ、俺の首をやろう真堂丸、だがお前も無傷じゃすまないぜ」

一之助は何か嫌な感じがした
「暗妙坊主、死ぬ気の捨て身だ」

「先生、もしかしたらあいつを逃がしたほうがいいかもしれない、命をかける捨て身 なにか嫌な予感がする」

「ふっふっふ、良いだろう真堂丸 選択肢をやろう、俺を斬り腕を失うという代価を払うか、それとも俺を逃がすか、その代わり約束しよう、もう納言は狙わない」

「どうする?悪い話じゃねえだろう」
真堂丸は視界にはいる一之助、姉を殺された弟の姿を意識した。
真堂丸は生まれて初めて闘う理由をこんな風に考えた。
俺がこいつを逃がしたら、また次なる一之助やあの弟みたいな思いをする人間が生まれる。
それに一之助はどうなる?
また暗妙坊主を追い続けるのか?

真堂丸は決断した。
「こいっ」

ギロリ
「ああ、こちらは構わねぇぜ、命はくれてやる、変わりに腕をもらう」
お互い見合ったまま動かない

「真堂丸」文太は祈った。
祈る事しか自分には出来ない、本気で心より祈った身体全身は震えていた。
納言や光真組の隊長、町の人間達も息をのむ。

次で決着がつく
真堂丸があの決断時、覚悟を決めるまでに要した時間は代価を払う事ではなく、まったく別の物だった。

人を斬る事に罪悪感を感じはじめていた真堂丸は出来れば人間を斬り殺す事はさけていたのだ。
しかし今は、命を捨て腕をとりにくる事を決めた暗妙坊主を前にそれは、難しい事でもあった。

真堂丸は息をゆっくり吐き
暗妙坊主をしっかりと見つめた。
「最後に言っておきたい事はあるか?」
真堂丸の言葉だった。

「んっ?噂にきいてたより、甘っちょろい男の様だな、見て分かるぜ斬るのにためらいが見えるな」

「まぁどうでもいい、生きて後悔するんだな、あの時、やらなければ腕を失わずにすんだとな」暗妙坊主は飛び出した。

「真堂丸」 「先生」
一同は固唾を呑み見守った。

その直後、初めて暗妙坊主は自身の読みが全く甘かったことを知る事になる。
腕、腕だと 愚かだった。
ああ…おれにこいつの腕など斬り落とす事は不可能。

こいつは、恐ろしい…とんでもなく強い

こいつが真堂丸か。

ああ

ああ

本望かもしれねぇな

こいつに斬られるのは

だが、俺も甘くねぇ 俺は暗妙坊主だ。

スパァン

「うわああっ」
真っ先に悲鳴をあげたのは、姉を殺された、あの弟だった。

暗妙坊主は真っ二つに斬れ
そこに真堂丸は立っていた。
その場からは勝利の歓声などはあがらず、ただ人々は震え、驚いていた。
人間が真っ二つに・・・
さっきまで、語り動く暗妙坊主はそこにもういなかった。

真堂丸は黙って立っていた。
町人は叫ぶ者、座り込む者、唖然とする者様々だった。

静かに言葉を口にした。
「こうなることを本当に望んだか?」
それは一之助に向けての言葉だった。

一之助は涙した。
「あっしは、もう善人だろうが、悪人だろうが正直人がこんな風になるのを見たくないでごんす、だけど先生本当にありがとうございました、このご恩は一生忘れません」

目の前の光景は確かに凄まじいものだった。
僕は直視することが出来なかった。
人間が殺し合う、なんて悲しく酷たらしい、そして虚しいことなんだろう。
争い、それは殺すほうも、殺されるほうも、まわりの家族や人間も結局は痛い、それはまるで胸が・・叫び悲鳴をあげているようだ。
僕はそう強く心に感じた。
そして、同時に出来ることなら大帝国とも闘いなどはしたくない、そんな思いで胸がいっぱいになった。

真堂丸は一之助の返事を聴いて刀をしまった。
あの弟は父親に抱きかかえられ泣いていた。

「真堂丸!?」
僕は叫んだ

ズバッ 左肩から血が吹き出した。
「大丈夫だ、暗妙坊主 たいした使い手だな」

こうして、様々な傷を負いながらも一同はこの危機を何とか乗り切ったのであった。


翌朝
みんなは城の広間に集まっていた。
「文太、一之助 それに真堂丸 本当に何と礼を言ったら言いか、命を救われた、まだ夢を見ているようじゃ」
納言は微笑む

「しかし、まだ信じられん あの烏天狗と暗妙坊主を二人一晩に討ち取るとは、平門は未だに驚きを隠せないでいた。

それと昨夜 光真組の隊員達は、相手の兵を打ち倒し戻ってきていたのだ。
「この闘い、我々の完全勝利であります、これもお三方のおかげであります」と隊員達は口を揃えて言った。

「姫を救ってくれて心から礼を言う」と誠

清正も頭を下げた。

「ひとつ聞きたいことがあります、白い刃集結の情報を知り 大帝国の城に偵察に行っていたって話を昨夜聞いたんですが本当ですか?」文太の表情は険しかった。

「ああ、本当だ」

「一山さんの話は?」

一瞬静まりかえる広間

誠はゆっくり頷いた。
「文太、一山先生の事を知っておるのか?」納言は驚く

「はい」

「誠よ、皆にも何があったか詳しく教えてくれ」

「分かりました、これからあの日に何が起こったのか一部始終を話します」

「そう、我々は白い刃集結の情報を聞き烏天狗を追い奴等の城へいったのです」

そう、あれはその一日に起こった出来事。

ゴーーーッ

「あっあれが、大帝国の城」

「しかし、何だか少し破壊されてるようですね」
隊員達はヒソヒソ声で喋る。

あえては言わなかったが文太はその話を聴きそれは、まさしく真堂丸が自分を救いに行った時につくられた城の傷であろうと思った。

「ここから、先この人数での侵入は困難 私が一人行く、なにかあったら真っ先に逃げろ これは隊長命令だいいな」

「はいっ」

大きな門は突然開く
その時、誠の視線に映る一人の姿

「あれは一山様」

「まっ、まさか一体何で一人こんなところに?まさか幹部が全員集結した理由がここに・・・」

驚くことに城の警備はいっさいなかった、まるで城全体が一山を招きいれようとしていたかの様、おかげで侵入はたやすかった。

私は一山様を追い、大きな広い間壁の裏に着いた。
驚くことにそこまで誰一人の兵とも遭遇する事はなかった。

突然
「儂をつけてる その感じ 誠ではないか?」

一山様は私に気がついておられた。
「驚きです、よく誰かまで分かりましたね」

「そりゃあ、私が教えさせてもらった可愛い生徒、気配で分かるよ」一山は微笑んだ。

次の瞬間険しい表情で
「いいか気配を完全に消し、そして何があっても必ず出てくるな、分かったな?」
その鋭い視線と気迫のこもる表情に私は息を飲むしかなかった。
「分かりました」

薄暗い大広間の真ん中に一人の人間の気配
そいつこそ、大帝国 の大頭
鬼道千閣だったのです。

「よお、一山久しぶりだなぁ?」

「ほっほ、久しぶりじゃのう」

「どうやら、影武者でもなく本物のようじゃな」

「貴様程の男に見分けがつかないわけなかろう、まあ確かに私の影武者は七人程いる、無論皆私と同じようにする為、片腕は斬り落とさせてもらっている、国中のそっくりな奴を見つけてなぁ」

「なんと、酷い」

「どうだ?私の提案のってくれるか?幹部の一人になることを?」

「ひとつ聞きたい、大帝国は今真堂丸君を追ってるらしいな?」

「ああ、あいつはこの城に乗り込み、ちょっと暴れすぎた」

「わしが幹部になると言ったら、止めてくれるかな?」

「んっ?知り合いか?そいつは、出来ない相談だな奴は私の顔に泥を塗った、この私に楯突いたからなぁ」

「鬼道よ、もうやめないかこんな事、人間を恐怖や力で支配して一体なにを得られるというんじゃ?今こそ」

「黙れ、私に意見する為に来たのか?」

一山は一筋の涙を流した
「今ならまだ戻って来れる友よ、残りの余生を共に笑って生きようじゃないかあの頃のように」

「次言ったら 殺す」

「もう、本当に駄目なのか?もう止まらないのか?」
一山は覚悟を決めた。
仕方ない、今ここで儂が奴を止めるしかない。

「殺気を見せたな友よ、私が一人でここにいると思うか?」

「ふっ、馬鹿を言うな 後ろの襖の奥から只ならぬ殺気を感じてるわ、しかしまさかこんなに幹部を集結させていたとはな、たいした、歓迎じゃ」

襖が開いたそこに立つのは全身を白で包んだ 十の影

「これは、圧巻 幹部十すべて集まるのは初なのだ友よ」

一山は確信した、いくら奴等が強いといえども、この距離がある 自分は殺されても、せめて鬼道の首くらいはとれる 出来ることなら二、三人でも幹部を倒しておきたい。
後は若い世代に任せるしかないのぅ。
真堂丸君すまんの、後は任せるやもしれぬ。
ここで、一人でも多く倒す。
まずは鬼道その首もらう。
凄まじい一撃だった。
壁の小さな隙間から見ていた私は完全に一山様の槍が鬼道を捉えたと。

だが、その直後に目にした光景はおおよそ信じ難い、また信じたくない光景でした。

キィン
「ばっ、ばかな」一山は信じられなかった。
こやつ、まさかあそこからここまでの距離をこの一瞬で。
そして私の槍を完全にみきっている
こいつぁ・・・・

「よぉ、一山さん あんたと一度やりたかったんだよ」

「ふっふっふ、骸とは奴の事だ一山、想像以上だったかな」鬼道は笑った。

襖の奥では
「あの野郎、強い奴だけには興味を示しやがる、こないだの一件私は許しちゃあないんだよ」女狐は睨み殺すような瞳を浮かべ不気味に笑っている。

「一山の命に興味もない、だがあの骸って野郎 とんでもない奴だな」それは蠅王蛇と呼ばれる幹部だった。
そいつは、薄ら笑いを浮かべた。

白い刃の一人雷獣は黙って見つめていた。

フゥーこりゃあ まいったのう 想像以上の手練れじゃな。

一山はポケットから即座に煙幕弾を放ち辺りは煙に包まれた。

「あーあー見えないが、ワシの葉を振ればたちまち視界はすぐ戻る」それは烏天狗。
葉を振りかざし煙は一瞬でなくなった。

「あれぇ、逃がしましたか」秀峰は何もせず見ていた。
そう実は秀峰は雷獣を見張っていたのだ。
一山は真堂丸の仲間
あの時の雷獣の行動、もしかしたらこいつもあいつらの仲間かも知れない。

「哀れよのう、一山 逃がさんぞ」
鬼道は立ち上がった。

「鬼道様、壁の後ろに一匹ネズミがいたようですが始末しますか?」

「ただの雑魚構わん放っておけ ソウファよ」

「御意」

キィン キィン キィン
外から刀のぶつかり合う音が
それは骸と一山の刀と槍が重なり合う音だった。

「あんなもんで俺から逃げられるとでも?それとも後ろにいた奴を逃がす為かな?」

「ふっ、ばれておったか」

キィン キィン

「それまでだ」
鬼道が降りてきた。
後ろにはすべての幹部が揃っている。

「お前は愚かだ、権力、金、名声すべてのものをくれてやるというのにどうして私の誘いを断わる?」

「ふっ、笑わすのぅ 儂はそんなものに変えられない己自身の心を選んだまでじゃ」

離れたところにいた誠は悔いていた。
自分のせいだ。
自分がここに居なければ一山様は逃げられたかもしれない、
私を逃がす為にすべてをあちらに引きつけてくれた。
誠は悔いた、自分が足を引っ張ってしまった。

「ほぉ、こころ? 私にもあるがお前とは正反対の答えをだしたがな」

一山の回りは幹部で取り囲まれた。

「しかし、私の腕をやられたまま、貴様を死なすのは少々気が納得せぬな。まるで、この私が敗北者のようだ」

「一騎打といこうかね」

回りは全身白い十もの影に囲まれ
その真ん中では遂に一山と鬼道の闘いが始まろうとしていた。

「一山様、あなたは勝っても負けても殺される、くそぅ、何とかならないのか」誠は歯をくいしばった。

「さあ、決着をつけようかね」

「いいだろう」一山は槍を構えた。

冷たい嫌な空気が流れる

「いくぞ」
決闘は静かに幕をあげた。


ゴゴゴオオオオオーーッ

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。 貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。 実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。 嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。 そして告げられたのは。 「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」 理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。 …はずだったが。 「やった!自由だ!」 夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。 これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが… これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。 生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。 縁を切ったはずが… 「生活費を負担してちょうだい」 「可愛い妹の為でしょ?」 手のひらを返すのだった。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

チートなタブレットを持って快適異世界生活

ちびすけ
ファンタジー
 勇者として召喚されたわけでもなく、神様のお告げがあったわけでもなく、トラックに轢かれたわけでもないのに、山崎健斗は突然十代半ばの少し幼い見た目の少年に転生していた。  この世界は魔法があるみたいだが、魔法を使うことが出来ないみたいだった。  しかし、手に持っていたタブレットの中に入っている『アプリ』のレベルを上げることによって、魔法を使う以上のことが出来るのに気付く。  ポイントを使ってアプリのレベルを上げ続ければ――ある意味チート。  しかし、そんなに簡単にレベルは上げられるはずもなく。  レベルを上げる毎に高くなるポイント(金額)にガクブルしつつ、地道に力を付けてお金を溜める努力をする。  そして――  掃除洗濯家事自炊が壊滅的な『暁』と言うパーティへ入り、美人エルフや綺麗なお姉さんの行動にドキドキしつつ、冒険者としてランクを上げたり魔法薬師と言う資格を取ったり、ハーネと言う可愛らしい魔獣を使役しながら、山崎健斗は快適生活を目指していく。 2024年1月4日まで毎日投稿。 (12月14日~31日まで深夜0時10分と朝8時10分、1日2回投稿となります。1月は1回投稿) 2019年第12回ファンタジー小説大賞「特別賞」受賞しました。 2020年1月に書籍化! 12月3巻発売 2021年6月4巻発売 7月コミカライズ1巻発売

【完結】地味令嬢の願いが叶う刻

白雨 音
恋愛
男爵令嬢クラリスは、地味で平凡な娘だ。 幼い頃より、両親から溺愛される、美しい姉ディオールと後継ぎである弟フィリップを羨ましく思っていた。 家族から愛されたい、認められたいと努めるも、都合良く使われるだけで、 いつしか、「家を出て愛する人と家庭を持ちたい」と願うようになっていた。 ある夜、伯爵家のパーティに出席する事が認められたが、意地悪な姉に笑い者にされてしまう。 庭でパーティが終わるのを待つクラリスに、思い掛けず、素敵な出会いがあった。 レオナール=ヴェルレーヌ伯爵子息___一目で恋に落ちるも、分不相応と諦めるしか無かった。 だが、一月後、驚く事に彼の方からクラリスに縁談の打診が来た。 喜ぶクラリスだったが、姉は「自分の方が相応しい」と言い出して…  異世界恋愛:短編(全16話) ※魔法要素無し。  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆ 

冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~

日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました! 小説家になろうにて先行公開中 https://ncode.syosetu.com/n5925iz/ 残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。 だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。 そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。 実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく! ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう! 彼女はむしろ喜んだ。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

可愛い僕の婚約者さま

一花カナウ
恋愛
僕の名前はアルフレッド・ダライアス。 幼馴染のテオドラ・マクダニエルズは僕の婚約者だ。 とっても可愛い伯爵令嬢の彼女だけれど、 どうも僕のことを異性として見ていないっぽい? いずれは必ず結婚する相手ではあるけど、 せっかくだから僕に恋してほしい! 僕はこんなに君を愛しているんだから‼︎ ※アルフレッド視点とテオドラ視点の両方が混在します。 ※小説家になろう、pixiv、カクヨムでも公開中

処理中です...