冬馬君の春と夏

だかずお

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ホテルに到着

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空港内でも蒸し暑い、しかしこの感じが何処か南国に来たようで気分はあがってしまう。

結局荷物は、後でホテルに届く事となり、スーツケースを持たずに一同はその場を後にする。(どんだけ軽装備で来た家族だと思われたかもしれない、まぁ誰も思ってもないだろうが)

「みんな旅行会社の人が送迎に来てくれてるから探してね」正子の言葉に辺りをキョロキョロ見回し、探し始める。

隆は緊張していた、日本語通じるかなぁと。
サーは思った、ちょっとうんち出そうだなぁと。

「あっ、あの人じゃないですか!」多網ママの見つけた人は、冬馬家と書かれていた白い紙を持っていた。

「トウバさん?トウバさん?」

「あっ、そうです」

「あれ、荷物は?」
すぐに彼等の荷物が異様に少ない事に気付いた。

「なんか手違いで、後から届くみたいなんですよ」
そんな隆の言葉を、三割くらいしか理解してなさそうだったが、彼は「ああ、そうですか、良かったです」と頷いた。
多分だが、いや間違いなくその相づち、分かってないだろう。

「車、こっち、あっち、そっちです」(どこじゃ)

どうでも良いがこの間、サーは右、左二回ほどキョロキョロしたそうな。

案内されたワゴン車にのりこむ一同。
「では、私の名前はバリャハムです、これからみなさんをホテルまで案内します。

「ようこそ、バリへ。みなさんにこれはウェルカムプレゼントです」それは木で出来た小さな人形。

「ありがとうございます、まぁ可愛い猫さん」正子の一言後でボソリとバリャハムは言った「ブタでした」

時刻は現在深夜の一時を過ぎている。
外は夜である(当たり前じゃあないか)時差ボケと許してやって欲しい。

車の中ワクワクしているのは子供達
「こんな夜中に外国の外に居るなんてなんか凄い、大人の女きみ子って感じ」瞳を輝かせながら、大人になったった、きみ子が言った。
アダルティきみと呼んで。

車の外
日本とは違う風景がそこには広がっていた。
「なんだか一昔前の日本を思い出す様な風景(どんな風景だかよ~分からん説明だが続けよう)」ちなみにサーが言った。

車は走る、初めてのバリ旅行に来た冬馬ファミリーを乗せ。
ホテルについて一同は声をあげる

「うひゃ~なにこれ~~!!!」

目の前には、頑張れば二人くらい入れそうな小さな家屋が。

「うっ、嘘だここがあのパンフレットのホテルなんて」隆は狐につままれた様な表情を浮かべる

「すみません、ちょっとおトイレ、ここホテルだったらウケタネ」そう言ってトイレに走って行くバリャハムさん。

びっくりしたぁ~

再び車は走り~の

ゲートが出てくる
入り口で警備員の人らしき人に挨拶され、そこを抜けると

「着きました」

「うきょおお~~~」

「良いホテルでしょ」隆が自信満々に言う(探しに探し、安くても泊まれる最高のホテルを探したのだ)

ドアや壁に囲まれてない外と一体化している、開放的なロビー
敷地内には5つ以上ものプール
朝食はバイキングとなるそうだ。

それを聞いた多網ときみ子はガッツポーズを決めた。
しゃ~~くうぜ~~!!!

「こりゃまた二人の爆食いが見れるね」冬馬君と大喜は笑う。

「じゃあ部屋はこちらです」
ホテルの人が案内してくれる。

「それじゃあ、帰りも私がここに向かいに来ます」

「よろしくお願いします」

バリャハムさんはいつまでも去らずにみんなを見ていた。

「良い人だったね」と冬馬君

サーと隆は思う、チップを待ってるんじゃないのか?
あのどことなく悲しげな瞳。
いくら払うんだ?と言うか、こっちの国の金まだ持ってない…
凄い気不味い顔をしながら二人はバリャハムさんから目をそらした。
背中に立つバリャハムさんは、まだ帰らずに立って冬馬家一同を見ている。
妙に背中の視線が突き刺さる様な気がした二人だったそうな。

「うわぁ~凄い」
部屋に行くまでにライトアップされたプールが皆を待ってくれていた。
この光景には、荷物が届かず、少し怒っていた正子も「うわぁ~凄い、最高~」と気分があがっていた。

部屋は二つ、本当は冬馬君と、大喜は正子と隆と同じ部屋だったのだが、多網ときみ子と離れるのが嫌で多網家の部屋に行ってしまった。

「ちょっと、二人共。こっちに来なさい」

「大丈夫ですよ、部屋も広いですし」とサーが言ってくれていた。

早速部屋を見て回る子供達
「見てみて、このお風呂まん丸で、四人入れる広さだよ」興奮気味に大喜は言った。

「うきょ~」

ベランダに出た きみ子はニヤリ
「森に囲まれてる」

「はきょ~」

「稲川淳二、聴くにはもってこい」多網のその発言に一同笑う。

サーは思ふ、バリに来ても稲川淳二聴くのかぁ~と。

こうして夜中と言うのと、飛行機の長旅の疲れもあり、その日はすぐに眠りについた。

翌朝、冬馬君は驚く。
何故なら聞いたことのない鳥達の鳴き声で目が覚めたからだ。
「凄い、なんだかアマゾンにでも来てる様な朝の始まり」

大喜、多網も目を覚ました様だ。
「すごいね、ジャングルの中で過ごしてるみたい」

明るくなった外の景色をまだ見てない三人は、ベランダに一斉に飛び出した。
周りは木々に囲まれている。
「凄い~~つ」

どうやらきみ子も起きてきた。
「みんな、ついに始まったね」

「ひやっほ~」

ああ旅行、なんて素晴らしいんだろう。
知らない土地に、気の許せる人達と来れる、最高の瞬間の一つだ。

大人達も、やはり嬉しいからか、早くから目を覚まし始める
「うわぁ~凄い鳥の鳴き声だなぁ」サーも嬉しそうである。

はっとした表情を浮かべた、多網ときみ子は、突如腕立て伏せを始める。
冬馬君達はすぐに気付いた、食べ放題の為にお腹空かせるいつものあれだと。

するとサーが「みんな朝食まで時間あるし、少しホテルの中散歩にでも行く?」

「うきょ~もっちのろ~~ん」

エレベーターにのり1階に降りる、全部で三階建てのようで冬馬君たちは三階だった。
「結構ホテルの敷地広いみたいだよ、テニスコートとか、フィットネスもあるんだって」

サーの言葉に驚く子供達「凄いっ、なんと贅沢なホテル」

するとスタッフの人が掃除をしていた。
挨拶しなきゃと焦るサーは笑顔を浮かべ、尻に力を入れて言ってみた。
「グッ、グッドも~にング」

「グッモーニング」優しい笑顔とともに返ってくる。

「すっ、凄いねサー英語ぺらぺらだね」と大喜の言葉に(ただ、挨拶しただけだが)、男は自身の自画像が輝いた気がして誇らしく思った。
僕ってイカしてる!!

「あっ、プールだ」

「見て、あれ凄いよ」冬馬君の指差す先には、なんとプールの中にバーカウンターがあるではないか。
プールに入りながら飲めるんだ。
テンションの上がりまくる一同
広い敷地は森に囲まれ、プールも五つある。

「あっ、後でここに朝食食べに来るんだよ」
サーの言葉に目を輝かした腹ペコタイガーズ(多網ときみ子)
既に準備は始まっており、良い香りが、辺りに漂っている。
散歩を続け、端まで来た時、一同は声をあげた。

「うひゃあ~~~~」

なんと、目の前に広がるのは海
ホテルの横はすぐ海だったのだ。
そして、その海の横にもプールがあり、海を眺めながらプールに入れる様になっているのだ、そこにもバーカウンターがあった。

「後で絶対ここ来よう」冬馬君が言った。
「賛成~~」
部屋に戻った一同、テンションマックス
支度を終え、早速、みんなで朝食食べ放題ブュッフェに向かう。

席につくと。
物凄いスピードで多網ときみ子は走り去って行った。

「二人やばいね、全種類食べるつもりじゃない」

「でも、さすがにこの種類の量、二人でも無理だよ」

ブュッフェは種類豊富で沢山の料理が並べられている。
冬馬君達も早速出陣。

「凄い、日本食まである」手巻き寿司と日本式カレーと書かれた札に喜ぶ隆

サーは眼鏡をくいっと上げ、とりあえず、ゆで卵を最初に取ったそうな。

冬馬君と大喜が席に戻って来ても、一向に戻らない多網ときみ子
冬馬君は思った、どれだけよそって来るんだと。

暫くして二匹のハングリータイガーズは、両手にいっぱいの料理が乗っかった皿を持ち歩き戻って来た。
うっれしそ~な顔はまるで仏の如し。
そして、食す、食す、食す。

「ありがとう~食事」と言って、無心に食べる二人の姿にワロタ。

食事を終え、一旦部屋に戻り。

「今日はどうします?」サーが隆に聞いた。

「時間もあるし、この辺を歩いたりしたりして観光でもしましょうか?」

と言う事で、今日はホテルの周りを散策する事となる。
ホテルはバリの市街地にあり、メイン通りなどを歩く事に決まった。

ここから隆とサーのテンパる姿が爆発する事となる。

しかし、ここで奴からの一言がある

ふざけんなよ、あたちの出番が全然無かったじゃないの!!
そう怒れるオナゴ多美である。

彼女は声にならない声をあげた

「ちゃ~~~~~~~~~~~~っ」

以上


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