tukumo 短編集

ヤモリ

　夏も本番と来ました８月、六畳一間に住まう蝿トリ蜘蛛の姿が見当たらない日が続いていたある日。


「ふふーんららら～♪ん？おお！ヤモリ！」

　鼻歌交じりに皿洗いし、風呂場の換気をしようと扉を開けたら全長５cmはあろうヤモリの姿。

「こやつめ、さては蝿トリ蜘蛛を喰らうたな？」

　ここ最近の蜘蛛の現象はヤモリであったかなら仕方あるまい。

　蜘蛛もヤモリも我が家を守る生態である。

　自然界に干渉せずただ見守るのも調和になる故に静観。

「しかし、こやつが現れたということは産卵期も居るのだろうか？」

　それは構わないが私の家は冬場は山中のように過酷だ何せ暖房器具を一切使わぬしこのボロ屋は隙間風がすごく過酷だろう。


「まあ自然界よりはこのボロ屋は過ごしやすいか」


　静観する。また来年も色んな生き物が訪れるのであろうか

「今年も色んな生き物が来訪したが百足は見てないなあ？」


　最近百足の素焼きというものを旨そうに食べる配信者を見て食べたくなったのだがこういう時に見つけられないものだ。