tukumo 短編集

殿中でごさる！

　平日の昼過ぎ午後の授業をうつらうつらと聞いていると「一郎ーーーっ！」「わあーーーっ！！逃げろー！」突如と女子のけたたましき怒号と他生徒の悲鳴とともに廊下が騒がしい。

「なんだ？」
　なんせ一郎って俺だしね今の怒号の主は俺の幼なじみの立花だろうな。
　
　…なんて思ったのも束の間彼女は俺の教室に入ったかと思えば包丁を握りしめまっすぐ俺の方に直進してくるんだもの。

「一郎！死ね！あんたが死んだら私も死ぬ！」

「え、また？殿中でごさる！殿中でごさる！」


　こんな事がしばしばおこるんだもの流石に誰かこいつを成敗してくれねぇかな…
　
　はっきりいってこいつのキレるところが未知数であって地雷はもう此処彼処にあるわけで回避する方法なんてこいつのヒスった時に思い切り楽しみながら死を回避する事しか無いわけよ。


「くっ！いい加減刺されなさいよ！」

「すまん俺、まだまだやることあるから死ねないしあとお前を精神病院に送らないと行けないから」


「きえええええっ！」


　あ、完全に自我を失った…やっぱりなにかに取り憑かれてないか？


「あ、センセー！立花さんを抑えておくので１１０番お願いしますあと、親御さんにも連絡を」


「あ、うん…いやもう通報したけどね随分手慣れたねぇ一郎君。何故きみは被害届を出さないのか甚だ疑問なんだが」


　それはだって…

「被害届出したらこいつ人間やめますよ絶対」


　なんかそんな気がして怖いから現状維持なのである。