tukumo 短編集

現代の垢舐め

　ｸﾞｰｷｭﾙﾙﾙｰ…

「はぁお腹空いたさねぇ…」

　どうも垢舐めです。名前はありませんわちきは妖怪垢舐めと申します。
　文字通りこびりついた垢を舐めて腹を満たしている妖怪ですが最近の人間界の浴槽や壁や食器や洗い場然り全て科学物質とやらが混じった垢で不味くて身体が拒否反応をおこしました。


　ほんの百年前なら天然の垢が舐め放題だったのに…でもわちきはまだ住み慣れたこの地域を転々として垢を頂戴しております。


　わちきら妖怪って防犯カメラにはばっちし映っちまうようで…勝手にサウナや民家や垢が多そうな駅のトイレまで意外と潜入しずらいのです…


　そこで、さっき電柱でバイト募集のチラシを見かけたのですが…もしかしたらわちき食いっぱぐれないかもしれないんです。

　とりあえず面接してきます。




　ー数日後ー

「いらっしゃいましー！」

「14時に予約をいれたんですが…」

「お待ちしておりました！ささ、横になってくださいまし！あ、脱いで貰ってはい、ではオイルを濡らせて貰いますねぇ」


　(はーﾚﾛﾚﾛﾚﾛまさか腹を満たせてお給金も頂戴できる転職が見つかるなんて世の中解らないものさねぇ美味い…このおなごなんたる美味！)


「流石噂の垢擦り名人さんですね！また使命します！」


「ﾚッれ、れひぃ！」



　－完ー