上 下
9 / 16
第一章 クッキング無双への一歩

爺さんの孫

しおりを挟む
 さてやってきました俺等の畑!
「取り敢えずダラル爺さんに顔を出しとくかあ」
 
 爺さんを探すといっても同じ土地が区別されただけだからこの畑の何処かにいる筈‥「!?」
 広大な畑の中農具やらを収納する小屋の前で俺より歳上のお姉さんが倒れていた
「もし、もし!大丈夫ですか?俺の声は聞こえますか?」取り敢えず脈をとる
「‥脈はある、脈拍も異常なしだが大量の汗あれこれって日射病かな」
「マスターこの方はどうやら脱水状態デス」

 なるほろ?「じゃあ聖なる雨ホーリーレイン!!」お姉さんの口元に大量の聖なる雨ホーリーレインを流し込む

「‥!?ゴボゴボ‥プハッ殺す気か!」
「げぼら!?」腹に的確な正拳突きが繰り出された「うおお‥助けたのに酷いや!」
 まだ痛いや‥

「マスター、この無礼な女処しマスか?」
「いや、俺が悪いところもあるから処さないで木陰に運んで休ませてあげて」

「yesmyMaster!」そういうとβはお姉さんを近くのレモンの実のなる木陰に運んでいく

 承諾するとええ発音するんか‥

「どうですか少しは体調の方は良くなりましたか?」

「ええ、感謝するわこんな畑ばかりの辺境で死んだら都会の女として大恥晒す事になるもの!」

 言葉には謹みたまえよ?若干の苛立ちを押さえつつ何で農具収納小屋の前で倒れていたのか聞く

「お母さんがお爺ちゃんの様子を見に行けってうるさくてね定期的に寄越してくる手紙が途絶えたから私がこんな暑い中わざわざ様子を見に来てあげたのに何処にもいないのよ!」

 ムキ~ッと叫ぶこのお姉さんはダラル爺さんのお孫さんだったんか‥可愛くねえなあ思春期なのかな

「おーいシモツキどしたんだそんなところで今日は来るの遅かったのう!」

 お、噂をすれば「おい、爺さんにお客さんがいらしてるよ~」

 あれ、爺さん少し肉付きがよくなった‥?

「‥なんじゃカネリがなんで此処におるんじゃ、自称都会派のお嬢様(笑)になったから二度とお爺ちゃん処にいかないなんて言っておったのに」

「爺さんのお孫さん大分拗らせてるね?」

「し、失礼ね!私は完璧に都会に染まった貴族候補よ!」

「いい男は見つけたんか?しっかり飯は食っとるか?あ、儂暫くお前らに手紙寄越してなかったなすまんなあ畑作に夢中でなあ」

 うーんいきいきしてるねぇ

「はあ?よ、よけいな御世話よ!というかお爺ちゃんの畑って特に育つものない程荒れ地みたいな場所だったじゃない、それなのに来てみたら何よこれ!環境が変わりすぎよ!なんで草木が生い茂ってるの?」

「それはのう儂の畑の一部を買い取ったこやつのお陰じゃよ!」
 どや顔の爺さん喜んで貰えてなりよりだよ

「まあ詳しく話すとかくかくしかじかまるまるうまうまでダラル爺さんの畑は復活したんですよ」

「そう!そしてもう少しで最高傑作の野菜が大会に出品できそうでな本腰をいれておってなシモツキ!儂が勝つぞ!」

「はっはっはっ面白い冗句を言うじゃない爺さん、俺の方の畑は一からコツコツ改善させたんだ負けるかよ」

「「負けないぜ!!」」

 俺たちがキャッキャウフフしていると爺さんの孫が喚く

「お爺ちゃん!さっきの話が本当なら今相当稼いでるの?」

「うむ、まあ今月分はシモツキが買い取った畑の一部と復活した作物を売ったら白金貨2枚くらいにはなったのう?」

 この国で白金貨2枚は5人家族を3年は働かず養って暮らしていける額ではある

「‥爺さんそんなほいほいお金の話はいくら身内でもしちゃいけねえよほら、お孫さんの顔をみてみなよ見事に金に魅とれてる表情してるじゃない」

「カネリ?金欠かどうか知らんが小遣いはやらんぞおまえ最近帝都で飲み代のツケを踏み倒しては出禁を繰り返しているそうじゃないか」

「ファッ!?何故お爺ちゃんが知ってるのよ?」

「儂の農業仲間の情報網は凄いんじゃよ?」

「あーそうだよね爺さん達の情報網は将軍さんのお墨付きだもんねぇ」

 たまに兵士さん等の不祥事なんかも此処等の農家の情報網から将軍の耳に届くくらいだし

「うぅ‥田舎舐めてた、お爺ぢゃんっ!!せめて割りのいいバイト紹介じでぇよおぉッ」

 ガチ泣きだと‥!?

「それならシモツキに口利きして貰うのがええぞなんか新しい商売やってるんじゃろう?そこで働かせてやってくんねえか?頼む!儂も孫がまともに構成して貰いたいんじゃ!!」

 いや確かに俺なら何かしら伝手もあるしお金には困ってないから雇う‥ん?そういえば

「嗚呼だったら俺の妹の助手として雇って貰えばいいんじゃない?」

「いや‥儂の孫を治験モルモットにさせるのはどうなのかな複雑じゃよ?」

「それって稼げるのかしら?」

「以前妹が助手が欲しいっていってた時には確か一回の治験で金貨三枚の報酬‥「やるわ!!」そう?妹も喜んでくれますよ」

「待て待て待て‥儂はできればシモツキ、お前さんの元で働かせて貰いたいんじゃが」

「ごめんね実は妹から俺のサポート約としてオリハルコン製ゴーレムのβを譲り受けてさこいつが優秀すぎるから雇用募集はしてないの」

「お褒め頂き感謝ノキワミデございマス」

「この全身鎧か、オリハルコンでできたゴーレムて‥贅沢じゃなあいや凄いんじゃよ凄いけども流石に孫をおぬしのマッドサイエンティストに雇用して貰うのもなあ‥(命の危機含め)心配なんじゃよなあ‥」

「アッハッハッお爺ちゃん心配し過ぎよ~♪だって一回で金貨三枚の報酬だよ?こんなおいしいことはやるしかないじゃない♪」

「ハアッなんで儂の孫はバカなんじゃろう」

 ごめんね俺も同意見だけれど妹の贄になってもらうっきゃないよね?


「まあまあ取り敢えず俺、草むしりと少し追肥したらギルドに行くんだけれどその前に家に寄って妹に紹介するので休んでいてくれます?数分で終わらせてきますので‥」

「マスター実は草むしりハ私が全テ終わらせマシタ」

「おお!助かったよ!ご苦労様。じゃあ追肥‥土壌はまだ此のままでも良さそうだな下手に追肥したら作物が病に侵される‥では、カネリさんでしたよね?ご案内致しましょう」

「頼むわ~♪お爺ちゃん暫くこの人の妹さんの元で荒稼ぎしてから帰るからお母さんに手紙送っておいて!じゃあバイバイ~♪」

 俺とβ、金欠で大金に眼が眩んだダラル爺さんの孫カネリさんと家路へ向かう



「儂は畑作に集中するかのう‥少し痛い目みて成長するだろうしのう」

 それはショック療法‥もとい矯正に近いやり方ではあるが構成には持ってこいだろう



 ~実家地下実験室~

「おーい」「あれお帰り!お兄ちゃん結構早く帰ってきたね其方の方は?」

「かくかくしかじかでな此処でお前の治験や助手として働かしてあげて欲しいんだ」

 妹はとてもとても眩い笑顔を放った!

「本当!?それは勿論雇うよ~カネリさんよろしく!」

「はい宜しくです!私雇われの身なのでタメで全然お願いします~先生!」

「先生‥」カネリさんごますり上手いなあ妹が普段とは全く違うネットリ笑顔で俺はこの先に起こるであろう事態を予測して静かに祈った


「じゃあ俺とβはギルドで精算して市場で買い物してくるから」

「「いってらっしゃい」」

 この家がまた賑やかになるんだなと思うと親父やお袋との思い出を振り返り少し黄昏つつもギルドに向かった



 ~フキのギルド受付~

「はいシモツキ様今回の緊急クエスト此方報酬金額の金貨20枚銀貨5枚銅貨35枚ですお確かめください」

「確かに」「また緊急クエストがございましたらご協力願います」

「ハハッ‥平和が続くことが一番ですがね」

 俺はギルトを後にする


 ~帝都市場~

「なあ、β?此処等で大きな魚介類の特売がやっていてなあそこの店のブタマグロと魔王イカ買うから荷物持ち手伝ってくれる?」

「yesmyMaster!」‥ええ発音や


 俺たちは夕飯の買い出しを終えたので家路へ向かう昼はどうしたかって?
 俺は朝方迄実験に付き合って遅めの朝食とったから抜いた。βは基本空気中に漂う魔素で活動できるし妹は俺が留守の間は作り置きを食べてくれるからもんだいなっしんぐである



 ~自宅~

「ただいま~」

「お兄ちゃんお帰り!」

「お帰りなさい‥」だいぶやつれたカネリさん

「今夜は海鮮料理だからなあ夕御飯楽しみにしてなよ~♪」


 カネリさんがβを見てぎょっとした

「あのう‥シモツキさん?」

 俺にも敬語遣われるとなんだかむず痒いのは何故だろうか「はいはいどうしました?」

「あの、ゴーレムが担いでいらっしゃるのって高級食材のブタマグロと魔王イカですか?」

「そうですねちょっと奮発して丸々買ってしまいました荷物持ちがおりますしその他荷物はマジックリングの空間に詰め込めばいいんで楽チンですよ」
 マジックリングも便利なんだけれどβが持ってくれるならそうしようと思ったのはありったけの魔力を注ぎ込まれたから使わないと損した気持ちになると思ったのは内緒


「そ、そんな高級食材を私も口にしても宜しいので?」

「勿論、皆で食べましょうよカネリさんは特に妹の助手として相当HPとMPを使う事になるので俺のスキル付与であらゆるバフと自動回復、自動蘇生なんかも付与して丁寧に真心込めて美味しい料理を作ります」


「やった!有り難うございます!!(くふふたった数時間の治験で何回か死にかけたけれど賄い付きでしかも高級食材も食べられるわ住み込みできるのはそこらのバイトでちまちま働くより美味しいバイトよ!さあ私、あの地獄を耐えれば欲しかった物が沢山買えるわさて頑張るわよ!)」


 ‥なんか気色悪い笑みを浮かべながらぶつぶつ独り言いっているけれどまあいいや夕飯の支度をせねば「β、夕飯の支度を手伝ってくれる?」

「はい、畏まりマシタ」

 あ、そこはyesmyMaster!じゃないんだ‥
 ちょっぴりしょんぼりしたちゃった



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エルフで聖女で転生者

もぶぞう
ファンタジー
シャルテはエルフの里でも変わった子だった。 3歳になった頃には転生者であると気が付いた。 5歳になると創造神を名乗る声が聞こえ、聖女になれと言われた。 設定盛り過ぎと文句を言えば知らんと返された。 聖女のお仕事はあまりしません。 登場する地名・人名その他、実在であろうと非実在であろうと諸々無関係です。

義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。 貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。 実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。 嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。 そして告げられたのは。 「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」 理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。 …はずだったが。 「やった!自由だ!」 夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。 これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが… これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。 生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。 縁を切ったはずが… 「生活費を負担してちょうだい」 「可愛い妹の為でしょ?」 手のひらを返すのだった。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

【完結】王子妃になりたくないと願ったら純潔を散らされました

ユユ
恋愛
毎夜天使が私を犯す。 それは王家から婚約の打診があったときから 始まった。 体の弱い父を領地で支えながら暮らす母。 2人は私の異変に気付くこともない。 こんなこと誰にも言えない。 彼の支配から逃れなくてはならないのに 侯爵家のキングは私を放さない。 * 作り話です

【完結】聖女が世界を呪う時

リオール
恋愛
【聖女が世界を呪う時】 国にいいように使われている聖女が、突如いわれなき罪で処刑を言い渡される その時聖女は終わりを与える神に感謝し、自分に冷たい世界を呪う ※約一万文字のショートショートです ※他サイトでも掲載中

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす

リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」  夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。  後に夫から聞かされた衝撃の事実。  アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。 ※シリアスです。 ※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。

処理中です...