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第一章 クッキング無双への一歩

知ってた

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 夕暮れ過ぎて来たころようやく帰宅

「ただいま~」「お帰り遅かったねお兄ちゃん」

「すまんすまんちょっと姫様のお花を癒していたら遅くなっちゃって‥今すぐ作るから夕飯の前に風呂に入ってきなさい」

「はーい」

 こういう時間ないときの為に乾物や冷凍食材は助かる我が家の魔力倉庫は冷凍も可能だから腐った食材なんぞ出さず新鮮な食材を余すことなく使いたい俺にはこの新鮮のまま冷凍してくれる技術は有難い

「できた」

「お兄ちゃんお腹減った~」

「丁度出来たところだほら、今夜はキラービーの蜜を隠し味に使ったオーク肉のストロガノフだ」

「やったー!お兄ちゃんが冒険者になってから高級な食材が食卓に並ぶこと増えたよね」

「実際クエスト中に採集、狩りでとった物だからタダだし、冒険者になって良かったと思うよ」

「それは私もお兄ちゃんの得意分野が生かされているからうれしいなあ‥ん!美味しい!!」

 ふふ頬張る姿の妹も愛らしい

「そういえば今朝貰った魔力MPをグンとあげる薬のおかげで早速新しい魔法覚えてさ試しにダラル爺さんの処で使ってみたらさ泣いて喜ばれてさ、城内で姫様の薔薇にも使用したら帝王様がなんか魔石で忍びアサシンの(投影)を使用して喜んでいたよ‥隣国から譲り受けたとかなんとかそういうのお前も作れそうじゃない?あ、地下室は今度設計図が送られてくるから二人で吟味してから発注しよう」


 モグモグもりもりと食べる妹に今日の出来事をざっくりと話した
 このストロガノフ良いできだ‥また作るか


「ねえその新しい魔法ってどんな効果があるの?」

 取り敢えず一番変化が解り易くて印象に残ったダラル爺さん畑の時の話をした

「へえ、雨を降らして土壌や作物を蘇らせる、強くさせる‥お兄ちゃんそれ人にも使用したら回復に蘇生、その他強化バフが付く万能魔法なのかも!」

「そういえばまだ人には使ってないなあ今日初めてで覚えたてだし?」 

 そういうや否や「よし、じゃあお兄ちゃん実験しよう最近亡くなった人が墓地に数名は埋葬されているはずだから行こう!」

「え、今から?」
「うん、今!ついでに帝王様が使ったっていう魔石ね実は似たようなの前に作ったからそれも墓地で試してみよう!」

「ええ、もう夜だよ?正直寝たい」

「もし付き合ってくれたら地下室にお兄ちゃん専用の貯蔵庫、解体場を受注して貰っていいし、なんなら私の錬金術で最近手に入れたドラゴンの牙とオリハルコンとアダマンタイトの包丁も造ってあげるよ?」

「なにしてんだ行くぞ!」

「そうこなくちゃあ!」



 日が昇るまでに計30名の老若男女を蘇らせ、巷の教会にしつこく勧誘されるようになってしまったがクエストなら受けると約束したらダラル爺さんから聞いたのであろう農家さん達からも俺指名のクエストが大量に発注された



 ~時は昨日シモツキが家に着いた頃に遡る~


 フキのギルドはクエスト終わりの冒険者達が併設されたbarで飲めや歌えやで賑わってきた

 ドカン!そこに勢いよくドア蹴破り血走った宰相が叫ぶ「カリノス殿!カリノスギルド所長緊急ですちょっと早くゼェゼエ」

 回りはぽかんと開いた口が塞がらない

 受付カウンター奥の控え室からカリノス所長がやってきた

「ちょっとぉーッ!宰相殿ドア弁償してくださいよ?ああ、君たちすまないね‥ビックリしただろう。宰相殿はお疲れのようだ、皆構わず飲んでくれ!ああ、君たちは定時だし、今日は帰っていいよ」

 冒険者達はなんだ?知らねえといつものばか騒ぎに戻る。
 受付嬢達はいそいそと帰宅した。

「まあだいたい察しはつきますが‥一応込み合った話しになるんだろうし、応接間へ」



 ~応接室~

「‥であるからして、シモツキ殿が超危険な事になっております。このままではなんやかんや完全に外堀埋められ、本丸のシモツキ殿は姫様に拐われますぞ!」

「‥‥宰相殿、私だってその事態は把握しておりますよ。だって、先程ギルドにも帝王様と姫様がこられまして、宣戦布告のような感じで言いたいこと言ったらあっちゅうまに帰られましたよ‥」

「‥遅かったか」

「いえ、宰相殿、、、あのシモツキ殿がそう簡単になびきませんよ?まだ知り合って間もないですがあの子は掴み所無いところもありますし、つーかなにかと理由付けて基本食材や妹君辺りの関連しか考えてない男ですよ?」

「‥‥‥そういえば、シモツキ殿は妹君を溺愛しておりますね。もしやシモツキ殿を知っている方は皆御存じなのでは?」

 所長は深く頷いた

「皆、知ってた‥というか末端の兵士でも知っていると将軍殿から聞いてましたが?」

「そうでしたか‥では取り敢えず私はあの阿呆帝王様の手綱を握り直し最悪お妃様にも御協力して貰います。」

「それが得策かと後、私からも宰相殿の有給の件はお妃様の方へ懇願しておきますその方が確実に休暇が取れるでしょう」

「カリノス殿!感謝してもしきれません!」

 ブワッと涙が溢れ墜ちる宰相さんよっぽど休みが欲しかったのだと、カリノスは納得しながら言う

「まあ、ドアの弁償が先ですね」

「はい‥申し訳ない」

 宰相さんは、弁償代金を懐から出した



 2日後‥カリノスの口利きで妃様に帝王様はみっちり絞られ、
「宰相がおらんと余も手が回らんのだ」と駄々をこね、結果(宰相殿は本当に仕事が出来るから渋々と2年間無休の贖罪として)有給二週間の消化を許された。当の宰相殿は「2週間でやつれた精神をおもいっきり休ませて、また帝王様を絞りに戻って参ります!」と云い放ちそして、2週間で完璧ないつものできる宰相に戻り、、今日もサボる帝王を回収しに時には、切れ味の良い返しで帝王をメンタルブレイクさせたりと、いつもの日常と化した。




 因みに俺は、2週間と数日間‥緊急クエストやFランククエスト、俺個人へ指名クエストを黙々とこなして、合間に料理の研究、ダラル爺さんと駄弁ったり、畑で作業したり‥最近完成した地下室で、約束通り設置した専用の貯蔵庫にレアな材料を貯めておき、、、
 妹作成の素材がレアで贅沢な貴重品なだけあり恐いくらい良く切れる包丁を手に、討伐で手に入れた魔物食材を、普段の肉切り包丁より早く精肉へとできるため‥
 恐ろしく切れ味の良いこの包丁は、その場の解体用にやがて使用され、地下では精肉になったものをありとあらゆる加工に重視した。

 そこで造られるソーセージや合挽き系の肉は余ったら市場で販売も始めたところ大成功。

 帝都の町の飲食店でも卸す事に成る程人気になったが、妹との食事を優先しているため、
 余程狩って余らない限り出回らないため、高値で取り引きされるようになっているが幾らだしても購入してくれるのでまあ、いいか。
 余った食材が売れて消費してくれるし、俺の懐にお金が入るなら‥


 俺は取り敢えず妹の通う魔法学校への寄付金を増額し、さらには新しい調理器具や、快適な野営グッズも一式揃えられ、、、
 
 なんと、親父とお袋の墓も立派に建て直しができたんだ。

 ~フキのギルド~

「所長、話しとは何でしょうか?」

 現在、クエストを終え清算し終わったところでカリノス所長に呼び止められた。

 応接室に対面で座っている。

「うん、君をDランクに昇格させることになったおめでとう。はい、新しい色のドッグタグ」

 淡い‥青空のようなドッグタグを受けとる。

「いや、いきなりDランクに昇格ですか?それにこんなにあっさりと‥」
 
 なんか、思ってたんとちゃうなあ

「君ねえ?活躍が凄すぎるの。クエストは指名も多いし、いつの間に始めた商売も成功していて‥たまに此方から、緊急のクエストも依頼したら難なく済ましてくるし、他の冒険者からね?お願いだからDランクくらいまで昇格してやれと。彼らも同じEやFランク辺りだと、君と同等のクエストくらいやれると錯覚しそうになるんだと‥」 

 把握‥


「それは、受け止めるしかありませんね。Dランク冒険者としても頑張ります!」

 おれがそういうと、所長は安堵したため息を吐いた、、

「良かったよ、これでまだFランクで~だとか、Eランクから‥とか言ったら今度こそ、現役のE~Fランク冒険者の中から勘違いして死人が出るからね‥まあ、まだ死んだばかりなら君に頼めば生き返せるけどさ。」

 そのジョークには、笑ってはいけないよな‥

「では、そろそろ帰ります。夕食の支度に、妹の実験に付き合わないといけないので。今から体力温存しないと俺の命が危ういので‥」


「私もあれだけれど‥君んとこもなかなか殺伐というか、ナチュラルにデッドオアアライブな日常だよねぇ‥」

「まあ、もう物心ついたときから妹の実験に付き合っていたので‥今はそんなに死にかけないくらい耐性はついてるかと、、」

「そんなこと言ってきみ、先週ギルド此処に顔だしたとき髪がボンバーヘッドだったし、服装ズタボロだったじゃないか‥」

「あー‥いま市場に出回っている人気商品、飲めば爆発的に、強くなる。強化剤(ボンバーHey!!!)の商品名は、そこから来てるんですよ‥」

「あれ、そういう‥キミの尊い犠牲のお蔭で、我々職員の定期的に行われる会議のお供に愛飲させて貰っているよ、、」 


「それはどうも、妹にも伝えておきます。」


「そうだ、忘れるところだったよ!丁度、2週間後の17時に、城内宮廷で姫様の誕生日会だから、プレゼントの件宜しくね?当日私らがきみの家に迎えに行くから、舌を唸らせるようなスイーツを食べてもらって、胃袋もがっちり掴んじゃいなよw」

 まあ、姫様の胃袋掴んどけばなにかと、あとになって有利になるのかな?

「とって置きの作りますよ!もうなにを作ろうかは考えてあるし、材料も揃っていますので‥」

「そうか、それを聞いて私は2週間優雅に紅茶でも飲んで仕事ができそうだ‥」

 ストレスだったのね、解らんでもないけども

「では、今度こそ本当に失礼します。」

 ギルドを後にした、ちょっと時間おしてるな‥
 俺は早歩きで家路につく。

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