上 下
43 / 59

冬に備えて

しおりを挟む
「おーい!そこの異国人に変な男~!」

 んあ?誰が変だべ?

「いやいや、あんただよなんでこんな肌寒いのに褌一丁に薄い羽織のみなんだい?」

 いやあ動いていると結構熱くなるんだべ?

「はあ…まあ良い、それよりあんたらこれから何処に向かうんだい?」

 ええと此処から西に向かって川を渡ったところに最近大きな町が出来たってんで見学がてら買い物をしようかと思ってるんだべ。


「嗚呼…あの町か、しっかしあの町のちょいと前に関所が二つもあってな?兄さん達手形か通行料は持ってんのかい?」


 え、関所があるんだべか?しかも二つも!?


「知らなかったのかい、一ヵ所目の関所はまあちと遠回りすればなんとかなるがその次に待ち構えとる関所の警備はやたら多いんだよ」


 ほう?町が近いから護りもしっかりしてんだべなあ~

「いいや、違う…なんでもとある咎人を血眼で探していて必ず通ると予想して最近急遽構えたんだよ。」


 へぇその咎人はいってえ何をしでかしたんだべ?


「それがおいらも他人からの又聞きだがな?つい先日に近場で合戦があったろ?そこで馬鹿でけぇ鬼と裸装備の武者が金品かっさらっていってな、お陰で勝利した軍勢の足軽達への褒美が無しになったとかでそいつらを捕らえろって話らしいぜ。」


 ほう?鬼と裸装備の武者?

「そういや御前さん達何処かで…」


 おい、居候よ逃げるぞ!

「ーー?…!!コクンッ」


「あ!咎人って御前さん達じゃないか?その佩いてる太刀だって手配書に記されていたし!」


「なんだあ?どうした」

「お、銀太!例の鬼と裸装備の武者だ!捕まえるぞ!!」

「な!おいおい報酬がたんまり貰えるぞ!おーいみんな!!」


 ぬぅ…とりあえずおら達の住まう領地へ逃げるべ!

「ーー!」

 いつの間に馬を掻っ払ってきたのやら知らんが助かったよ!良くやったべ!


「ーーフフッ」

 よし、しっかり捕まってるだよ!


 ヒーンッ「うおおおおっ!」

 パカラッパカラッ…


「あー!お城に献上する馬が!おい、お前ら一旦長老呼んでこい!そっちに居る奴らは馬を集めて追うぞ!」


「はい!」



 おらは失念していた調子に乗ってつい盗りすぎてしもうた

 足軽や下っ端の武士は戦が終わってからが唯一の報酬だとも云えるのに…


 まあ、次から気を付けるべ取り敢えず今は領地安全地帯へ逃げ込むのが先決だべ




 こうして、華麗に逃走してみせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

御神楽《怪奇》探偵事務所

姫宮未調
キャラ文芸
女探偵?・御神楽菖蒲と助手にされた男子高校生・咲良優多のハチャメチャ怪奇コメディ ※変態イケメン執事がもれなくついてきます※ 怪奇×ホラー×コメディ×16禁×ラブコメ 主人公は優多(* ̄∇ ̄)ノ

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田
キャラ文芸
 等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。 【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。 【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

あの世とこの世の狭間にて!

みーやん
キャラ文芸
「狭間店」というカフェがあるのをご存知でしょうか。 そのカフェではあの世とこの世どちらの悩み相談を受け付けているという… 時には彷徨う霊、ある時にはこの世の人、 またある時には動物… そのカフェには悩みを持つものにしか辿り着けないという。 このお話はそんなカフェの物語である…

処理中です...