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第二章

25.【慟哭⑧】

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「それはHFMD……手足口病かもしれないね。今も他の子たちと一緒に?」
「あ、いえ、別室で休ませてます。一緒だとうるさくて眠れないと思うから……あはは」

 ジャスパーさんに訊かれて、私は苦笑しながら答える。

 彼に訊いてみたのは、今朝から熱を出しているコーディの病気についてだ。
 熱や風邪をひくこと自体は珍しくないけれど、口や手に赤いブツブツができていて、それが妙に痛々しかったのだ。

 子供たちについて話すついでに相談してよかった。
 話を聞けば、彼は元々医者だったらしい。
 
 それが300年前――人類末期の時代にはその医療知識も必要とされなくなり、教会に身を寄せたそうだ。
 その時代のことに関して、私はティアたちからほんの少ししか教えられていない。そもそもその時代の歴史がデータとして残っていないんですって。

 知っているのは、宇宙規模の戦争があったことと、人類を滅亡に追い込むほどの厄災があったことだけ。

 ジャスパーさんが医者として必要とされなくなったのも、彼の話しぶりからしてその厄災が原因なんだろうと思う。

 いったい何があったんだろう?

 けれど、『今』について楽しそうに話す彼やレインさんに、そのことを尋ねるのは水を差すようで聞きにくい。
 いずれは誰かが教えてくれるだろうと考えて、私は300年前のことは頭から追い払うのだった。

「空気感染するからそれが正解だよ。特効薬のようなものはないけれど、風邪と同じように暖かくして水分補給を怠らないように。解熱剤はあるかな?」
「ありますあります! アセトアミノなんとかってやつなんですけど」
「アセトアミノフェンかな。それなら安心だ。1回につき100ミリグラムを6時間以上空けて、つらそうなときに飲ませてあげれば楽になると思うよ」

 それを聞いて、私は胸に抱えていたものがすっと軽くなる。

 なにせ、このクレイドルには小児科病院なんてない。
 今までも子供たちが病気になる度、不完全なデータベースで病状や薬を調べ、付きっきりの看病でなんとかしてきたのだ。
 眠れなかった日など数えきれないほどあった。

 だからこそ――。

「ありがとうございます。ジャスパーさん!」
「何かあったらいつでも聞いてくれ。助けになるよ」

 ――こうして知識のある人に教えてもらうだけで本当に助かる。
 今まで命に関わるような病気にかかっていないのが幸いだと思うのだ。

「ねぇ、アドニシア。あなた自身は大丈夫なの? その……あまり顔色がよくないものだから……」

 そこでレインさんが私の顔をまじまじと見ながら訊いてきた。話しているうちに彼女は心を開いてくれたようで、私への『さん』づけは取れている。
 
「そうですか? でも、私、病気とかにはならないから大丈夫ですよ~。オートマトンの体だし」

 自分の顔に手を当てながら言うと、レインさんが目を丸くした。

「え、ど、どういうこと?」

 そういえば、自分の身の上話はしていなかったな。
 改めて、私はなんでここで子供たちのママをやっているのかを説明する。

 私が目覚めたのは3年前であること。
 目覚めたとき、記憶のほとんどを失っていて、それも遥か昔の時代の記憶だったということ。
 そして、私のこの体がオートマトンのボディであること。

 それを聞いた2人は顔を見合わせる。

「あ、ありえるのかしら。そんなこと……」
「いや、けれどレイン。話していても、アドニシアさんは人間にしか思えなかった。理由はわからないけれど、信じるしかないと思う」

 2人の会話に私は首を傾げた。すると、レインさんが「勘違いしないで」と手を振る。
 
「あなたが人間であることを疑っているわけじゃないの。ただ……私たちの時代でも、人間の人格をすべてオートマトンの体にコピーするのは不可能だったのよ」
「そ、そうなんですか?」

 え、思ってたのと違う。

 てっきり何かの間違いで『私』がこの体に移植されたのだと思っていた。
 記憶喪失に関しても300年前に『私』という人間が存在したのか、はたまた本当に日本があった時代に保存された『私』なのかもわからないけれど。

 ……どうして皆はそのことを教えてくれなかったんだろう?

 レインさんは私の様子を伺いつつ、話を続ける。

「ええ、人格をコピーしてしまうとオリジナルの有無に関わらず、本当に自分が自分なのかがわからなくなってしまうの。私も専門外だから詳しくはないのだけれど、少なくともオートマトンの体に人格をコピーできた人は見たことがないわ」

「え、じゃあ……」

 『私』って、なに?

 そう考えた瞬間、視界の端が黒く染まって、耳鳴りがした。
 急激に眠りに落ちるような、視界に入っているもの全ての境界線がぼやけるような感覚。

 同時に、誰かが遠くで囁くような声が聞こえたような気がした。
 
 いけない。その声を聞いちゃいけない。

 私の中の何かがそう警告する。けれど、わずかな雑音に集中が乱されるように、私の意識はその声に引っ張られてしまう。

 駄目だ。そっちに耳を傾けちゃ――。

「――いや、気にすることじゃないよ、アドニシアさん!」

 その時、ジャスパーさんの大きな声に私の意識が引き戻された。
 気がつくと、彼は腕組みしてもっともらしく頷いている。

「このプロジェクトも色んな利権が絡み合って出来たものだからね。生身の体を冷凍睡眠で保存するより、オートマトンの体で保存できるならその方が合理的だ。僕らの時代でもその倫理的な答えは出ていなかったから、クレイドルプロジェクトと同時にそういう計画を裏で行っていてもおかしくない」

「そうね。人工子宮に関しても、かなり強引なやり方で開発されたっていう噂もあるわ。人格のコピーが成功したとして、その過程で記憶を無くしてしまったってことも考えられる。権限が人間と同じレベルのものを与えられてるってことは、計画の成功率を高めるために用意した要素の1つに含まれてるってことだと思う」

 レインさんとジャスパーさんは、真剣な顔で意見を交わし合っていた。

 それを見て、私は思わず訊いてしまう。

「私、人間ってことでいいですか……?」
 
 そんなこと、誰にもわからないだろうに。けれど、2人は迷うことなく首を縦に振ってくれた。

「あなたが人間じゃないなんて……少なくとも、私たちよりもずっと人間らしい人よ。あなたは人として、正しく道を歩んでる」
 
「俺たちはオートマトンといるのが普通の生活をしていたからわかるんだ。人とオートマトンの違いっていうのかな。目とか体の微かな動きとか……雰囲気と言ってもいい。とにかく話していて、アドニシアさんが人間だとわかるんだ」

 うんうん、と2人は頷き合う。
 私はその言葉がなにより頼もしく感じて、自然と頬が緩んだ。

「えへへ……じゃあ人間で、いいかなぁ」

 すると、レインがふふっと笑いを漏らす。

「いいのよ。4人も育ててるママなんだから。胸を張っていいの」

 いつの間にか、私の視界の隅にあった闇はなくなっていた。
 耳鳴りも、あの掠れた声も聞こえない。

 きっと、レインさんの言う通り顔色も本当に悪くて、疲れているのかもしれない。

 私は彼らの言葉を頼りにそう心を落ち着かせて、話を続けるのだった。


 ◇   ◇   ◇

 
「それじゃ、また来ますね! 今度はちゃんと道具、持ってきますから!」
「ええ、楽しみにしているわ」
 
 私がそう言って立ち上がると、レインさんが頬をほころばせる。
 
 道具とは編み物のための串のことだ。
 ここには1人分のものしかないので、今度来たときに道具や毛糸を持ち込んで教えてもらう約束をした。
 
 にしても、少しだけ話をするつもりが、ずいぶんと長く話し込んでしまった。
 帰ったらイーリスに怒られそう。

 ジャスパーさんは見送りをしてくれるようで、ドアの前まで付き添ってくれる。
 そこでふと、彼に訊いてみた。

「ジャスパーさん。ちょっといいですか?」

 レインさんに聞こえないよう声を抑えた私に、ジャスパーさんは不思議そうな顔をする。
 
「教会から同じように入れてほしいって言ってきた人たちがいるんです」
「なんだって……?」

 教会、という言葉に、ジャスパーさんが乾いた唇を湿らせるように軽く噛んだ。
 明らかに何かを危惧しているような表情だ。

「名前はわかるかい?」

 問われて、私はベローナから来ていたメールを確認する。
 
「えっと……アントニオさんとウィーラーさん、だそうです。一応、どちらも敵意はなさそうなんですが」

 言外に、どう思うかを尋ねてみた。
 さっきの反応の通り、この話についてはジャスパーさんの方が詳しそうだし、憂慮していることだと思ったのだ。

 しばし顎に手を添えて、記憶を辿っていたらしいジャスパーさんが顔をしかめる。
 
「……すまない。名前は知っているけれど、彼らがどんな人間かはまではわからない。ただ――」

「ただ?」

「俺が言えた立場じゃないけれど、あまり信用してはいけないと思う。彼らをまとめているのはヴィンセントという神父だ」

 ヴィンセント、という響きに私の胸がざわついた。
 わかってはいたが、やはり他人からその名前を出されると、どうしても悪夢のことが脳裏に浮かぶ。

 目の前で少年が手足を切り落とされているというのに、祈ることしかしていなかったあの神父だ。

「けれど、ヴィンセントはいわゆる中間管理職のようなものでね。教会で絶対的な権力を持っているのは4人の司教たちなんだ。彼らはプロジェクト前から信仰の力で権力を集めていた教会の頭脳……。教会という組織の一部がプロジェクトに参加できたのも、彼らの権力によるものだよ」

 なるほど。てっきりスペンサーやサイモンのように、ヘクスを奪った人がグループのリーダーを務めていると思ったのだが、そうではないらしい。

「司教たちは正直、何をしてくるかわからない。僕らの時代では世界中が混乱していたのもあって、だった。特に信仰心を集めるためならね」

「それは……怖いなぁ」

 私のぼんやりとした中途半端な記憶でも、行き過ぎた宗教組織は過激な行動に出るという認識はある。
 ジャスパーさんたちをオートマトンに追わせていたのも、その司教たちの命令なんだろう。
 
 そう考えていると、ジャスパーさんが人差し指を立てて、私の気を引く。
 
「けれど、なんだ。……矛盾するようなことを言うんだけれど、アントニオたちが必ずしも司教たちの意志で動いているとは限らない。教会では食事も満足に食べられないからね。不信感を抱いている教徒も多いはずだ。信仰という形でまとまってはいるものの、神父も含めて同じ方向を向いているとは限らないのが今の教会だよ」

 語るジャスパーさんの目は真剣、というよりも敵意のようなものが現れていた。当然、それは教会に対してのものだ。
 
「詳しいんですね」

 ジャスパーさんの情報量へ呆気に取られて言うと、苦笑交じりにさわやかな笑顔が返ってきた。

「うん。伊達にここまで逃げてきたわけじゃないよ」

 この人も、何の考えもなしに飛び出したわけじゃなさそうだ。
 きっと教会を離脱するのにも、色々な苦労があったことが伺える。

 それはきっと、全部レインさんのためだ。
 だから、この人は信用できる。
 
「ありがとうございます。ジャスパーさん。今日ここでお二人と話して……やっぱり悪い人ばっかりじゃないんだなって感じました。私、あの人たちを受け入れようと思います」

 再度、お辞儀をして伝えると、ジャスパーさんは複雑な表情で私を見た。
 
「……そう。今は君がここの管理者だ。君がそう決めるのなら、俺は従うよ。ただレインは――」

「おふたりとは別の部屋を割り当てます。もし後から人が増えたとしても、レインさんの心の傷が癒えるまではそうすると約束します」

 当然の処置だ。自分たちだけでやっと逃げてきたというのに、その先で教会の人間と会うなんて気まずいにもほどがある。

 まずはアントニオという人たちがどういう人か、目的はなんなのかを明らかにして、そこから信用できるかを判断するしかない。
 レインさんたちと会わせることも、お互いの考えがぶつからないということが確認できるまではやめておいた方がいいだろう。

 特に宗教が絡んでいる場合には、その塩梅なんて難しいものだと思うけど。
 
「ありがとう。何から何もまで気を遣ってくれて」

 私の答えに、ジャスパーさんの心配が解消されたみたいだ。
 申し訳なさそうにする彼へ軽く手を振って、私はドアの外へと出る。
 
「いいえ、それじゃ、また」
「コーディくん、お大事に」

 医者らしい去り際の言葉をもらって、ドアがスライドして閉じた。
 外で待機していた【ストリクス】の1人がそれをロックして、ドアを塞ぐように立つ。

 できれば、こんな部屋に閉じ込めておくのではなくて、子供たちを触れ合って私の知らないことを代わりに教えてほしい。

 けれど、それを実現させるには当分時間がかかる。

 子供たちの安全、そして、彼らの安全も守るためには、もうしばらく我慢してもらうしかないのだから。









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