世界が色付くまで

篠原 皐月

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第71話 慶事の告知 

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 四月に入って初めての土曜日。朝から入念に今日の準備を進めていた浩一と恭子は、昼近くに台所に並んで立ちながら、自分達の奮闘の最終確認に余念がなかった。

「ええと、浩一さん。取り敢えず考えていたお料理は、これで大体準備できましたよね?」
「ああ。あとは仕上げや盛り付けだけだし。連中が来たら温め直してと……」
 キッチンの作業台と、カウンター越しにダイニングテーブル上を確認しながら恭子が呟いた言葉に、浩一は左腕で抱えたボウルの中身を、小さめの泡だて器でかき混ぜながら、仏頂面で応じた。

「しかしあいつらときたら、いきなり『誕生祝いに行くから』とこちらの都合も聞かずに宣言して、本人に全て準備させるとはどういう了見だ?」
 本来周囲から祝って貰う筈の浩一が率先して動いている状況に、流石に恭子も理不尽なものを感じていた為、諸悪の根源の名前をつい口に出した。

「どうせ裏で先生が、何か糸を引いてますよね」
「それが分かっているから、余計にムカつく」
「そうですよね……」
 言ってもどうにもならないのを分かっていながら口に出してしまった事で、恭子の疲労感は若干増加したが、ここで浩一が手の動きを止めて、ボウルの中身を恭子に見せながら確認を入れてくる。

「ところで恭子さん、ドレッシングはこんな感じで良い?」
「え? あ、はい、良いんじゃないでしょうか。じゃあ取り敢えず、そちらに置いてて下さい」
「ここだね。ついでに、俺と結婚してくれない?」
 あまりにもさり気なく続けて話しかけられた為、恭子はついうっかり頷きかけ、瞬時に精神を引き締めた。

「……何がどうついでなのか、全く理解できませんので却下です」
 意識的に冷たく言ってみたつもりだったが、浩一は全く残念そうな素振りは見せず、あっさりと話題を変える。
「残念だな。今日は朝から慌ただしかったから、ついうっかり頷いてくれるかもと思ったのに。じゃあまた日を改めて、攻め方もかえてみるか。取り敢えずサラダの容器はこのガラス器にして、油淋鶏は取り敢えず大皿だよな? フォークやスプーンも纏めて何かに入れておくか。配るのが面倒だから、勝手に取らせよう」
 そして恭子には目もくれず、自分の顎に手をやりながらぶつぶつとこれからの段取りを考え始めた浩一を見て、恭子の顔が微妙に引き攣った。

(この前から……、毎日、一日一回、手を変え品を変え律儀に口説いてくるのには感心するんだけど、そろそろいい加減に諦めてくれないかしら。というか、方向性と一貫性が無くて、一々対処に困るんだけど!?)
 そう文句を口にしたいのはやまやまだったが、仮に文句を言っても現状が好転しない気がしていた恭子は、ぐっと我慢して準備を進める事にした。

(取り敢えず、さっきので今日の分は終了って事だろうから、少なくても皆さんの前で、変な事を口走ったりしない筈だし。ええ、寧ろ、一日身構える必要が無くて良かったわよ)
 そんな風に前向きに考えていると、浩一が食器棚を眺めながら問いかけてくる。

「恭子さん、ワイングラスとビアマグって、人数分あるかな?」
「あ、はい。普段使わない分は、棚にしまってある筈ですから」
「じゃあ、俺が出すから。どこ?」
「ええと……、確か、そこの吊戸棚の箱の中だったかと」
「了解。踏み台を持ってくるから。恭子さんは小物を揃えていてくれるかな?」
「分かりました」
 如何にも爽やかに笑顔を振り撒き、踏み台を取りに行く為廊下へ出て行った浩一を見送った恭子は、シンクの縁に両手を乗せてがっくりと項垂れた。

(そりゃあね? きっぱり振った後でジメジメされるのも、悶々とされるのも嫌だし気まずいけど、なんかこう変な方向に振りきれちゃったんじゃないかって言う位、あっさりしすぎじゃないの!? 良いの? 仮にもプロポーズしてるのに、あんな返事をされた挙句、その結果の態度がこれって!?)
 もう自分でも八つ当たり以外の何物でもない事は恭子にも分かっていたが、ここ暫くの割り切れない現状に、彼女の苛立ちと鬱屈は少しずつ蓄積していた。

 その日の正午、宣言されていた通り、マンションのインターフォン通して賑やかな声が伝わり、顔見知りの面々が大挙して押し掛けてきた。子供連れで来た清人と真澄夫婦は勿論、何かと騒がしい従弟妹達に苦笑しつつ、椅子も足りない為ソファーは壁際に寄せ、中央に大き目のラグを敷いてそこにクッションや座布団で車座状態で座る事にする。
 料理や飲み物はダイニングテーブルに並べて、各自好きな物を取る事にして、大騒ぎしながらも各自に料理と飲み物が行き渡ったのを確認して、ここに来るまでに皆で打ち合わせていたのか、清香が乾杯の音頭を取った。

「それでは、浩一さんのお誕生日を祝って、乾杯!」
「かんぱーい」
 そうして陽気な唱和に浩一が苦笑いしながら「ありがとう」と素直に礼を述べたが、止せば良いのに玲二と明良が茶化す様な口調で言い出した。

「しかし清香ちゃんは優しいな~」
「そうそう、敢えて浩一さんの到達年齢を、声高に唱えないとは」
 そんな事を言われた清香は、目を丸くして浩一と二人を交互に見やる。

「え、ええ!? 私、別に他意は無かったんだけど!? 言わなきゃ駄目なもの?」
「いや、言わなくて正解」
「うん、男も三十過ぎると、色々と微妙みたいだからね」
 そこでガンッ、ゴツッ、という聞き慣れない音と共に、「うおっ!」「いてっ!」と言う、男二人の悲鳴が生じた。

「黙れ、玲二に明良。お前達だって二十代リーチの癖に、何をほざいてる」
「うわ、浩一さん。お玉で頭殴るって酷くない?」
「恭子さんも……、木べらでも結構痛いんだけど……」
 恨みがましい目で頭を抱えつつ訴えた二人に、浩一と恭子はにこやかに言い返した。

「本来主役の住居に押し掛けて、飲み食いをたかりに来る位だから、失礼な言動があれば早めに軌道修正しておこうと考えていたら、偶々目の前にこれがあったんだ。備えあれば憂いなしだな」
「浩一さんが手が届かない範囲は、私がカバーする事になってるんです。玲二さんはハリセンの方が良かったですか? 一応、向こうの部屋に準備してはありますが」
「……気分的に、木べらで軽くお願いします」
「了解しました。じゃあちょっと他の飲み物とか、料理を持って来ますね」
 そう言って腰に巻いているエプロンの紐にスッと木べらを差し込み、スタスタとキッチンに向かった恭子に、皆笑いを誘われたが、清香は何となく違和感を感じて首を捻った。

(何か……、この前ここに来た時は二人とも様子が変だったけど、今日はいつも通り? でも何となく息が合い過ぎって感じもするんだけど……)
 でもどこがどう変なのかまでは分からない為、取り敢えず考えるのを止めて料理を頂こうと皿に手を伸ばし始めると、隣で友之がしみじみとした口調で言い出した台詞が耳に入った。

「そう言えば、真一君と真由子ちゃんに会うのは正月以来ですが、見る度に大きくなって、益々可愛いらしくなってますね」
 それに釣られて清香も清人に抱かれている姪の真由子に目を向け、(本当に可愛いよね~、真由子ちゃん)と叔母馬鹿気分に浸っていると、清人が顔付きを険しくしながら友之を恫喝した。

「……友之」
「何ですか? 清人さん?」
「真由子はやらないからな」
「はい?」
「真一だったらいつでもくれてやるから……、って! 何でいきなり拳で殴るんだ真澄?」
「当たり前でしょうが!? 思春期に真一がグレたら、屋敷から叩き出すからそのつもりでいなさい!!」
 真一を片手で抱えながら、力一杯夫を殴りつけたらしい憤怒の形相の真澄を見て清香は嘆息したが、浩一と恭子もあまりの馬鹿馬鹿しさに脱力した。

(幸ちゃんが生まれた時、修も大概親バカだとは思ったが……)
(この場に修さんが居たら、仲間ができたって喜びそうね……)
 今日は店の準備の為参加できないと断って来た修だったが、来店した時にいつも頼んでいる銘柄の純米大吟醸を言付けて寄こしてきた為、後から礼を兼ねて飲みに行こうと思った浩一だった。そしてこの場の最年少参加者の二人を眺めながら、周囲から遠慮の無い話題が飛び出す。

「しかし早いよな~。一年前はまだ二人とも、姉貴のお腹の中にいたのにな」
「そう言えば、あの忘れられそうにない清人さん達の結婚披露宴から、まだ一年しか経って無いんだ……」
「明良……、お願い。綺麗さっぱり記憶から消去して」
「すみません、無理です。……あ、そう言えば正彦兄さん。さっさと報告しておかないと。修兄さんにも念を押されてたし」
 思わず呻いて懇願してきた真澄に苦笑いしてから、明良が急に真顔になって長兄を促した。するとそれを受けた正彦が、微妙に顔を歪める。

「お前……、もう少ししんみりと良い雰囲気になってきたら、話を出そうと思ってたのに……」
「この面子だと馬鹿騒ぎになる一方だと思うけど?」
「それもそうか」
 二人で苦笑いしてから、正彦は立ち上がって部屋の隅に向かった。そして何やら紙袋を手にしたところで、清香が明良に尋ねる。

「え? 何? どうしたの?」
 それに対し、明良が含み笑いで問い返した。
「清香ちゃん、一年前の真澄さん達の挙式後のブーケトスで、正彦兄さんがブーケを横取りしちゃったのを覚えてる?」
 それに、清香が眦を釣り上げて勢い良く反応する。

「覚えてますよ! と言うか悔し過ぎて、何度も夢に見てうなされて、忘れようにも忘れられない、暗黒記憶のワースト3入り確実の」
「あ~、うん。あの時は、本当に悪かった。清香ちゃん、気合い満々でブーケ獲得狙ってたしね」
 唐突に頭の上から降ってきた如何にも申し訳なさそうな声に、清香は反射的に上を向き、困った表情の正彦を認めて我に返った。

「うあぁぁっ!? いえ、あの、そんなに気にしてませんから! 正彦さん、気にしないで下さいね!?」
「清香ちゃん。あの時のお詫びと言っては何だけど、雪辱戦をやりたくない?」
「え? 雪辱戦って……」
「佳奈が『あの時は清香さんに悪い事をしてしまったから、そちらに向かって投げますから』と言ってるんだ。だから出席してくれないかな?」
 そう言いながら正彦が紙袋の中から取り出した、《佐竹清香様》のみ表書きされている、幅広で純白の上質な封書を反射的に受け取った清香は、それをしげしげと眺めてから正彦に視線を戻した。

「と言う事は……、あの、正彦さん、あの時ブーケをあげた人……、ええと、和泉さん、と、結婚するの?」
「ああ、何とか一年かけて諸々片付けてね。挙式と披露宴まで、三ヶ月切ってるけど」
 正彦がにこやかに詳細を述べると、清香は感極まった様にその手を握り締め、上下に振りながら快諾した。

「行きます! 絶対他の予定なんか入れないから! おめでとう正彦さん!」
「ありがとう、清香ちゃん。……じゃあ他の皆の分の招待状は、ここに纏めてあるから。各自、自分宛の物を確保しといて」
 そう言ってすぐ近くにいた玲二に、袋ごと残りの招待状を押し付けた正彦に、清人達は呆れた目を向けた。

「こら正彦。お前は人を本気で招くつもりが有るのか?」
「全くだわ。清香ちゃんが来てくれれば、満足なのは分かるけどね」
「……じゃあ、これが俺の分で、これが兄貴の分で……、こっちが恭子さんの分だね。はい、恭子さん」
 律儀に玲二が招待状を取り出し、該当者に配っていると、恭子が当惑した声を上げた。

「え? あの、正彦さん? 私も招待客の中に入ってるんですか?」
 その声に、正彦は清香の手を握ったまま、不思議そうな顔を向けた。

「そうだけど、何か不都合でも?」
「どうしてですか? 私、正彦さんの親戚でも何でも無いですが?」
「俺の友人枠。俺、恭子さんの事を友達と思ってたし、恭子さんもそうかと思ってたんだけど違うのかな?」
 真顔でそう問い返された恭子は頭痛を覚え、周囲もそんな彼女に同情の眼差しを送った。

(本人に向かって『友達なんかじゃありません』って、断言できる場面でも空気でも無いんですが)
(正彦……、お前、本人に面と向かってそれを聞くのか……)
 しかし何とか気を取り直し、恭子は一般的な内容を口にして再考を促してみる。

「一般的に、新郎側出席者に親戚や同僚とかではない、同年輩の女性が友人として存在するのは、些か外聞が悪くはありませんか?」
 それでも正彦の主張は変わらず、寧ろ益々良い笑顔で言い放った。

「そこら辺は大丈夫。新郎側出席者で友人として招く女性の半分は元恋人で、半分はれっきとした友人だって、佳奈にもきちんと説明して、ビンタ一発で了解貰ったし」
 周囲の男達が(披露宴にどれだけ女友達を招待する気なんだこいつは?)と完全に呆れた視線を向ける中、完全にこれ以上議論を続ける気力の無くなった恭子は、対応を真澄に丸投げした。

「すみません。今の話、どこにどう突っ込むべきか分からなくなりました。真澄さん、代わりにジャッジをお願いします」
「どう考えても了解したんじゃなくて、呆れ果てたんじゃないの? 成田離婚ならぬ披露宴離婚にならない様に、気合い入れて家族サービスしなさい、正彦。揉めたら私は佳奈さんの味方よ」
「酷いな、真澄さん」
 冷静に裁定を下した真澄に正彦は苦笑いし、微妙になった空気を何とか元に戻そうと、清香が若干わざとらしく声を上げた。

「あ、あはははっ! でも、佳奈さんが確約してくれたから嬉しいな。今度こそブーケを貰えそう!」
 その話題転換に、皆がこぞって乗ろうとする。

「意外にチャンスが早くやって来て良かったね」
「それに、何と言っても去年は学生だったけど、今年からは社会人だし?」
「ああ、全然意味合いが違うな」
「そうそう、何かの弾みでサクッと結婚しちゃってもおかしくないし」
「………………誰が取らせるか」
 しかしここで抱いている真由子を見下ろしつつ、清人が無表情で呟いた台詞に室内が凍り付いた。その迫力に清香が虚しく口を開閉するだけで声を発せなくなっている中、かなり強引に友之が話題を変えた。
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