9 / 9
9
しおりを挟む
ついさっき、車両の端っこで凭れあっていた後輩くんとコウちゃんの姿を思い出す。
後輩くんは電車を降りる前、目を閉じて一瞬眠っていたコウちゃんの頬にこっそりキスをしていた。唇を離して、眠っているコウちゃんの髪に顔を付けて、彼は少し赤い顔でため息を吐いた。
ここまで拒絶されたら、押しきって家まで送ることはできない。そもそもどうして男の先輩を、こんなに意地になって家まで送ろうとしているのか。いくら可愛いと思ったからって、眠っている隙にキスなんて、しているのか。迷って悩んで、どうしたらいいのかわからない。そんな顔で、彼は最寄り駅に着く少し前にコウちゃんを起こして、そして駅に着くと後ろ髪を引かれながらも降りていった。
後輩くんは、自分の気持ちに気づくのが遅かった。彼は間違いなく、コウちゃんに惹かれていた。だけれど、その気持ちは恋愛なのかわからない。わからないから、告白してきた適当な女と付き合ってる。彼女を好きになれたら、コウちゃんを諦められる。その方がマトモに生きられると踏んで電車を降りた。だが彼はおそらくコウちゃんのことが忘れられないだろう。
あのね。ノンケはいくら好きでも、同性の先輩にこっそりキスなんてしないから。
後輩くん、今日君がコウちゃんを家まで送っていたら、コウちゃんの初めては君のものだったかもしれなかったのにね。
お試しで付き合おうという、好きでもない彼女なんて放っておけば良かったのにね。
可愛い先輩コウちゃんは、後輩くんに彼女が出来たのが、死にたいくらいショックだって。自暴自棄になって、ほとんど行きずりの男とセックスしてる。
「あ、う、あっ、あっ……っく……ぅ、ん……っ」
足を開かせ、音がするほど腰を打ち付ける。コウちゃんは小さな獣のような可愛い声で鳴き続けた。
あまりの可愛らしさに、勢いのままコウちゃんの中で射精してしまう。
息を整えふと中心を見ると、後孔の痛みで少し緩んだのだろうコウちゃんのぺニスが目についた。優しく握って上下すると、コウちゃんは、いや、と首を振った。それなら、と潤んで虚空を見つめる瞳に、コウちゃんが一番欲しかっただろう言葉をあげる。
「幸崎先輩、愛してます」
「あっ……、だ……め……っ」
その効果は顕著で、ビク、と手の中のものが芯を持って膨らむ。
後ろは別の男のものを咥え込んだまま、想い人の妄想で前を硬くしているコウちゃんは、浅ましくも憐れで、とんでもなく可愛いかった。愛しさで、胸が絞られるようにつきりと痛む。この身体をやっと手に入れたという実感が湧き、指先まで痺れる程に気持ちが昂った。
「すぐに忘れさせてあげるからね」
キスの間際にそう囁いて、四年越しにようやく、ユタは愛しい迷い子を手中に収めた。
...and Yuta's story started.
後輩くんは電車を降りる前、目を閉じて一瞬眠っていたコウちゃんの頬にこっそりキスをしていた。唇を離して、眠っているコウちゃんの髪に顔を付けて、彼は少し赤い顔でため息を吐いた。
ここまで拒絶されたら、押しきって家まで送ることはできない。そもそもどうして男の先輩を、こんなに意地になって家まで送ろうとしているのか。いくら可愛いと思ったからって、眠っている隙にキスなんて、しているのか。迷って悩んで、どうしたらいいのかわからない。そんな顔で、彼は最寄り駅に着く少し前にコウちゃんを起こして、そして駅に着くと後ろ髪を引かれながらも降りていった。
後輩くんは、自分の気持ちに気づくのが遅かった。彼は間違いなく、コウちゃんに惹かれていた。だけれど、その気持ちは恋愛なのかわからない。わからないから、告白してきた適当な女と付き合ってる。彼女を好きになれたら、コウちゃんを諦められる。その方がマトモに生きられると踏んで電車を降りた。だが彼はおそらくコウちゃんのことが忘れられないだろう。
あのね。ノンケはいくら好きでも、同性の先輩にこっそりキスなんてしないから。
後輩くん、今日君がコウちゃんを家まで送っていたら、コウちゃんの初めては君のものだったかもしれなかったのにね。
お試しで付き合おうという、好きでもない彼女なんて放っておけば良かったのにね。
可愛い先輩コウちゃんは、後輩くんに彼女が出来たのが、死にたいくらいショックだって。自暴自棄になって、ほとんど行きずりの男とセックスしてる。
「あ、う、あっ、あっ……っく……ぅ、ん……っ」
足を開かせ、音がするほど腰を打ち付ける。コウちゃんは小さな獣のような可愛い声で鳴き続けた。
あまりの可愛らしさに、勢いのままコウちゃんの中で射精してしまう。
息を整えふと中心を見ると、後孔の痛みで少し緩んだのだろうコウちゃんのぺニスが目についた。優しく握って上下すると、コウちゃんは、いや、と首を振った。それなら、と潤んで虚空を見つめる瞳に、コウちゃんが一番欲しかっただろう言葉をあげる。
「幸崎先輩、愛してます」
「あっ……、だ……め……っ」
その効果は顕著で、ビク、と手の中のものが芯を持って膨らむ。
後ろは別の男のものを咥え込んだまま、想い人の妄想で前を硬くしているコウちゃんは、浅ましくも憐れで、とんでもなく可愛いかった。愛しさで、胸が絞られるようにつきりと痛む。この身体をやっと手に入れたという実感が湧き、指先まで痺れる程に気持ちが昂った。
「すぐに忘れさせてあげるからね」
キスの間際にそう囁いて、四年越しにようやく、ユタは愛しい迷い子を手中に収めた。
...and Yuta's story started.
0
お気に入りに追加
14
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
愛玩人形
誠奈
BL
そろそろ季節も春を迎えようとしていたある夜、僕の前に突然天使が現れた。
父様はその子を僕の妹だと言った。
僕は妹を……智子をとても可愛がり、智子も僕に懐いてくれた。
僕は智子に「兄ちゃま」と呼ばれることが、むず痒くもあり、また嬉しくもあった。
智子は僕の宝物だった。
でも思春期を迎える頃、智子に対する僕の感情は変化を始め……
やがて智子の身体と、そして両親の秘密を知ることになる。
※この作品は、過去に他サイトにて公開したものを、加筆修正及び、作者名を変更して公開しております。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる