13 / 100
シャドウとミラージュ
しおりを挟む
「私が入口を封鎖する」
カミーラは4枚の札を入口に投げつけた。
4枚の札は入口の上下左右に張り付いて輝き出し、入口全体を透明な膜のようなものが張られた。
「これで暫くの間はアンデッドは入ってこれない!こちらからは魔法でも矢でも攻撃できる」
無口なカミーラも戦闘時等の必要な場合にはその限りではないようだ。
カミーラの言ったとおり、殺到してきたアンデッドは入口に張られた膜に阻まれて侵入できずにいる。
レナはアンデッドの集団に雷撃魔法を撃ち込んだ。
パリッ!バリバリッ、バチンッ!
ドンッ!
雷撃の音に続いて爆発音、数十体のアンデッドが吹き飛んだ。
続いてリズがサラマンダーの力を乗せた矢を放つと後続のアンデッドが炎に包まれた。
「いいわね、これ!」
レナが感心する。
「効果範囲は狭く、時間も限られているけど、効果が持続している間は一方的に攻撃できる」
説明しながらカミーラは雑嚢から小さな石の様な物を取り出して指で弾き飛ばした。
アンデッドの集団の中に落ちた石を中心に周囲のアンデッドを巻き込んだ爆発が起た。
「向こう側の破片や爆発の熱も防いでくれる。でも、長くはもたない。それと、通路が崩れるからあまり強力な魔法はダメ」
レナとリズは目を合わせて頷いた。
「それならば、今の間に敵を減らしてしまいましょう!」
「分かりました!」
入口の外に向けた3人の猛攻が始まった。
「すげぇ・・・」
「妹よ・・」
チェスターとイズが思わず振り返った。
正直、ちょっと引いている。
しかし、ゼロは状況を冷静に見極めていた。
通路から入口に殺到してくるアンデッドは後を絶たず、恐らくはこの階層を埋め尽くしているだろう。
更に祭壇上のリッチは次々とアンデッドを召喚している。
「入口は3人に任せても大丈夫なようですが、長くは持ちませんね。早々にリッチを始末しましょう」
ゼロは剣を抜いた。
「よし!俺達も行くぜ!」
チェスターとイズも剣を構えるが、ゼロは2人を制した。
「全員がリッチに向かうと入口を守っているレナさん達に内側のアンデッドが向かってしまいます。それに、いずれ入口も突破されます。チェスターさんとイズさんはレナさん達の援護をお願いします」
「それはいいが、ゼロだけで大丈夫か?」
「私だけでもお供しては?」
チェスターとイズの言葉にゼロは首を振る。
「リッチの方は大丈夫です。私に考えがあります。それよりも敵アンデッドの対処に戦力が必要です。オメガはシールドと共にスケルトンナイト、デュラハンを指揮して敵アンデッドを殲滅しなさい」
「承知しました」
ゼロの命令にオメガとシールドが従い他のアンデッドを指揮してチェスター達と共に敵アンデッドに対峙する。
ゼロの手元に残ったのはアルファとサーベルのみ。
「さて、貴方達の出番です。シャドウ!ミラージュ!」
ゼロは新たなアンデッドを召喚した。
召喚に応じて現れたのは2体のスペクターだが、他のスペクターとは違う。
シャドウは黒いローブに杖を持つスペクター、ミラージュは白いローブに同じく杖を持っている。
そして、他のスペクターと決定的に違うのがその姿だ。
スペクターがローブの奥は目が光る影で、本気になったときに骸骨をむき出しにするが、シャドウとミラージュは透き通っているが人の姿をしている。
シャドウが男、ミラージュが女でそれぞれが無表情でゼロに跪いた。
偵察や支援が主な任務のスペクター故に最上位個体になるまでに時間を要したが、魔王ゴッセルとの戦いからゼロが生還した際に最上位個体となりゼロから名を授けられたのだ。
黒いローブのシャドウは魔術師系のスペクターで、ゼロはスペクターマジシャンと呼んでいる。
白いローブのミラージュは神官系のスペクターで言うなればスペクタープリースト。
回復系の祈りは使えないが、アンデッドでありながら結界や浄化の祈りを操る希有な存在である。
サーベル、アルファ、シャドウ、ミラージュの4体のアンデッドを従えたゼロは祭壇の上のリッチを見据えた。
「さて、行きます!」
ゼロの合図でシャドウが前に出て目の前に群がる敵アンデッドを焼き払うと共にミラージュが浄化の光を放って討ち漏らしのアンデッドを消し去った。
祭壇までの進路が開き、ゼロとサーベルが駆け出し、その後にアルファ、シャドウ、ミラージュが続いた。
その様を横目で見ていたレナとリズ。
「ゼロったら、いつの間にあんな配下を育てていたの」
「魔術師系のスペクターも凄いけど、神官系のスペクターなんて初めて見たわ」
2人は思わず口を漏らすが油断している暇は無い。
「間もなく障壁が破られる。再封鎖は間に合わない」
カミーラの張った札が今にも焼き切れそうになっていて、敵アンデッドが障壁を突破しそうだ。
チェスター、イズがシールドとスケルトンナイトを伴ってレナ達に合流した。
オメガとデュラハンは敵アンデッドを相手に激闘を繰り広げている。
「もうダメ、限界!」
カミーラが叫ぶと共に入口に張られた札が焼き切れた。
カミーラは4枚の札を入口に投げつけた。
4枚の札は入口の上下左右に張り付いて輝き出し、入口全体を透明な膜のようなものが張られた。
「これで暫くの間はアンデッドは入ってこれない!こちらからは魔法でも矢でも攻撃できる」
無口なカミーラも戦闘時等の必要な場合にはその限りではないようだ。
カミーラの言ったとおり、殺到してきたアンデッドは入口に張られた膜に阻まれて侵入できずにいる。
レナはアンデッドの集団に雷撃魔法を撃ち込んだ。
パリッ!バリバリッ、バチンッ!
ドンッ!
雷撃の音に続いて爆発音、数十体のアンデッドが吹き飛んだ。
続いてリズがサラマンダーの力を乗せた矢を放つと後続のアンデッドが炎に包まれた。
「いいわね、これ!」
レナが感心する。
「効果範囲は狭く、時間も限られているけど、効果が持続している間は一方的に攻撃できる」
説明しながらカミーラは雑嚢から小さな石の様な物を取り出して指で弾き飛ばした。
アンデッドの集団の中に落ちた石を中心に周囲のアンデッドを巻き込んだ爆発が起た。
「向こう側の破片や爆発の熱も防いでくれる。でも、長くはもたない。それと、通路が崩れるからあまり強力な魔法はダメ」
レナとリズは目を合わせて頷いた。
「それならば、今の間に敵を減らしてしまいましょう!」
「分かりました!」
入口の外に向けた3人の猛攻が始まった。
「すげぇ・・・」
「妹よ・・」
チェスターとイズが思わず振り返った。
正直、ちょっと引いている。
しかし、ゼロは状況を冷静に見極めていた。
通路から入口に殺到してくるアンデッドは後を絶たず、恐らくはこの階層を埋め尽くしているだろう。
更に祭壇上のリッチは次々とアンデッドを召喚している。
「入口は3人に任せても大丈夫なようですが、長くは持ちませんね。早々にリッチを始末しましょう」
ゼロは剣を抜いた。
「よし!俺達も行くぜ!」
チェスターとイズも剣を構えるが、ゼロは2人を制した。
「全員がリッチに向かうと入口を守っているレナさん達に内側のアンデッドが向かってしまいます。それに、いずれ入口も突破されます。チェスターさんとイズさんはレナさん達の援護をお願いします」
「それはいいが、ゼロだけで大丈夫か?」
「私だけでもお供しては?」
チェスターとイズの言葉にゼロは首を振る。
「リッチの方は大丈夫です。私に考えがあります。それよりも敵アンデッドの対処に戦力が必要です。オメガはシールドと共にスケルトンナイト、デュラハンを指揮して敵アンデッドを殲滅しなさい」
「承知しました」
ゼロの命令にオメガとシールドが従い他のアンデッドを指揮してチェスター達と共に敵アンデッドに対峙する。
ゼロの手元に残ったのはアルファとサーベルのみ。
「さて、貴方達の出番です。シャドウ!ミラージュ!」
ゼロは新たなアンデッドを召喚した。
召喚に応じて現れたのは2体のスペクターだが、他のスペクターとは違う。
シャドウは黒いローブに杖を持つスペクター、ミラージュは白いローブに同じく杖を持っている。
そして、他のスペクターと決定的に違うのがその姿だ。
スペクターがローブの奥は目が光る影で、本気になったときに骸骨をむき出しにするが、シャドウとミラージュは透き通っているが人の姿をしている。
シャドウが男、ミラージュが女でそれぞれが無表情でゼロに跪いた。
偵察や支援が主な任務のスペクター故に最上位個体になるまでに時間を要したが、魔王ゴッセルとの戦いからゼロが生還した際に最上位個体となりゼロから名を授けられたのだ。
黒いローブのシャドウは魔術師系のスペクターで、ゼロはスペクターマジシャンと呼んでいる。
白いローブのミラージュは神官系のスペクターで言うなればスペクタープリースト。
回復系の祈りは使えないが、アンデッドでありながら結界や浄化の祈りを操る希有な存在である。
サーベル、アルファ、シャドウ、ミラージュの4体のアンデッドを従えたゼロは祭壇の上のリッチを見据えた。
「さて、行きます!」
ゼロの合図でシャドウが前に出て目の前に群がる敵アンデッドを焼き払うと共にミラージュが浄化の光を放って討ち漏らしのアンデッドを消し去った。
祭壇までの進路が開き、ゼロとサーベルが駆け出し、その後にアルファ、シャドウ、ミラージュが続いた。
その様を横目で見ていたレナとリズ。
「ゼロったら、いつの間にあんな配下を育てていたの」
「魔術師系のスペクターも凄いけど、神官系のスペクターなんて初めて見たわ」
2人は思わず口を漏らすが油断している暇は無い。
「間もなく障壁が破られる。再封鎖は間に合わない」
カミーラの張った札が今にも焼き切れそうになっていて、敵アンデッドが障壁を突破しそうだ。
チェスター、イズがシールドとスケルトンナイトを伴ってレナ達に合流した。
オメガとデュラハンは敵アンデッドを相手に激闘を繰り広げている。
「もうダメ、限界!」
カミーラが叫ぶと共に入口に張られた札が焼き切れた。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
職業選択の自由~とある死霊術師の旅路~
新米少尉
ファンタジー
これは職業「死霊術師」として生きた男の歩んだ道。
既投稿作品の「職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~」「職業選択の自由~死霊に支配された王国~」の結末の短編です。
申し訳ありませんが、本編だけでは成立せず、前記作品(少なくともネクロマンサーを選択した男)を読んでくれた方にしか分からない内容です。
職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~
新米少尉
ファンタジー
「私は私の評価を他人に委ねるつもりはありません」
多くの者達が英雄を目指す中、彼はそんなことは望んでいなかった。
ただ一つ、自ら選択した道を黙々と歩むだけを目指した。
その道が他者からは忌み嫌われるものであろうとも彼には誇りと信念があった。
彼が自ら選んだのはネクロマンサーとしての生き方。
これは職業「死霊術師」を自ら選んだ男の物語。
~他のサイトで投稿していた小説の転載です。完結済の作品ですが、若干の修正をしながらきりのよい部分で一括投稿していきますので試しに覗いていただけると嬉しく思います~
職業選択の自由~神を信じない神官戦士~
新米少尉
ファンタジー
その男は神を信じていない。この世界に神が存在していることは事実であり、彼もその事実は知っている。しかし、彼にとって神が実在している事実など興味のないことだった。そもそも彼は神の救いを求めたり、神の加護を受けようなどという考えがない。神に縋るのではなく、自分の人生は自分で切り開いていこうと心に決め、軍隊に入り戦いの日々に明け暮れていた。そんな彼が突然の転属命令で配属されたのは国民の信仰を守るべき部隊であった。これは神を信じていない神官戦士の物語。
職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~の外伝です。
裏庭が裏ダンジョンでした@完結
まっど↑きみはる
ファンタジー
結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。
裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえれてしまう。
そこで知る憧れの世界の厳しく、残酷な現実とは……?
挿絵結構あります
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔法少女の異世界刀匠生活
ミュート
ファンタジー
私はクアンタ。魔法少女だ。
……終わりか、だと? 自己紹介をこれ以上続けろと言われても話す事は無い。
そうだな……私は太陽系第三惑星地球の日本秋音市に居た筈が、異世界ともいうべき別の場所に飛ばされていた。
そこでリンナという少女の打つ刀に見惚れ、彼女の弟子としてこの世界で暮らす事となるのだが、色々と諸問題に巻き込まれる事になっていく。
王族の後継問題とか、突如現れる謎の魔物と呼ばれる存在と戦う為の皇国軍へ加入しろとスカウトされたり……
色々あるが、私はただ、刀を打つ為にやらねばならぬ事に従事するだけだ。
詳しくは、読めばわかる事だろう。――では。
※この作品は「小説家になろう!」様、「ノベルアップ+」様でも同様の内容で公開していきます。
※コメント等大歓迎です。何時もありがとうございます!
パーティーを追放された落ちこぼれ死霊術士だけど、五百年前に死んだ最強の女勇者(18)に憑依されて最強になった件
九葉ユーキ
ファンタジー
クラウス・アイゼンシュタイン、二十五歳、C級冒険者。滅んだとされる死霊術士の末裔だ。
勇者パーティーに「荷物持ち」として雇われていた彼は、突然パーティーを追放されてしまう。
S級モンスターがうろつく危険な場所に取り残され、途方に暮れるクラウス。
そんな彼に救いの手を差しのべたのは、五百年前の勇者親子の霊魂だった。
五百年前に不慮の死を遂げたという勇者親子の霊は、その地で自分たちの意志を継いでくれる死霊術士を待ち続けていたのだった。
魔王討伐を手伝うという条件で、クラウスは最強の女勇者リリスをその身に憑依させることになる。
S級モンスターを瞬殺できるほどの強さを手に入れたクラウスはどうなってしまうのか!?
「凄いのは俺じゃなくて、リリスなんだけどなぁ」
落ちこぼれ死霊術士と最強の美少女勇者(幽霊)のコンビが織りなす「死霊術」ファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる