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冒険者として

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 ゼロは西に向かって急いだ。
 深淵の森で育った彼にしてみれば西の村への半日の距離を駆けぬけることは造作もないことだった。
 ゼロが西の村に着いたのは昼前だったが、新人冒険者のパーティーは朝早くに洞窟に向かったとのことであり、さらにもう一組のパーティーが洞窟の方向に向かっているのを数名の村人が目撃していた。
 もはや一刻の猶予もないだろう。
 ゼロは目的の洞窟に向かった。

 その洞窟は村から少し離れた森の中にあった。
 村人の話しではこの洞窟に魔物が住み着き、家畜や農作物等への被害が出ていたためギルドに依頼したとのことだった。
 住み着いた魔物の種類は分からないが、人的被害は無く、家畜も鶏が襲われた程度であることからも低級の魔物であることが予測された。
 加えて依頼額が安かったこともあり、新人冒険者が依頼を受けたのだろう。
 洞窟の周囲には人の気配は無い。
おそらくどちらのパーティーも既に潜った後なのだろう。

 ゼロは自らに夜目の魔法をかけた。
 依頼の性質上、隠密性が必要であると判断し、動きがあるまでは松明や、ウィル・オー・ザ・ウィスプは使えない。
 カタカタと音が鳴るスケルトンもまだ呼び出さず、レイス1体のみを従えて洞窟に潜った。

 洞窟内は静寂に包まれていた。
 所々に魔物の死体が転がっている。
 魔鼠や大蜘蛛などの低級魔物ばかり、おそらくは新人冒険者が倒したものだろう。
 ゼロはレイスを先行させ、自らも足音を忍ばせながら慎重に歩を進めた。
 入り口から200メートル程潜った辺りで先行するレイスが異常を知らせる思念を送ってくる。
 ゼロが追い付くと、そこには若い女性が倒れていた。
 周囲には弦が切られた弓、身軽な革鎧を着ているところを見るとレンジャーだろう。
 耳が少し尖っているところを見るとハーフエルフだろうか。
 背中に大きな傷があり、大量の出血。
 彼女はピクリとも動かない。

「生きていますか?」

 ゼロの声掛けに僅かに唇が動く。

「厳しいかもしれません、間に合いますか」

 雑嚢から傷薬を取り出して血止めをし、更に水薬を彼女の口に流し込む。

「飲みなさい、意識を手放してはいけません」

 彼女は僅かに頷くと少しづつゆっくりと水薬を飲み込んだ。
 因みに、ゼロが取り出した傷薬と水薬はギルド提携の薬屋で買える最高品質のもので、値段も高額で、駆け出しの冒険者には手が届かないものだった。
 この2つで今回の依頼の成功報酬の半分は吹き飛ぶ程だ。
 普段から単独で行動する上、回復魔法の心得がないゼロは少し無理をして緊急用に持ち歩いていた。
 ただ、持っていたのはそれぞれ1つだけで、倒れていたレンジャーに使ってしまい、手持ちは無くなってしまった。
 他にも薬関係は多めに持っているが、品質が落ちるものだけだ。

 ゼロの薬のお陰でレンジャーは命を繋ぎ止めた。

「何がありました?他の仲間は?」

 ゼロの問い掛けに洞窟の壁に背中を預けて座る彼女は首を振った。

「突然・襲われ・・・逃・ようと・けど、パーティーはバラバラになって・・・」

 ゼロは洞窟の一本道を歩いてきたので他の2人は更に奥に追いやられたのだろう。
 そう考えると時間がない。

「分かりました、後を追ってみます」
「私も、行きます、仲間が・・」

 レンジャーは立ち上がろうとするが、体に力が入らない。

「無理です、貴女を連れて行く暇はありません。ここで待っていなさい」

 ゼロはウィル・オー・ザ・ウィスプを召喚した。

「私は死霊術師です、このウィル・オー・ザ・ウィスプは貴女の護衛に置いていきます。火の玉で暖かいから体温の回復にもなります。貴女に危害を加えることは絶対にありませんので心配しないように」

 ウィル・オー・ザ・ウィスプを見て怯えた表情を見せた彼女だが、ゼロの説明に頷いた。

 ゼロは洞窟の奥に向かって駆け出した。
 幸いにして洞窟に分岐は無く、ゼロは真っ直ぐに駆け抜けた。
 遥か奥から剣激の音が聞こえるが、それも直ぐに消えた。
 奥からうっすらと松明の光が見える。
 ゼロが剣を抜きながらその場にたどり着くと、2人組の男が倒れている若い剣士の首にナイフを突き立てている所だった。
 間に合わなかったようだ。

「なにをしているのです」

 突然ゼロに声を掛けられた2人は飛び退いて身構えた。
 どうやらシーフと格闘家のようだ。

「何者だ?まあいいや、俺達はこいつにいきなり襲われてな、危なかったぜ」

 誤魔化そうとするシーフだが、2人はゆっくりと左右に分かれて間合いを詰めてくる。
 松明の光が暗いせいか、2人はゼロが何者であるか分からないらしい。
 レイスも今は洞窟の天井に張り付いて男達の死角からゼロの命令を待っている。

「襲われた?逆ではありませんか?」
「信じられないかも知れないが本当だぜ?まあ、俺達も素人じゃないからな、咄嗟に身を守ったのさ」

 2人は余裕の笑みすら浮かべている。

「そうは言ってもね、途中に倒れていたレンジャーにとどめを刺さなかったのは迂闊でしたね。彼女から全部聞きましたよ」
「うるせえな、知ってたならゴチャゴチャ言わねえで黙っててくれや、永遠にな」
「そのように他の冒険者を襲っていたっ・・!」

 ゼロの言葉を遮る様に2人が左右から飛びかかってきた。
 中々に見事な連携だったが

「やれっ!」

ゼロの声に即座にレイスが反応した。
 シーフの目の前を素早く横切るとシーフは反射的に足を止めた。
 次の瞬間、レイスは格闘家に纏わりついた。

「ヒイッ!なんだこれは!」

 人間の精神を凍りつかせる精神攻撃だ。
 格闘家が立ち竦むタイミングを狙っていたゼロは躊躇なく格闘家の胸に剣を刺した。
 心臓を貫かれ格闘家は即死する。
 その様子を見たシーフは青ざめた。

「なんだ貴様、まさか!噂になっているネクロマンサーかっ!」
「ろくな噂ではないでしょうね」

 レイスを従えたゼロはゆっくりとシーフに近づいた。
 レイスも本気?なのかフードの下の髑髏を剥き出しにしている。
 眼窩の奥の青い光が余計に恐怖を誘う。

「くるなっ!止めろ!」

 腰を抜かしたシーフは尻餅をつきながら後退る。
 恐怖のせいか歯が噛み合わず、言葉もあやふやだ。

「降参しますか?ならば命までは奪いませんよ」

 シーフは失禁しながら必死で頷いた。
 ゼロはレイスに命じて恐怖によってシーフの精神を凍りつかせた上で予め準備しておいた捕縛具で拘束した。
 ゼロは倒れている若い剣士を確認するも、既にこと切れている。

「あと1人、救えますか」

 ゼロは再び洞窟の奥に向かって駆け出した。

 その頃、新人冒険者の神官であるセイラは洞窟の隅で震えていた。
 目の前では斧戦士が苛立ちながら彼女を探している。
 戦士の背後には無表情の若い女性の魔術師が付き従う。
 目の前にセイラが居るのに気づいていない。
 それこそがレアアイテム「加護の指輪」の効果だった。
 一時的に脅威対象から姿を隠すことができる。
 謎の集団に襲われた時に仲間の剣士とレンジャーが自分に託してくれたのだ。
 混乱の中ではぐれた2人の安否は分からない。
 洞窟の外に向かって逃げたつもりが新人故に方向を見失い、奥へと追い詰められてしまった。
 姿を隠しているが、周囲は魔術師の照明魔法のために明るく、身動きが取れない。

「加護の指輪か、まあいい、持ち主の魔力を使い発動するアイテムならば、魔力が無くなれば姿を現すだろうし、その前に恐怖に耐えかねて物音の1つも立てるだろう。ゆっくりと待たせてもらおうかね。なあ、レナ?」

 下卑た笑みを浮かべながら背後の魔術師に声を掛けるも魔術師は無表情のままだった。

「ケッ!相変わらず愛想がねえな。まあいいや、待ってるだけなのもつまらねえ」

 そう言うと、斧戦士はその辺の壁に斧を叩きつけ始めた。

「見えなくても当たるかもしれないしな。ちょっとしたゲームだな」

 息を潜めたセイラは必死で恐怖と闘った。
 しかし、斧戦士が振るった斧が壁を削り、その破片の礫がセイラに当たった。

「・・・っ!」

 声は出さなかったが、斧戦士はその異変を見逃さなかった。

「今、石ころが壁にぶつからずに落ちたな。そこか?」

 斧戦士がゆっくりと近づいてくる。
 セイラの恐怖は絶頂に達した。

「もうダメ!ごめんなさい2人とも」

 セイラは心の中で自分を逃がしてくれた2人に詫びたその時だった。

「そこまでです!」

 洞窟内に鋭い声が響いた。

「なんだ貴様!」

 振り返った斧戦士の視線の先にその者は立っていた。
 漆黒のローブに揃いの色の帽子の男が剣を構えていた。
 彼の横にはレイスとスケルトンが控えていた。

「そこまでです。全ての事情は把握しました。抵抗することなく縛についてください」

 斧戦士はつまらなそうに唾を吐いた。

「貴様はネクロマンサーの野郎か、そういえば、地下水道で死体を見つけたのも貴様だったな。その上でここに貴様が居るってことは、バレたか。他の2人はどうした?貴様がヤったのか?」
「その通りです」
「だったら仕方ねえな。貴様を殺して逃げるとするか。やれ、レナ!」

 斧戦士の声に反応して無表情の魔術師が氷弾の魔法を放ってきた。
 咄嗟に飛び退いたゼロに斧戦士が切りかかってくる。
 ゼロは剣で斧を弾き返した。
 その間にレイスとスケルトンは魔術師を牽制するが、様子がおかしい。
 魔術師はレイス達を相手に魔法を放ってくる。
 非常に的確な攻撃なのだが、まるで感情の動きが感じられない。
 レイスが思念で

「精神が縛られている」

と送ってきた。

「まさか、あの魔術師も何らかの力で支配しているのですか?」

 ゼロの問いに斧戦士が右腕のブレスレットを見せて笑った。

「支配の腕輪だ。これを使えば対象の人間を支配することができる。その女のようにな」
「そのアイテムも奪った物ですか?」
「さてね、誰に貰ったのかな?」

 まるで悪びれた様子もない斧戦士の態度にゼロは降伏させるのを諦めた。

「彼女も被害者の様です。殺してはなりません」

 レイス達に指示を出すと共に目の前の斧戦士に対峙した。

「見下げたものです。冒険者として、人として思う所はないのですか?」
「そんな物では金にもならないしな。貴様も偉そうな講釈垂れるならば実力を持って俺を止めてみろよ。強い者が生き残り、弱い奴は死ぬ。それが冒険者の道理ってもんだ!」

 言うや否や斧戦士はゼロに向かって突進してきた。
 凄まじい勢いで繰り出される斧の攻撃をゼロは剣で捌こうとするが、完全に押し負けて後退する。
 レイスとスケルトンが援護に回ろうとするが、その動きは魔術師に阻まれていた。
 その刹那

キィィンッ!

斧戦士の渾身の一撃を受けたゼロの剣が攻撃に耐えられずに折れた。
 辛うじて飛び退いたゼロは剣を捨てて鎖鎌を取り出し、分銅を回して斧戦士と距離を取った。
 斧戦士は不敵な笑みを浮かべた。

「おいおい、いいのか?そんな物騒な物を振り回しても。どこかで姿を隠して震えてる奴に当たるかもしれないぜ?」

 斧戦士は余裕の表情だが、自分が致命的な勘違いをしていることに気付かなかった。
 ゼロは分銅を回しながら別の一手を狙い、レイスから隠れている神官の位置の情報を得た上で自らの位置を少しずつ移動して姿の見えない神官を射線から外したのだ。

「そっちが来ないならこっちからだ!一撃で決めてやる!」

 斧戦士が斧を振りかざした時、彼の胸を貫く光の矢が走った。
 ゼロの光熱魔法だ。
 斧戦士は斧を落として膝をついた。

「なんだ、これは・・・」

 ゼロは鎖鎌を収めると斧戦士を蹴り倒した。

「貴方は無意識の内に私に騙されましたね。私が真面目に武器で戦うとでも思いましたか?」

 斧戦士が倒れた時、背後でレイス達と戦っていた魔術師が杖を取り落とし、無表情で立ち尽くした。
 その様子を横目で見たゼロは倒れている斧戦士の右腕に狙いをつけた。

「支配が解けかけていますね。ならば、これで完全に解けるでしょう」

 そう言うと、何の躊躇もなく光熱魔法で斧戦士の前腕部を切り落とした。

「ぐわぁぁっ!」

 斧戦士の悲鳴に表情を変えず、ゼロは切り落とした腕ごと支配の腕輪を踏みつけた。
 腕輪に嵌め込まれた宝石が砕けた瞬間、魔術師は糸が切れた人形のように崩れ落ちる。

「クハッ!畜生!」

 痛みにのたうち回る斧戦士をもう一度蹴り飛ばすと、その額に向けて手をかざした。

「やめろ!助けてくれ!降参だもう抵抗しないから助けてくれ」

 鼻汁を流しながら懇願する斧戦士を冷たい目で見下ろすゼロ。

「私が貴方の願いを聞き入れなければならない理由はありますか?因みにギルドからは貴方達を生きたまま捕縛しろとは言われてませんよ」
「てめぇも言ってたじゃないか!冒険者としてってよ!てめぇは平気で俺を殺そうってのかよ」
「そうですね。私も冒険者の端くれとしてね、思うところはありますよ」
「だったら!俺はもう抵抗できねぇ!殺さなくてもいいじゃねえか」
「私は死霊術師ですよ?人の生死に対する基準は他の人とは違うのかもしれませんね」

 ゼロの手から発された光が斧戦士の額を貫通した。
 それで全てが終わった。

「私は受けた依頼に真摯に対応する、それだけが私の冒険者としての矜持です。その為に貴方のような障害を排除することに躊躇いはありませんよ」

 斧戦士の死体を見下ろしながらゼロは呟いた。
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