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夏休み編
3.
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「カズ!」
「小山田くん!」
た、助かった! 地獄に仏ってこういうことだよ!!
小山田くんのあと、出口から選手たちが次々と姿を現す。
周囲から、きゃああ、と黄色い悲鳴があがった。
騒然とする女子たちの間をぬって、小山田くんがぼくのところにやってきた。
危うくすがりつきそうになったところをガマンする。
「なにかあったのか?」
小山田くんがぼくの肩を抱いてきた。
あたたかな重みに、ぼくの瞳がうるっとした。もーだからガマンしたのに――!!
「ううん、なにもないよ」
小山田くんは眉をしかめると、顔を真っ赤にしているマドカって女子と、その友人たちに顔を向けた。
まつげバサバサ女子が、ぼくを指差した。
「その子がマドカにセクハラしたのよ!」
「してないよ!!」
事実無根だし、名誉毀損だぞ!!
ぼくの顔をのぞきこむようにして、小山田くんが目でたずねてくる。
「目が合っただけ」
小山田くんがうーん、とうなった。
わかる。うなるしかないよね。
「君らは、カズをどうしたいの?」
なにも考えていなかったのか、まつげバサバサ女子が、言葉につまった。
正義感をふりかざして、友人をかばう姿はうつくしいかも知れないけど、後先を考えてほしいよ。
「小山田くん! 私のお弁当をもらってください!」
ここでマドカって女子がしゃしゃり出て来た。
小山田くんは目を丸くしている。周囲もぽかーんだ。
「え、俺?」
「はい! 小山田くんのために、朝4時起きして作りました!」
「これを俺がもらったら、カズへの言いがかりをやめてくれるの?」
「はい!」
いや、それダメでしょ。
「ダメだよ、小山田くん。これは、ぼくの問題なんだから」
「カズが困ってるの、俺が見過ごせるわけないだろ」
小山田くんの言葉に、なんて友だち思いなんだと、周囲が感動している。
ぼくだって感動してる。
思わず、涙腺決壊させて滂沱してたら、小山田くんのスポーツタオルで、泣くなよってぐいぐい顔をぬぐわれた。
えへへ、不細工な顔さらしちゃって、すみませんねえ。
でもさ、これえん罪だからね!? ぼくはなにひとつ罪になるようなことは、していないからね!?
ちゃんとわかってる? 周りの皆さん!! とくにマドカとまつげバサバサ女子!!
「小山田くん!」
た、助かった! 地獄に仏ってこういうことだよ!!
小山田くんのあと、出口から選手たちが次々と姿を現す。
周囲から、きゃああ、と黄色い悲鳴があがった。
騒然とする女子たちの間をぬって、小山田くんがぼくのところにやってきた。
危うくすがりつきそうになったところをガマンする。
「なにかあったのか?」
小山田くんがぼくの肩を抱いてきた。
あたたかな重みに、ぼくの瞳がうるっとした。もーだからガマンしたのに――!!
「ううん、なにもないよ」
小山田くんは眉をしかめると、顔を真っ赤にしているマドカって女子と、その友人たちに顔を向けた。
まつげバサバサ女子が、ぼくを指差した。
「その子がマドカにセクハラしたのよ!」
「してないよ!!」
事実無根だし、名誉毀損だぞ!!
ぼくの顔をのぞきこむようにして、小山田くんが目でたずねてくる。
「目が合っただけ」
小山田くんがうーん、とうなった。
わかる。うなるしかないよね。
「君らは、カズをどうしたいの?」
なにも考えていなかったのか、まつげバサバサ女子が、言葉につまった。
正義感をふりかざして、友人をかばう姿はうつくしいかも知れないけど、後先を考えてほしいよ。
「小山田くん! 私のお弁当をもらってください!」
ここでマドカって女子がしゃしゃり出て来た。
小山田くんは目を丸くしている。周囲もぽかーんだ。
「え、俺?」
「はい! 小山田くんのために、朝4時起きして作りました!」
「これを俺がもらったら、カズへの言いがかりをやめてくれるの?」
「はい!」
いや、それダメでしょ。
「ダメだよ、小山田くん。これは、ぼくの問題なんだから」
「カズが困ってるの、俺が見過ごせるわけないだろ」
小山田くんの言葉に、なんて友だち思いなんだと、周囲が感動している。
ぼくだって感動してる。
思わず、涙腺決壊させて滂沱してたら、小山田くんのスポーツタオルで、泣くなよってぐいぐい顔をぬぐわれた。
えへへ、不細工な顔さらしちゃって、すみませんねえ。
でもさ、これえん罪だからね!? ぼくはなにひとつ罪になるようなことは、していないからね!?
ちゃんとわかってる? 周りの皆さん!! とくにマドカとまつげバサバサ女子!!
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