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番外編
第二王子だって悪役令嬢を縛りたい
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「夜がはげしいと、子が授かりにくいのですって」
立太子である兄王子の妃が、子を出産した自身の見舞いに訪れた第二王子アルバートに告げた。
アルバートは首をかしげる。
「夜だけでなく、日中も励んでおりますが」
「はげしいのがダメだっつってんだろ」
幼馴染である宰相の息子に人差し指で小突かれ、アルバートは唇を尖らせる。
「だが私は、昼も夜も全力でヴィアをかわいがりたいのだ」
「それがダメなんだろ」
ふたりの様子を見て、王子妃が微笑んだ。
「そう焦らずともよいのではないですか? 子は授かりものと言いますし、あなたもゼノヴィアさんもまだお若いではないですか」
「義姉上、私はふたりの愛の証しが欲しいのです」
「まあ」
王子妃は義理の弟の言葉にいたく感動したようだけれど、宰相の息子は冷めた気持ちでアルバートを見つめる。
アルバートとは、おしめをしているころからの付き合いだ。
子が出来れば、子を盾にゼノヴィアを縛っておけるとかなんとか、絶対思ってる。しかもつぎつぎと子を孕ませれば、居城から出さずに済むし、人とも会わせずに済むとも思っている。
……コイツ、結構病んでるんだよな。
病んでいるといえば、幼馴染の婚約者もいわゆる嗜虐性趣味であることに気付いたのは、宰相の息子が先だった。
アルバートが遊びに行って、婚約者からもらってきたというクマのぬいぐるみが、緊縛されていたのである。
宰相の息子は、こっそり入った父親の書斎でそのような書物を目にしたことがあったのでピンときた。
まさか、ゼノヴィア嬢は嗜虐性趣味の持ち主!?
あかん、これは一大事やでえ……。
王位継承権第二位の王子がマゾヒストに目覚めたら一大事だ!!
いや、待てよ。趣味なんだし王子業をちゃんとしてくれれば問題はないのか? 実際、齢7つにして、アルバートは優秀であった。
宰相の息子は、第二王子を放っておくことにした。
賢明な判断であった。
互いにベタ惚れなふたりには嵐などが起こりようもなく、第二王子と婚約者はめでたく結婚をした。
で、子を授かる秘訣を、アルバートが王子妃にたずねたのである。
◇
「えろいヴィアを前にして、おさえるなんてオレにはムリだ」
「あ、そう」
そんなこと第三者的にはどうでもいいわ。
王子妃に子を授かる秘訣を聞こうと訪れたのに、なんの案ももらえずがっくり肩を落としている幼馴染の肩を叩く。
そういえば、ゼノヴィア嬢の嗜虐性趣味は落ち着いたのだろうか?
「アル。ゼノヴィア嬢はまだぬいぐるみを縄で縛ったりするのかい?」
幼馴染がきょとりとする。
「ぬいぐるみは縛ってないな」
「そうなんだ」
よかった、と胸を撫で下ろす。
ゼノヴィア嬢も緊縛プレイをなにかで知って、興味本位にクマのぬいぐるみを縛ったというところか……?
「オレが縛られているからな」
「おいいいい!!!!!」
情操教育のためには、子はしばらく作らないほうがいいんじゃないか? と思った。
立太子である兄王子の妃が、子を出産した自身の見舞いに訪れた第二王子アルバートに告げた。
アルバートは首をかしげる。
「夜だけでなく、日中も励んでおりますが」
「はげしいのがダメだっつってんだろ」
幼馴染である宰相の息子に人差し指で小突かれ、アルバートは唇を尖らせる。
「だが私は、昼も夜も全力でヴィアをかわいがりたいのだ」
「それがダメなんだろ」
ふたりの様子を見て、王子妃が微笑んだ。
「そう焦らずともよいのではないですか? 子は授かりものと言いますし、あなたもゼノヴィアさんもまだお若いではないですか」
「義姉上、私はふたりの愛の証しが欲しいのです」
「まあ」
王子妃は義理の弟の言葉にいたく感動したようだけれど、宰相の息子は冷めた気持ちでアルバートを見つめる。
アルバートとは、おしめをしているころからの付き合いだ。
子が出来れば、子を盾にゼノヴィアを縛っておけるとかなんとか、絶対思ってる。しかもつぎつぎと子を孕ませれば、居城から出さずに済むし、人とも会わせずに済むとも思っている。
……コイツ、結構病んでるんだよな。
病んでいるといえば、幼馴染の婚約者もいわゆる嗜虐性趣味であることに気付いたのは、宰相の息子が先だった。
アルバートが遊びに行って、婚約者からもらってきたというクマのぬいぐるみが、緊縛されていたのである。
宰相の息子は、こっそり入った父親の書斎でそのような書物を目にしたことがあったのでピンときた。
まさか、ゼノヴィア嬢は嗜虐性趣味の持ち主!?
あかん、これは一大事やでえ……。
王位継承権第二位の王子がマゾヒストに目覚めたら一大事だ!!
いや、待てよ。趣味なんだし王子業をちゃんとしてくれれば問題はないのか? 実際、齢7つにして、アルバートは優秀であった。
宰相の息子は、第二王子を放っておくことにした。
賢明な判断であった。
互いにベタ惚れなふたりには嵐などが起こりようもなく、第二王子と婚約者はめでたく結婚をした。
で、子を授かる秘訣を、アルバートが王子妃にたずねたのである。
◇
「えろいヴィアを前にして、おさえるなんてオレにはムリだ」
「あ、そう」
そんなこと第三者的にはどうでもいいわ。
王子妃に子を授かる秘訣を聞こうと訪れたのに、なんの案ももらえずがっくり肩を落としている幼馴染の肩を叩く。
そういえば、ゼノヴィア嬢の嗜虐性趣味は落ち着いたのだろうか?
「アル。ゼノヴィア嬢はまだぬいぐるみを縄で縛ったりするのかい?」
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「ぬいぐるみは縛ってないな」
「そうなんだ」
よかった、と胸を撫で下ろす。
ゼノヴィア嬢も緊縛プレイをなにかで知って、興味本位にクマのぬいぐるみを縛ったというところか……?
「オレが縛られているからな」
「おいいいい!!!!!」
情操教育のためには、子はしばらく作らないほうがいいんじゃないか? と思った。
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