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マシュマロ系令嬢と乙女ゲーヒロイン
3.
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「――わかる」
いきなり自由人リリーティアがマリアベルに賛同した。
「学園長パパママわたしの親子面談の間、パパにずっと泣かれてウザかったもの」
――物理的な意味のほうではない。
リリーティアの両親であるリクール男爵夫妻は、学園に呼び出しまでされたらしい。
「みんなは親不孝をしちゃダメだよ? 『孝行したい時に親はなし』って言葉もあるんだから、ねっ?」
「リリーティアは女神なのか?」
「いや、天使だろう」
いちばん親不孝をしているリリーティア本人の、どの口が言っているのだろう?
「――貴様らは反省文程度では足りなかったようだな」
「ぎゃ――っ、出たあああああっっっ!!?」
リリーティアとその愉快な仲間たちが叫び声をあげながら逃げて行く。
「やっと行ってくれましたね」
「ほんとね。あれ、途中で引っ込みがつかなくなってたわよね」
とんだ茶番につき合わされたものだ。エマの言葉にマリアベルは深くうなずく。
「ベル、大丈夫だったか!?」
いいタイミングで姿を現した救世主は、もちろんマリアベルの婚約者シモン・モンテイエである。
ややお疲れ気味に見えるけれど、相も変わらず麗しい。
「シモン様、ごきげんよう。リリーティアさんたちにからまれて困っていたのです。助かりました」
「ここに屍人が現れたと連絡を受けて急いで来たんだ」
「まあ」
本当に急いで来てくれたのだろう、シモンの額に光る汗に気付いたマリアベルは嬉しくなる。
席を立ってシモンの額にハンカチを当てた。
「ご安心ください。屍人の正体は、リリーティアさんでしたわ」
「……ったく、あの女。反省文を10000枚にしておけばよかったか? しかし、そうなるとまたベルに会う時間が……うーん、しかしベルの周りをうろちょろされるのは……」
婚約者はじつは生徒会に所属していた。
昼食の席でからまれた際、シモンがすぐに衛兵を呼べたのも、そのような理由からである。
「シモン様、いろいろとお疲れ様でした。リリーティアさんに1000枚もの反省文を書かせるのは、大変でしたでしょう?」
婚約者の美しい紅玉の瞳がマリアベルを映した。
「いたわってくれるか?」
「もちろんです!」
生徒会と王太子殿下の補佐で、婚約者はいつも忙しくしている。
そこへきて、リリーティアと愉快ななかまたちを反省房に入れてしまったため、その管理もしなければならなくなった。
今までは夕飯くらいはいっしょに食べられたのだけれど、この7日の間はそれさえも出来なかったのだ。
完全にお互い不足である。
「それならば、ベルとふたりきりでゆっくり過ごしたい。王都で行きたい場所はあるか?」
「よいのですか?」
「ああ。1、2日程度なら、殿下も生徒会も問題ない」
「ありがとうございます。考えておきます!」
王立学園のある王都には来たばかりで日が浅い。
観光もしたいし、街に美味しい洋菓子店があるなら、ぜひとも行ってみたい。
「うふふ、シモン様とふたりきりでおでかけするのが楽しみです」
「私もだ」
わたしもお側に付くんですけどね……と侍女が突っ込んでいるとなりで、空気のようなシモンの侍従が肩をすくめていた。
いきなり自由人リリーティアがマリアベルに賛同した。
「学園長パパママわたしの親子面談の間、パパにずっと泣かれてウザかったもの」
――物理的な意味のほうではない。
リリーティアの両親であるリクール男爵夫妻は、学園に呼び出しまでされたらしい。
「みんなは親不孝をしちゃダメだよ? 『孝行したい時に親はなし』って言葉もあるんだから、ねっ?」
「リリーティアは女神なのか?」
「いや、天使だろう」
いちばん親不孝をしているリリーティア本人の、どの口が言っているのだろう?
「――貴様らは反省文程度では足りなかったようだな」
「ぎゃ――っ、出たあああああっっっ!!?」
リリーティアとその愉快な仲間たちが叫び声をあげながら逃げて行く。
「やっと行ってくれましたね」
「ほんとね。あれ、途中で引っ込みがつかなくなってたわよね」
とんだ茶番につき合わされたものだ。エマの言葉にマリアベルは深くうなずく。
「ベル、大丈夫だったか!?」
いいタイミングで姿を現した救世主は、もちろんマリアベルの婚約者シモン・モンテイエである。
ややお疲れ気味に見えるけれど、相も変わらず麗しい。
「シモン様、ごきげんよう。リリーティアさんたちにからまれて困っていたのです。助かりました」
「ここに屍人が現れたと連絡を受けて急いで来たんだ」
「まあ」
本当に急いで来てくれたのだろう、シモンの額に光る汗に気付いたマリアベルは嬉しくなる。
席を立ってシモンの額にハンカチを当てた。
「ご安心ください。屍人の正体は、リリーティアさんでしたわ」
「……ったく、あの女。反省文を10000枚にしておけばよかったか? しかし、そうなるとまたベルに会う時間が……うーん、しかしベルの周りをうろちょろされるのは……」
婚約者はじつは生徒会に所属していた。
昼食の席でからまれた際、シモンがすぐに衛兵を呼べたのも、そのような理由からである。
「シモン様、いろいろとお疲れ様でした。リリーティアさんに1000枚もの反省文を書かせるのは、大変でしたでしょう?」
婚約者の美しい紅玉の瞳がマリアベルを映した。
「いたわってくれるか?」
「もちろんです!」
生徒会と王太子殿下の補佐で、婚約者はいつも忙しくしている。
そこへきて、リリーティアと愉快ななかまたちを反省房に入れてしまったため、その管理もしなければならなくなった。
今までは夕飯くらいはいっしょに食べられたのだけれど、この7日の間はそれさえも出来なかったのだ。
完全にお互い不足である。
「それならば、ベルとふたりきりでゆっくり過ごしたい。王都で行きたい場所はあるか?」
「よいのですか?」
「ああ。1、2日程度なら、殿下も生徒会も問題ない」
「ありがとうございます。考えておきます!」
王立学園のある王都には来たばかりで日が浅い。
観光もしたいし、街に美味しい洋菓子店があるなら、ぜひとも行ってみたい。
「うふふ、シモン様とふたりきりでおでかけするのが楽しみです」
「私もだ」
わたしもお側に付くんですけどね……と侍女が突っ込んでいるとなりで、空気のようなシモンの侍従が肩をすくめていた。
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