33 / 66
第二章 恋と陰謀の輪舞曲
32.腹を割って話そう
しおりを挟む
「こちらにも非があることと黙って聞いておりましたが、今のは聞き捨てなりませぬぞ、クソババア」
全員が氷の彫像と化したような部屋のなかで、フランツの声の重厚な声だけが響き渡った。
「私も人の親です。クソババアがそこの小デブを可愛く思われる気持ちは痛いほどよく分かる。ですが、だからと言って人を貶めて良いということは断じてない。ましてやラルフ殿の亡き母君をこの場で引き合いに出されるとは言語道断。決して許されないことですぞ!」
「な、な、な……」
エリザベートが目をいっぱいに見開いて、震える指をフランツに突き付ける。
「もともとこれは我が家のエルマがそこの小デブをぶったことが発端です。ウォルトブルク伯爵家としてはその責任を負うつもりです。クソババアが小デブの治療費に加え慰謝料を払えと仰せならそのご相談に応じましょう。ただ、物事を必要以上に大ごとにするのは止めに致しませんか。そのようなことはクソババアの兄君のザイフリート公爵とてお望みではないでしょう」
そう言って、ふっと笑ったフランツの顔はやはりクレヴィング公爵の弟に相応しい不敵な迫力に満ちていた。
「ウォ、ウォルトブルク伯爵……」
ラルフが恐る恐る声をかけると、フランツは
「いや。何も申されるな。ラルフ殿」
とラルフに向かって手のひらを突き出した。
「差し出がましいことを申したのは分かっておる。だがここは言わせてくれ。ヴィクトールたちとは、今日は何を言われても適当に聞き流してその場をとりあえず収めてこようと申し合わせておったのだが」
「んなっ!?」
エリザベートが声を上げるが、フランツは構わずに続けた。
「しかし先ほどのクソババアの言葉をわしはどうしても聞き流すことが出来なんだ。実はわしは妻を……エルマの母を亡くしておってな。亡き母上を大切に想うそなたの気持ちはよく分かるつもりだ。その気持ちが、うちのエルマがしたことを理由にクソババアに踏み躙られるようなことを言われて、黙って見逃すことはわしにはどうしても出来なかった」
「ウォルトブルク伯……」
「本来ならばそこのもやし親父がクソババアを諫めるべきところであろうが、何も言われぬようなので出過ぎたことをしてしまった。許されよ」
(もやし親父……)
それはもしかしなくても、父クルーガー伯爵のことであろうか。ラルフは父の方を見る勇気がなかった。
「わしも良くなかった。いくらクソババアが人の話に聞く耳を持たぬ根性悪だと聞いていたとはいえ、最初から対話を諦めて適当に話を聞き流すなど……どちらの為にも良いはずはなかった。
やはり、一時は揉め事になろうと言った側、言われた側双方にとって傷をのこそうと言うべきことは言わねばならぬ。
今のまま、悪戯にラルフ殿を憎み悪態をつくような生き方ではラルフ殿ももやしもクソババアも皆不幸になるだけだ。もちろん、そこに座っておる小デブもだ。
やはり言うべきことはきちんと言わねば」
そこでフランツは言葉を切り、まっすぐにエリザベートをみつめた。
「あなたにもつらい思いが色々とおありなのでしょう。ですが、それを罪もない継子のラルフ殿にぶつけるのは絶対に間違っておる。それだけはお分かりいただきたい」
そう言ってフランツは、ふうっと息をつき目の前に置かれた冷めきった紅茶に口をつけた。
「叔父さま」
恐ろしいまでの静寂を破ったのはアマーリアの遠慮がちな声だった。
「アマーリア。そなたにも悪いことをしたな。結婚前の一番楽しいはずの時にこのような騒ぎを引き起こしてしまって」
「いえ。叔父さま。それはよろしいのです。ただ、その……」
アマーリアがちらりと見るとクルーガー伯爵とレイフォードは石像のように微動だにせず、エリザベート夫人はいまにも憤死しかねない形相で、何かを言おうとしては言葉にならず、真っ赤な顔で口をぱくぱくさせている。
「すまぬな。若いそなたたちを抑えねばならぬ立場のわしがつい熱くなってしまった。しかし、わしは訂正するつもりはないぞ。謝罪ならばいくらでもしよう。だが、わしが言ったことは決して間違ってはおらぬはずだ」
「え、ええ。勿論ですわ。叔父さまのお言葉心に沁み通りました。ただ、その……」
「ん? どうした」
「あの……ひょっとして気づいておられませんか。叔父さま」
「だから何がだ」
きょとんとした叔父の顔を見て、アマーリアは覚悟を決めて口を開いた。
「大変素晴らしいお話だったのですけれど、叔父さまは先ほどからずっと伯爵夫人のことをクソババアと呼んでいらっしゃいますわ」
「何!?」
フランツが目をみはって叫んだ。
「ちなみにレイフォード殿のことを小デブ。クルーガー伯爵のことはもやし親父と」
「それはまことか、アマーリア!」
「ええ。まことにございます」
「何という事だ!!」
フランツは頭を抱えて天を仰いだ。
「心のなかだけで言っているつもりがまさか口に出してしまっていたとは……」
(心の中では呼んでいたのかよ)
内心でツッコむラルフをよそに、フランツは呻いた。
「なんということだ。このフランツ・クレヴィング、一生の不覚……っ!」
「お兄さまがいけないのよ。役割演習の時に面白がってそんな呼び方するから叔父さまにもうつってしまって」
「いや、だってさ。おまえが伯爵夫人の役をあんまり見事に憎々しく演じてくるから、それくらい言わせて貰わないとこっちもストレスがすごくてさ」
ヴィクトールが弁解する。
(役割演習中からずっとクソババア呼ばわりだったのかよ……)
アマーリアの演じたという、見事に憎々しい継母の役を見て見たかったと少し思いながらラルフは遠い目になった。
ふいに、うおおおお! という獣のような叫び声をあげてフランツが立ち上がった。
ぎょっとする一同の前で、がばりと床に体を投げだすような勢いで平伏する。
「申し訳なかった! とんでもない失礼を致した。お許し下され!!」
それを見たエリザベート夫人がわなわなと震える声で言った。
「も、申し訳なかった、で済むとお思いなのですか。貴方は……何、何という……」
「まことに申し訳ない。なんと罵られても弁明のしようがない。どう言い繕ったところでわしとヴィクトールがあなたを心の底からクソババアと思っておることに変わりはないのだから」
「ちょっと叔父上。それ全然謝罪になってないですよ」
ヴィクトールが慌てて割って入った。
「何だ。ヴィクトール。最初に夫人のことをクソババアと言い出したのはそなただろう。ここで言い逃れをしようとするのは男らしくないぞ!」
「いや。言い逃れとかそういうことじゃなくて、ここでそれを言い出したらまとまる話もまとまらないというか」
「もう良い。ことがここに至ってはもう口先だけでお詫びして表面上を取り繕ったところで何の意味もない。ここは腹を割って本音で話そうではないか」
「いや。この状況で腹を割る意味が分からないですから。腹を割って本音で話すっていうのは、もうちょっと信頼関係というか友好関係のある相手に対してするからこそ意味のあることであって……」
「それは違うぞ、ヴィクトール!!」
フランツが雷鳴のような大声を出したので、ソファにいるクルーガー伯爵とレイフォードが石化した姿勢のまま、びくっと飛び上がった。
「本音でぶつかってこそ、真の意味の信頼関係が築けるのだ。ラルフ殿とアマーリアが結婚する以上、両家は姻戚ということになる。ここは思い切って本音でぶつかろうではないか!」
「言ってることが一見正しそうに聞こえるところがかえって怖いんだよなー」
ぼやくヴィクトールの肩を、フランツは強く揺さぶった。
「さあ、ヴィクトールもこちらのクソババアはアマーリアにとっては姑殿になるのだ。小手先の理屈で護摩化そうとはせず、本音をぶつけてみろ」
「またクソババアって言ってるし……本音って言われても俺は別に」
「難しく考えるな。おまえだってここへ来る前、さんざん『こっちは全然悪いと思ってないけど、まあ一応謝っておこう。めんどくさいから』と申しておったではないか。そういう本音をそのままぶつけたらよいのだ」
「いや、いいわけないでしょう」
フランツとヴィクトールの延々と続くツッコミどころ満載の会話を聞きながら、ラルフはこの場を収集するのは自分以外にないと悟った。
「すみません。今日のところはこれでお開きということにしませんか。とりあえず、その、ヴォルトブルク伯爵からはお詫びして頂けたということで……そうでしょう。父上?」
一応はこの屋敷の主人である父に声をかけると、石像化していた父は悪夢から覚めた人のように、
「ああ……うん」
と力なく呻いた。
その途端、憤怒のあまり今にも息絶えそうな様子だったエリザベート夫人が息を吹き返してラルフに詰め寄った。
「何がお詫びして頂けた、ですか!! さんざん愚弄されただけではありませんか! あの人たちはお詫びどころか私やレイフォードをさらに侮辱し、打ちのめすために来たのです! そしてそれを企んだのはあなたよっ!!」
金切り声でわめきたてると、手近にあったティーポットをつかみ中身をラルフに向かってぶちまけようとした。
ラルフはあえて避けなかったが、次の瞬間それを後悔した。
ラルフの前に両手を広げたアマーリアが飛び出してきたのだ。
「やめて下さい!」
エリザベートは明らかに怯んだ顔になったが、勢いが止められずそのまま中の紅茶を思いきりアマーリアにむかってぶちまけた。
幸い中身は冷めきっていたので熱くはなかったが、淡いブルーのドレスのスカートに無残な染みが広がった。
全員が氷の彫像と化したような部屋のなかで、フランツの声の重厚な声だけが響き渡った。
「私も人の親です。クソババアがそこの小デブを可愛く思われる気持ちは痛いほどよく分かる。ですが、だからと言って人を貶めて良いということは断じてない。ましてやラルフ殿の亡き母君をこの場で引き合いに出されるとは言語道断。決して許されないことですぞ!」
「な、な、な……」
エリザベートが目をいっぱいに見開いて、震える指をフランツに突き付ける。
「もともとこれは我が家のエルマがそこの小デブをぶったことが発端です。ウォルトブルク伯爵家としてはその責任を負うつもりです。クソババアが小デブの治療費に加え慰謝料を払えと仰せならそのご相談に応じましょう。ただ、物事を必要以上に大ごとにするのは止めに致しませんか。そのようなことはクソババアの兄君のザイフリート公爵とてお望みではないでしょう」
そう言って、ふっと笑ったフランツの顔はやはりクレヴィング公爵の弟に相応しい不敵な迫力に満ちていた。
「ウォ、ウォルトブルク伯爵……」
ラルフが恐る恐る声をかけると、フランツは
「いや。何も申されるな。ラルフ殿」
とラルフに向かって手のひらを突き出した。
「差し出がましいことを申したのは分かっておる。だがここは言わせてくれ。ヴィクトールたちとは、今日は何を言われても適当に聞き流してその場をとりあえず収めてこようと申し合わせておったのだが」
「んなっ!?」
エリザベートが声を上げるが、フランツは構わずに続けた。
「しかし先ほどのクソババアの言葉をわしはどうしても聞き流すことが出来なんだ。実はわしは妻を……エルマの母を亡くしておってな。亡き母上を大切に想うそなたの気持ちはよく分かるつもりだ。その気持ちが、うちのエルマがしたことを理由にクソババアに踏み躙られるようなことを言われて、黙って見逃すことはわしにはどうしても出来なかった」
「ウォルトブルク伯……」
「本来ならばそこのもやし親父がクソババアを諫めるべきところであろうが、何も言われぬようなので出過ぎたことをしてしまった。許されよ」
(もやし親父……)
それはもしかしなくても、父クルーガー伯爵のことであろうか。ラルフは父の方を見る勇気がなかった。
「わしも良くなかった。いくらクソババアが人の話に聞く耳を持たぬ根性悪だと聞いていたとはいえ、最初から対話を諦めて適当に話を聞き流すなど……どちらの為にも良いはずはなかった。
やはり、一時は揉め事になろうと言った側、言われた側双方にとって傷をのこそうと言うべきことは言わねばならぬ。
今のまま、悪戯にラルフ殿を憎み悪態をつくような生き方ではラルフ殿ももやしもクソババアも皆不幸になるだけだ。もちろん、そこに座っておる小デブもだ。
やはり言うべきことはきちんと言わねば」
そこでフランツは言葉を切り、まっすぐにエリザベートをみつめた。
「あなたにもつらい思いが色々とおありなのでしょう。ですが、それを罪もない継子のラルフ殿にぶつけるのは絶対に間違っておる。それだけはお分かりいただきたい」
そう言ってフランツは、ふうっと息をつき目の前に置かれた冷めきった紅茶に口をつけた。
「叔父さま」
恐ろしいまでの静寂を破ったのはアマーリアの遠慮がちな声だった。
「アマーリア。そなたにも悪いことをしたな。結婚前の一番楽しいはずの時にこのような騒ぎを引き起こしてしまって」
「いえ。叔父さま。それはよろしいのです。ただ、その……」
アマーリアがちらりと見るとクルーガー伯爵とレイフォードは石像のように微動だにせず、エリザベート夫人はいまにも憤死しかねない形相で、何かを言おうとしては言葉にならず、真っ赤な顔で口をぱくぱくさせている。
「すまぬな。若いそなたたちを抑えねばならぬ立場のわしがつい熱くなってしまった。しかし、わしは訂正するつもりはないぞ。謝罪ならばいくらでもしよう。だが、わしが言ったことは決して間違ってはおらぬはずだ」
「え、ええ。勿論ですわ。叔父さまのお言葉心に沁み通りました。ただ、その……」
「ん? どうした」
「あの……ひょっとして気づいておられませんか。叔父さま」
「だから何がだ」
きょとんとした叔父の顔を見て、アマーリアは覚悟を決めて口を開いた。
「大変素晴らしいお話だったのですけれど、叔父さまは先ほどからずっと伯爵夫人のことをクソババアと呼んでいらっしゃいますわ」
「何!?」
フランツが目をみはって叫んだ。
「ちなみにレイフォード殿のことを小デブ。クルーガー伯爵のことはもやし親父と」
「それはまことか、アマーリア!」
「ええ。まことにございます」
「何という事だ!!」
フランツは頭を抱えて天を仰いだ。
「心のなかだけで言っているつもりがまさか口に出してしまっていたとは……」
(心の中では呼んでいたのかよ)
内心でツッコむラルフをよそに、フランツは呻いた。
「なんということだ。このフランツ・クレヴィング、一生の不覚……っ!」
「お兄さまがいけないのよ。役割演習の時に面白がってそんな呼び方するから叔父さまにもうつってしまって」
「いや、だってさ。おまえが伯爵夫人の役をあんまり見事に憎々しく演じてくるから、それくらい言わせて貰わないとこっちもストレスがすごくてさ」
ヴィクトールが弁解する。
(役割演習中からずっとクソババア呼ばわりだったのかよ……)
アマーリアの演じたという、見事に憎々しい継母の役を見て見たかったと少し思いながらラルフは遠い目になった。
ふいに、うおおおお! という獣のような叫び声をあげてフランツが立ち上がった。
ぎょっとする一同の前で、がばりと床に体を投げだすような勢いで平伏する。
「申し訳なかった! とんでもない失礼を致した。お許し下され!!」
それを見たエリザベート夫人がわなわなと震える声で言った。
「も、申し訳なかった、で済むとお思いなのですか。貴方は……何、何という……」
「まことに申し訳ない。なんと罵られても弁明のしようがない。どう言い繕ったところでわしとヴィクトールがあなたを心の底からクソババアと思っておることに変わりはないのだから」
「ちょっと叔父上。それ全然謝罪になってないですよ」
ヴィクトールが慌てて割って入った。
「何だ。ヴィクトール。最初に夫人のことをクソババアと言い出したのはそなただろう。ここで言い逃れをしようとするのは男らしくないぞ!」
「いや。言い逃れとかそういうことじゃなくて、ここでそれを言い出したらまとまる話もまとまらないというか」
「もう良い。ことがここに至ってはもう口先だけでお詫びして表面上を取り繕ったところで何の意味もない。ここは腹を割って本音で話そうではないか」
「いや。この状況で腹を割る意味が分からないですから。腹を割って本音で話すっていうのは、もうちょっと信頼関係というか友好関係のある相手に対してするからこそ意味のあることであって……」
「それは違うぞ、ヴィクトール!!」
フランツが雷鳴のような大声を出したので、ソファにいるクルーガー伯爵とレイフォードが石化した姿勢のまま、びくっと飛び上がった。
「本音でぶつかってこそ、真の意味の信頼関係が築けるのだ。ラルフ殿とアマーリアが結婚する以上、両家は姻戚ということになる。ここは思い切って本音でぶつかろうではないか!」
「言ってることが一見正しそうに聞こえるところがかえって怖いんだよなー」
ぼやくヴィクトールの肩を、フランツは強く揺さぶった。
「さあ、ヴィクトールもこちらのクソババアはアマーリアにとっては姑殿になるのだ。小手先の理屈で護摩化そうとはせず、本音をぶつけてみろ」
「またクソババアって言ってるし……本音って言われても俺は別に」
「難しく考えるな。おまえだってここへ来る前、さんざん『こっちは全然悪いと思ってないけど、まあ一応謝っておこう。めんどくさいから』と申しておったではないか。そういう本音をそのままぶつけたらよいのだ」
「いや、いいわけないでしょう」
フランツとヴィクトールの延々と続くツッコミどころ満載の会話を聞きながら、ラルフはこの場を収集するのは自分以外にないと悟った。
「すみません。今日のところはこれでお開きということにしませんか。とりあえず、その、ヴォルトブルク伯爵からはお詫びして頂けたということで……そうでしょう。父上?」
一応はこの屋敷の主人である父に声をかけると、石像化していた父は悪夢から覚めた人のように、
「ああ……うん」
と力なく呻いた。
その途端、憤怒のあまり今にも息絶えそうな様子だったエリザベート夫人が息を吹き返してラルフに詰め寄った。
「何がお詫びして頂けた、ですか!! さんざん愚弄されただけではありませんか! あの人たちはお詫びどころか私やレイフォードをさらに侮辱し、打ちのめすために来たのです! そしてそれを企んだのはあなたよっ!!」
金切り声でわめきたてると、手近にあったティーポットをつかみ中身をラルフに向かってぶちまけようとした。
ラルフはあえて避けなかったが、次の瞬間それを後悔した。
ラルフの前に両手を広げたアマーリアが飛び出してきたのだ。
「やめて下さい!」
エリザベートは明らかに怯んだ顔になったが、勢いが止められずそのまま中の紅茶を思いきりアマーリアにむかってぶちまけた。
幸い中身は冷めきっていたので熱くはなかったが、淡いブルーのドレスのスカートに無残な染みが広がった。
0
お気に入りに追加
2,622
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
夫と親友が、私に隠れて抱き合っていました ~2人の幸せのため、黙って身を引こうと思います~
小倉みち
恋愛
元侯爵令嬢のティアナは、幼馴染のジェフリーの元へ嫁ぎ、穏やかな日々を過ごしていた。
激しい恋愛関係の末に結婚したというわけではなかったが、それでもお互いに思いやりを持っていた。
貴族にありがちで平凡な、だけど幸せな生活。
しかし、その幸せは約1年で終わりを告げることとなる。
ティアナとジェフリーがパーティに参加したある日のこと。
ジェフリーとはぐれてしまったティアナは、彼を探しに中庭へと向かう。
――そこで見たものは。
ジェフリーと自分の親友が、暗闇の中で抱き合っていた姿だった。
「……もう、この気持ちを抑えきれないわ」
「ティアナに悪いから」
「だけど、あなただってそうでしょう? 私、ずっと忘れられなかった」
そんな会話を聞いてしまったティアナは、頭が真っ白になった。
ショックだった。
ずっと信じてきた夫と親友の不貞。
しかし怒りより先に湧いてきたのは、彼らに幸せになってほしいという気持ち。
私さえいなければ。
私さえ身を引けば、私の大好きな2人はきっと幸せになれるはず。
ティアナは2人のため、黙って実家に帰ることにしたのだ。
だがお腹の中には既に、小さな命がいて――。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる