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本編

04-02 肛門を2時間ほぐしなさい

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ギゼルは小瓶から手に液体を垂らすと、お尻の間を撫でるように塗りつけた。それにビクッとなりそうだったけど、なんとか堪える。
お尻の穴の周りをふにふにと確かめるように押しては、穴にしみ込ませるように何度も液体を追加していく。

「小せえな」

真剣な表情のまま躊躇うような声で話すギゼルに不安になってしまう。胸元で服をぎゅっと握りしめる。



そのままどれくらいそれを繰り返していたか分からないけど、結構な時間そうしていた気がする。お互い無言でいるのがちょっと気まずい。

「あの、難しい感じ…?」

「俺の指だと一本でもきつそうだからな…痛くはさせたくねぇ」

このまま進まないんじゃないかと思って我慢できずに聞いてしまった。
ううう、そこまで気にしなくても大丈夫なのにとは思うけど、そこまで俺の身を案じてくれていることに心がむずむずする!

「大丈夫だって、もし当たりじゃない試練だったら怪我どころか死んじゃってたかもしれないわけだしさ!」

俺がなんとか明るい感じに言うと、なんとも言えない表情をしながらも納得してくれる。

「…分かった。力抜いとけよ」

そう言われると逆に緊張してきちゃうんだけど!

なんとかゆっくりと深呼吸を繰り返して、体の力を抜くよう心がけてギゼルにもたれかかった。それを合図にギゼルが指をゆっくりと押し込んでくる。
本当に少しだけ、多分1センチも入っていないんじゃないかな。それなのに、分かっていたはずなのに、体がこわばってしまう。

「っぅ……ふぅ…ふぅ」

それが分かったのかギゼルが指を動かすのを止めてしまった。

こんなことなら一人で慣らしておくとか…。いや、夢で会えるかもしれないギゼルのために現実でお尻を解すっていよいよ意味わかんないだろ!
駄目だ、冷静に、リラックスリラックス。意識的に息を吐きだして体から力を抜くために頑張る。
まるで俺のその行動を褒めるかのように、抱きかかえてくれている方の手で体を撫でられて…くっそ、嬉しい。

本当に少しだけ、液体を馴染ませるように指先を挿れては出し、挿れては出し、繰り返されるうちに徐々に奥に入ってきている気がする。良かったぁ。それに安心してさらに力が抜ける。

「偉いな、ユキミ」

「ん」

返事の代わりに少し頷いてギゼルを見る。褒めながらも指をさらに深く挿れてくる。はっきり言ってあんまり気持ちよくはない。気持ち悪くはないけど、ちょっと違和感があるなぁって感じだ。
でも、真剣な表情で慎重に触ってくれるギゼルに心は満たされていて、そして普通だったら触るのもあり得ないところに触られていることに対する背徳感というか、興奮がある。

ギゼルは一度指を抜くと、改めて液体を指にからませてからずぷりと押し挿れた。

「ぁっ……やったぁ、ついにちゃんと入ったね」

「そうだな」

そのまま指の付けねまで挿れられたのが分かる。たったそれだけなのに謎の達成感を感じて、やりきったようなことを言ってしまったら、ちょっと呆れたように返事をされた。
いや、もうちょっと嬉しそうにしてくれても良くないか?まあ試練内容的には解すだったから、別に指が何本はいっても関係ないかもしれないけどさ。

指を少し抜いて穴の入り口を外側に広げるようにグニグニされる。なんとも言えない感覚で違和感がすごい。気を紛らわせるため呼吸に意識を集中させて、ゆっくりと吸っては吐いてを繰り返していく。

ふと見ると、ギゼルがこちらを見て穏やかに笑っていた。それにドキッとして中に入っている指を思い切り締め付けてしまった。

「っ!」

「ん、気に障ったか?」

うわああ、やめろばか!

こちらを落ち着かせるように体を撫でて優しい声で囁いてくる。それに心臓がキュッとなって連動したようにまた締め付けてしまう。急にそういう態度になると心臓に悪いだろ!
冷静に、冷静に、そう念じながら呼吸を繰り返して、ドキドキとうるさくなった心臓を落ち着かせる。


______________________



あれから結構な時間がたって、根気よく広げるように解された俺のお尻の穴には、なんとギゼルの太い指が3本も入るようになった。その間、俺はとにかく意識的な呼吸を心がけて、無心を心がけて真剣な表情のギゼルを眺めていた。

しかし、まずい、真剣なギゼルには悪いんだけど、ちんこがちょっと勃ってきてしまった。
決してお尻がすごく気持ちいいっていうことではないんだけど、ギゼルの指が3本入るようになって、これってギゼルのちんこも挿入るぐらい広がっているんじゃないかと気づいてしまったらどんどん興奮してきて、じわじわと勃ちはじめてしまった。

性的な雰囲気があまり無いなかで勃っちゃうの、すごい恥ずかしい…。下半身まる出しでお尻の穴いじってもらっておいてなんなんだけどさぁ。

勃ち始めてしまってからはギゼルの顔を見ていられなくて、ギゼルの胸元に顔を寄せてやり過ごすしかない状態になっている。

うう、多分もう1時間は余裕で経っている気がするんだけど、いつになったらこれは終わるんだ。せっかくのギゼルに会える夢だけど、早く終わってほしくなる。

「っんン!」

最初に指を一本根元まで入れた以外はほとんど入り口を解すだけだったのに、急にずぶりと押し込んでくる。そのままゆっくりと根元まで挿れられて今までにない圧迫感を感じる。ちょっと苦しい。

だけど、そのままゆっくりと指を抜かれて今までとは違った感覚になる。なんか、ちょっとだけど指が出ていくときに気持ちがいいような…?
まるで確かめるようにもう一度挿れられて、ゆっくりと抜かれる。やっぱりこれ気持ちいい。

「大丈夫そうだな」

そう言われてギゼルを見るとばっちり目が合った。

もしかして、ずっと見られてた? 今気持ちいいって思ってたの顔に出てないよな?大丈夫だよな?

不安だけど、とりあえず頷いて誤魔化しておく。

「う、うん」

俺が頷いたのを確認すると小瓶の液体をもう一度手に垂らしてその液体をそのまま中に注ぐようにしてから、ゆっくり指が抜き差しされ始める。

指が抜けていくときの気持ち良さに、ぐちゅりぐちゅりと聞こえる音に、ちんこは完全に勃ち上っていた。

「んっ…ンっ…んぅっ」

なんか、お尻で気持ち良くなっちゃってることが恥ずかしくて、手を口元に持っていき、声を遮ろうと試みる。乳首で感じたことよりもお尻の穴で感じたことの方が、なぜか恥ずかしく感じる。

「ユキミ」

咎めるような声がする、いやでも、なんか恥ずかしいんだよ!なんでだろ…ギゼルは真剣な感じだからかな。俺ばっかり興奮しちゃってる気がする。
いや、いつもニヤついてはいたけど、あれって興奮はしてなかったのか…? 

そう考えて、気づく。そういえばギゼル、ちんこ勃ってたことないな…?

俺が今いるのは膝の上、若干足を崩したギゼルの上に座っている。起ってたらきっとわかる。ギゼルの体格を考えれば小さかったとしても俺ぐらいはありそうだし…。
そう思うと興奮して熱いくらいだった顔から一気に血の気が引く気がする。

「ユキミ、大丈夫か?」

急に体を硬直させた俺を不審に思ったのか、ギゼルが呼びかけてくる。 大丈夫って言おうとして、上手く言葉が出てこない。なんで今更ショックを受けるんだろう、普通に考えたら当たり前なのに。
試練で、同性愛者じゃなくて、でも嫌な素振りなんて全然みせなくて、どこか慣れていて優しいから。だから勘違いしたのかな。

ギゼルは女の子が好きだとしても、別に男相手にセックスできるんじゃないかなんて…普通に考えたら無理に決まってるのに。試練としてセックスされたら嫌だな、なんて思ってたとかさ。
たとえ恋愛的な好意はなくても、自分に多少の興奮はしてくれてるんじゃないかって期待してたんだなぁ…。

涙が滲んできて、このままじゃ涙が出てしまう。少しでも時間を稼ぎたくて、顔を見られないように口元にあった手で顔を覆った。
大丈夫って言わなきゃ。でも、息を吸い込むだけで声が震えてしまうのが分かる。どうにか落ち着かないといけないのに、バレてしまいそうで深呼吸すらできないなんて、困るよ…。

「ユキミ?」

返事をしない俺にもう一度呼びかけたギゼルが顔を覗き込もうとするのが分かる。その気配にぎゅっと体を縮こまらせた、その時、




俺はいつものように自室のベッドの上で横になっていた。

そのことにどこかほっとして、涙が出ていないことには笑えてくる。

「まぁ…夢だもんな」

寝起きの自分の声がまた虚しさを誘う。
そういえば最後、ギゼルの指はただ入っているだけだったけど、それでも解す判定になるんだな。それなら、ちょっとだけ指を挿れて2時間たてばよかったのか。
男の尻をあんなに頑張って解してたのに、可哀想だなぁ…。

自分の服の中、ポッケ、ベッドの上に散らかった箱をみながら、自分の情けなさに改めて泣きそうになる。

あまりにも最悪な気分に今日はどうしようかと考えて…このまま自室にいる方がよほど辛くなるよなぁ。誰か遊んでくれるやつがいるといいけど…。

今日はバレンタインデーだし、きっと人がいるところ全てが浮かれているだろう。この最悪な気分を甘さでぶん殴って荒療治してもらうか。

このショコラマドレーヌを自分で食べるなんて嫌だけど、捨てるのは食材に申し訳ないし自分の服の中に入れた奴はなんとか食べて、それ以外は会えた奴に食べてもらおう。
甘さ控えめだし多分誰でもいけるよな…?甘いのが好きなやつだったら別途アイシングしていったほうがいいか…?

はぁ……昨日料理講師をした奴は、どうか成功してくれるといいなぁ。

まあ、誰かに連絡する前に、ひとまず顔でも洗うか。

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