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[外伝]姫君と大きすぎる花瓶
姫君と大きすぎる花瓶
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毎朝毎朝、花を苅る。
姫様が残した、あの大きすぎる花瓶を花で満たすために。
春には薔薇を。梅雨の時期には紫陽花を。
夏に向日葵、秋は秋桜。
そして、冬には蘭の花。
王宮の庭や温室に咲くいろいろな花を苅り取って、満たす。
あれは、姫様が眠りにつく一年ほど前のことだ。
気まぐれに立ち寄った城下の陶器店で、姫様は遠い東方の島国からやってきたという壺に目をつけた。
「花瓶にしては大きすぎない?」
その壺を見て、姫様はそう言った。
「姫様、これは花瓶ではありません。壺です。このまま飾るものですよ。」
そう答えた私に、姫様は納得できないようで言葉を返した。
「だったら、この形である必要ないじゃない。水が入るようになっているんだもの、やっぱり花を生けるべきよ。」
「しかし、こんな大きな花瓶では、侍女たちが水を交換できません。水を入れたら重くなって、運ぶのにも苦労するでしょうから。」
私がそう答えると、姫様は悪戯っぽく微笑んで
「だったら、ジェラルドがやればいいわ。」
と言った。
それから、姫様は毎朝、あの大きすぎる花瓶を花で満たすため、王宮の庭を散策しながら花を苅るのを日課にされた。
春には薔薇を。梅雨の時期には紫陽花を。
夏に向日葵、秋は秋桜。
そして、冬には蘭の花。
王宮の庭や温室に咲くいろいろな花を、たくさん苅っては私に持たせた。
そして、その苅り取った花を大きすぎる花瓶に生けるのが、私の日課となった。
大きすぎる花瓶は、重くて侍女には運べない。
私が、花で満たされた大きすぎる花瓶を持って部屋に入ると、姫様は満足そうな顔で、
「ジェラルドは本当に花が似合わないわね。」
と言って笑うのだ。
そうして季節が一周しようとした頃、姫様は突然眠りについた。
不治の病「眠り姫病」だった。
姫様が十八歳になられた、春のことだ。
姫様との出会いは、私が姫様付きの護衛騎士になった時のことだ。
騎士学校を卒業し、最初に配属されたのが姫様の警護だった。
初めて顔を合わせた時、姫様は驚いたように言った。
「えっ?まだ十代?嘘でしょ?私と二つしか違わないの!信じられない。もう子供が二、三人いてもおかしくない風貌なのに!」
確かに、私は老けて見られることが多かった。
騎士学校でも教官に間違えられることは年中で、新卒が配属されることが多い姫様付きの護衛騎士に配属された時も、上官が何度も書類を確認したほどだった。
けれど、そんな風貌だったためか、姫様は私のことをすぐ覚えてくださり、城下の散策の際などに指名されることが多くなっていった。
「本当は私に護衛なんて必要ないのよ。だって、私より強い人間なんていないんだから。」
初めて同行したとき、姫様はそう言った。
確かに、姫様の魔力は歴代最高とも言われるほど桁違いの強さで、昨年行われた魔獣討伐の際は、たった一人で上級魔獣を一掃したのだという。
「ですが、荷物持ちくらいにはなりますので。」
私がそう答えると、姫様はその答えが気に入ったようで、それから色々なものを私に持たせるようになった。
特に可愛らしいものを持たせるのがお好みで、買ったものをわざわざ可愛らしい包装紙に包ませてから、私に持たせるのを楽しみとしているようだった。
そして、満面の笑みを浮かべて言うのだ。
「ジェラルドには似合わない。」
と。
そんな姫様が眠りについた。
あれほど快活で、活動的な方だったのに、今はピクリとも動かない。
姫様が眠りについてから、もう十年が経とうとしていた。
眠り姫病の寿命は、発症後、五年から十年程度と言われていた。
寿命を全うしたという話もあるようだったが、目覚めたという者は一人もいなかった。
毎朝、花を替える時は、祈るような気持ちでいた。
姫様のお側に行けるのは、花瓶の花を入れ替える時だけ。
姫様の枕元に置かれた、大きすぎる花瓶を取りに行く時、そっと姫様の顔色を伺う。
ほんのりと色づいている頬と唇の色を確認して、胸を撫で下ろす日々。
ああ、まだ大丈夫だ。
今日も生きていらっしゃる。
十年の間に一度だけ、たった一度だけ魔が差したことがある。
いつも必ず同席している侍女が、席をはずした時のことだ。
その時、奇跡を祈った。
物語の眠り姫のように目覚めはしないかと、たった一度だけ、その唇に触れた。
温かい唇だった。
けれど、奇跡は起こらなかった。
姫様は眠り続けた。
あの日まで。
姫様が十年の眠りから目醒めた翌朝、いつものように花を替えに伺うと、姫様はベッドから体を起こした状態で、私を待っていた。
姫様は、私の胸の内など知るはずもなく、一目見るなり、
「ジェラルドは、あんまり変わってないわね。」
と言って微笑んだ。
私にとっては長い十年だったが、眠り続けていた姫様にとっては、たった一晩の出来事らしい。
「年齢が追いついたのでしょう。最近は、やっと年相応に見られるようになりました。」
また、言葉を交わせる悦びに、声が震える。
溢れる涙を堪えることはできなかった。
姫様は驚いたご様子で、私をベッド脇の椅子に座るよう促した。
促されるまま、お側に近づく。
姫様の瑠璃のような深い青色の瞳が、私を見つめている。
「まだ、私の護衛騎士をやっていたのね。驚いたわ。」
姫様の言う通り、王宮内の騎士寮に住まなければならない護衛騎士は既婚者には向かないので、新人の仕事とされていた。
そこで仕事を覚え、他の部署に配属されるのが慣わしだ。
私も当初はその予定で、護衛騎士の任務を解かれる日付も決まっていた。
「姫様とお約束しましたから。姫様がご結婚される日までは、護衛を続けると。」
ご結婚されれば、姫様は降嫁され、王宮からいなくなる。
姫様がご結婚される日に、任務は終わるはずだった。
「そう、、、だったわね。」
少し戸惑ったように、姫様が黙り込んだ。
姫様の心中をお察しする。
ご結婚されるはずだった公爵令息のオーウェン様は、既に他の奥方を娶られている。
姫様にとっては、たったの一晩でも、実際には十年の月日が流れているのだ。
余計なことを言ってしまったと反省していた時、姫様が不意に大きすぎる花瓶に目をやった。
「この花、いい香りね。」
今挿してある花は、梅の花だ。
花瓶と同じ国から来たらしい春の訪れを告げるその花は、姫様が眠りにつく前には、まだ王宮内になかったものだ。
「梅という花ですよ。香りがいいので、姫様にも届くかもしれないと思い、生けてみました。」
私がそう答えると、姫様は急に俯いた。
そして、上掛けを握りしめ、絞り出すように言葉を紡いだ。
「花を、、、花をずっと替えてくれていたのね。」
握りしめた姫様の両手に、涙の粒が落ちる。
「はい。私には、それくらいのことしかできませんでしたから。」
病気を治す方法も見つけられず、奇跡も起こせない私にできたのは、花を飾ることだけ。
十年間、この大きすぎる花瓶に花を生けることだけが、私が姫様にして差し上げることができる全てだった。
「医者が言ってたの。私が十年もの間、生き永らえたのは奇跡に近いって。そして、こう言ったのよ。この花瓶に生けられた、たくさんの花の魔力が私の命を繋いでいたのかもしれないって。」
私は言葉を失った。
姫様が生きていることを確認するために行っていたことが、姫様の命そのものを繋いでいたのかもしれないなんて。
姫様が顔を上げて、再び私を見つめた。
深い瑠璃色の瞳が、涙で濡れている。
「そう言えば、私ね。結婚しなくていいんですって。お父様もお母様も、私が生きて、元気でいるだけでいいって。もう何も心配しなくていいから、好きに生きていいって。」
そして、姫様はあの悪戯っぽい笑顔を私に向けて、言った。
「だから、ずっと私の護衛騎士でいてね。」
と。
勢いよく上掛けを跳ね除けた姫様が、私の腕に飛び込んできたのは、その直後だった。
受け止めた姫様の体は、あの大きすぎる花瓶よりもずっと軽く、温かかった。
姫様が残した、あの大きすぎる花瓶を花で満たすために。
春には薔薇を。梅雨の時期には紫陽花を。
夏に向日葵、秋は秋桜。
そして、冬には蘭の花。
王宮の庭や温室に咲くいろいろな花を苅り取って、満たす。
あれは、姫様が眠りにつく一年ほど前のことだ。
気まぐれに立ち寄った城下の陶器店で、姫様は遠い東方の島国からやってきたという壺に目をつけた。
「花瓶にしては大きすぎない?」
その壺を見て、姫様はそう言った。
「姫様、これは花瓶ではありません。壺です。このまま飾るものですよ。」
そう答えた私に、姫様は納得できないようで言葉を返した。
「だったら、この形である必要ないじゃない。水が入るようになっているんだもの、やっぱり花を生けるべきよ。」
「しかし、こんな大きな花瓶では、侍女たちが水を交換できません。水を入れたら重くなって、運ぶのにも苦労するでしょうから。」
私がそう答えると、姫様は悪戯っぽく微笑んで
「だったら、ジェラルドがやればいいわ。」
と言った。
それから、姫様は毎朝、あの大きすぎる花瓶を花で満たすため、王宮の庭を散策しながら花を苅るのを日課にされた。
春には薔薇を。梅雨の時期には紫陽花を。
夏に向日葵、秋は秋桜。
そして、冬には蘭の花。
王宮の庭や温室に咲くいろいろな花を、たくさん苅っては私に持たせた。
そして、その苅り取った花を大きすぎる花瓶に生けるのが、私の日課となった。
大きすぎる花瓶は、重くて侍女には運べない。
私が、花で満たされた大きすぎる花瓶を持って部屋に入ると、姫様は満足そうな顔で、
「ジェラルドは本当に花が似合わないわね。」
と言って笑うのだ。
そうして季節が一周しようとした頃、姫様は突然眠りについた。
不治の病「眠り姫病」だった。
姫様が十八歳になられた、春のことだ。
姫様との出会いは、私が姫様付きの護衛騎士になった時のことだ。
騎士学校を卒業し、最初に配属されたのが姫様の警護だった。
初めて顔を合わせた時、姫様は驚いたように言った。
「えっ?まだ十代?嘘でしょ?私と二つしか違わないの!信じられない。もう子供が二、三人いてもおかしくない風貌なのに!」
確かに、私は老けて見られることが多かった。
騎士学校でも教官に間違えられることは年中で、新卒が配属されることが多い姫様付きの護衛騎士に配属された時も、上官が何度も書類を確認したほどだった。
けれど、そんな風貌だったためか、姫様は私のことをすぐ覚えてくださり、城下の散策の際などに指名されることが多くなっていった。
「本当は私に護衛なんて必要ないのよ。だって、私より強い人間なんていないんだから。」
初めて同行したとき、姫様はそう言った。
確かに、姫様の魔力は歴代最高とも言われるほど桁違いの強さで、昨年行われた魔獣討伐の際は、たった一人で上級魔獣を一掃したのだという。
「ですが、荷物持ちくらいにはなりますので。」
私がそう答えると、姫様はその答えが気に入ったようで、それから色々なものを私に持たせるようになった。
特に可愛らしいものを持たせるのがお好みで、買ったものをわざわざ可愛らしい包装紙に包ませてから、私に持たせるのを楽しみとしているようだった。
そして、満面の笑みを浮かべて言うのだ。
「ジェラルドには似合わない。」
と。
そんな姫様が眠りについた。
あれほど快活で、活動的な方だったのに、今はピクリとも動かない。
姫様が眠りについてから、もう十年が経とうとしていた。
眠り姫病の寿命は、発症後、五年から十年程度と言われていた。
寿命を全うしたという話もあるようだったが、目覚めたという者は一人もいなかった。
毎朝、花を替える時は、祈るような気持ちでいた。
姫様のお側に行けるのは、花瓶の花を入れ替える時だけ。
姫様の枕元に置かれた、大きすぎる花瓶を取りに行く時、そっと姫様の顔色を伺う。
ほんのりと色づいている頬と唇の色を確認して、胸を撫で下ろす日々。
ああ、まだ大丈夫だ。
今日も生きていらっしゃる。
十年の間に一度だけ、たった一度だけ魔が差したことがある。
いつも必ず同席している侍女が、席をはずした時のことだ。
その時、奇跡を祈った。
物語の眠り姫のように目覚めはしないかと、たった一度だけ、その唇に触れた。
温かい唇だった。
けれど、奇跡は起こらなかった。
姫様は眠り続けた。
あの日まで。
姫様が十年の眠りから目醒めた翌朝、いつものように花を替えに伺うと、姫様はベッドから体を起こした状態で、私を待っていた。
姫様は、私の胸の内など知るはずもなく、一目見るなり、
「ジェラルドは、あんまり変わってないわね。」
と言って微笑んだ。
私にとっては長い十年だったが、眠り続けていた姫様にとっては、たった一晩の出来事らしい。
「年齢が追いついたのでしょう。最近は、やっと年相応に見られるようになりました。」
また、言葉を交わせる悦びに、声が震える。
溢れる涙を堪えることはできなかった。
姫様は驚いたご様子で、私をベッド脇の椅子に座るよう促した。
促されるまま、お側に近づく。
姫様の瑠璃のような深い青色の瞳が、私を見つめている。
「まだ、私の護衛騎士をやっていたのね。驚いたわ。」
姫様の言う通り、王宮内の騎士寮に住まなければならない護衛騎士は既婚者には向かないので、新人の仕事とされていた。
そこで仕事を覚え、他の部署に配属されるのが慣わしだ。
私も当初はその予定で、護衛騎士の任務を解かれる日付も決まっていた。
「姫様とお約束しましたから。姫様がご結婚される日までは、護衛を続けると。」
ご結婚されれば、姫様は降嫁され、王宮からいなくなる。
姫様がご結婚される日に、任務は終わるはずだった。
「そう、、、だったわね。」
少し戸惑ったように、姫様が黙り込んだ。
姫様の心中をお察しする。
ご結婚されるはずだった公爵令息のオーウェン様は、既に他の奥方を娶られている。
姫様にとっては、たったの一晩でも、実際には十年の月日が流れているのだ。
余計なことを言ってしまったと反省していた時、姫様が不意に大きすぎる花瓶に目をやった。
「この花、いい香りね。」
今挿してある花は、梅の花だ。
花瓶と同じ国から来たらしい春の訪れを告げるその花は、姫様が眠りにつく前には、まだ王宮内になかったものだ。
「梅という花ですよ。香りがいいので、姫様にも届くかもしれないと思い、生けてみました。」
私がそう答えると、姫様は急に俯いた。
そして、上掛けを握りしめ、絞り出すように言葉を紡いだ。
「花を、、、花をずっと替えてくれていたのね。」
握りしめた姫様の両手に、涙の粒が落ちる。
「はい。私には、それくらいのことしかできませんでしたから。」
病気を治す方法も見つけられず、奇跡も起こせない私にできたのは、花を飾ることだけ。
十年間、この大きすぎる花瓶に花を生けることだけが、私が姫様にして差し上げることができる全てだった。
「医者が言ってたの。私が十年もの間、生き永らえたのは奇跡に近いって。そして、こう言ったのよ。この花瓶に生けられた、たくさんの花の魔力が私の命を繋いでいたのかもしれないって。」
私は言葉を失った。
姫様が生きていることを確認するために行っていたことが、姫様の命そのものを繋いでいたのかもしれないなんて。
姫様が顔を上げて、再び私を見つめた。
深い瑠璃色の瞳が、涙で濡れている。
「そう言えば、私ね。結婚しなくていいんですって。お父様もお母様も、私が生きて、元気でいるだけでいいって。もう何も心配しなくていいから、好きに生きていいって。」
そして、姫様はあの悪戯っぽい笑顔を私に向けて、言った。
「だから、ずっと私の護衛騎士でいてね。」
と。
勢いよく上掛けを跳ね除けた姫様が、私の腕に飛び込んできたのは、その直後だった。
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