恋の御伽噺を異世界で

冬咲 椿

文字の大きさ
上 下
53 / 68
第三章 【学校入学準備編】

両親の反対

しおりを挟む
僕が一般学校に行くと決意し、アレクが王宮に帰った後両親にそのことを伝えた。

父さんは「お前の決めたことなら止めないし、たしかに私も前に、学校へ行って学んだ方がいいとは言ったけれど……なんなら学校に行かないでずっとここにいるか? 家の中にいるならほかの貴族どもにも馬鹿にされることはないしな」と、少し……いや、かなり狂気めいた目を僕に向けてそういった。

……監禁されるのは御免です。

一方母さんは「嫌よ!! ノエルを学校に行かせるなんて! 私達の……私の可愛い子が離れちゃうなんて耐えられないわ!」と、両親揃って子離れができない様子だった。

こんなに溺愛……というか執着してたらそりゃ我儘に育ちますわ。普段はいい親なのに……。

それから兄さん達も加わって2時間という長い長い話し合いの末、ようやく一般学校へ行くことに許可が下りた。……ただし条件付きで。

その条件とは、監視役を一人つけること。そして長期休みには必ず帰って来ることだ。

……いや、これでもましになった方なんだよ。最初監視役を3人にして、週末の休みには必ず帰れって言われたから。

父さん達の提示した条件を飲み、僕お兄さん達は、僕の部屋に戻った。

「ありがと! 兄さん達のおかげでなんとか許可がおりたよ。でもあそこまで反対するとは思わなかった。数年前までは、僕は学校に行くんだって父さん達に聞かされてたのに……」

「ノエルが可愛くなりすぎたんだろ? 昔ならともかく、今のお前を家から出すと言うのは俺反対だしな」

「そうですね。ですが、ノエルに嫌われてまで止める意味はないです」

「あははっ……。でも、ありがと。本当に助かったよ」

僕は精一杯の感謝を込めて満面の笑みと言葉を送る。

「っ!?」

「……全く貴方って人はっ」

グレン兄さんが吐き捨てるようにそう言った。刹那、中に浮かぶような浮遊感に襲われたかと思うと、柔らかい物の上に落ちた。

「……え? なに?」

驚いて周囲の状況を確認する。

どうやら僕はベッドの上にいるらしい。

……そして目の前には、頬を赤らめ、熱を孕んだ目でこちらを見つめて来る兄二人……。

「ちょっ! 待って! なんで急にそんなっ……!?」

ゆっくりとこちらに近づいて来る二人を制止しようと、両手を広げ二人の目の前に出した。

しかし努力もむなしく、二人は僕の手首を片方ずつ掴み、思いっきり引き寄せられ、二人の腕と胸の中に閉じ込められた。

「言っておくが、これは全部ノエルのせいだからな?」

「無自覚、無防備……ノエルはまずそこを治すべきですね」

二人はそう言いながら僕の体のあちこちを触り始めた。

唇、耳、首筋……そして服の上から乳首や僕のソレを優しいタッチで弄ってくる。

僕は抵抗しようとしたが、二人の力に敵うわけもなく、されるがままの状態だった。

「さて、アレクに抱かれたお仕置きを始めるか」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

六日の菖蒲

あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。 落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。 ▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。 ▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず) ▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。 ▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。 ▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。 ▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

貧乏貴族の末っ子は、取り巻きのひとりをやめようと思う

まと
BL
色々と煩わしい為、そろそろ公爵家跡取りエルの取り巻きをこっそりやめようかなと一人立ちを決心するファヌ。 新たな出逢いやモテ道に期待を胸に膨らませ、ファヌは輝く学園生活をおくれるのか??!! ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

悪役王子の幼少期が天使なのですが

しらはね
BL
何日にも渡る高熱で苦しめられている間に前世を思い出した主人公。前世では男子高校生をしていて、いつもの学校の帰り道に自動車が正面から向かってきたところで記憶が途切れている。記憶が戻ってからは今いる世界が前世で妹としていた乙女ゲームの世界に類似していることに気づく。一つだけ違うのは自分の名前がゲーム内になかったことだ。名前のないモブかもしれないと思ったが、自分の家は王族に次ぎ身分のある公爵家で幼馴染は第一王子である。そんな人物が描かれないことがあるのかと不思議に思っていたが・・・

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!

ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて 素の性格がリスナー全員にバレてしまう しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて… ■ □ ■ 歌い手配信者(中身は腹黒) × 晒し系配信者(中身は不憫系男子) 保険でR15付けてます

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

処理中です...