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第一章 【2人の兄編】
早朝の喫茶店
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翌朝、朝日が部屋を照らし、その眩しさと鳥のさえずりで、僕は気持ち良く目を覚ます__。
「ノエル! 起きてください! 朝食を済ませたらすぐ街へ出かけますよ!!」
気持ち良く目を覚ますことはなく、朝っぱらからドアが勢いよく開く音と、グレン兄さんの大声で荒々しく起こされた。
「早く起きてください! でないとノエルの分の朝食がなくなりますよ?」
「に、兄さん。いくらなんでも早すぎるんじゃないかな……」
「善は急げと言うでしょ。とにかく私は早くこのモヤモヤを解消できれば後はどうでもいいんです」
「……モヤモヤ?」
僕はグレン兄さんからはあまり聞かない言葉に疑問を抱いた。
「実は、3日前にノエルとレイヴン兄様が裏庭で楽しそうに話していたのを見ていました。その時胸のあたりに何かモヤモヤとしたものを感じた気がしたんです。私は一刻もこの感覚が何か知りたいのです」
…………なんか、嫌な予感がする。
「グレン兄さん。始めに確認したいんだけど、僕のこと嫌いなんだよね?」
「昨日も言った通り、私はノエルが大嫌いです」
僕が尋ねると、グレン兄さんは即答した。
「……ならいいや」
嫌な予感はするけど、兄さんがこう言ってるんなら安心だよね……安心なのかな……。
※
他のみんなより早めの朝食を終えた僕とグレン兄さんは、すぐさま街へと出発した。
しかし、やはり朝が早すぎるのか、人通りはほとんど無く、まだ開店していないお店が多々ある。グレン兄さんはその中で一つの店を指差しそこへ向かう。
店のドアを開けるとカランカランと音が店中に響く。まだ誰もいなかったから音がよく響いた。
少しして、店の奥からメイドのような格好をした女の子、グレン兄さんと同じぐらいの歳の子が現れた。
「いらっしゃいませ、グレン様。今日はかなり早く来られましたね。いつもは昼過ぎぐらいに来てくださるのに」
「ええ。今日は弟と一緒に、ゆっくりとお茶をいただこうと思ったのですが、出直しましょうか?」
「いえ。もう開店していますから問題ないです。さ、こちらへどうぞ」
そう言って女の子が僕たちを一番端っこの窓際にある席へ招いた。
グレン兄さんはそこへ座ると「いつものを2つお願いします」と女の子へ注文し、女の子は「かしこまりました」と一言言って奥へと消えて言った。
僕はそれを見送った後、兄さんの向かい側の席に腰掛けた。
「ねえ兄さん、ここにはよく来るの?」
「はい。勉強の後によく利用させてもらってます」
「でも僕たちって主に王都で過ごしてるよね? この街に帰って来ることもあんまりなかったし」
「よく利用するとは言いましたが、それはここ一週間の事です。それにもうここに来ることはあまりないでしょうね。明日には王都に帰る予定ですから」
そういえば今日父さんが帰って来るんだった。
正直、自分の領地を見回るんならもっとゆっくりしていればいいと思った。……まあ急がせたのは僕が……と言うか現世の僕がアレクシスと離れる時間を削りたいからと両親にお願いしたのが原因だから、半分は僕のせいってことになる……のかな?
「何か難しい顔をしていますね」
兄さんが気だるそうにそう言ってきた。
「別に。考え事してたら悲しくなっただけだから気にしないで」
「……ま、それはさておき本題へ入らせてもらいます。単刀直入に聞きますが、ノエルは私のことをどう思っているのですか?」
「……え?」
「ノエル! 起きてください! 朝食を済ませたらすぐ街へ出かけますよ!!」
気持ち良く目を覚ますことはなく、朝っぱらからドアが勢いよく開く音と、グレン兄さんの大声で荒々しく起こされた。
「早く起きてください! でないとノエルの分の朝食がなくなりますよ?」
「に、兄さん。いくらなんでも早すぎるんじゃないかな……」
「善は急げと言うでしょ。とにかく私は早くこのモヤモヤを解消できれば後はどうでもいいんです」
「……モヤモヤ?」
僕はグレン兄さんからはあまり聞かない言葉に疑問を抱いた。
「実は、3日前にノエルとレイヴン兄様が裏庭で楽しそうに話していたのを見ていました。その時胸のあたりに何かモヤモヤとしたものを感じた気がしたんです。私は一刻もこの感覚が何か知りたいのです」
…………なんか、嫌な予感がする。
「グレン兄さん。始めに確認したいんだけど、僕のこと嫌いなんだよね?」
「昨日も言った通り、私はノエルが大嫌いです」
僕が尋ねると、グレン兄さんは即答した。
「……ならいいや」
嫌な予感はするけど、兄さんがこう言ってるんなら安心だよね……安心なのかな……。
※
他のみんなより早めの朝食を終えた僕とグレン兄さんは、すぐさま街へと出発した。
しかし、やはり朝が早すぎるのか、人通りはほとんど無く、まだ開店していないお店が多々ある。グレン兄さんはその中で一つの店を指差しそこへ向かう。
店のドアを開けるとカランカランと音が店中に響く。まだ誰もいなかったから音がよく響いた。
少しして、店の奥からメイドのような格好をした女の子、グレン兄さんと同じぐらいの歳の子が現れた。
「いらっしゃいませ、グレン様。今日はかなり早く来られましたね。いつもは昼過ぎぐらいに来てくださるのに」
「ええ。今日は弟と一緒に、ゆっくりとお茶をいただこうと思ったのですが、出直しましょうか?」
「いえ。もう開店していますから問題ないです。さ、こちらへどうぞ」
そう言って女の子が僕たちを一番端っこの窓際にある席へ招いた。
グレン兄さんはそこへ座ると「いつものを2つお願いします」と女の子へ注文し、女の子は「かしこまりました」と一言言って奥へと消えて言った。
僕はそれを見送った後、兄さんの向かい側の席に腰掛けた。
「ねえ兄さん、ここにはよく来るの?」
「はい。勉強の後によく利用させてもらってます」
「でも僕たちって主に王都で過ごしてるよね? この街に帰って来ることもあんまりなかったし」
「よく利用するとは言いましたが、それはここ一週間の事です。それにもうここに来ることはあまりないでしょうね。明日には王都に帰る予定ですから」
そういえば今日父さんが帰って来るんだった。
正直、自分の領地を見回るんならもっとゆっくりしていればいいと思った。……まあ急がせたのは僕が……と言うか現世の僕がアレクシスと離れる時間を削りたいからと両親にお願いしたのが原因だから、半分は僕のせいってことになる……のかな?
「何か難しい顔をしていますね」
兄さんが気だるそうにそう言ってきた。
「別に。考え事してたら悲しくなっただけだから気にしないで」
「……ま、それはさておき本題へ入らせてもらいます。単刀直入に聞きますが、ノエルは私のことをどう思っているのですか?」
「……え?」
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