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第一章 【2人の兄編】
レイヴン兄さんへの告白
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「レイヴン兄さん、僕だけど入っていい?」
グレン兄さんと話をしてすぐ、レイヴン兄さんの部屋に来た。僕がいうのもなんだけど、レイヴン兄さんはここ最近元気が目に見えて無く、日課になっている中庭での鍛錬もしなくなったらしい。
“らしい”というのはメイドの人たちが話しているのを聞いただけで、自分の目で見てはいないからだ。
しばらくドアの前で返事を待っていると、ゆっくりとドアが開きレイヴン兄さんが出て来た。
「どうして来たんだ?」
「話があるんだよ。すごく大事な話が」
グレン兄さんと話をして僕はあることを決意した。レイヴン兄さんに僕のことを……前世の僕のことを話す。
「……入れ」
小さく頷き部屋の中に入る。この前見たばかりだが、もう何ヶ月も入ってなかったような感覚だ。
「適当に座っててくれ。メイドに何か持って来させる」
「いいよ。それよりも僕の話を聞いて欲しい」
その言葉に対し兄さんは無言だったが、部屋に置かれている大きなソファに座ったところを見ると、僕の話を聞いてくれるらしい。すかさず兄さんの隣に座る。
「いきなり変なことを聞くけど、兄さんは前世や生まれ変わりって信じる? 別の時代、別の世界で命をなくして、時を経て新しい命を授かってまた人生を送る……そんな事があると思う?」
兄さんは表情を歪め話の内容を理解していない様子だった。
「よくわからないが、あるんじゃないか?」
「じゃあさ、僕生まれ変わりをして、前世の記憶と人格を取り戻しだって言ったら……兄さんはどう思う?」
「……言ってる意味がよくわからない」
「簡単に言えばね、前世の僕がノエルの体を乗っ取ったってことだよ。だから兄さんが好きになったノエルはもういない」
兄さんは無言で、真剣な表情で僕の話に耳を傾ける。だけど話を進めるたびに表情が歪んでいくのがわかった。
「この前、僕崖から落ちちゃったじゃん? その時に思い出したんだ。正直言って、ノエルは本当に我儘で自分勝手な最低男だと思ったよ。いろんな人に迷惑をかけたし、やたらとプライド高いし。だから僕がノエルに成り代わって、兄さん達と仲良くなろうとしたんだけど、兄さんは僕じゃなくノエルがいいんだよね? だから兄さんの気持ちには答えられない。……本当にごめんね」
「……」
兄さんはなにも言わない。ただジッと床を睨んでいるだけだ。兄さんが僕の話を聞いて、一体なにを考えているのかと不安になる。だけど、これは今後のためにも必要なことなんだ。
「僕のこと知った上で一つ聞きたいことがあるの。兄さんの好きなノエルはいなくなっちゃったけど、それでもさ、僕は兄さんと仲良くなりたい。それがダメならできる限り兄さんに干渉しないようにする。……自分勝手なお願いだけど、これからはノエルじゃなく、僕のことを知って欲しい」
グレン兄さんと話をしてすぐ、レイヴン兄さんの部屋に来た。僕がいうのもなんだけど、レイヴン兄さんはここ最近元気が目に見えて無く、日課になっている中庭での鍛錬もしなくなったらしい。
“らしい”というのはメイドの人たちが話しているのを聞いただけで、自分の目で見てはいないからだ。
しばらくドアの前で返事を待っていると、ゆっくりとドアが開きレイヴン兄さんが出て来た。
「どうして来たんだ?」
「話があるんだよ。すごく大事な話が」
グレン兄さんと話をして僕はあることを決意した。レイヴン兄さんに僕のことを……前世の僕のことを話す。
「……入れ」
小さく頷き部屋の中に入る。この前見たばかりだが、もう何ヶ月も入ってなかったような感覚だ。
「適当に座っててくれ。メイドに何か持って来させる」
「いいよ。それよりも僕の話を聞いて欲しい」
その言葉に対し兄さんは無言だったが、部屋に置かれている大きなソファに座ったところを見ると、僕の話を聞いてくれるらしい。すかさず兄さんの隣に座る。
「いきなり変なことを聞くけど、兄さんは前世や生まれ変わりって信じる? 別の時代、別の世界で命をなくして、時を経て新しい命を授かってまた人生を送る……そんな事があると思う?」
兄さんは表情を歪め話の内容を理解していない様子だった。
「よくわからないが、あるんじゃないか?」
「じゃあさ、僕生まれ変わりをして、前世の記憶と人格を取り戻しだって言ったら……兄さんはどう思う?」
「……言ってる意味がよくわからない」
「簡単に言えばね、前世の僕がノエルの体を乗っ取ったってことだよ。だから兄さんが好きになったノエルはもういない」
兄さんは無言で、真剣な表情で僕の話に耳を傾ける。だけど話を進めるたびに表情が歪んでいくのがわかった。
「この前、僕崖から落ちちゃったじゃん? その時に思い出したんだ。正直言って、ノエルは本当に我儘で自分勝手な最低男だと思ったよ。いろんな人に迷惑をかけたし、やたらとプライド高いし。だから僕がノエルに成り代わって、兄さん達と仲良くなろうとしたんだけど、兄さんは僕じゃなくノエルがいいんだよね? だから兄さんの気持ちには答えられない。……本当にごめんね」
「……」
兄さんはなにも言わない。ただジッと床を睨んでいるだけだ。兄さんが僕の話を聞いて、一体なにを考えているのかと不安になる。だけど、これは今後のためにも必要なことなんだ。
「僕のこと知った上で一つ聞きたいことがあるの。兄さんの好きなノエルはいなくなっちゃったけど、それでもさ、僕は兄さんと仲良くなりたい。それがダメならできる限り兄さんに干渉しないようにする。……自分勝手なお願いだけど、これからはノエルじゃなく、僕のことを知って欲しい」
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