61 / 86
第二章
◇2 ここ、お前んちじゃないんだぞ
しおりを挟む
「……は? 戻ってきた?」
「は、はい……」
いつものように執務室でヴィルに捕まっていたところに、慌てた騎士がやってきた。ゼーハーゼーハー息切れをしつつも口から出した言葉がそれだった。
「今、団長が対応しているのですが、おかしな事が起こってまして……口に〝ミンス〟が3つほど実っている枝を咥えて来たんです」
ミンスって言ったら……あの伝説級のめっちゃ美味いフルーツの事だよな。めっちゃ甘くてみずみずしいやつ。あぁ、思い出しただけでもよだれが……じゃなくて。
え? プレゼント? でもそれ以前にもあったよな。騎士達にプレゼントされたって。それのどこがおかしいんだ?
「ですが、僕達に渡す気がないらしく、そっぽを向いてしまっていて……まるで誰かを待っているように見えるんです」
「待ってる、か……」
団長が対応しているって事は、団長じゃないって事か。あんなに仲良くしてたのに。じゃあ、一体誰を待ってるんだ?
「今どこにいる」
「以前入っていた檻にいます」
「檻?」
「自ら、入っていきまして……」
……マジ? 自分から入ったのか?
「白ヒョウの方から、入り口に向かったという事か」
「はい。扉を開けてみたら嫌がることなく、さも当然のように入っていきました」
え、マジ? もしかして、そこ、自分の部屋だと勘違いしてるのか?
今まで檻の中では、マタタビを使う前は嫌がってはいたけれど暴れたりはしていなかったと言っていた。こちらを睨みつつ唸って威嚇していたそうだ。
でもマタタビを使った後は大人しくしてたみたいだし……そこが慣れちゃった感じ?
「マロに、というわけでもありませんでした」
「入り口は閉めたのか」
「は、はい、入った後すぐに」
「ならすぐに行く」
「ヴィル」
「ダメだ、ここにいろ」
「あ、いえ、そうじゃなくて……」
今、白ヒョウが変な行動をとっている。そんな時にアメロの俺を近づけさせるなんてヴィルは絶対にさせないと分かってる。檻に入ってるから危険度は低いかもしれないけれど、俺がいたら邪魔になっちゃうのも分かってる。
でも、そうじゃない。
「……大丈夫だ、檻にいて大人しくしているのであれば、こちらから傷つけたりすることはない」
「……ほんと?」
「あぁ。だから大人しくここで待っていてくれ」
うん、と頷くと頭を撫でてキスをしてくれた。近くにいるピモに、リュークを頼むぞ、と一言残して騎士と一緒に部屋を出ていった。
ジローが、戻って来たのかぁ……どういう事なんだろう。何もなければいいんだけど。
「……ジロー、ここが自分ちだと思ってるのかな」
「その可能性はありますね。自ら入ったみたいですし」
ペット、増えちゃった感じ? まぁよく分らないけど。
「……それともマロ? ここに一人でいるのは寂しいだろうからって来たのかな。ミンスは……菓子折り的な?」
「ん~、どうでしょうか」
もしそうだったとしたら礼儀正しい紳士だな。ジロー、意外とやるな。かっこいい。まぁヴィルほどではないが。
それよりも、さ。
「……俺、ここに座っちゃってていいのか? メーテォス家当主でもないのに」
「よくお似合いですよ」
ここ、当主席的なところだろ。いいのか? 俺座っちゃって。ヴィル立つ時俺持ち上げて、立った時に自分が座ってた所に俺座らせたんだよ。いいのか? と思ってるんだけど、結局ずっとここに座っている。
「……落書きしちゃうぞ?」
「旦那様なら喜ぶと思いますよ」
「いやそれダメだろ」
うん、確かにクスクス笑ってきそうだけれども、でもさすがにせっかく頑張って仕事しているのに邪魔とか余計な事はしたくないから。ヴィルに余計な時間は作ってほしくないし。もしそんな時間があるのであれば休んでほしいと思ってる。
「……ミンス食いたい」
「旦那様方への菓子折りでしたらどうぞこの後旦那様とお召し上がりください」
「3つあるならみんなで一緒に食べようよ。めっちゃ美味いよ」
「それは嬉しいですね。楽しみにしています」
いやぁ、あの味は絶対に忘れられないね。先代? 先々代? の当主様が日記に残す気持ちが分かるよ。残してくださってありがとうございました。
なんて期待しつつも、ちゃんとヴィル達の心配もして報告を待っていた。何事もなく終わるといいんだけど……こんなに長いと不安になる。ジロー暴れた? それともヴィルか。ヴィル暴れたのか!? 怖い怖い建物壊れるって。
「……地面、揺れてないな」
「いや、それはないでしょう」
「そうか?」
なんて話をしていたら戻ってきた。ヴィルが。……けど、なんか不機嫌? 何があったんだ?
不機嫌顔で黙り込んでいたヴィルは、何故かいきなり俺を抱っこしてきた。そして執務室を出た。全く訳が分からず、あーれーとされるがままに連れてかれてしまった。
「どこに行くんです?」
「心配なんだろ」
あ、ジローのところか。連れてってくれるって事は収まったって事か。
ヴィルの格好は乱れてない、という事は暴れていないという事か。うん、よかった。
「呼んでたの、ヴィルだったんですね。ジローにだいぶ好かれちゃってるじゃないですか」
「いや、俺じゃない」
「……え?」
ヴィルじゃないの? だって、白ヒョウを操ったこのメーテォス辺境伯様だぞ? 違うの?
どういう事です? と聞いてみたけれど、行けば分かるとだけ言われてしまい。全然分からないまま、白ヒョウの部屋に着いてしまった。
すると、ニャオ~ン! という鳴き声が聞こえてきた。あ、いた、ジロー。というか、枝咥えてるのによく鳴き声出せるなこいつ。
「連れてきたぞ」
ジローに話しかけているらしい、ヴィルがジローのいる檻に俺を抱えて近づいた。口に咥えたミンスの付いた枝が見える。
するとジローは、しっぽをぷるぷるさせて頭を楽しそうに振って枝を揺らして見せた。
「……俺?」
「だ、そうだ」
マジかよ。そんなに仲良くなってたのか俺達。マブダチ? 俺知らなかったわ。
でもヴィルさんよ。なんで俺を呼んでるって分かったんだよ。もしかして白ヒョウ語出来るのか? すご。何でも出来るのか、このイケメンは。あ、ネーミングセンスはないけど。でもさすがだよ。
ジローは隣にいる団長に枝を渡し、俺に渡せと言わんばかりに視線を向けてきていた。
「ありがと、ジロー!」
とっても満足そうにニャウン! と返事をしてきた。
俺も、会話出来てるのか?
でも、ジローここに居座る気か? 満足そうな顔で座っちゃったんだけど。
けれど、そういえばとあの時の事を思い出した。
「……あの、ヴィル。もしかして……俺が風邪の時、」
「あぁ、乗ったのはジローだ」
……なるほど。雪山の中を白ヒョウに乗って薬草を探し回ったと聞いたけれど、乗った白ヒョウがジローだったとは……もうジローとヴィルは相棒的な? それとも主従関係出来ちゃってる?
「……食べますか」
「人騒がせではあったが、せっかく持ってきてくれたんだ。溶けるまで時間がかかるから夕食にでも食べようか」
「はいっ!」
よっしゃぁ! 極ウマフルーツがこの後食べれるぞ~!
というかジロー、マロには全く見向きもしてないな。紳士じゃなかったのかよ。
この時は、この後とんでもないことが起こる事も、白ヒョウがどうしてこのフルーツを持ってきたのかも、分からなかった。
「は、はい……」
いつものように執務室でヴィルに捕まっていたところに、慌てた騎士がやってきた。ゼーハーゼーハー息切れをしつつも口から出した言葉がそれだった。
「今、団長が対応しているのですが、おかしな事が起こってまして……口に〝ミンス〟が3つほど実っている枝を咥えて来たんです」
ミンスって言ったら……あの伝説級のめっちゃ美味いフルーツの事だよな。めっちゃ甘くてみずみずしいやつ。あぁ、思い出しただけでもよだれが……じゃなくて。
え? プレゼント? でもそれ以前にもあったよな。騎士達にプレゼントされたって。それのどこがおかしいんだ?
「ですが、僕達に渡す気がないらしく、そっぽを向いてしまっていて……まるで誰かを待っているように見えるんです」
「待ってる、か……」
団長が対応しているって事は、団長じゃないって事か。あんなに仲良くしてたのに。じゃあ、一体誰を待ってるんだ?
「今どこにいる」
「以前入っていた檻にいます」
「檻?」
「自ら、入っていきまして……」
……マジ? 自分から入ったのか?
「白ヒョウの方から、入り口に向かったという事か」
「はい。扉を開けてみたら嫌がることなく、さも当然のように入っていきました」
え、マジ? もしかして、そこ、自分の部屋だと勘違いしてるのか?
今まで檻の中では、マタタビを使う前は嫌がってはいたけれど暴れたりはしていなかったと言っていた。こちらを睨みつつ唸って威嚇していたそうだ。
でもマタタビを使った後は大人しくしてたみたいだし……そこが慣れちゃった感じ?
「マロに、というわけでもありませんでした」
「入り口は閉めたのか」
「は、はい、入った後すぐに」
「ならすぐに行く」
「ヴィル」
「ダメだ、ここにいろ」
「あ、いえ、そうじゃなくて……」
今、白ヒョウが変な行動をとっている。そんな時にアメロの俺を近づけさせるなんてヴィルは絶対にさせないと分かってる。檻に入ってるから危険度は低いかもしれないけれど、俺がいたら邪魔になっちゃうのも分かってる。
でも、そうじゃない。
「……大丈夫だ、檻にいて大人しくしているのであれば、こちらから傷つけたりすることはない」
「……ほんと?」
「あぁ。だから大人しくここで待っていてくれ」
うん、と頷くと頭を撫でてキスをしてくれた。近くにいるピモに、リュークを頼むぞ、と一言残して騎士と一緒に部屋を出ていった。
ジローが、戻って来たのかぁ……どういう事なんだろう。何もなければいいんだけど。
「……ジロー、ここが自分ちだと思ってるのかな」
「その可能性はありますね。自ら入ったみたいですし」
ペット、増えちゃった感じ? まぁよく分らないけど。
「……それともマロ? ここに一人でいるのは寂しいだろうからって来たのかな。ミンスは……菓子折り的な?」
「ん~、どうでしょうか」
もしそうだったとしたら礼儀正しい紳士だな。ジロー、意外とやるな。かっこいい。まぁヴィルほどではないが。
それよりも、さ。
「……俺、ここに座っちゃってていいのか? メーテォス家当主でもないのに」
「よくお似合いですよ」
ここ、当主席的なところだろ。いいのか? 俺座っちゃって。ヴィル立つ時俺持ち上げて、立った時に自分が座ってた所に俺座らせたんだよ。いいのか? と思ってるんだけど、結局ずっとここに座っている。
「……落書きしちゃうぞ?」
「旦那様なら喜ぶと思いますよ」
「いやそれダメだろ」
うん、確かにクスクス笑ってきそうだけれども、でもさすがにせっかく頑張って仕事しているのに邪魔とか余計な事はしたくないから。ヴィルに余計な時間は作ってほしくないし。もしそんな時間があるのであれば休んでほしいと思ってる。
「……ミンス食いたい」
「旦那様方への菓子折りでしたらどうぞこの後旦那様とお召し上がりください」
「3つあるならみんなで一緒に食べようよ。めっちゃ美味いよ」
「それは嬉しいですね。楽しみにしています」
いやぁ、あの味は絶対に忘れられないね。先代? 先々代? の当主様が日記に残す気持ちが分かるよ。残してくださってありがとうございました。
なんて期待しつつも、ちゃんとヴィル達の心配もして報告を待っていた。何事もなく終わるといいんだけど……こんなに長いと不安になる。ジロー暴れた? それともヴィルか。ヴィル暴れたのか!? 怖い怖い建物壊れるって。
「……地面、揺れてないな」
「いや、それはないでしょう」
「そうか?」
なんて話をしていたら戻ってきた。ヴィルが。……けど、なんか不機嫌? 何があったんだ?
不機嫌顔で黙り込んでいたヴィルは、何故かいきなり俺を抱っこしてきた。そして執務室を出た。全く訳が分からず、あーれーとされるがままに連れてかれてしまった。
「どこに行くんです?」
「心配なんだろ」
あ、ジローのところか。連れてってくれるって事は収まったって事か。
ヴィルの格好は乱れてない、という事は暴れていないという事か。うん、よかった。
「呼んでたの、ヴィルだったんですね。ジローにだいぶ好かれちゃってるじゃないですか」
「いや、俺じゃない」
「……え?」
ヴィルじゃないの? だって、白ヒョウを操ったこのメーテォス辺境伯様だぞ? 違うの?
どういう事です? と聞いてみたけれど、行けば分かるとだけ言われてしまい。全然分からないまま、白ヒョウの部屋に着いてしまった。
すると、ニャオ~ン! という鳴き声が聞こえてきた。あ、いた、ジロー。というか、枝咥えてるのによく鳴き声出せるなこいつ。
「連れてきたぞ」
ジローに話しかけているらしい、ヴィルがジローのいる檻に俺を抱えて近づいた。口に咥えたミンスの付いた枝が見える。
するとジローは、しっぽをぷるぷるさせて頭を楽しそうに振って枝を揺らして見せた。
「……俺?」
「だ、そうだ」
マジかよ。そんなに仲良くなってたのか俺達。マブダチ? 俺知らなかったわ。
でもヴィルさんよ。なんで俺を呼んでるって分かったんだよ。もしかして白ヒョウ語出来るのか? すご。何でも出来るのか、このイケメンは。あ、ネーミングセンスはないけど。でもさすがだよ。
ジローは隣にいる団長に枝を渡し、俺に渡せと言わんばかりに視線を向けてきていた。
「ありがと、ジロー!」
とっても満足そうにニャウン! と返事をしてきた。
俺も、会話出来てるのか?
でも、ジローここに居座る気か? 満足そうな顔で座っちゃったんだけど。
けれど、そういえばとあの時の事を思い出した。
「……あの、ヴィル。もしかして……俺が風邪の時、」
「あぁ、乗ったのはジローだ」
……なるほど。雪山の中を白ヒョウに乗って薬草を探し回ったと聞いたけれど、乗った白ヒョウがジローだったとは……もうジローとヴィルは相棒的な? それとも主従関係出来ちゃってる?
「……食べますか」
「人騒がせではあったが、せっかく持ってきてくれたんだ。溶けるまで時間がかかるから夕食にでも食べようか」
「はいっ!」
よっしゃぁ! 極ウマフルーツがこの後食べれるぞ~!
というかジロー、マロには全く見向きもしてないな。紳士じゃなかったのかよ。
この時は、この後とんでもないことが起こる事も、白ヒョウがどうしてこのフルーツを持ってきたのかも、分からなかった。
2,836
お気に入りに追加
7,885
あなたにおすすめの小説
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。
貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話
タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。
叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……?
エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる