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◇27 え、怒ってる……?
しおりを挟む……うん、またこのパターンだよな。
今日の朝も、ヴィルが引っ付いて胸に顔埋めてきた。
毎朝毎朝さぁ、引っ付くのやめてほしい。
「ヴィル~」
「……」
これ、対策とかあるかな。考えても出てこない。違うところで寝るとか、はないな。たぶんピモが阻止してくるに違いない。
でもさ、今日はやめて欲しかった。俺もヴィルも今……裸なんだよな。
昨日、何故か俺の後に寝室に来たヴィルが、ソファーに座ってる俺を抱えてベッドに向かってさ。この人なんか不満げな顔してないか? と思って聞こうとしたら口ふさがれて聞けなかったんだよ。そっからは……うん、なかなか寝れなかった。
けど終始不機嫌だったんだよな。一体何があったのやら。
「ヴィル、お疲れですか」
「……」
「あの、早く起きないと離宮の使用人達の見送り行けないんですけど」
「行かなくていい」
「……」
おいおい何てこと言ってるんだ。まぁ、どうせまた戻ってくるからいいんだけどさ。こっち戻ってきた時で迎えてやればいいんだけどさ。でもなんでこの人がこんな事になってるのかが知りたい。
昨日は……普通だったよな? いや、口数が少なかったか。最近ちょっとだけど笑うようになったって思ってたんだけど、思えば昨日そんな様子なかったよな。
「何です、ヴィル。そんなに気に食わない事あったんですか?」
「……」
「俺、何かしました?」
「……」
これじゃ埒があかないな。このままだとずっとこの状態が続く気がする。ピモが起こしに……は来ないな。あいつ最近来ないんだよな。仕事しろ、ちゃんと。
「今日はずっとここにいろ」
「は? 何でです?」
「……」
いや、本当に、俺何した? あ、野菜の温室で収穫とかしたな、昨日。こっちに来てた離宮の使用人達の一人がさ、実家が農家で一緒に収穫手伝ったんだよな。いや、さすがプロだったわ。
「俺、何かヴィル怒らせました?」
「……ない」
「じゃあ何です」
「……腹は減ってるか」
……は?
「減ってます、けど……」
「じゃあ我慢しろ」
俺は、悟った。
ヴィルに押されて横向きだったのが仰向けにされてしまい、ヴィルが馬乗りしてきた。
ちょっと待て、その顔……
「……朝ですけど」
「だから?」
これ、やばいやつだ。
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