12 / 85
タウン昇格
3.高速道路がやってきた
しおりを挟む
その夜、午前0時を回った頃に、ヨッシーから電話があった。
「凄いぞ、リョウ。高速道路の建設が始まったよ」
リョウがヨッシーの部屋を辞去した後も、ヨッシーはゲームにかじりついていたらしい。
「ほう、それで」
「どうやら、この『シティ』には、俺たちの知らないどこかに『メガロポリス』があるらしい。そこが首都なんだ。高速道はそこが起点なんだ」
リョウは俄然色めきたった。これまで、このゲームはプレーヤーが独立して、バラバラの街を作っているだけだと思っていた。だが、今のヨッシーの話が本当なら、交通網を通じて他の街とのコンタクトも可能になるかもしれない。それは、このゲームの新たな可能性を広げる。
「どうしてそれが分かった」
「高速道は、『補助事業』だ。計画書に書いてあったよ。全ての高速道は、首都に通じているらしい。恐らく、他のプレーヤーとも接触できるんじゃないか」
ヨッシーもリョウと同じ可能性を見出したようだ。
「でも、高速道は誰でも作れる訳じゃないよな」
「建設費が問題なのだと思う。この事業は補助率が5割しかない。あとの半分は持ち出しなんだ。一般道路の補助率が8割、水道が9割だから、高速道は随分厳しい『補助事業』なんだよ。起債にしても、償還開始が5年後というのは同じだけど、利息が5%もある。他の事業の倍以上だ。下手に手をだすと、すぐに町は破綻するよ。ま、俺の町は随分と貯金があるからな。起債が少なくて済んだ」
「でも、一度作ったら、メリットは大きいんじゃないか。5%の利子を払っても還せるくらいの税収があるんだよ、きっと」
「ああ、確かにそうかもしれない。計画が承認された途端に、人口が5百人以上増えて、大きな建設会社、多分、その『メガロポリス』にあるゼネコンのブランチかもしれないけど、それが3つくらいできた」
「工業団地は拡張したのか?」
「ああ、完成は2年後だけど、もう造成を始めた。予約開始と同時に、区画の半分は埋まったよ」
「そいつは凄いな」
「もう一つ、驚くことがあるぜ」
「何だよ」
「ラブホだよ」
「ラブホ?」
「インターチェンジの近くに、いくつか建つらしい。全く驚くよ、このゲームの設定の細かさには。ラブホが開業したら、中を覗いてみることにするよ」
ヨッシーは高らかに笑った。
「凄いぞ、リョウ。高速道路の建設が始まったよ」
リョウがヨッシーの部屋を辞去した後も、ヨッシーはゲームにかじりついていたらしい。
「ほう、それで」
「どうやら、この『シティ』には、俺たちの知らないどこかに『メガロポリス』があるらしい。そこが首都なんだ。高速道はそこが起点なんだ」
リョウは俄然色めきたった。これまで、このゲームはプレーヤーが独立して、バラバラの街を作っているだけだと思っていた。だが、今のヨッシーの話が本当なら、交通網を通じて他の街とのコンタクトも可能になるかもしれない。それは、このゲームの新たな可能性を広げる。
「どうしてそれが分かった」
「高速道は、『補助事業』だ。計画書に書いてあったよ。全ての高速道は、首都に通じているらしい。恐らく、他のプレーヤーとも接触できるんじゃないか」
ヨッシーもリョウと同じ可能性を見出したようだ。
「でも、高速道は誰でも作れる訳じゃないよな」
「建設費が問題なのだと思う。この事業は補助率が5割しかない。あとの半分は持ち出しなんだ。一般道路の補助率が8割、水道が9割だから、高速道は随分厳しい『補助事業』なんだよ。起債にしても、償還開始が5年後というのは同じだけど、利息が5%もある。他の事業の倍以上だ。下手に手をだすと、すぐに町は破綻するよ。ま、俺の町は随分と貯金があるからな。起債が少なくて済んだ」
「でも、一度作ったら、メリットは大きいんじゃないか。5%の利子を払っても還せるくらいの税収があるんだよ、きっと」
「ああ、確かにそうかもしれない。計画が承認された途端に、人口が5百人以上増えて、大きな建設会社、多分、その『メガロポリス』にあるゼネコンのブランチかもしれないけど、それが3つくらいできた」
「工業団地は拡張したのか?」
「ああ、完成は2年後だけど、もう造成を始めた。予約開始と同時に、区画の半分は埋まったよ」
「そいつは凄いな」
「もう一つ、驚くことがあるぜ」
「何だよ」
「ラブホだよ」
「ラブホ?」
「インターチェンジの近くに、いくつか建つらしい。全く驚くよ、このゲームの設定の細かさには。ラブホが開業したら、中を覗いてみることにするよ」
ヨッシーは高らかに笑った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
私の日常
アルパカ
青春
私、玉置 優奈って言う名前です!
大阪の近くの県に住んでるから、時々方言交じるけど、そこは許してな!
さて、このお話は、私、優奈の日常生活のおはなしですっ!
ぜったい読んでな!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
光属性陽キャ美少女の朝日さんが何故か俺の部屋に入り浸るようになった件について
新人
青春
朝日 光(あさひ ひかる)は才色兼備で天真爛漫な学内一の人気を誇る光属性完璧美少女。
学外でもテニス界期待の若手選手でモデルとしても活躍中と、まさに天から二物も三物も与えられた存在。
一方、同じクラスの影山 黎也(かげやま れいや)は平凡な学業成績に、平凡未満の運動神経。
学校では居ても居なくても誰も気にしないゲーム好きの闇属性陰キャオタク。
陽と陰、あるいは光と闇。
二人は本来なら決して交わることのない対極の存在のはずだった。
しかし高校二年の春に、同じバスに偶然乗り合わせた黎也は光が同じゲーマーだと知る。
それをきっかけに、光は週末に黎也の部屋へと入り浸るようになった。
他の何も気にせずに、ただゲームに興じるだけの不健康で不健全な……でも最高に楽しい時間を過ごす内に、二人の心の距離は近づいていく。
『サボリたくなったら、またいつでもうちに来てくれていいから』
『じゃあ、今度はゲーミングクッションの座り心地を確かめに行こうかな』
これは誰にも言えない疵を抱えていた光属性の少女が、闇属性の少年の呪いによって立ち直り……虹色に輝く初恋をする物語。
※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』でも公開しています。
https://kakuyomu.jp/works/16817330667865915671
https://ncode.syosetu.com/n1708ip/
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる