バトル・オブ・シティ

如月久

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タウン昇格

3.高速道路がやってきた

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 その夜、午前0時を回った頃に、ヨッシーから電話があった。
「凄いぞ、リョウ。高速道路の建設が始まったよ」
 リョウがヨッシーの部屋を辞去した後も、ヨッシーはゲームにかじりついていたらしい。
「ほう、それで」
「どうやら、この『シティ』には、俺たちの知らないどこかに『メガロポリス』があるらしい。そこが首都なんだ。高速道はそこが起点なんだ」
 リョウは俄然色めきたった。これまで、このゲームはプレーヤーが独立して、バラバラの街を作っているだけだと思っていた。だが、今のヨッシーの話が本当なら、交通網を通じて他の街とのコンタクトも可能になるかもしれない。それは、このゲームの新たな可能性を広げる。
「どうしてそれが分かった」
「高速道は、『補助事業』だ。計画書に書いてあったよ。全ての高速道は、首都に通じているらしい。恐らく、他のプレーヤーとも接触できるんじゃないか」
 ヨッシーもリョウと同じ可能性を見出したようだ。
「でも、高速道は誰でも作れる訳じゃないよな」
「建設費が問題なのだと思う。この事業は補助率が5割しかない。あとの半分は持ち出しなんだ。一般道路の補助率が8割、水道が9割だから、高速道は随分厳しい『補助事業』なんだよ。起債にしても、償還開始が5年後というのは同じだけど、利息が5%もある。他の事業の倍以上だ。下手に手をだすと、すぐに町は破綻するよ。ま、俺の町は随分と貯金があるからな。起債が少なくて済んだ」
「でも、一度作ったら、メリットは大きいんじゃないか。5%の利子を払っても還せるくらいの税収があるんだよ、きっと」
「ああ、確かにそうかもしれない。計画が承認された途端に、人口が5百人以上増えて、大きな建設会社、多分、その『メガロポリス』にあるゼネコンのブランチかもしれないけど、それが3つくらいできた」
「工業団地は拡張したのか?」
「ああ、完成は2年後だけど、もう造成を始めた。予約開始と同時に、区画の半分は埋まったよ」
「そいつは凄いな」
「もう一つ、驚くことがあるぜ」
「何だよ」
「ラブホだよ」
「ラブホ?」
「インターチェンジの近くに、いくつか建つらしい。全く驚くよ、このゲームの設定の細かさには。ラブホが開業したら、中を覗いてみることにするよ」
 ヨッシーは高らかに笑った。
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