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第2章

第47話

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「帰ったぞ」



 ドアを開けると、ベランダに座っているノアがいた。

 セルに攫われてからというもの、ノアはこうして空を見上げ、黄昏ていることが多くなった。


「あれ、今日は早いんだな」



 ノアは振り向いてルーシュに笑いかける。



「ああ。セル・ブラックの尋問が早めに終わったんだ」


「そうか……」


 セルの名前を出すと、ノアの表情が明らかに曇った。

 そんなノアの表情の変化でさえも、ルーシュは腹立たしく感じる。


「ノア、一つ聞きたい事があるのだが」


「なに?」


「この二日間、あの小屋で男と何をしていた」


 ノアは咄嗟にルーシュから視線を外した。


「……なんでそんな事聞くの?」


「いや、単純に気になってな」


 本当はもう、知ってしまっている。ノアと、セルがそこで何をしていたのか。それでも、夫婦なのだから、包み隠さずに話してほしい。

 ノア本人の口から聞く事が出来れば、この怒りも収まるはずだとルーシュは思っていた。




「別に何も……。ただ、昔のノアとの思い出話を聞いてただけだよ……」



 しかし、ノアから返ってきた言葉はルーシュの期待を裏切るものだった。その時ルーシュの中で何かがプツンと音を立てて切れてしまった。


「別に何もか。なら何故目を逸らす?」


「いや、別にそんなつもりじゃ……」


「何か私に知られてはまずい事情があるから、そんな態度なのだろう? お前は顔に出やすいから、すぐにわかる」



「ルーシュ……、どうしたの?」


 声を荒げ、途端に距離を詰めてくるルーシュにノアは首を傾げた。


「素直に白状したほうが身のためだぞ」


 ノアをベットに放り投げ、ルーシュはそう冷酷に告げた。

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