転生した先では、僕の結婚式が行われていました。

第2章

第46話

「ノア！」



　姿を現したのは、息を切らしたルーシュだった。



　ルーシュはセルに組み敷かれているノアを見た途端、セルの顔を殴り飛ばした。



　その後、ノアはルーシュによって無事に保護され、セルはノワールの兵士によって捉えられた。




「ノア、大丈夫か。震えているぞ」



　ノワール国へ帰る途中、ノアはルーシュの馬に乗せられていた。ルーシュに体を包み込まれるようにして、馬にまたがっていたノアは何故だか震えが止まらなかった。



「安心しろ。もうあの男は手錠をはめられて動けはしない」


「うん、分かってる……」


　セルの両腕には手錠がはめられ、ノワールの兵士が厳重に警備しながら、セルを護送していた。しかし、ルーシュにどんな言葉をかけられてもノアの震えは止まらず、それはノワール国に帰るまで続いた。




　ノワールに帰国してから、セルはすぐに牢屋に入れられ、尋問が始まった。その一方で、ノアは緊張の糸が解けたのか、すぐに眠りへと落ちていった。





　それから三日後の事。廊下を歩くルーシュの表情は険しかった。



　セルの尋問はルーシュが直々に行っていた。二日間口を閉ざしたままだったセルが、三日目にしてようやく口を開いたのだ。



　そこでセルが話した内容が、ルーシュの逆鱗に触れてしまったのだ。自分の妻が、他人の男に体を触られたこともそうだが、それをノアに隠されたままだったという事が、ルーシュはなによりもショックだった。