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第1章
第13話
しおりを挟むそれから、ルーシュとノアは以前のような険悪な関係ではなくなっていった。
会話も少しずつ増えていき、ルーシュが休みの日は行動をともにすることも多くなった。
そんなある日。
「ルーシュ様、ダリル様から手紙が届きましたよ!」
城の庭をルーシュと共に散歩していると、リーヌが白い封筒を掲げ走ってきた。
「ダリル?」
ノアが首を傾げていると、
「私の弟だ。お前と同じオメガで、先日ブロン国の妃に迎えられた」
とルーシュが少し口角を上げて説明した。あまり感情を表に出さないルーシュが喜んでいる。よほど、ダリルからの手紙が嬉しいのだろう。
リーヌから手紙を受け取ったルーシュは、その場で封を切った。なんて書いてあるのかノアも気になるが、ルーシュとの身長差がありすぎて手紙を見ることができない。暫くルーシュを見つめていると、ルーシュは満足そうに頷いて顔を上げた。
「ダリルが子どもを授かったらしい」
「本当ですか!」
リーヌが歓喜の声をあげる。
「お前の兄上とも、仲良くしているそうだ。ほら、写真も付いている」
ルーシュから見せられた写真には、仲睦まじく寄り添った二人の青年が映っていた。右の青年はノアと同じ色白の肌と、白色の髪色をしている。
これがブロン国の王子であり、ノアの兄なのだろう。そして左の中性的な顔をした青年はルーシュにそっくりだ。重たそうにお腹を抱え笑っている。
(本当に妊娠してるのか……?)
食べすぎとかで膨れるような大きさではない。本当に妊婦の様に大きなお腹だった。
幾度となく、話題に持ち上がったオメガの妊娠の話。ノアは半信半疑で聞いていたが、実際にお腹の膨れた男性を見ると、一気に現実味が増してくる。
ルーシュの手が、ノアの肩に伸びた。
「私達も、頃合いだと思うのだが」
「え」
「ノア」
ルーシュに名前を呼ばれると、腹の底がじんと痺れる。
ルーシュが醸し出す甘い雰囲気に、リーヌが赤面していたのは言うまでもない。
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