ミツヒデ、寺を継ぐ

六話

「ヒデヨシ、北の国の寺へ行き、修行をしろ、シンゲンには、話をしてある」

オヤジが云う。
オヤジの言葉を聞いて、ヒデヨシが、勝ち誇ったような顔をしている。そして、オフクロも、明らかに嬉しそうな顔をしている。

北の国の寺とは、この世界の一番北にある小さな寺で、オヤジの一番下の弟、シンゲンが、経営している。世間では、オヤジが、シンゲンを嫌って、北の国に追いやったと、噂する者もあるが事実は違う。兄弟の中で、一番信頼しており、尊敬しているらしい。そして、北の国の寺には、一番優秀な弟子を…あっ、いやっ、違うな。オヤジの弟子の中で一番優秀なのは、ノブナガだ。だが、何故か、オヤジは、ノブナガを手放さないし、ノブナガも、オヤジの傍をはなれようとしない。だから、ノブナガの次に優秀な弟子を送り出している。

やはり、オヤジも、ヒデヨシのほうがオレより優秀だと、判断しているのだろう。
オレには、一番上の兄が、一番下の弟を尊敬するなんて、理解できないし、ヒデヨシの腹黒さにも、誰も気づかないのも理解できない、、、