異世界王道BL

西条ネア

文字の大きさ
上 下
16 / 31
愛のカタチ

16話 「え?別になにもしていませんよ。ニコ」

しおりを挟む
「、、、ま。、、、、ます、、、様。」

「ん、、、?」
声が聞こえる。
うっすらと目を開ければキラキラと輝く朝日が差し込んで思わず呻く。

「おはようございます、レイ様。」
「ん、、、はよ、、、キリス。。。」

そう言いながら再び瞼が閉じていってしまう。
いけない。
二度寝するところだった。

キリスが甲斐甲斐しくもボクの背中に腕を回して起こしてくれる。
ホント、過保護だなー。

「ありがとう。」
そう言って微笑むと顔を背けられてしまう。

「ッ/////全くレイ様は自覚がおありなのですか?いえ無いでしょうね、そうでしょうね。」
キリスが顔を背けたまま何かをつぶやいているが、ブツブツ言い過ぎてて何を言っているのか分からない。

「レイ様ぁー朝食のご用意ができましたぁ~。」
そう言って隣の部屋から出てきたのはメリーだった。
間延びした口調にキリスが注意する。

「メリー、貴方ね?!いくらレイ様が良いとおっしゃられたからって砕けすぎです。」
「ええぇ~。」

しょぼん、とメリー特有のうさ耳を垂らす。
ヤバい。マジ可愛い。

ってそうじゃなくて。。。

二人にはあの式典の前、会ってすぐの時に普段の話し方でいいよ、って伝えた。
キリスはしぶしぶの許可だったけれどメリーはすぐに二つ返事で返してくれて、今もそう。
ちなみにキリスは誰に対してもこんな口調らしい。

はじめはまだ遠慮してるのかなって思ってメリーに聞いたら、お仕事がなくてもこんなに丁寧にしゃべるんだってわかって嬉しかった。

「レイ様、お着替えをいたしましょう。」
そう言ってボクにベッドから降りるように促してくれた。
「ん。、、、ッ、、、!?」

ボクは身体を動かして、昨日とは違う違和感に気づく。
びっくりして急に立ち上がったボクを同じくびっくりしたキリスが「レイ様?!」と声をあげる。

「、、、ぃやっっっっったぁぁぁぁぁあ!!」
ボクは今までの自分のキャラというものを無視して叫んだ。
だってそれくらい嬉しかったんだもん。

「本当にどうなさいました?!」
キリスがあわあわしてて、その後ろでメリーがどうしようどうしよう!と部屋のなかを走り回っている。

「治ってる!なおってるよ!キリス!メリー!」
一番近くに走ってきたメリーを捕まえてぎゅ~と抱き締める。
そんなボクの大声を聞いてドタドタとセネスさんとルイズさんが部屋のなかに入ってくる。
どうやらボクが着替え終わるまで隣の食事をする部屋で待っていてくれたらしい。

ちょうどボクがメリーをぎゅ~ってしていた時だった。

そう、ちょうど。


「レイ、どうしッ?!おいメリー、貴様!!誰の嫁に手を出してるのかわかっているのか!!」
セネスさんの声とシャンッと金属が刷れる音。

「問答無用!!!」
ルイズさんの怒声とメリーの小さな悲鳴が聞こえた。
でもボクはメリーの胸に顔を埋めていたから何があるのか分からなかった。
キリスがボクをメリーから引き剥がそうとする。

「キリス!レイに!レイに触んじゃねぇ!」
ルイズさんが怒鳴る。
ビックリして今度は顔をあげる。
「貴方がたねぇ!そんな無茶言わないでくださいよ。ほら、レイ様が怯えていらっしゃるでしょう?!」

知らない間にカタカタ震えていたらしい。
自分でもびっくりした。

「レイ、すまない。。。」
「レイ、すまねぇ。」

メリーやキリスに向けていた目を殺気を緩ませてボクに向けてくれる。
「ぇっ、、、いえ、大丈夫ですよ?」
そう答えるとキリスが耳元で「こんなに震えていらっしゃるのに、ご無理はなさらないでください。」と言ってくれる。
コクン,と頷いて返す。

「「でもやっぱり貴様/てめぇは許さねぇ!!」」

「ひぃっ、、、!!」

ギャーーー!と悲鳴が響く。
というのも、急にキリスに「失礼します」と言われたかと思うとボクの身体をくるりと返して抱きしめて両手で耳を塞がれた。
そんななかでも聞こえるメリーの悲鳴。

キリスに解放されたと思ったら白目を向いてるメリーと正座してニコニコのキリスに怯えている狼と獅子。

「、、、いったい何が。」

「レイ様、ご心配は無用です。」

ニコニコしているキリスにブルリと震える。

「あらいけない。レイ様、熱でもおありですか?」
そう言ってその顔のままボクの熱を測ろうとする。
キリスの声にボクに寄ってこようとした二人はキリスがちらりと見るだけで正座に戻る。

「、、、大丈夫そうですね。でも今日はご無理はなさらないように。」
「あ、はい。。。」

キリスの言葉に奥の二人がほっとしているのが伝わってくる。


「「「「(キリス/先輩のせいなんじゃ、、、)」」」」

「何か。」


「「「「いえ、何も。」」」」

今日も今日とて平和です。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

a pair of fate

みか
BL
『運命の番』そんなのおとぎ話の中にしか存在しないと思っていた。 ・オメガバース ・893若頭×高校生 ・特殊設定有

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

処理中です...