異世界王道BL

西条ネア

文字の大きさ
上 下
5 / 31
2人の旦那様

5話 お元気で何よりです。王様。。。

しおりを挟む
しばらくすると扉をノックする音がこの大きな部屋に響いた。
ルイズさんが返事をすると、セネスさんとその後ろにいかにも王様って感じの威厳溢れるお爺さんがいた。
ルイズさんとセネスさんが王さまは優しい方だとおっしゃっているけど、やっぱり怖い。

「君がレイ・カイリかい?うちの騎士二人を受け入れてくれてありがとう。」
そういって王様は柔らかに微笑まれた。
さっきまで醸し出していた威厳オーラは一切なく、正に「おじいちゃん」だ。

ーーまあ、お爺ちゃんなんてどういうものかわからないのだけれど。 

それはそうと、こちらも挨拶しなければ。
取りあえずベッドから降りた方がいいよね?

そう思ってルイズさんを見上げるが、余り正確に伝わった手応えがない。
「王、レイは先程少し過呼吸を起こしまして身体がまだ弱っているのでこのままでお許しいただけないでしょうか?」

嗚呼。
やっぱり伝わってなかった。 

もう大体予想はできてましたけど。

「儂は別に構わんぞ。それよりレイ殿は大丈夫か?なんならこのまま儂は帰ろうか?」
「いえいえ!全然大丈夫です。ルイズさんが心配性なだけなので。むしろこんなところから申し訳ありません。異世界から来ましたレイ・カイリです。敬称はいりません。不束ものながらルイズさんとセネスさんの伴侶、です。。。」

言い終わるとそのままぎゅっとルイズさんにしがみつきそのまま顔を埋める。

「(やった!ちゃんといいきった!ボク頑張った!)」
アヴィの降臨がなかったら今ごろボクは不敬罪で極刑だろう。

「、、、ぃ」
「??」
王様が何かを呟かれた。
ボクには分からなかったけど二人には聞こえていたようで、ため息?をついている。

「可愛いぞ!レイくん!いや、レイちゃん!」
「えっ?!いや、、レイ、ちゃん?」

突然の王様の発言にボクは勢いよく顔を上げる。
王様の目がすごくキラキラしている。
そのキラキラの厚がスゴい。。。

「ぁぅ~////。。。」
どうして良いか分からず服の袖で顔をかくす。
このときばかりはこの大きな服に感謝した。

「ふぁぁぁぁああ!最高じゃ!ルイズにセネスよ。よくこんな可愛い神子をゲッツしたな!儂は嬉しいぞ!さぁ~レイちゃん儂のことはゼナウドと呼んでくれ!敬称なんか要らん!あっあっあっ!おじいちゃんでもオッケーじゃぞ?!」

「ぁぅ~うぅ~」
何か返さないとと思うんだけど呻き声しかでない。
言葉が喉の奥に詰まって出てくるのを怖がっている。
何も言えなくて、それがゼナウドさんに申し訳なくて焦ってくる。

ポンッ
不意に頭に暖かな手が覆い被さった。

「大丈夫だ。レイ。落ち着いて、深呼吸だ。」
ルイズさんかと思えばセネスさんだった。
焦っているうちに軽く過呼吸を起こしていたらしい。
さっきのが残っていたのか、やはり身体が弱くなっているからなのか。
はたまたどちらもか。

「、、、す。、、ぅ、さん。」

はくはくと口を動かして今言わなくちゃいけないことをとりあえず言う。
声となって届いているはずないけどゼナウドさんは頷いてくれた。

「ああ。こちらこそよろしくな!レイちゃん!」

やっぱりこの国の王様はルイズさんとセネスさんが言うように優しかった。

「ルイズ。今日は俺の番のはずだろう?代わるんだ。」
「ぇ~けちぃなぁ~セネスは。、、、ヘイヘイ代わりますよ。」
なんかセネスさん、段々キャラ変わってきてませんか?
であった頃はもっと無口でクールな感じだった筈なんですけど。。。

「ふぉっふぉっふぉっ!仲が良いのぅ~微笑まじゃ!ほほえま!d=(^o^)=b」

王様も顔に合わない現代語お使いになるんですね。

そんなことを思っているうちにセネスさんに抱き上げられていた。
考え事をしていただけのはずなのに気づかないってヤバくないですか?

「せっセネスさん!?降ろしてください!」
視界がぐんと高くなるのが怖い。
体調が悪くてそんなことを言ってられないときは仕方がないけど、今はやめてほしい。
意識がはっきりしている分怖い。

そして何より背が高すぎる。
王様も身長が高いのでやはりこの世界の人は平均身長が高いらしい。

「すまない、レイ。急に抱き上げて。」
少ししょんぼりしたセネスさんがボクを抱えたまま近くのソファに座る。
尋常じゃないくらいの負のオーラだ。

「そんなに落ち込まないでください。ごめんなさい。。。少しだけ、昔に担がれて訳のわからないところまで連れていかれたことがあって。。。その、、、少しだけ思い出してしまうというか、、、」
別にボクを担ぎ上げて何処のかもわからない倉庫に連れ込まれて殴ってきた人たちとセネスさんは違うというのに、どうしても思い出してしまう。

「すみませっ、、、!」
申し訳なくて涙が流れそうになる。

「泣かないでくれ。俺の方こそすまなかった。。。迂闊だったよ。」
そういって後ろから抱き締めて首筋にキスを落とされた。

「ッん。。。」
ピクリと反応してしまう。

「「ン""ン""ッ」」

「儂は出ていこうか?」
「レイ、エロすぎるぞ。」

恥ずかしくてカァ~////っと赤くなる。
でもセネスさんはどこ吹く風。
その鋼の心臓がほしい。。。

「ハァ。で、これからのことなんじゃがな?神子様が降臨したという式典をこの国でやろうと思う。それこそ庶民から貴族、他国の王族たちとも掛け合って。じゃが、今日見ている限りそれはレイちゃんには厳しそうじゃな、、、。」

「うぅ~すみません。」

その通りすぎてぐうの音もでない。
絶対に即昏倒する。

「まあでも、ちょっと皆から見える高い位置にたって手を振るくらいでいいんだぞ?あとはすわっとくだけで。あっでも一曲は踊らないといけないか。。。」

「そう固くならなくていいと思う。皆がホールに集まるときはただ座っておくだけでもいい。神子様の声は神聖なものだからお告げの時にしか聞けないとかなんとか言って。」

唯の人形の真似でいいのか?!
それならできそう。

「それくらい、なら。。」

「ッ!本当か!レイちゃん!感謝する!これで国王会議の時にブチブチ言われないで済む!」
そう言って目を輝かせたゼナウドさんは凄まじい勢いではしっていかれた。

お元気で何よりです。

「じゃ!俺も見回り行ってくるわ!セネス頼んだぞ!」
「ああ。」
「いってらっしゃい、ルイズさん。頑張ってね。」

するとルイズさんはボクのおでこにキスを落として出ていかれた。



「レイ。さっきルイズが言っていたが過呼吸になったとか。。。大丈夫なのか?」
セネスさんがボクに訪ねてきた。

「はい!今はもう大丈夫です!」

「本当か?さっき王が来たときぐったりとしていなかったか?」
ほっ本当にセネスさんはよく見ていらっしゃる。

「いや、、、ええまぁそうだけど、今は大丈夫なので!」
もう敬語とタメ口の差が解らない!!

「ならいいのだが。。。」
セネスさんはボクの答えに何か考え事をしているようでいつものように口調で笑われなかった。

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

処理中です...