愛され末っ子

記憶がなくなる前の話

44話

静矢サイド


「ひゅっ、、」

僕の膝からそんな音が聞こえた。

僕たちにとってその音はるぅがいなくなるんじゃないかっていっつも思わされる怖い音。

少し離れたところで待機してた遼も慌てて袋を取り出してこっちに近づいてくる。


るぅ、袋怖がるからあんまり使いたくないな。

「るぅ、ゆっくり息して。ごめんね、るぅ困っちゃったね。」

るぅの向きを変えて背中を優しく摩る。

「るぅ、俺のこと、考えてくれた。ありがとう。」

竜葵もるぅの頭をなでなでしてる。

理斗はワタワタしてるけど目は真剣そのものだった。

僕たちがいない時、理斗と遼と蘭だけで対応しないといけないからね。

その中でも理斗はるぅにとって欠かせない片割れだから。


「ひゅっはっ、、、っ」

「そうそう、偉いね。るぅ、せいにぃをみて。いっしょにスーハーしよう？」

肩を揺らしながら一生懸命に息を吸おうとしているるぅは健気だ。

今にも壊れそうで怖い。

そっと優しく背中をさする。


「ふはっ、、、すぅーひっはー。」

「るぅ、上手。」

顔色も戻ってきた。
だけどまだ4歳のるぅには重労働だったみたいで今にも瞼が閉じそう。


「眠かったら寝ていいよ。」


軽くギュッてしたらふわって香るるぅのちょっと甘い優しい匂い。

暫くしないうちにすぅーすぅーと音が聞こえ始め、肩が規則正しく上下し始めた。

「遼。」

「はい。ご準備は整っております。」


そのままそっと起こさないようにブランケットを肩にかけてから抱き抱えるぅの部屋に行く。