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幕間
幕間④
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『黒式……黒式よ。起きろ。お前は……』
ハッとケインは目を覚ました。
なんだ、この感覚。夢にしては鮮明すぎる。
動悸が未だ治らぬまま、彼はベッドから立ち上がった。
「やあケイン氏、今日は行くんだろ?アレ。」
「ああ…ありがとよ。」
クレアはコーヒーを汲むと、ケインに手渡した。
彼は一気にコーヒーを飲み干すと、玄関へと向かい、靴を履き、事務所を後にした。
「………」
墓地に赴いたケインは、フェルクの墓の前に座り込んだ。
「よ、フェルク。久しぶり。
……まあ、アレだ。お前の墓が無事で良かったよ。墓場荒らし騙されたら溜まったもんじゃ無かった。」
当然、返答はない。少しの沈黙が走る。
「……また、色々失ったよ。まあ、言っちまえば女を、な。彼女って訳じゃないぜ?ただ、誰とも知らねえ女が目の前で殺されるってのは…ちょっとばかし胸糞悪い。オレの目の前で死んだだけ、前よかマシだがな。……んじゃ、あばよ。」
ケインは墓を後にした。
「おーケイン!ちょっと手伝ってくれよ!自転車パンクしちまってさあ…」
男がケインに話しかける。
「ほれ、魔能力で軽くしといた。後は自分でやりな。」
「ああ…ありがとう。」
面食らったような表情をする男から、ケインは目を逸らした。
なんだか自分は、以前より冷たくなった気がする。自分の心のうちの本質に気づいたからだろうか。
「お前のせいだぞ、頼昌……!」
ギリ、と下唇を噛んだ。このまま自分はどんどん冷徹になっていくのだろうか。そうなった時の周囲の視線を考えると、恐怖でしかなかった。
「………」
事務所に戻ったケインは、雑誌を頭に被りながら、ソファに寝転がっていた。
『黒式……起きろ。』
あの声の正体はなんだったのだろう。
「先輩……そろそろ昼ですよ。」
「ああ、悪い。」
レドに呼ばれ、顔についた雑誌を取り、起き上がる。
「今日の午後からは魔能力について色々探ってくって話だったじゃないですか。そんなボーッとしてて良いんですか?」
「花織よかマシだわ。あいつ今日は部屋から出てきてないぞ?」
花織の部屋に視線を移す。その部屋の扉は、依然として固く閉ざされたままだった。
「クレアさん……は出てくるわけないか。シャーロットさんは相変わらず仕事ですしね。」
2人は椅子に腰掛けると、昼食を共にした。
そして午後を回り、魔能力の解析が始まった。
「俺の魔能力は重力操作じゃないってんだよな?」
「ええ、間違いなく。重力操作だけだと、アレほどの質量を生み出す事なんか不可能だ。」
「ちょっと待ってくれよ~?」
クレアは何やら怪しい装置を取り出すと、ケインの頭にとりつけていく。
「…電流とか流れねえよな?」
「はっはっは…どうだろうねえ?」
不敵な笑みをクレアは浮かべる。
「もうやめて良いかなあ…」
「良いやダメだね!君の魔能力には可能性が秘められてるんだから!可能性と言う言葉は我々にとって最高の宝だ!」
目を輝かせて言う彼女に、最早誰も口出しは出来なかった。
「う~~ん…なんだこれは?」
クレアは頭を抱え、その場にうずくまる形で装置を睨みつけていた。
「なんと言うか……未知の物体故に解析できないような…」
「我々の創造の遙か上を行っている…と言った所か?なるほど…中々どうして…」
クレアは最早笑ってなどいない。理解不能な存在を見るかのような目で装置を見ていた。
「ケイン氏…君は魔殲を使用しても、気絶しなかったんだよね?」
「ああ…そうだ。」
「しかも1日に3度の使用ができた…これはどう考えても異常だ。魔殲使用後に気絶する理由は、魔力を限界まで振り絞った結果、生命維持のリミッターが自衛のために行うからだ。
君は……魔力の上限が無いのかもしれない。」
「え?でも普通に魔力切れするぞ?」
「いや…土壇場にだけ、部分的に能力が上がるタイプがいる。君の場合その典型なのかも知れない。……あー!分からん!全くもって分からん!未知の存在にも程がある!
どうやら君は天才なんかじゃないようだ。神の領域に手がかかっている。シャーロット氏する超えうるかもしれん。」
恐怖と驚きの混ざった表情で、クレアはケインを指差した。
「………」
どんどん自分の知らない部分が明かされていく。本当の俺は一体なんなんだ?本当の俺を周囲はどう思うんだ?
俺は………
自分自身への恐怖心が、彼を覆い尽くした。
「ま、でも……先輩は先輩ですよ。僕はそう信じてますから。」
レドが口にしたセリフに、ケインはハッと目を見開いた。
そうだ、こいつらはきっと俺を受け入れてくれる。それで良い、それで良いんだ。
「ありがとうな。」
ケインは、レドの頭に手を伸ばすと、クシャ、と右手で掻き回した。
「まー考えてもしょーがないしょーがない!こう言うのは後日にしよう!」
クレアは装置を片付けると、ケイン達と共に屋上を後にした。
「はあ…はあ……!畜生!なんでこんな事に……!」
ベリアルは地べたに這いつくばり、それを見上げる。
「お前は僕を本気にさせた。」
それは、上から彼を睨みつける。
「あ…ああ…あああああ!」
なすすべなく、ベリアルの体は崩壊を迎えた。
「さて……『0』に対しては?」
無線機越しから、何者かがトラヴィスに問う。
「ああ…もうすぐ分かりますよ。そうすれば奴はどうにでもできます。」
「わかった、助かるよ。さて……君はどうだね?今の名は確か…」
名を呼ばれた者は、陰から姿を表し、無線機をトラヴィスから受け取った。
「今の名は…ヴェルサスです。」
彼は一才表情を変えずに言う。
「そうか……で、軍はどんな感じだい?」
「上層部が奴らに潰されたのは痛手でした。……メリッサが私並みの実権を握ってしまった。」
「そうか……だが今更だ。もう時期アレを起こす事ができる。既に手遅れというものさ。」
「しっかしベクターの奴…まさか記憶ごと存在を消す魔能力を持つ者が居たとは…。」
トラヴィスは頭を掻きむしった。
「彼の存在は我々にとっても痛手だった。あの一件で我々の計画が遅れてしまった。……君たちの責任ではない。負い目を感じる必要はないさ。」
無線機越しに男は言う。
「そろそろ佳境に入りますね……Heavens gate計画も。」
ヴェルサス達は路地裏から姿を消した。
夕日の差し込むその街を、次第に影が覆い尽くしつつあった。
「魔能力を知る方法だあ?!ねえよ、そんなもん。
あー…でも…大昔子供が解像されて、相手の魔能力を解析する能力を持ってたとかなんとか…」
「なんでそれが現代に残ってないのさ!」
クレアはシャーロットに詰め寄る。
「知らねーよ!早くメシー!」
彼女は机を右手のひらで叩いた。
「おーい……花織。そろそろお前……」
ケインは扉を開ける。
だが、そこには彼女の姿がなかった。
「おい…マジかよ。所長!」
ハッとケインは目を覚ました。
なんだ、この感覚。夢にしては鮮明すぎる。
動悸が未だ治らぬまま、彼はベッドから立ち上がった。
「やあケイン氏、今日は行くんだろ?アレ。」
「ああ…ありがとよ。」
クレアはコーヒーを汲むと、ケインに手渡した。
彼は一気にコーヒーを飲み干すと、玄関へと向かい、靴を履き、事務所を後にした。
「………」
墓地に赴いたケインは、フェルクの墓の前に座り込んだ。
「よ、フェルク。久しぶり。
……まあ、アレだ。お前の墓が無事で良かったよ。墓場荒らし騙されたら溜まったもんじゃ無かった。」
当然、返答はない。少しの沈黙が走る。
「……また、色々失ったよ。まあ、言っちまえば女を、な。彼女って訳じゃないぜ?ただ、誰とも知らねえ女が目の前で殺されるってのは…ちょっとばかし胸糞悪い。オレの目の前で死んだだけ、前よかマシだがな。……んじゃ、あばよ。」
ケインは墓を後にした。
「おーケイン!ちょっと手伝ってくれよ!自転車パンクしちまってさあ…」
男がケインに話しかける。
「ほれ、魔能力で軽くしといた。後は自分でやりな。」
「ああ…ありがとう。」
面食らったような表情をする男から、ケインは目を逸らした。
なんだか自分は、以前より冷たくなった気がする。自分の心のうちの本質に気づいたからだろうか。
「お前のせいだぞ、頼昌……!」
ギリ、と下唇を噛んだ。このまま自分はどんどん冷徹になっていくのだろうか。そうなった時の周囲の視線を考えると、恐怖でしかなかった。
「………」
事務所に戻ったケインは、雑誌を頭に被りながら、ソファに寝転がっていた。
『黒式……起きろ。』
あの声の正体はなんだったのだろう。
「先輩……そろそろ昼ですよ。」
「ああ、悪い。」
レドに呼ばれ、顔についた雑誌を取り、起き上がる。
「今日の午後からは魔能力について色々探ってくって話だったじゃないですか。そんなボーッとしてて良いんですか?」
「花織よかマシだわ。あいつ今日は部屋から出てきてないぞ?」
花織の部屋に視線を移す。その部屋の扉は、依然として固く閉ざされたままだった。
「クレアさん……は出てくるわけないか。シャーロットさんは相変わらず仕事ですしね。」
2人は椅子に腰掛けると、昼食を共にした。
そして午後を回り、魔能力の解析が始まった。
「俺の魔能力は重力操作じゃないってんだよな?」
「ええ、間違いなく。重力操作だけだと、アレほどの質量を生み出す事なんか不可能だ。」
「ちょっと待ってくれよ~?」
クレアは何やら怪しい装置を取り出すと、ケインの頭にとりつけていく。
「…電流とか流れねえよな?」
「はっはっは…どうだろうねえ?」
不敵な笑みをクレアは浮かべる。
「もうやめて良いかなあ…」
「良いやダメだね!君の魔能力には可能性が秘められてるんだから!可能性と言う言葉は我々にとって最高の宝だ!」
目を輝かせて言う彼女に、最早誰も口出しは出来なかった。
「う~~ん…なんだこれは?」
クレアは頭を抱え、その場にうずくまる形で装置を睨みつけていた。
「なんと言うか……未知の物体故に解析できないような…」
「我々の創造の遙か上を行っている…と言った所か?なるほど…中々どうして…」
クレアは最早笑ってなどいない。理解不能な存在を見るかのような目で装置を見ていた。
「ケイン氏…君は魔殲を使用しても、気絶しなかったんだよね?」
「ああ…そうだ。」
「しかも1日に3度の使用ができた…これはどう考えても異常だ。魔殲使用後に気絶する理由は、魔力を限界まで振り絞った結果、生命維持のリミッターが自衛のために行うからだ。
君は……魔力の上限が無いのかもしれない。」
「え?でも普通に魔力切れするぞ?」
「いや…土壇場にだけ、部分的に能力が上がるタイプがいる。君の場合その典型なのかも知れない。……あー!分からん!全くもって分からん!未知の存在にも程がある!
どうやら君は天才なんかじゃないようだ。神の領域に手がかかっている。シャーロット氏する超えうるかもしれん。」
恐怖と驚きの混ざった表情で、クレアはケインを指差した。
「………」
どんどん自分の知らない部分が明かされていく。本当の俺は一体なんなんだ?本当の俺を周囲はどう思うんだ?
俺は………
自分自身への恐怖心が、彼を覆い尽くした。
「ま、でも……先輩は先輩ですよ。僕はそう信じてますから。」
レドが口にしたセリフに、ケインはハッと目を見開いた。
そうだ、こいつらはきっと俺を受け入れてくれる。それで良い、それで良いんだ。
「ありがとうな。」
ケインは、レドの頭に手を伸ばすと、クシャ、と右手で掻き回した。
「まー考えてもしょーがないしょーがない!こう言うのは後日にしよう!」
クレアは装置を片付けると、ケイン達と共に屋上を後にした。
「はあ…はあ……!畜生!なんでこんな事に……!」
ベリアルは地べたに這いつくばり、それを見上げる。
「お前は僕を本気にさせた。」
それは、上から彼を睨みつける。
「あ…ああ…あああああ!」
なすすべなく、ベリアルの体は崩壊を迎えた。
「さて……『0』に対しては?」
無線機越しから、何者かがトラヴィスに問う。
「ああ…もうすぐ分かりますよ。そうすれば奴はどうにでもできます。」
「わかった、助かるよ。さて……君はどうだね?今の名は確か…」
名を呼ばれた者は、陰から姿を表し、無線機をトラヴィスから受け取った。
「今の名は…ヴェルサスです。」
彼は一才表情を変えずに言う。
「そうか……で、軍はどんな感じだい?」
「上層部が奴らに潰されたのは痛手でした。……メリッサが私並みの実権を握ってしまった。」
「そうか……だが今更だ。もう時期アレを起こす事ができる。既に手遅れというものさ。」
「しっかしベクターの奴…まさか記憶ごと存在を消す魔能力を持つ者が居たとは…。」
トラヴィスは頭を掻きむしった。
「彼の存在は我々にとっても痛手だった。あの一件で我々の計画が遅れてしまった。……君たちの責任ではない。負い目を感じる必要はないさ。」
無線機越しに男は言う。
「そろそろ佳境に入りますね……Heavens gate計画も。」
ヴェルサス達は路地裏から姿を消した。
夕日の差し込むその街を、次第に影が覆い尽くしつつあった。
「魔能力を知る方法だあ?!ねえよ、そんなもん。
あー…でも…大昔子供が解像されて、相手の魔能力を解析する能力を持ってたとかなんとか…」
「なんでそれが現代に残ってないのさ!」
クレアはシャーロットに詰め寄る。
「知らねーよ!早くメシー!」
彼女は机を右手のひらで叩いた。
「おーい……花織。そろそろお前……」
ケインは扉を開ける。
だが、そこには彼女の姿がなかった。
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