Heavens Gate

酸性元素

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地獄編

堕天と打開

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「がっ……!」
ヴェルサスは壁に叩きつけられる。
「おいおい…終わりか?仮にも一度俺を倒した男だ、あまりがっかりさせんでくれよ。」
「百獣領域!」
「それはもう見た。」
ヴェルサスの一撃は、ベリアルの右手により、あっさりと相殺された。
ベリアルはヴェルサスに蹴りを浴びせる。赤子をこずくような動作の一撃。しかしその一撃は、ヴェルサスの体の骨を完全に砕いた。
「ああ…!」
「……」
もはやベリアルは何も言わない。無言で彼へと歩みを進めると、その場に倒れ込むヴェルサスを踏みつけた。
地面が破壊され、そのまま彼は地下へと落下していく。
「ふん……」
ベリアルはその場を後にした。

「………」
ジークは壁に叩きつけられたまま、ぴくりとも動かない。
「くそ……!この!」
デボラはカイムに拳を振る。だが、カイムは眉ひとつ動かすことなく、その拳をバラバラに分解した。
破壊ではなく、分解。不可視の存在が高速で解体しているようだった。
「がっ……!」
そのままデボラは地面に押さえつけられる。
その時、2人の死角から、無数の弾丸が発射される。
だが、それらもまた、空中でいとも簡単に破壊された。
「残念。」
ウヴァルの両手は無数の剣の束へと変化し、ビルに潜伏するアンナを襲った。
ビルの後方の建物、果ては地面までが、その剣の束によって切り裂かれる。
「あぶねえ……!この野郎が!」
間一髪、アンナはビルから飛び降りてそれを回避すると、空中で銃弾を発射していく。
「良いね、無駄っつー話だがな。」
ウヴァルは両手を剣に変化させ、空中に拡散させる。
拡散した剣一本一本は銃弾を完全に弾いてしまった。
「ウソだろ……!何つ精度…」
「もうやめにしましょう?人間様。」
不意に、後ろから声がする。カイムが背後に回り込んでいた。
「クソが!」
アンナは咄嗟に銃でガードする。
が、飛んできた蹴りを当然防ぎ切ることなどできず、アンナはそのまま吹き飛ばされ、ビルのコンクリートに叩きつけられた。
「っ……!」
老体にこの衝撃はまずい。
手元の銃に視線を移す。
銃は、完全に蹴りによって両断されていた。
「交渉致しませんか?見るにあなたが彼らを率いていたように思いますし。」
「交渉、だと?」
突如カイムから発せられた言葉に、アンナは困惑する。
「ええ、そうです。わたしはね、人間というのが好きなんです。この状況も素晴らしいと思います。愚かでいて、故に美しい。我々と違い、単純な争いを好まない生き物なんて新鮮じゃあ無いですか!
ですから…ね。貴方たちを生かす代わりにこの状況を見逃すという…」
カイムの服に傷がついた。
「はははは!よーやく当たったぜクソ営業マン!」
アンナはハンドガンの引き金を引いていたのだ。
「なるほど、決裂ですか。では、死ね。」
「ふんがー!」
「オラァ!」
カイムの左右から、デボラとジークが拳を振るう。
彼は表情ひとつ変えず、その攻撃をガードした。
2人は防がれたと分かるや否や、彼から距離を取る。
「決裂だよ、この野郎。」
「おいおい、俺も忘れないでくれよ?」
ウヴァルが道路脇から顔を出す。
「あーくそ…」
「勝てる気はしねえ…」
デボラとジークは深く項垂れる。
「いや、案外まだいけるらしいぜ。」
「?」
悪魔を含めた4人の疑問は即座に解消された。
ウヴァルの体を、何者かが縛り付けていたのだ。
「これは……」
「よお、悪魔サンよ!誰だか知らんが死ねえ!」
何処からか現れたジハイドが、ウヴァルの右手を傷つけた。
朱黒罰裁ブラックレッド.ジャッジメント!」
アンから放たれた赤黒い矢が、周囲を覆い尽くしていく。
「オラァ!」
ノーマンの拳がカイムを吹き飛ばす。
『とりあえず状況は分かったんで、それぞれの治療しときます。
レナ先輩は生きてたんで治療して接続してます。』
セシルの声が一同の脳内に響く。
『セシル君助かった。』
地面が割れ、魔力防壁が展開される。
『これより、悪魔の討伐を行う。心してかかれ!』
メリッサの名が下る。
悪魔2人は魔力を解放する。
高密度な魔力により、周囲のコンクリートが割れ、空中に浮遊していく。

「おい……待て。」
ヴェルサスは、その場を立ち去ろうとするベリアルの肩を掴む。
「なるほどな……やっぱ行けんじゃねえの。」
ベリアルはニヤリと笑う。
そして、戦闘は開始された。
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