恋模様

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矢崎涼②

12:成人式

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1月10日火曜日 午前10時

今日も朝から店長が来ていて陽子の姿は無かった。
それに学校は3学期が始まるので、これからまたこのみは学校の休日のみの出勤となった。
昨日の帰り際に、
「また次の土曜日もお弁当作ってきますわ!」
と言ってくれたが、
「今度の日曜は成人式なんだ。・・だから一応土日と休むことになってるんだ。・・・・また今度、お願いね。」
笑顔でそう言っておいたが、その後に、
「そうですの?!・・・・では、何かお祝いの物を考えなくちゃ・・・」
あさっての方向を向きながら後半ぶつぶつと言って歩いていってしまったこのみに一抹の不安を感じながらバイトを終えた。

倉庫整理をしていた涼に、
「矢崎君、パソコンの事ちょっと教えて欲しいんだが・・・」
事務所から出てきた店長に言われ、
「はい、今行きます。」
そう返事をして、思った。
(陽子さんの事、聞いてみよう!)
昨日はさして気にもしてなかったのだが、さすがに2日もいないとなると気になり店長に聞くことにした。
例の『倉庫管理システム』全般の説明をしてから、
「ありがとう、良くわかったよ!」
「そうですか!・・・でも残念ながらここからのカスタマイズは出来ないのでこれで使うしかないんですが・・・」
「そうか・・・・出来れば発注と受入を足したいところなんだがな・・・仕方がないな・・・・」
店長はかなり残念そうな顔をした。
見かねて涼はある提案を持ち掛けた。
「僕がこの事務所内に居続けるのもあれなので、倉庫にあるパソコンを新しくして、そこにオフィスソフトを入れてくれませんか?・・・そうすれば、そのパソコンで店長が希望するようなものを作ってみますよ?」
「そんなことが出来るのかい?」
「えぇ、中学生の頃からパソコンを預けられて、よく勉強しておきなさいって母に言われていたものですから・・」
「そうかい・・・でも、そうは言われても何をどう買ったらいいのかよく分からんな~・・・・そうだ、陽子の方が買い物は得意だから、あいつと一緒に行ってくれるかい?」
「はい、勿論いいですけど・・・・陽子さんは?」
「あぁ、今はなんか体調が悪いとかで家で寝てるんだ。」
「そうなんですか?」
(病気だったのか・・・)
「熱はないようだが、疲れたんだろうな。・・・・正月明けからこの前の大雪とかも任せっきりだったからな。」
「大したことないなら良かったです。・・・・じゃあ、陽子さんの体調が直ったら二人で行ってきます。」
「そうしてくれ。帰ったら陽子に言っておくから。」
「分かりました。・・・・とりあえず仕事に戻ります。」
「あぁ、よろしく頼むよ。」
涼は倉庫に戻り在庫整理を続けた。

夕方、バイト帰りにメガマートで軽く買い物を済ませ部屋に戻ると宅配便の不在連絡票が入り口のドアに挟めてあった。
中に入り急いで電話すると、運転手はまだ近くにいたらしく10分ほどして届けてくれた。
(母さんからか)
中にはきんぴらや酢の物が大きめのタッパに詰められていたものや、らっきょうや湯葉が入っていた。
それらを冷蔵庫にしまうと風呂の準備をして、沸くまでの間こたつに潜り込んだ。
(きっとまだ仕事中だろう)
そう思い、とりあえずメールを送った。
【小包届いたよ、ありがとう。日曜は成人式だから土曜の朝方こっちを出るよ。】
そして、風呂が沸いたのでのんびり入ってから上がってくると返事が返って来ていた。
【その日は母さんも夕方早目に仕事終わって日曜は休みになったから、初詣も行っておくかい?】
(父さんの墓参りついでだな)
【それでいいよ。じゃあ。】
そうメールを返して、夕食の支度を始めた。

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