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横山健二①
15:三上書店②
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「・・・ま、まぁ、落ち着きなよ。」
健二は優しく小さな声で言った。
「す、済みません・・・・・なんか、つい。」
楓もハンカチで数回涙を拭いた後に1度大きく鼻をかんでそのハンカチをポケットに入れた。
(そのまま入れるんだ・・・・・)
健二はハンカチが気になったが、楓を見つめて、
「そうは言っても、そもそも来年は受験だし、もう部活は3年になったら辞めるつもりだよ。」
缶コーヒーを口につけながらさらっと言った。
楓は少しハッとした顔をして、すぐにムスッとした顔をした。
「ずるい・・・」
と言った。
「え?」
「ずるいですよ。そんなの・・・」
「いや、受験の方が大事だから・・・」
「自分から面倒見てくれって言ったくせに・・・」
「え?」
(そんな事言ったか?)
ちょっと首をかしげて想い出してみた。
「え~と・・・・・部活見学の時?」
「いえ。」
楓は健二を睨んでいる。
「・・・・・部活紹介?」
「違います。」
「え~と・・・・・」
(楓に初めて会ったのは新入部員が正式に入ってきた日だと思うんだけどなぁ・・・・・)
しばらく考えていると、
「入学説明会の日です!!」
「・・・え?」
(考えてもいない回答が来た)
健二はきょとんとした顔で、
「そ、そう・・・なの?」
「はぁ~。」
と楓は大きくため息をつくと、
「まぁ、憶えてはないんだろうなとは思っていましたよ、どうせ。」
「ははは。」
軽く苦笑いをした。
「説明会終わってうろうろしていたら、体育館で先輩が練習試合していて・・・」
「あぁ・・・・・してたね。」
(そう言えば、そんなのあったな)
「ちょうどすぐに試合が終わって人だかりの中、たまたま私が立っていた水道のところに来て顔を洗い始めて・・・」
(うんうん、さっぱりするよな)
「あげくに頭からバシャバシャと水をかぶって、タオル取ってくれって。」
「はぁ?」
「いきなり言われたけどキョロキョロしてたら近くにいた人がこれ渡してって投げてきて・・・」
「あれ、佐野子が取ってくれたんじゃないのか!?」
「私です!!」
ちなみに佐野子と言うのは健二の同級生のマネージャーで佐野箸ジューンというハーフの女子だった。
よくは分からないが、自己紹介のときに自分から、
「外国人扱いは嫌いだから佐野子と呼んでください!!」
と言ったのだ。
「・・・それで?」
「その時、あれ?って顔をしたけど・・・」
「うん。」
「ありがとう、また頼むなって。」
(えぇ~??)
健二は微妙な顔になってしまった。
(それが面倒見ろ、になるの?)
「本当は、テニス部に入ろうと思っていたのに・・・」
(いや、入ればいいじゃん?)
「そ、そうか・・・・・でも、良かっただろ?・・・どうせ、うん・・・・・あ、いや」
「どうせ、運動音痴です!!」
「ハハハハ・・・・・ハッ??」
ふと見た視線の先に見覚えのある顔、いや、本来今日の目的である人が立っていた。
それもこちらを凝視しながら。
「どうかしたんですか?」
「い、いや・・・別に・・・・・・っていうか、もう行かなくて良いのか?」
「邪魔にしてるんですか?」
ぷっと膨れた顔で楓は言った。
「いや・・・・・そういうわけでも・・・・・・」
「スーパーでお母さんが買い物してるから待ってるんです。・・・・あ!・・挨拶しておきます?」
「え?」
「冗談です・・・」
健二は明らかに楓ではない誰かを見ているようだ。
楓は健二の視線の先を追うようにレジの方へ目をやった。
その時はレジに2人の女子大生かOLぐらいのお姉さんが並んでいた。
(普段はあまり女の子に興味がないようなことを言っているけど、本当はああいう大人の女性が好きなのかな・・・?)
楓は勘違いをしてしまった。
自分の服をパッと見て、いかにも高1の普通の女の子っていう感じの服であることを実感した。
「え~と・・・・・ちょっとお母さんの様子見にいってみます。」
健二は、
「あっ・・・・・うん。」
楓の方に視線を戻して言った。
楓はそそくさと立ち上がると、
「それじゃあ、先輩。」
と言って、スーパーの方へ去って行った。
勿論、真っ先に洋服売り場へ行ったのだった。
健二は優しく小さな声で言った。
「す、済みません・・・・・なんか、つい。」
楓もハンカチで数回涙を拭いた後に1度大きく鼻をかんでそのハンカチをポケットに入れた。
(そのまま入れるんだ・・・・・)
健二はハンカチが気になったが、楓を見つめて、
「そうは言っても、そもそも来年は受験だし、もう部活は3年になったら辞めるつもりだよ。」
缶コーヒーを口につけながらさらっと言った。
楓は少しハッとした顔をして、すぐにムスッとした顔をした。
「ずるい・・・」
と言った。
「え?」
「ずるいですよ。そんなの・・・」
「いや、受験の方が大事だから・・・」
「自分から面倒見てくれって言ったくせに・・・」
「え?」
(そんな事言ったか?)
ちょっと首をかしげて想い出してみた。
「え~と・・・・・部活見学の時?」
「いえ。」
楓は健二を睨んでいる。
「・・・・・部活紹介?」
「違います。」
「え~と・・・・・」
(楓に初めて会ったのは新入部員が正式に入ってきた日だと思うんだけどなぁ・・・・・)
しばらく考えていると、
「入学説明会の日です!!」
「・・・え?」
(考えてもいない回答が来た)
健二はきょとんとした顔で、
「そ、そう・・・なの?」
「はぁ~。」
と楓は大きくため息をつくと、
「まぁ、憶えてはないんだろうなとは思っていましたよ、どうせ。」
「ははは。」
軽く苦笑いをした。
「説明会終わってうろうろしていたら、体育館で先輩が練習試合していて・・・」
「あぁ・・・・・してたね。」
(そう言えば、そんなのあったな)
「ちょうどすぐに試合が終わって人だかりの中、たまたま私が立っていた水道のところに来て顔を洗い始めて・・・」
(うんうん、さっぱりするよな)
「あげくに頭からバシャバシャと水をかぶって、タオル取ってくれって。」
「はぁ?」
「いきなり言われたけどキョロキョロしてたら近くにいた人がこれ渡してって投げてきて・・・」
「あれ、佐野子が取ってくれたんじゃないのか!?」
「私です!!」
ちなみに佐野子と言うのは健二の同級生のマネージャーで佐野箸ジューンというハーフの女子だった。
よくは分からないが、自己紹介のときに自分から、
「外国人扱いは嫌いだから佐野子と呼んでください!!」
と言ったのだ。
「・・・それで?」
「その時、あれ?って顔をしたけど・・・」
「うん。」
「ありがとう、また頼むなって。」
(えぇ~??)
健二は微妙な顔になってしまった。
(それが面倒見ろ、になるの?)
「本当は、テニス部に入ろうと思っていたのに・・・」
(いや、入ればいいじゃん?)
「そ、そうか・・・・・でも、良かっただろ?・・・どうせ、うん・・・・・あ、いや」
「どうせ、運動音痴です!!」
「ハハハハ・・・・・ハッ??」
ふと見た視線の先に見覚えのある顔、いや、本来今日の目的である人が立っていた。
それもこちらを凝視しながら。
「どうかしたんですか?」
「い、いや・・・別に・・・・・・っていうか、もう行かなくて良いのか?」
「邪魔にしてるんですか?」
ぷっと膨れた顔で楓は言った。
「いや・・・・・そういうわけでも・・・・・・」
「スーパーでお母さんが買い物してるから待ってるんです。・・・・あ!・・挨拶しておきます?」
「え?」
「冗談です・・・」
健二は明らかに楓ではない誰かを見ているようだ。
楓は健二の視線の先を追うようにレジの方へ目をやった。
その時はレジに2人の女子大生かOLぐらいのお姉さんが並んでいた。
(普段はあまり女の子に興味がないようなことを言っているけど、本当はああいう大人の女性が好きなのかな・・・?)
楓は勘違いをしてしまった。
自分の服をパッと見て、いかにも高1の普通の女の子っていう感じの服であることを実感した。
「え~と・・・・・ちょっとお母さんの様子見にいってみます。」
健二は、
「あっ・・・・・うん。」
楓の方に視線を戻して言った。
楓はそそくさと立ち上がると、
「それじゃあ、先輩。」
と言って、スーパーの方へ去って行った。
勿論、真っ先に洋服売り場へ行ったのだった。
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