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三上陽子②
9:宇都宮
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「ご馳走様でした。」
陽子はカウンターで行儀良く手を合わせてお辞儀をした。
矢崎も同じようにお辞儀をした。
「どうでしたか?」
「本当、皮がパリッとしておいしかったわ!」
「もっとお腹がすいてれば旨さが増したんですけど・・・」
(いっぱいお土産に買って今夜おばさんとつまみにしよう!!)
「そんなの仕方ないわ!でも、おばさんのお土産に少し買っていくわ。」
「それは、僕に買わせてください!!」
「いや・・・」
(いや、たくさん買うつもりだから・・・)
「いいえ、色々とお礼も兼ねてお願いします。・・・足りない分は今度の食事のときにでも・・・」
「それはダメ!お祝いなんだから・・・」
「じゃあ、これだけでも!」
と矢崎は二人の皿をテキパキとまとめて配膳場の戻しながらレジに向かった。
(あ~・・・まぁ、いいか)
陽子も置いてあった布巾で軽くテーブルを拭いて矢崎の所へ向かった。
「タレ付きの冷凍パックで7人前ください。」
「ちょっと・・・そんなに食べないわよ!!」
陽子はびっくりして口を挟んだが、
「お酒呑みながらだとあっという間ですよ、きっと。・・・それに冷凍だし。・・・・・あっ、ドライアイスは6時間持ちで・・・・・・大丈夫ですよね?6時間あれば?」
「え、ええ、そうね。」
来る時はのんびり来たので時間がかかったが、帰りに北千住までなら3時間程度だろう。
(どうしよう?帰りの時間とかも聞いてみようかな?)
矢崎は店員から受け取ると、
「じゃあ、遅くなってしまうから、行きましょうか?」
とエスカレーターに向かった。
陽子もすぐに横に並んで歩いた。
「ありがとう。」
そう言うと、
「とんでもない。僕こそ、こんなところまで送ってもらって・・・ありがとうございました!!」
笑顔で答えた。
ビルを出ると、さっきより通行人が多いように感じられた。
「本当、こんなこと言うと失礼だけど、割と人が多いのね。」
「宇都宮はこんな感じです。まぁ、栃木の中では都会ですから。」
と笑い、
「でも、日光はとんでもないですよ!!夜8時には店も閉まるし信号も点滅しちゃうくらいですから。」
「そうなの?」
「うちの近くならまだカラオケBOXとかありますので明るいですけど、東照宮とか観光名所の辺りは暗くて人なんて歩いてませんよ!!」
「すごいわね!!」
そんな話をしながら二人は笑いながら車に戻った。
「折角だからおうちまで送っていくわよ!」
と言ってみたが、
「とんでもない。これ以上は迷惑かけられません。・・・・・それに、ここからでも1時間くらいかかりますから大変です。」
「そう?」
「それに、あそこのバスターミナルから1本で行けちゃいますから楽なんですよ。」
「わかったわ。」
(ここでお別れか・・・)
「本当にありがとうございました。・・・とっても楽しかったし!!」
「私も!」
(あっ、そんなこと言っちゃって・・・)
陽子はそんな言葉を急に発して、照れてしまった。
(なんで、わたしったら・・・そんなことを)
でも、矢崎はニコニコしてあまり考えていないように見えた。
「あっ、じゃあ、これね。」
照れ隠しに急いで車から佐野SAで買ったお土産を取り出し、渡した。
「ありがとうございます。陽子さんも気を付けて戻ってくださいね。」
「わかったわ、ありがとう。」
「それじゃあ、あのバスだと思うんで、行きます!!」
「ええ、成人式楽しんできてね!!」
「はい。」
矢崎はバスターミナルへ向かって軽く走り出した。
そして、向こうへ渡る歩道の前で振り返り、陽子が見ていることに気が付くと、手を大きく振った。
陽子も軽く胸の前で手を振った。
「さてと!!」
そう言いながら運転席に乗り込んだ。
バックミラーを調整してると、丁度矢崎が乗ったであろうバスがターミナルから出発するところだった。
(帰りの時間とか聞くの忘れちゃった!!)
ついついはしゃぎすぎてまたドジってしまった気になった。
(まぁ、帰ってきたら成人式のお祝いをしてあげよう!!)
とすぐに楽しい気持ちに戻り、車のエンジンをかけた。
陽子はカウンターで行儀良く手を合わせてお辞儀をした。
矢崎も同じようにお辞儀をした。
「どうでしたか?」
「本当、皮がパリッとしておいしかったわ!」
「もっとお腹がすいてれば旨さが増したんですけど・・・」
(いっぱいお土産に買って今夜おばさんとつまみにしよう!!)
「そんなの仕方ないわ!でも、おばさんのお土産に少し買っていくわ。」
「それは、僕に買わせてください!!」
「いや・・・」
(いや、たくさん買うつもりだから・・・)
「いいえ、色々とお礼も兼ねてお願いします。・・・足りない分は今度の食事のときにでも・・・」
「それはダメ!お祝いなんだから・・・」
「じゃあ、これだけでも!」
と矢崎は二人の皿をテキパキとまとめて配膳場の戻しながらレジに向かった。
(あ~・・・まぁ、いいか)
陽子も置いてあった布巾で軽くテーブルを拭いて矢崎の所へ向かった。
「タレ付きの冷凍パックで7人前ください。」
「ちょっと・・・そんなに食べないわよ!!」
陽子はびっくりして口を挟んだが、
「お酒呑みながらだとあっという間ですよ、きっと。・・・それに冷凍だし。・・・・・あっ、ドライアイスは6時間持ちで・・・・・・大丈夫ですよね?6時間あれば?」
「え、ええ、そうね。」
来る時はのんびり来たので時間がかかったが、帰りに北千住までなら3時間程度だろう。
(どうしよう?帰りの時間とかも聞いてみようかな?)
矢崎は店員から受け取ると、
「じゃあ、遅くなってしまうから、行きましょうか?」
とエスカレーターに向かった。
陽子もすぐに横に並んで歩いた。
「ありがとう。」
そう言うと、
「とんでもない。僕こそ、こんなところまで送ってもらって・・・ありがとうございました!!」
笑顔で答えた。
ビルを出ると、さっきより通行人が多いように感じられた。
「本当、こんなこと言うと失礼だけど、割と人が多いのね。」
「宇都宮はこんな感じです。まぁ、栃木の中では都会ですから。」
と笑い、
「でも、日光はとんでもないですよ!!夜8時には店も閉まるし信号も点滅しちゃうくらいですから。」
「そうなの?」
「うちの近くならまだカラオケBOXとかありますので明るいですけど、東照宮とか観光名所の辺りは暗くて人なんて歩いてませんよ!!」
「すごいわね!!」
そんな話をしながら二人は笑いながら車に戻った。
「折角だからおうちまで送っていくわよ!」
と言ってみたが、
「とんでもない。これ以上は迷惑かけられません。・・・・・それに、ここからでも1時間くらいかかりますから大変です。」
「そう?」
「それに、あそこのバスターミナルから1本で行けちゃいますから楽なんですよ。」
「わかったわ。」
(ここでお別れか・・・)
「本当にありがとうございました。・・・とっても楽しかったし!!」
「私も!」
(あっ、そんなこと言っちゃって・・・)
陽子はそんな言葉を急に発して、照れてしまった。
(なんで、わたしったら・・・そんなことを)
でも、矢崎はニコニコしてあまり考えていないように見えた。
「あっ、じゃあ、これね。」
照れ隠しに急いで車から佐野SAで買ったお土産を取り出し、渡した。
「ありがとうございます。陽子さんも気を付けて戻ってくださいね。」
「わかったわ、ありがとう。」
「それじゃあ、あのバスだと思うんで、行きます!!」
「ええ、成人式楽しんできてね!!」
「はい。」
矢崎はバスターミナルへ向かって軽く走り出した。
そして、向こうへ渡る歩道の前で振り返り、陽子が見ていることに気が付くと、手を大きく振った。
陽子も軽く胸の前で手を振った。
「さてと!!」
そう言いながら運転席に乗り込んだ。
バックミラーを調整してると、丁度矢崎が乗ったであろうバスがターミナルから出発するところだった。
(帰りの時間とか聞くの忘れちゃった!!)
ついついはしゃぎすぎてまたドジってしまった気になった。
(まぁ、帰ってきたら成人式のお祝いをしてあげよう!!)
とすぐに楽しい気持ちに戻り、車のエンジンをかけた。
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