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木下このみ③
12:帰宅して
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「ただいま帰りました。」
居間に入ってきた疲れた様子のこのみを見て麗香は一目散に近づいた。
「随分遅くまでアルバ・・・・・」
ソファに座って新聞を読んでいた幸雄が喋ろうとしたが、
「どうだったの?その様子だと・・・・・違ったの?」
「いえ、確かにバイトとしていらしたのですが・・・・・」
「あ~おほん・・・・・・いくら運転手が付いているとはいえ・・・・・・」
「でも、どうしてそんなに元気がない様子なのかしら?」
「それは・・・・・」
「わかったわ!詳しいことはお部屋で伺いましょう。」
「いや、あのだね・・・・・」
業を煮やし立ち上がった幸雄に、
「あなた!!寝ている春樹をベビーベッドに運んでおいてください。その足元のおむつも一緒にね。」
「あ、あぁ、分かったよ。」
しょぼんとした幸雄に家政婦が近寄っていったが、
「芳江さん、その手の手伝いは結構です。この人も周りには私はイクメンでね~、なんて言ってるのだから実行させなければいけません!」
「ど、どこでそれを?」
「若い看護婦が入ってくるとすぐいい顔したがるんだから!!」
「い、いや・・・・ぼ、ぼくは・・・・・ほら・・・・・若い男性たちのて、手本になってだね・・・・・・」
「まぁ、いいからお願いしますね!!く・れ・ぐ・れ・も・春樹を起こさないようにね。」
「あっ・・・・・・はい・・・・・・・・」
その様子に見かねたこのみが、
「遅くなってしまってごめんなさい、お父様。以後気を付けるようにいたしますので。」
「あっ、うん。・・・・・・・お父さんも心配してるから言ってるんだから。」
「はい。」
ちょっと可笑しくなったこのみは気持ちを持ち直して、
「じゃあ、お母様。お風呂に入ってしまいますわ!」
「そうね。体も冷えたでしょうから、暖まってらっしゃい!!大丈夫なのね?」
麗香もこのみの気持ちの変化に気付いたようで、そう優しく言った。
「はい!あらためて明日は相談に乗ってください!!」
きりっとした表情で麗香を見つめた。
麗香はそんなこのみが可愛くて、
「まぁ~いつでも相談にいらっしゃい!!」
とこのみを抱きしめて、
「明日はお父様は早出だから、大丈夫よ!!」
とこのみの耳元で囁いた。
「でも、雪が・・・・・」
「大丈夫!どうしても行かなくてはいけない手術があるから!」
「分かりました。では、朝食後にでも・・・・・」
「そうね、そうしましょう。」
お互いに耳元で静かに囁きあった。
幸雄は二人が何を言っているか聞こえなかったが、麗香がこのみと仲良くしてくれているのは嬉しかった。
ただ、最近ちょっと仲間外れにされている感じで淋しさもあったが。
「じゃあ、あなたも明日早いんだから寝ましょう!」
「あ、あぁ・・・・・そうだね。」
このみから離れた麗香がソファで眠っている春樹をゆっくり抱きかかえた。
ちょっと、ほっとした幸雄に、
「そのおむつはお願いね!」
「あ、あぁ・・・・・・それじゃ、このみもよく温まってから寝るんだよ。」
「はい、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
二人は寝室に向かっていった。
「じゃあ、芳江さん、あとをお願いします。」
「はい。おやすみなさい、お嬢様。」
「おやすみなさい。」
このみは自分の部屋に戻るとお風呂の支度をして浴室に向かった。
「では、明日相談することをまとめておかなくちゃ。」
服を脱ぎながら今日の出来事を思い返し始めた。
やっぱり、雪かきをしながら陽子が矢崎の頭の雪を払っている様子を思い浮かべると胸がもやっとした感じだった。
少し胸を押さえながら、
「何かしら、この負のオーラは?」
このみが初めて感じる不思議なものだった。
居間に入ってきた疲れた様子のこのみを見て麗香は一目散に近づいた。
「随分遅くまでアルバ・・・・・」
ソファに座って新聞を読んでいた幸雄が喋ろうとしたが、
「どうだったの?その様子だと・・・・・違ったの?」
「いえ、確かにバイトとしていらしたのですが・・・・・」
「あ~おほん・・・・・・いくら運転手が付いているとはいえ・・・・・・」
「でも、どうしてそんなに元気がない様子なのかしら?」
「それは・・・・・」
「わかったわ!詳しいことはお部屋で伺いましょう。」
「いや、あのだね・・・・・」
業を煮やし立ち上がった幸雄に、
「あなた!!寝ている春樹をベビーベッドに運んでおいてください。その足元のおむつも一緒にね。」
「あ、あぁ、分かったよ。」
しょぼんとした幸雄に家政婦が近寄っていったが、
「芳江さん、その手の手伝いは結構です。この人も周りには私はイクメンでね~、なんて言ってるのだから実行させなければいけません!」
「ど、どこでそれを?」
「若い看護婦が入ってくるとすぐいい顔したがるんだから!!」
「い、いや・・・・ぼ、ぼくは・・・・・ほら・・・・・若い男性たちのて、手本になってだね・・・・・・」
「まぁ、いいからお願いしますね!!く・れ・ぐ・れ・も・春樹を起こさないようにね。」
「あっ・・・・・・はい・・・・・・・・」
その様子に見かねたこのみが、
「遅くなってしまってごめんなさい、お父様。以後気を付けるようにいたしますので。」
「あっ、うん。・・・・・・・お父さんも心配してるから言ってるんだから。」
「はい。」
ちょっと可笑しくなったこのみは気持ちを持ち直して、
「じゃあ、お母様。お風呂に入ってしまいますわ!」
「そうね。体も冷えたでしょうから、暖まってらっしゃい!!大丈夫なのね?」
麗香もこのみの気持ちの変化に気付いたようで、そう優しく言った。
「はい!あらためて明日は相談に乗ってください!!」
きりっとした表情で麗香を見つめた。
麗香はそんなこのみが可愛くて、
「まぁ~いつでも相談にいらっしゃい!!」
とこのみを抱きしめて、
「明日はお父様は早出だから、大丈夫よ!!」
とこのみの耳元で囁いた。
「でも、雪が・・・・・」
「大丈夫!どうしても行かなくてはいけない手術があるから!」
「分かりました。では、朝食後にでも・・・・・」
「そうね、そうしましょう。」
お互いに耳元で静かに囁きあった。
幸雄は二人が何を言っているか聞こえなかったが、麗香がこのみと仲良くしてくれているのは嬉しかった。
ただ、最近ちょっと仲間外れにされている感じで淋しさもあったが。
「じゃあ、あなたも明日早いんだから寝ましょう!」
「あ、あぁ・・・・・そうだね。」
このみから離れた麗香がソファで眠っている春樹をゆっくり抱きかかえた。
ちょっと、ほっとした幸雄に、
「そのおむつはお願いね!」
「あ、あぁ・・・・・・それじゃ、このみもよく温まってから寝るんだよ。」
「はい、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
二人は寝室に向かっていった。
「じゃあ、芳江さん、あとをお願いします。」
「はい。おやすみなさい、お嬢様。」
「おやすみなさい。」
このみは自分の部屋に戻るとお風呂の支度をして浴室に向かった。
「では、明日相談することをまとめておかなくちゃ。」
服を脱ぎながら今日の出来事を思い返し始めた。
やっぱり、雪かきをしながら陽子が矢崎の頭の雪を払っている様子を思い浮かべると胸がもやっとした感じだった。
少し胸を押さえながら、
「何かしら、この負のオーラは?」
このみが初めて感じる不思議なものだった。
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