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第三章 それぞれの素性

第四十三話 正しい在り方

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証明とは何をもってそれを告げるのか。そもそも会話の趣旨も意図もわからないまま、誘導された言質はアヤに贖罪を求めている。


「やればできるじゃないか」


嬉しそうなスヲンの声がどこか遠いところで聞こえる気がする。


「アヤ、足閉じるともう舐めないぞ?」


ランディの声に体が素直に足を開き続けている。
「何をされても逃げない」証明のために、あれから何時間。
訪れない絶頂。与えられない唯一。狂えるほど気の遠くなる長い時間をかけて、アヤは小刻みに息を繰り返すだけの肉塊と化していた。
最初の頃は抵抗に全身に力が入っていた体も、今は虚ろに彼らの愛撫に身をゆだねるだけ。


「アヤはちょっと自分がわかったかな?」

「臆病ってのは厄介だな」

「慎重ってのと紙一重だから悪いとはいわないけど、最初の告白もそうだったし、こうやって極限までイジメないと本音を認識できないって…ボクたちみたいな人間は悦んじゃ…なくて、色々考えすぎなんだよアヤは。こうやっていつも心のままにいてくれたらいいのに」

「優しい顔をしている内に特権乱用してれば被害は最小限で済んだ」

「やっぱランディもしっかりこっち側の人間だね」


ロイとランディが体を挟んで何かを言い合っている。スヲンに至っては、じっと見つめて来るだけで何もいわない。それなのに三人もいて視線が全然目を合わせてくれない。
それが余計にアヤを必死にさせる。
ときどき戻ってくる自我が、三人のぬくもりを求めて暴れる。


「大好きなの、愛してるの、他に何もいらないの、他の人がどう言っても、どう思っても、ロイ、スヲン、ランディ…ッ…傍にいて、お願い…捨てないでぇ…一緒に…イく…ぁ…」

「はいはい、わかったから。アヤ、そんなに暴れたらケガするよ?」

「…ぅ…ロイ?」

「ボクたちがアヤを捨てるわけないじゃん。今までの男と一緒にしないでよ」


ちゅっと軽いリップ音が耳たぶを噛んで、アヤの声がピタリとやんだ。
言葉を理解しなくなったのか。涙を舐めとってくるロイの舌が混乱を連れてくる。


「こんなにぐちゃぐちゃにされて、それでもボクたちを選ぶなんて馬鹿なアヤ。本心では信じてるのに怖がって、必死に手を伸ばしてくるのが愛しすぎて、壊したくなる」

「…ッ…ぁ」

「俺たちも愛してるよ」

「スヲン」


キスが一人から二人に変わる。
混乱した思考は正常な判断能力を失って、現状を把握できていない。
なぜ手足首の拘束具は外され、左右それぞれスヲンとロイに指を絡めとられているのだろう。


「……ランディ?」


すっかりカエルの足状態で固まった股の間に、ランディの頭がゆっくりと埋まってくる。何度も繰り返し見た光景だが、雰囲気が全然違うように思えて、心臓がバクバクと変な音をあげている。


「まって…なん、で…突然」

「なんでってアヤが正直になったから」

「しょうじ、き?」

「オレたちとどこまでも一緒にイキたいだろ?」


指を二本、ねじ込むように根元まで挿入して、舌でぺろりと舐められた陰核がぶるりと震える。気持ちがジェットコースターみたいに上ったり下りたい繰り返しているせいで、呼吸までハッハッと荒く変わっているが、足の間で見上げながら問われたランディの瞳にアヤは告白することを忘れなかった。


「ンッ…ぁ…イキた…ァッく、ッぁ、アァァアッ」


ぎゅっと指先に絡まったロイとスヲンが力を込めて握りしめてきたのがわかった。
あまりの快感に全身に痺れが突き抜けて、開けた視界に浮いた腰が見える。


「ランディもういった、もういったからあぁ」


本当はランディの頭を抱えて、髪をつかんで引き離したかった。
吸血鬼みたいに吸いついて、愛蜜を奥から掻き出そうと暴れる指ごと引き離したかった。


「アヤ、そんなにおっぱい揺らして気持ちいいの?」

「気持ちいい…ぃ…ッぁキモチい、ィク…ャッぁ」

「いいよ。アヤがイクところしっかり見ててあげる」

「~~~~ッぁ…アァァアッァ」


ロイに後ろから抱きしめられて暴れる身体が蜜をシーツに広げていく。
浮いた腰がこれ以上あがらないほど高い場所で停止している。深い絶頂を味わう体は言いようのない波の中にいた。
突き上げた快楽の頂点は、まだ先を見るのか。ゆらゆらと微睡む視界が、ロイの手によって静かに寝かせられる。


「ャッ…ランディぃ…そこ、だめッ…ぁ」

「いいの間違いじゃなくて?」

「ぁ、イッいぃ…そりぇ…ンにゃ~~~~ッ」


寝そべったのをいいことに体勢を起こしたランディの指が容赦なく膣内をかき回した。ラビアについたクリップが引っ張り合って、ランディの行為を余すことなく受け止めている。水飛沫は弧を描いてランディの腕を濡らし、シーツをさらに染め、強烈な快感を連続して与えてくる。


「はぁ…ッ…はぁ」


呼吸が呼吸じゃないみたいに肺を動かしている。
ずっと背中にいたはずのロイはランディと入れ替わるように股の間に移動していて、逆にランディが頭側に姿をみせた。


「クリップで閉じないから丸見えで恥ずかしいね、アヤ。ひくひくしててすっごく可愛い。メス犬みたいに腰振って誘ってくれるの、嬉しいなぁ」

「…ッ…ロ、イ」

「ほら、逃げないの。勃起したクリちゃん、ボクにも食べさせて」

「~~~~ッひ、アッ」


腰をグイっと引き寄せる仕草でロイの唇が陰核を含む。
食べるという表現がぴったりなほど、ロイの舌は美味しそうに果肉をかじっていく。


「ぃ、クッ…ろ、ぃ…そこッぁ、イイ、気持ちいぃ」


朦朧とした意識は刺激の再来に喜んで、限界をさらに超えたがるから気が抜けない。どこにも力を入れられないのに、自然と「また、イカセテもらえない」という不安がまとわりついて怖くなる。


「スヲン…ッ…スヲ、ン」

「なにかな、俺のお姫様?」

「乳首、触って…きゅって…してぇ」


怖いからこそ頼る。
不安だからこそすがればいいのだと、無意識の学びがそうさせるのか。無邪気に甘えるアヤの態度にスヲンは口角を上げる。


「いいよ」


優しい瞳に反して、その指が容赦なく乳首をつぶしてくる。
きゅっ。と、いう可愛らしいものではない。ぐりっと親指と人差し指でねじりきるように痛めつけてきたスヲンの愛撫にアヤは泣いた。


「ぁ…きもちい、ぃ…イクっいくぁぁあぁぁ」


また腰が振れる。今度は胸も大きく差し出して、アヤの身体はブリッジをするみたいに踵(かかと)と頭で体重を支えていた。


「ロイっ、ァッ…あぁ…~~~~ッぅ」


ロイの顔が離れて、冷えた空気が陰核に風を送り込んでくる。脆弱な空気の流れさえ絶頂を運んでくるようで、アヤはたまらずランディの方へ顔をすり寄せる。


「スヲン、いま…そ、ァッ」

「すごいな、溶けきってる」

「あァッ~~っ、ぅ…にゃ…ァッ」


あがったままの腰が降りてこない。股の間にいるロイではなく、左横にいるスヲンが膣に指を突っ込んできたせいで、代わりにいじられなくなった乳首は右側のランディにゆだねられたらしい。


「ヒッぁ、ランディ…乳首、そんなに引っ張っちゃ…ぁ」


すり寄る相手を間違えた。
そもそも間違えるも何も、誰に甘えても同じ結果にしかならないことはわかっている。
アヤはスヲンとランディの指技に腰を浮かせたまま、じっと自分の身体に施される愛撫を見つめる。そしてその視線が、股の間から動かなかったロイの気配をとらえた。


「ロイ…いま、それ…抜かな…ッ」


お尻に埋め込まれているプラグを引っ張るつもりだということは瞬時に理解できた。
無意識に腰を沈めて、力をいれ、耐える姿勢をみせたアヤの様子に、無慈悲のスヲンとランディの攻めはきつくなる。


「アヤ、どこが一番キモチイイ?」

「全部…ッ…全部、ぁ…イクッぃ…ァアァァ」


いったい自分の身体のどこに水が溜まっていたのかと思うほどスヲンの指を濡らしていく。近付けていた顔を飛沫する液体をよけるために距離をとったロイは、プラグを引っ張るための輪に指をかけたまま停止している。


「も…ストップ…すとっ…ンッ、らん…」


もう見るなとでも言いたげに、ランディの巨大なそれが顔を叩く。
唇をぐにぐに押してくるが、おかげでロイやスヲンの気配を探りにくくなってしまった。


「目の前に差し出されたからって、ランディのを見るなり俺の指を締め付けるとか本当に小悪魔だな」

「~~~~ッん」

「なんだ、もう入れてほしいのか?」


くすくすと楽しそうなスヲンの声に子宮まで甘えているらしい。本当は問われた内容に言葉で返したかったが、唇を割って入ってきたランディのを咥えると、全部入りきらなくて声と息を奪われる。


「よく聞こえないから、下の口に聞いてみよう」

「ッ、ん……ぅ…ンンぅンッ」

「そうだな、このクリップは外して別の場所につけようか」

「ふ…ッぅ…ぁ…ンッむ!?」

「ボクが外してあげるね」


乙女の花園を限界まで左右に広げる役割をしていたクリップがロイに取り外され、スヲンとランディにそれぞれ片方ずつ渡される。
なぜ片方ずつ渡したのか、もっと良く見えていたら未然に防ぐことが出来たかもしれない。


「~~~~~ッ!?」

「正解だったか、よかった」


適度な強度で皮膚に噛みつくクリップは案の定、左右の乳首に取り付けられ、そのふたつを繋ぐゴム製のヒモはもちろんスヲンの指に引っかかっている。


「こうして左右のクリップを繋ぐ紐を引っ張れば同時に可愛がってやれるし」


ようやく自由になっていたことを思い出したのだろう。あまりの刺激に防衛本能がそうさせたのか。アヤの手はスヲンの奇行を止めさせようと素早く動く。


「手が邪魔だな」

「アヤの手はオレが預かってやる」


掴む直前。ランディの手が手首をつかんで、アヤは頭上で両手を拘束される羽目になった。
結果、スヲンの指が出入りする動きに合わせて乳首も上下に刺激が加わり、口いっぱいにランディを差し込まれる。


「至れり尽くせりだね、アヤ。ボクたちとの関係を疑ったりしないで、最初から素直に甘えてワガママ言ってれば、もっと早くにこうしてあげてたんだよ?」
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