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十歳のクリスティア・テス・クレイル

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「お前のような極悪悪女に制裁をーーー。」マクシミリアンは腰から短剣を抜き大きく腕を振り上げ光剣先が私の胸に突き刺さった、マクシミリアン------。

胸に刺さった剣を思い切り引きにく、体中に激痛がはしり、切り込まれた傷から血が溢れ出た。

痛い!痛い!痛い!痛い!「あっーーーーーーあっ
」憎きマクシミリアン許さないお母様からお父様を奪ったマクシミリアンのあばずれ女デリア許さない!許さない!私から幸せを奪った奴らを呪ってやる!
私の幸せは、私自身で奪い返して貰うわ!許さないーーーーーーマクシミリアン。

その瞬間ハッと気が付き目が冷めた。

呪詛のようにマクシミリアンを呪う言葉を唱えながら息絶えたはずのーーーーーー私。


「私、------どうしたの?生きてる。」

マクシミリアンが私の胸を付いたのに。

「生きてるなんて可笑しい。私、恨みながら死んだのに------。」

ふと気が付く------。

私の手が小さい?

私は自分身体を触って確認する。

------明らかに小さい。

落ち着いて回りを見渡すと、「見たことのある風景だわ」。殺されたあの時とは違う可愛らしい家具や壁紙。

幼少の頃に使っていた家具たち。

「まさか------!」

私は慌てて鏡台に向かって自分の姿を確認した。

「嘘でしょ!」

呪って------呪って------。

あんなに呪った世界にまた戻って来るだなんて------。

「最悪だわ、また同じ事を繰り返すの。------もう嫌よ!」

愕然とする私------。

「もう同じ事を繰り返すのは嫌!又、マクシミリアンに殺されるなんて------。」

不義の子マクシミリアン------。


私と同じ年の義弟------。

お母様が私を身籠っているときにマクシミリアンの母親を愛していたなんて------。屈辱でしかないわ------。


------でも前と同じように父の不義の子として虐め捲くり、聖女に婚約者を取られ毒殺未遂------挙げ句マクシミリアンに断罪されたーーーーーー。

姉弟として暮らすマクシミリアンと関わらずに生きてるなんて無理だわ。----まして優しくだなんて出来るかしら?

その時部屋をノックする音が聞こえた。

誰かしら?

「お嬢様、メイリアンでございます。」

メイリアン、私付きの侍女だわ。
今の状況を確認するためにノックの音に答えた。

「どうぞ。」

メイリアンが部屋に入り、私が起き上がっていることに驚く。

「お嬢様!起き上がってはいけません。倒れられて頭を打たれたのですから」と慌てている。

倒れた------?頭を打たれた?

私は何をやらかしたの?

「お嬢様は、お父上様であられるクラウス様が遠方の視察で一週間程家を空けるのを嫌がっておられました。その時足を滑らせて頭を打たれたのです。旦那様大層心配なさっていらっしゃいましたが------視察を遅らせる訳にはいけないと苦渋のされていましたが、------その日は流石に出発なさらず、ですがお嬢様も目覚められず------心配されながら二日後に出発されました。お嬢様の事をとても心配されながらお行になられました。」

「そう、私又お父様に我儘を言ったのね。お父様に申し訳無いわ。」

侍女のメイリアンは目を見開き驚いた様子だ。

だって私------我儘令嬢で『謝る』なんてしなかった。
なんて傲慢な女だったのだろうか。

「お嬢様のその思いだけで旦那様は嬉しいことでしょう。」

「そうかしら?」そう呟くとメイリアンが「はい。」とにっこり笑った。

「私は何日目覚めなかったのかしら------?」

「五日間ですわ、長い間目覚められず大層心配致しました。」

メイリアンは、「お嬢様が目覚めて良かった
」と喜んでいたけど------屋敷の者たちはどう思っていたのだろう。
きっと「ざまあみろ」と思っていたに違いない。

「お嬢様医師のカランダ様をお連れ致しますのでベッドでお待ち下さいませ。」とメイリアンは私をベッドへ促し部屋を後にした。

「メイリアンの様子からしてまだマクシミリアンは義弟として屋敷に来ていないわね。」

お父様は視察に行かれたのではなく、マクシミリアンを義弟として我がクレイル公爵家へ連れて来ることになるんだから。
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