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サルバトール学園

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「とても素敵なデビュタントが過ごせて私、嬉しいですわ!」

「俺もだ」とジークは私を抱き寄せ頬に唇を落とした。

なんて幸せなの、私はこんなに幸せな一日を忘れない。

ジークは別れ際にーーーーー

「明日は侯爵邸に迎えに行くから、待っていろ」と言われ。
もう、それだけで嬉しくて心が舞い上がってしまい、なかなか寝付けなかった。

「駄目よ、アディル寝なくちゃ、赤い目でジークに会えないわ!」

私は、ゆっくりと瞼を閉じた。

「ジーク、おやすみなさい。よい夢をーーーーー」





ーーーーー 朝 ーーーーー



「ーーーーーょう様」

「ーーー嬢様ー。」

「アディル、お嬢様。目を開けて下さい。今日から学校ですよ!」

私は、侍女ミディの声にハッとした。

「おはようございます、アディルお嬢様。朝のお支度をいたしましょう。」と急ぎベッドから起こされた。

「私、昨日なかなか寝付けなかったの。」

「そのようですね、蒸しタオルをご用意致しますね。」

顔を洗い、サルバトール学園の制服に身を包む。

濃紺のフレアのワンピースにに焦げ茶のブーツ、学年事に異なるリボンを首に付けた。
男性は、濃紺のブレザーにスラックスに赤いタイ。
リボンやタイのカラ一は、ー年生は赤、二年生は青色だ。

「お嬢様、髪型は如何いたしましょうか?」

「そうね、ドリルは卒業したいしーーーーー」

「ドリル?」

「「えっ、」」侍女ミディと声が被る?

「ドリルとはなんでしょうか?」

「何かしら?昨日も発してしまったのよ。」
嫌だわ、と笑って誤魔化した。

「それではハーフアップにして裾を緩くカールしますね。」

「お願いするわ。」

アディルは、豊かで艶やかな青銀色の髪に輝く金色の瞳、。つり上がった猫目が可愛らしく、ぷっくりしたチェリーのような唇。
肌の色は白くアンティークドールのようにシミ一つ無い美しさを持っていた。

「お嬢様、とてもお似合いですわ!旦那様も奥様もお喜びになられますわ!」とミディは喜んでいた。

「お嬢様お食事の準備が出来ています参りましょうか。」

「そうね、行きましょう。」

食堂に着くと、すでにお父様とお母様にカインがいた。

「お父様、お母様おはようございます。」

私を見るなり立ち上がり、がったんと椅子音をたてた。

「おはよう、アディルーーーーー。ああっ、私の天使はなんて可愛いのだ!」とぎゅっと抱きしめられた。

『お父様ったら子供みたいだわ!』

腰回りに軽い衝撃があった。

「お姉様、綺麗。」とカインが私に抱きついたのだ。

「おはよう、カイン。お姉様似合っているかしら?」

「「似合っている。」います。」と同時に二人の声が被った。

抱きしめていた手を緩めるお父様とカイン。

「ありがとうございます、お父様。」

「ありがとう、カイン。」

私は二人に美しく淑女の礼をした。

「さぁ美しいレディ、席までエスコートするよ。」
お父様は、手を差し出し席まで誘導してくれた。

『お父様って、イケメンの上にダンディーだわ?』

うん?『イケメン?』何かしら?たまに変な単語が出るわ?気を付けないとーーーーー。

美味しい朝食えお終え、良いタイミングでーーーーー。

「お嬢様、そろそろジークフリード殿下が迎えに来られる時間ですわ。」

「そうね、参りましょう。」

ロビーで待つと、従僕の案内でジークが来たことを知らされ玄関で待った。

王宮の豪奢な馬車が止まり、馬車の扉が開き、ジークが降りてきた。

「おはようございます、ジーク。今日も良い日和で、学園の入学にぴったりですわね。」

「あぁ、そうだな。」ジークはふわりと笑い目を細めた。

「良く似合っている。綺麗だ、アディル。」
嫌だわ、そんなに見つめられたら、心臓がドキドキしますわ!

「ジークの方がとてもお似合いです、女生徒から黄色い声が聞こえるのが、目に浮かびますわ。」とニコリと笑った。

さぁ行こうと、ジークは先に馬車に乗り込み中からアディルに手を差し出した。

「ありがとうございます。」アディルはジークの手を取り乗り込んだ。

ジークはアディルの隣に座わり、アディルの手を覆いかぶすように握った。

「あのーーージーク、どうして隣にーーーーー?」

狭くは無いので二人で座るのに問題は無いが、ーーーーー制服を着た麗しい王子に緊張した。

「うん、少しでもアディルを感じていたいからーーーーかな。」

ジークの言葉にドキドキする、朝から心臓に悪いですわ!

でも、淑女の私は動じては行けません!ふわりと微笑みーーーーー。

「ジークにそう言って貰えて嬉しいです。」

コテっと小首を曲げて、ジークに甘い瞳で、『嬉しい』をアピールした。

ジークは、「うっ」と手で顔を隠した。

「ここで、そんな可愛い顔をするなーーーーー、そうでなくてもお前の、アディルの匂いを感じてーーーーーお前をどうにかしたいのにーーーーー」

『どうにかしたいって、ーーーーーどっ、どうしましょうーーーーー』

「アディルが悪いんだからな」とジークは私の唇をペロッと舐め、アディルの唇を割って舌を絡めた。

「ーーーっうぅん」アディルは甘い声が漏れた。

『やん、やん、ジークのせいで甘い声がでちゃう。』

ジークはアディルの唇を離し唾液で濡れた唇を指で拭き取った。

「これ以上やったら、我慢出来なくなるなーーーーー」とジークは一人ごちる。

そう言いながらも、アディルを自分の胸に引き寄せた。

「学園に着くまでこのままな」

二人きりの時に甘えるジークが可愛くて仕方がありません。

「はい、ジーク。」私もジークの温もりを感じた。


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