12 / 30
王都を出て・・・
しおりを挟む晴れ渡った空の下、父上と久しぶりにゆっくりと刻を共にした
公爵家の紋章の無い、華やかさは無いがしっかりとした造りの大きな馬車だ。
供の者も、騎士服は着ていない。もう、この国の貴族では無いのだから
ある意味。未開の地の統治者だから王族?!?ではある
王都始めこの国には、王家からの知らせは無いが少しずつ、私達父子から公爵家がプライスリー伯爵に引き継がれた事。私達父子は未開の地を与えられ赴いた事。ソレは、臣下としてでは無く、独立としてのモノだと。
その事は、渋る王陛下から魔法契約を施した書面として既に頂いている。様子を見ながらも先手を打ちつつ国内外に浸透していく様に。情報操作されるべく手を打ってある。王家によって、有耶無耶にされない様に・・・事実が事実として認識される様に。
王女のみならず、王女に隠れて、実は幼き頃より執着していた王陛下からの執着に絡め取られない様に手を打って来た。
後は、逃げ切るるだけだ
取り敢えず無事王都を出て、少しホッとした。王家が、王陛下と王女がどんな手を使ってくるか分からないけれど。少しだけは大丈夫だろう。
☆ ☆ ☆
「 ファル。もう少しお茶を飲むかい?」
こんな穏やかな父上の顔は、すごく久しぶりだね
「はい、父上頂きます」
香り高い茶葉の良い香りが私達の心まで満たしていく
「美味しい」
「はぁー、本当美味しいね」
すっかり冷え切っていた身体と心が少しずつ温度を取り戻していく
「ねぇ、ファル。今は私達は貴族では無い
父上ではなくもっと気軽に呼んでくれないかな?」
「・・・・・そうですね。では父さん、とお呼びしても?」
「うん、良いね。それと、もっと砕けた話し方で頼むよ。」
父さん、我が父ながらその心底嬉しそうな笑顔からのヘニョリとした顔も、破壊力満点です。
かあさまが、ここに居てくれたなら。つい、そんな叶うことのない願望が・・・
「ところで、ファル。この間から、少し変わったよね・・
何だか、今迄より、吹っ切れたと言うか、
今までと違うファルが居る様な。」
父上には、バレているのかな。
「・・・・・」
「でも、ファルはファルだよ」
僕は、今迄の僕に前世の僕が加わった事を話した。父上なら受け入れてくれる。頭のおかしな人扱いもせずに・・・
と、信じた
「そうか。それは、あの襲撃の後?」
「はい。目が覚めて、寝ている父上のお顔を見た時です。
恐らく、前世での父母との最後の時と、重なったのだと。
母上だけでなく、父上迄、喪う。と思った後に眠る父上を見たら・・・急に頭が割れる様に痛んで。前世を想い出していました」
「・・・そうか。前世でも、辛かったね。
今は、私は、いる。どうか、まだまだ私を頼りにしておくれ。」
「父上・・・いえ、父さん。」涙が溢れて仕方なかった
父さんは、そんな僕を前世毎包む様に抱きしめて、トントンと赤子をあやす様に包んでくれた。
それから「ファル、そう言えばファルのギフトは学園でも使い方分からなかったんだよね?」
「はい」と頷く・・・
「学園ならば、その道のプロだ何とか、道標を見つけてくれると期待していたんだけれど・・・」
「少しも、兆しもみられませんでした。」哀しくて、俯く
「ファル、、大丈夫だよ、私が付いてる。
ちょっと、改めて見せてくれるかな?」
正直、怖かった本当の意味で父上を落胆させるかもしれない・・・
父上は、もう一度抱きしめながら
「何も怖がる事は、無いよ私が付いてるよ。私は何があっても、無くてもどんな時だって、ファルの味方だから。安心して。一緒に見つけよう。ね?」
父さんならば信じられる。この世で1番僕を大切にしてくれる人
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
君と秘密の部屋
325号室の住人
BL
☆全3話 完結致しました。
「いつから知っていたの?」
今、廊下の突き当りにある第3書庫準備室で僕を壁ドンしてる1歳年上の先輩は、乙女ゲームの攻略対象者の1人だ。
対して僕はただのモブ。
この世界があのゲームの舞台であると知ってしまった僕は、この第3書庫準備室の片隅でこっそりと2次創作のBLを書いていた。
それが、この目の前の人に、主人公のモデルが彼であるとバレてしまったのだ。
筆頭攻略対象者第2王子✕モブヲタ腐男子
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる