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王都を出て・・・

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晴れ渡った空の下、父上と久しぶりにゆっくりと刻を共にした

公爵家の紋章の無い、華やかさは無いがしっかりとした造りの大きな馬車だ。
供の者も、騎士服は着ていない。もう、貴族では無いのだから

ある意味。未開の地の統治者だから王族?!?ではある

王都始めこの国には、王家からの知らせは無いが少しずつ、私達父子から公爵家がプライスリー伯爵に引き継がれた事。私達父子は未開の地を与えられ赴いた事。ソレは、臣下としてでは無く、独立としてのモノだと。
その事は、渋る王陛下から魔法契約を施した書面として既に頂いている。様子を見ながらも先手を打ちつつ国内外に浸透していく様に。情報操作されるべく手を打ってある。王家によって、有耶無耶にされない様に・・・事実が認識される様に。

王女のみならず、王女に隠れて、実は幼き頃より執着していた王陛下からの執着に絡め取られない様に手を打って来た。
後は、逃げ切るるだけだ

取り敢えず無事王都を出て、少しホッとした。王家が、王陛下と王女がどんな手を使ってくるか分からないけれど。少しだけは大丈夫だろう。



☆     ☆     ☆



「 ファル。もう少しお茶を飲むかい?」

こんな穏やかな父上の顔は、すごく久しぶりだね

「はい、父上頂きます」

香り高い茶葉の良い香りが私達の心まで満たしていく

「美味しい」

「はぁー、本当美味しいね」

すっかり冷え切っていた身体と心が少しずつ温度を取り戻していく

「ねぇ、ファル。私達は貴族では無い
父上ではなくもっと気軽に呼んでくれないかな?」

「・・・・・そうですね。では父さん、とお呼びしても?」

「うん、良いね。それと、もっと砕けた話し方で頼むよ。」

父さん、我が父ながらその心底嬉しそうな笑顔からのヘニョリとした顔も、破壊力満点です。

かあさまが、ここに居てくれたなら。つい、そんな叶うことのない願望が・・・

「ところで、ファル。この間から、少し変わったよね・・

何だか、今迄より、吹っ切れたと言うか、
今までと違うファルが居る様な。」

父上には、バレているのかな。
「・・・・・」

「でも、ファルはファルだよ」

僕は、今迄の僕にの僕が加わった事を話した。父上なら受け入れてくれる。頭のおかしな人扱いもせずに・・・
と、信じた


「そうか。それは、あの襲撃の後?」

「はい。目が覚めて、寝ている父上のお顔を見た時です。
恐らく、前世での父母との最後の時と、重なったのだと。

母上だけでなく、父上迄、喪う。と思った後に眠る父上を見たら・・・急に頭が割れる様に痛んで。前世を想い出していました」

「・・・そうか。前世でも、辛かったね。

今は、私いる。どうか、まだまだ私を頼りにしておくれ。」

「父上・・・いえ、父さん。」涙が溢れて仕方なかった

父さんは、そんな僕を前世毎包む様に抱きしめて、トントンと赤子をあやす様に包んでくれた。

それから「ファル、そう言えばファルのギフトは学園でも使い方分からなかったんだよね?」

「はい」と頷く・・・

「学園ならば、その道のプロだ何とか、道標を見つけてくれると期待していたんだけれど・・・」

「少しも、兆しもみられませんでした。」哀しくて、俯く

「ファル、、大丈夫だよ、私が付いてる。

ちょっと、改めて見せてくれるかな?」

正直、怖かった本当の意味で父上を落胆させるかもしれない・・・
父上は、もう一度抱きしめながら

「何も怖がる事は、無いよ私が付いてるよ。私はどんな時だって、ファルの味方だから。安心して。一緒に見つけよう。ね?」


ならば信じられる。この世で1番を大切にしてくれる人







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